テレマン:無伴奏フルートのための12のファンタジー
「The twelve Fantasias for Transverse Flute without Bass」(Barthold Kuijken, ACCENT, ACC 57803)
ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681-1767)は非常に「多作」な人であった。受難曲46曲、教会カンタータ1000曲以上、オペラ20曲以上、室内楽曲200曲以上、協奏曲100曲以上、管弦楽曲130曲以上、生涯で4000曲程作曲したと言われている。全集を作ったら100年はかかると言われている(と何かで読んだ記憶がある)。ということで、彼のすべての作品を紹介するにはとても困難であるし、経歴を説明するのもかなり困難なので、非常に簡単に説明すると、ライプツィヒの大学で法律を学んだが、元々の音楽好きから、大学にいる間にコレギウム・ムジクムを結成して、音楽活動をしていた。1721年にハンブルク市の音楽監督に就任し、そこで生涯を過ごした、とだけ書いておく(手抜きです)。
さてこれだけたくさんの作品を残しているテレマンの中から、今日は「無伴奏フルートのためのファンタジー」を紹介したいと思う。この曲がいつ書かれたかというのはよくわからないが、有田正広氏によれば、1727-28年ではないかということである。
タイトル通り12曲からなっているが、イタリア語で単純な指示が記載されているだけで、異なった形式が自由に用いられている。
第1番:イ長調(Vivace (adagio allegro, adagio, adigio allegro, adagio) - Allegro)
第2番:イ短調(Grave - Vivace - Adagio - Allegro)
第3番:ロ短調(Largo - Vivace - Adagio - Allegro)
第4番:変ロ長調(Vivace (adagio allegro, adagio, adigio allegro, adagio) - Allegro)
第5番:ハ長調(Presto - Allegro - Allegro)
第6番:ニ短調(Dolce - Allegro - Spirituoso)
第7番:ニ長調(Alla Francese - Presto)
第8番:ホ短調(Largo - Spirituoso - Allegro)
第9番:ホ長調(Affettuoso - Allegro - Grave - Vivace)
第10番:嬰へ短調(Presto - Moderato)
第11番:ト長調(Allegro - Adagio - Vivace - Allegro)
第12番:ト短調(Grave - Allegro - Grave - Dolce - Allegro - Presto)
フラウト・トラヴェルソ一本だけのための曲であるが、実に多用な様式を示していて、聴いていて飽きることがない。緩急の使い分け、リズムの多様さが複雑に絡み合って、様々な表現が味わえる。
今回はお気に入りのバルトルド・クイケンの一枚を選んだ。やはりこの人のトラヴェルソは格別である。この曲集の決定版と言っても過言ではないだろう。またACCENT独特のジャケットも拡張高く素敵である。このレーベルは、演奏者だけでなくジャケットも実に素晴らしい。本当にジャケットも芸術の一つという典型的な例である(ジャズにおけるブルーノートがそうであるように)。
その弟子(と同時に同い年)である有田正広氏による演奏も素晴らしい。ここではあのブリュッヘンから譲られた銘記ステインズビーを用いている。
「テレマン:無伴奏フルートのための12のファンタジー」(有田正広、DENON、COCO 70180)
また、最近廉価レーベルのBrilliantからJed Wentzも同曲集を出している。わたくしが店頭で見かけた価格は780円だった(1000円弱で買える!)。
また、オーボエ界のハイフェッツ、ハインツ・ホリガーもモダンのオーボエで録音しているので、それも紹介しておこう。
「テレマン:無伴奏オーボエのための12の幻想曲」(ハインツ・ホリガー、DENON、33CO-1062)
モダン楽器自体好きではないので、このブログで取り上げることはあまりないが、この人のオーボエは実に素晴らしい
テレマンはこの曲以外に、「ファンタジー」というタイトルを持つ無伴奏楽曲を、現在知れられているだけで4つ残している。
・オルガンのためのファンタジア ニ長調
・クラブサンのためのファンタジー、3ダース
・バス・ドゥ・ヴィオールのための12のファンタジー
・ヴァイオリンのための12のファンタジー
である。
最初の3つの録音は聴いたことがないが、最後の「無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジー」は、ポッジャー、マンゼ、グリュミオーの録音がある。こちらも素晴らしい曲集なのでいずれ紹介したいと思う。
演奏:バルトルド・クイケン(フラウト・トラヴェルソ)
使用楽器:G. A. Rottenburgh ca. 1740
録音:Sint Stefanuskerk - Melsen(1978年10月)

