ヘンデルのクラヴィーア作品を聴く
「Handel Suites de Pieces pour le Clavecin」(ミカエル・ボルグステーデ、Brilliant、BRL93713)
バッハ、テレマン、ヘンデルはドイツ・バロック後期の大作曲家で、それぞれがかなり多くの作品を書いている。その中で、バッハにあって、テレマン、ヘンデルにはない、もしくは数が少ない作品と言えば、クラヴィーア用の作品である。
バッハについては、クラヴィーア作品は、BWV722〜994まであって、オルガン作品と並んで、バッハの作品の中の大きな部分を占めている。それに比べて、テレマンとヘンデルは圧倒的に少ない。わたくしの知る範囲では、テレマンのチェンバロ独奏曲の録音は見当たらない。ヘンデルについては、少ないが作曲しているので、今回紹介したいと思う。
ヘンデルのクラヴィーア作品は、
・クラヴィーア組曲集 第1巻(HWV426 - 433、1720年刊)
・クラヴィーア組曲集 第2巻(HWV426 - 433、1733年刊)
が大きく知られている程度である。これ以外に、
・フーガ曲集(1735年)
・クラヴィーア・ソナタ ハ長調
・やさしいフーガ曲集(1776年頃、死後刊行、遺作)
などが鍵盤曲集として知られているのみである。
ヘンデルはイタリアに留学している際に、チェンバロの名人として名を馳せていたパスクィーニからイタリア風の明るい響きや旋律を学んだとされているので、チェンバロの素晴らしさを知っていたと思うのだが・・・
さて今回紹介するCDでは、
・クラヴィーア組曲集 第1巻(HWV426 - 433、1720年刊)
・クラヴィーア組曲集 第2巻(HWV426 - 433、1733年刊)
が収録されている(CD4枚組)。
CD1 ・組曲第1番イ長調HWV.426
・組曲第2番ヘ長調HWV.427
・組曲第3番ニ短調HWV.428
・組曲第4番ホ短調HWV.429
CD2
・組曲第5番ホ長調HWV.430
・組曲第6番嬰ヘ短調HWV.431
・組曲第7番ト短調HWV.432
・組曲第8番ヘ短調HWV.433
CD3
・組曲第9番変ロ長調HWV.434(組曲第2集第1番)
・シャコンヌ ト長調HWV.435(第2集第2番)
・組曲第10番ニ短調HWV.436(第2集第3番)
・組曲第11番ニ短調HWV.437(第2集第4番)
・組曲第12番ホ短調HWV.438(第2集第5番〕
CD4
・組曲第13番ト短調HWV.439(第2集第6番)
・組曲第14番変ロ長調HWV.440(第2集第7番)
・組曲第15番ト長調HWV.441(第2集第8番)
・前奏曲:アレグロ
・『リナルド』より「私は戦を挑み」
この中で、「組曲第5番ホ長調」が「調子のよい鍛冶屋」として有名な曲である。
ヘンデルも相当多作な作曲家であるが、メインとなるクラヴィーア用の作品がわずかCD4枚に収まるというのも不思議である。
この曲集だが、最近廉価レーベルであるBrilliantから発売になったもの。廉価レーベルということで侮ることができない。実に生き生きとしたよい録音である。CD4枚組で3000円弱なので、一般の大手レーベルから出ているCD1枚分くらいの価格である。それでもかなり優れた録音、演奏と言える。久しぶりの掘り出しものという感じである。
蛇足だが、レオンハルトは膨大な数の録音を行っているにも関わらず、ヘンデルのクラヴィーア曲は録音していない。それを聞かれた時に、
「ヘンデルはプリミティフだから演奏しない」
と答えたそうである
演奏:ミカエル・ボルグステーデ(チェンバロ)
使用楽器:
CD1、2;Double-manual Franco-Flemish (after Ioaness Ruckers, grand ravalement, by Fabrizio Acanfora und Thomas Power, Amsterdam)
CD3、4;Double-manual German (after Michael Mietke by jan Kalsbeek, Zutphen)
録音;
CD1、2;2008年1月21〜25日、Remonstrantse Doopsgezinde Church, Deventer, The Netherland
CD3、4;2007年10月10〜13日、Remonstrantse Doopsgezinde Church, Deventer, The Netherland


このCD、先日見つけて購入しました。ここで紹介されたヘンデルのチェンバロのためのソナタを一通り聴いてみようと思ったからです。まだ聞き始めたばかりですが、録音も良く、本当にお買い得ですね。
奏者のミヒャエル・ボルグステーデが書いている解説によりますと、調律は「機械ではなく、耳であわせた」平均律なのだそうです。そしてこれは根拠のあるものなのだそうです。演奏には、かなり装飾音や即興的音型を加えていますね。これもバロック時代の演奏習慣に従ったと言うことなのでしょう。まずは一通り聴いてみることにします。
コメント時刻: 2008年07月13日 17:57
コメントありがとうございます。
解説をしっかり読んでいませんでした。先程読んでいたのですが、確かに「耳で合わせた平均律」となっていますね。
ヘンデルはミーントーンで解決される場合が多く、実際にミーントーンを好んでいたと言われていますので、この解説は相当意外でした。
ポイントは「平均律」ではなく、「耳で合わせた」というところではないかと思っています。耳の越えた演奏家であれば、耳で合わせようとすると、確実に、響きのよさや和音の調和に敏感になりますから、現在の「平均律」とは少し異なってしまうと思います。実際に聴いてみて、和音がひどく濁っているとは感じませんでしたから。
演奏ですが、ご指摘の通り装飾が多く、いかにもヘンデルらしい、きらびやかさが出ていると思います。
コメント時刻: 2008年07月13日 22:23
こんにちは。
このCD、買おうかやめようか結構考えていたんですけど・・・。
記事を拝見して、録音が良いということなので、買ってみようかと思います。
(チェンバロのCDは、録音が悪いとヒサンなので)
BrilliantのCDは今までも何セットか買っていますが、安いのにアタリが多いですよね。
感心します♪
コメント時刻: 2008年12月22日 13:05