ブクステフーデの室内楽曲
このブログは、元々大好きな古楽器を用いた演奏を紹介するつもりで始めたものだが、膨大なCDを前にして、手をつけられないでいる。
今年「The Art of Bach」というバッハの曲を一日一曲ずつ聴いていくというブログを始めたおかげで、様々な古楽関連のブログを知るようになった。いくつかリンクをはらせて頂いているが、「私的CD評」という素晴らしいブログは、その拡張高い文章、詳細な説明など参考になることばかりである。
元々感化されやすい性格なので、そこで紹介されたCDの記事を読むと是非聴いてみたくなる。そんなわけで、今日はブクステフーデの室内楽曲を紹介したいと思う。もちろんこの記事は、「私的CD評」さんの「ブクステフーデの室内楽作品集、しかし「夕べの音楽」という標題は?! 」を読んだ上で書いたものである。
ブクステフーデについてはご承知の通り、北ドイツオルガン楽派の巨匠であり、バッハがリューベックから徒歩で「アーベント・ムジーク」を聴きに行ったという話しに出てくるあの「ブクステフーデ」(1637〜1707)である。バッハを知る上でも重要な作曲家でもある。
多数のオルガン曲やカンタータを書いたことで知られており、オルガン曲については多数の全集が出ているが、ここでは本論からはずれので割愛する。
そのブクステフーデであるが、上述のオルガン曲やカンタータ以外に、素敵な室内楽曲も残している。オルガンの巨匠ということで、そちらが取り上げられがちであるが、今回はこの室内楽曲について紹介したいと思う。なおこの記事に関連する深い洞察は、先の「私的CD評」さんの「ブクステフーデの室内楽作品集、しかし「夕べの音楽」という標題は?! 」を是非読んで頂きたい。
バロック・ソナタの音楽史(田中武夫、文芸社)によれば、
彼の作品の中で現存するのは多数のオルガン曲とカンタータですが、ソナタも若干残っています。生涯リューッベックにとどまっていた彼の情報源は何だったのでしょう。コレルリの影響があるという説と、「ヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバ」という組み合わせ方は彼独自のアイデアであったろうという説があります。
と書かれている。
前置きがかなり長くなったが、今回は彼の室内楽曲のCDを三回紹介したいと思う。
「ブクステフーデ 室内楽作品全集 第1集 7つのソナタ Op.1」(ジョン・ホロウェイ(ヴァイオリン)、ヤープ・テル・リンデン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)ラース・ウルリク・モンテルセン(チェンバロ)、NAXOS、8.557248)
1)ソナタ 第1番 へ長調 BuxWV 252
2)ソナタ 第2番 ト長調 BuxWV 253
3)ソナタ 第3番 イ短調 BuxWV 254
4)ソナタ 第4番 変ロ長調 BuxWV 255
5)ソナタ 第5番 ハ長調 BuxWV 256
6)ソナタ 第6番 二短調 BuxWV 257
7)ソナタ 第7番 ホ短調 BuxWV 258
「ブクステフーデ 室内楽作品全集 第2集 7つのソナタ Op.2」(ジョン・ホロウェイ(ヴァイオリン)、ヤープ・テル・リンデン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)ラース・ウルリク・モンテルセン(チェンバロ)、NAXOS、8.557249)
1)ソナタ 第1番 変ロ長調 BuxWV 259
2)ソナタ 第2番 ニ長調 BuxWV 260
3)ソナタ 第3番 ト短調 BuxWV 261
4)ソナタ 第4番 ハ短調 BuxWV 262
5)ソナタ 第5番 イ長調 BuxWV 263
6)ソナタ 第6番 ホ長調 BuxWV 264
7)ソナタ 第7番 ヘ長調 BuxWV 265
「ブクステフーデ 室内楽作品全集 第3集〜作品番号なしの6つのソナタ」(ジョン・ホロウェイ(ヴァイオリン)、ヤープ・テル・リンデン、モーゲンス・ラスムッセン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)ラース・ウルリク・モンテルセン(チェンバロ)、NAXOS、8.557250)
1)ソナタ ト長調 BuxWV 271
2)ソナタ イ長調 BuxWV 272
3)ソナタ ヘ長調 BuxWV 269
4)ソナタ ニ長調 BuxWV 267
5)ソナタ 変ロ長調 BuxWV 273
6)ソナタ ハ長調 BusWV 266
ここで、「7つのソナタ Op.1」「7つのソナタ Op.2」 はそれぞれ、1964年、1996年にハンブルクで出版されている。問題は三枚目の「作品番号なしの6つのソナタ」に収められている曲である。「ブクステフーデの室内楽作品集、しかし「夕べの音楽」という標題は?! 」で述べられているが、スウェーデンのウパサラ大学の図書館に
「ソナタ ハ長調 BusWV 266」
「ソナタ ハ長調 BusWV 271」
の2曲の手稿譜が、ブクステフーデが1684年に出版されたという、「二つないし3つのヴァイオリンとヴィオラ・ダ・ガンバのための、教会および食卓用のソナタ集」に収められていたと言われている。
また、
「ソナタ 変ロ長調 BuxWV 273」
もウプラザ大学図書館に手稿譜で保存されている。この曲であるが、上述の「バロック・ソナタの音楽史(田中武夫、文芸社)」によれば、第1楽章が,作品1の第4番とほとんど同じである。実際に聴き比べるとよくわかる。ただし、作品1の第4番は、この曲に比べてかなり短くなっており、推敲したのかもしれない。何か諸事情があったのであろう。
今回は少し長くなったが、ブクステフーデの室内楽曲について紹介した。彼のオルガン曲のイメージとはかなり異なっていて、弦楽器の美しさが際立っており、子守唄代わりによく聴いている。演奏も、ジョン・ホロウェイ(ヴァイオリン)、ヤープ・テル・リンデン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)ラース・ウルリク・モンテルセン(チェンバロ)という古楽界きっての名手達の演奏で実に素晴らしい。
ナクソス・レーベルから格安で簡単に入手できるので、是非機会があれば聴いて頂きたい。ちなみに三枚目に紹介したCDはつい最近発売になったところである。基本的にナクソスは廃盤にしないので、店頭や国内になくても時間をかければほとんど必ず入手できるであろう。元々はダ・カーポ・レーベルで発売されていたものらしいが、こうした名盤が未だに入手できるのは嬉しいことだ


「私的CD評」に触れて下さって、ありがとうございます。
バロック音楽のレコード(CD)のレパートリーが拡がって、ブクステフーデにしても、ラインケンにしても、単にオルガン作品だけでなく、室内楽も聞けるようになったことは、非常にうれしいですね。特にここで紹介されている様な、まとまった紹介は歓迎すべきところです。しかもオリジナル楽器による演奏ですからね。鈴木秀美氏の「古楽器よさらば」という表現を借りれば、もはやオリジナル楽器を特殊なものと見る時期は過ぎたのかも知れませんね。
スウェーデンのウプサラ大学に所蔵されているブクステフーデの手稿が、いろいろ紹介されていますね。コープマンの指揮で「夕べの音楽」の一つではないかと言うことでCD化(Antoine Marchand CC 72241)されている作品も、1974年刊の作品総目録(BuxWV)では、疑わしい作品に分類されていますが。
「ノン=メジャー・レーベル」を紹介した際に、ナクソスを加えることも考えていたのですが、廉価版の最大手でもあり、割愛しましたが、確かに良く探すと、良いものが結構ありますね。「私的CD評」でも何れ紹介しようと思っているものがあります。
コメント時刻: 2008年05月20日 10:36
コメントありがとうございます。
昨夜、かなり眠たい状態で書いていたので、変な記述が多く,間違いがあったので訂正しました。
最近では、最初に持った楽器がオリジナル楽器だという世代が出てきているので、「古楽器=懐古趣味」という式は過去のものなのでしょうね。その一方で、寺神戸亮さんがあるインタビューで話されていましたが、手っ取り早く稼ぐために古楽器を用いる学生がレッスンに通って来る、と嘆いていらっしゃいました。全員がそうだとは思いませんが、レオンハルト、アーノンクールらが古楽器を用いて演奏を始めた頃よりは、「怠けている」演奏者が多いということはよく耳にしますね。
ナクソスも最近は、古楽器を使ってしっかりとした演奏を数多くリリースしているので、同じ廉価レーベルである「ブリリアント」とともにチェックはかかせません。最近出た「「J. S. バッハ:ヴィオラ・ダ・ガンバとハープシコードのためのソナタ集」(アーポ・ハッキネン、ミッコ・ペルコラ、NAXOS、8.570210)」は若手の演奏とは思えないほどの素晴らしい出来でした。
そういえば、最近「このナクソスを聴け!」という本が出ましたね
コメント時刻: 2008年05月20日 18:42