ジャヌカンのシャンソンを聴く
「鳥の歌・狩りの歌〜ジャヌカン:シャンソン集」(アンサンブル・クレマン・ジャヌカン、harmonia mundi FRANCE、KHM100015)
今日は、フランスの世俗曲、シャンソンの大家、クレマン・ジャヌカン(1485年頃 – 1558年)を紹介する。子供の頃についてはよくわかっていない。1520年代にボルドー近在で僧職に就いたとされるが、一音楽家として大きな地位を築いた(例えば教会お抱えであるとか、宮廷作曲家など)ということはなかったと見られている。そのジャヌカンが飛び抜けていたのが、今回紹介するシャンソンでの作曲能力である。生涯に250曲ほどの世俗シャンソンを残したとされる。
そのジャヌカンの出世作となったのが、マリニャーノの戦いを描写したシャンソン「戦い」である。1528年には、ジャヌカンの最初のシャンソン集が、パリの楽譜出版者、ピエール・アテニャンによって発売された。ここには、今回聴いているCDのタイトルに含まれる、「鳥の歌」「狩りの歌」や、「戦い」「ひばりの歌」といった彼の代表作が含まれている。
彼のシャンソンの特徴であるが、描写的な音楽である、ということであろう。「生々しい」歌の音楽である。ユーモラスな掛け合いもあれば、皮肉たっぷりの描写もある。また、「その昔、娘っ子が」に至っては、官能小説のような描写がさらりと、そしてたっぷりと出てくる(対訳を載せようと思ったのだけれど、さすがにかなりどぎつい表現だったので、やめました。知りたい方はメールを頂ければ教えます・・・)。こうした音楽には、フランス庶民の感情が表れていると思うのだが、これらを唄っていたのは、教養があるとされた宮廷の人間や、いわゆる上流階級と言われる人間達であった。
このジャヌカンのシャンソンを楽しむには、二つの要素が必要であると感じる。一つは、歌詞をしっかりと理解できること。これはCDについている対訳でもよい。唄われている内容がどういうものかを理解することで、彼の音楽がいっそう「生々しさ」を増すのである。
そしてもう一つは、「生々しく」歌われたものを聴くことである。それにうってつけなのが、彼の名前にちなんだアンサンブル「アンサンブル・クレマン・ジャヌカン」である。カウンター・テナーのドミニク・ヴィス率いる男声アンサンブルである。
収録曲;
1. 鳥の歌
2. 夜ごと夜ごとに
3. のぞみはゆるぎなく
4. その昔,娘っ子が
5. ああ,甘い眼差しよ
6. ひばりの歌
7. ああ,わが神よ
8. 私の苦しみは深くない
9. ああ,愛の苦しみよ
10. この美しい五月
11. ある朝目覚めた私
12. うぐいすの歌
13. 女のおしゃべり
14. 行け,夜鳴きうぐいす
15. 美しく緑なすさんざしよ
16. ぼくには二重の苦しみが
17. 空を飛ぶこの小さな神様
18. 戦い
19. かわいいニンフ
20. どうしてその目を
21. 当然のこと
22. 花咲けるさんざしの上で
23. この五月
24. 大胆で軽やかな風よ
25. もうぼくは以前のぼくでは
26. 修道士チボー
27. 狩りの歌
なお、今回紹介したCDは、以前に二枚にわけて発売されたものを抜粋してまとめたもののようである。入手可能かわからないが、極めて楽しい歌ばかりなので、是非なんとかして聴いていただきたい
「ジャヌカン:シャンソン集〜狩りの歌」(アンサンブル・クレマン・ジャヌカン、harmonia mundi FRANCE、HMA1951271)
「クレマン・ジャヌカン:鳥の歌〜シャンソン集」(アンサンブル・クレマン・ジャヌカン、harmonia mundi FRANCE、HMC901099)

