アムステルダム旧教会のオルガンを聴く
「THE AHREND & BRUNZEMA ORGAN OF THE AMSTERDAM'S OUDE KERK 1964 - 2004(アムステルダム旧教会のオルガン)」(レオンハルト・インブルーノ、TACTUS、TC570001)
グスタフ・レオンハルトのお膝元であるオランダには、数多くのオルガンが現存する。様々な街には教会があり、そこにオルガンが設置されている。そうした教会オルガンは、建設以来、修復されたり、パイプの本数を増やしていくなどの改良も加えられた。
オランダで見られるオルガンは、
・ブラバンド型(ニーホフ型);オルガン部分が上下二段に分離されているもの
・ドイツ型(シェラー型);ブラバンド型の両側に足鍵盤のパイプを集めた塔型の部分を持つもの
・北ドイツ型;ドイツ型をさらに改良したもの
などが見られる(『遥かなるオルガンの響き オランダ教会オルガンとバッハ街道の旅』(田中 強、牧歌舎))。
今回紹介するCDは、アムステルダムにある「旧教会」のオルガンを用いて、北ドイツ楽派のオルガン音楽を演奏したものである。
この教会は、ユトレヒトの大司教が、船乗りの加護のために建設したもので、アムステルダムで最も古い教会であり、アムステルダム最初のハイ・ルネッサンス様式の教会として知られている。画家のレンブラントが結婚式をし、また同じ画家であるフェルメールも眠っている。アムステルダムの船乗りの守護聖人である聖ニコラウスが祭られていることでも有名である。
最初のオルガンは、ニーホフによって作成されたが、現存していない。現在残っているのは、その後の1724年ファーターによって造られたものを、ミュラーが修復したものである。送風器8つ、金箔張りのパイプが50本ついている。
収録曲は以下の通りで、シャイデマン、ヤン・ピーテルスゾーン・スヴェーリング、アントニ・ファン・ノールトらの曲からなっている。アントニ・ファン・ノールトは、1664年に新教会のオルガン奏者に任じられたが、その兄であるヤコブ・ファン・ノールトは、旧教会のオルガン奏者であった。
1) 神のひとりなる子主キリスト(ハインリヒ・シャイデマン)
2) 詩篇第50番(アントニ・ファン・ノールト)
3) トッカータ ト長調(ハインリヒ・シャイデマン)
4) トッカータ ハ長調(ヤン・ピーテルスゾーン・スヴェーリング)
5) 大公のバッロ(ヤン・ピーテルスゾーン・スヴェーリング)
6) エコー・ファンタジア イ短調(ヤン・ピーテルスゾーン・スヴェーリング)
7) 《ダフネ》による3つの変奏曲(作曲者不詳、17世紀オランダ)
8) ベルガマスカ(ザムエル・シャイト)
9) 詩篇第23番による3つの変奏曲(作曲者不詳、17世紀オランダ)
10) 主よあわれみ給え(ハインリヒ・シャイデマン)
11) よい羊飼いはよみがえられた(ハインリヒ・シャイデマン)
1〜3がグスタフ・レオンハルト、残りがマテオ・インブルーノによる演奏で、レオンハルトの演奏の録音年月日はわからない。インブルーノは2004年9月7−9日に録音したものである。
音律はミーントーンである。
選曲、演奏ともに抜群に優れている。レオンハルトのオルガン演奏は見事という他に言いようがないものである。
実際のところ、教会での演奏を聴きたいと思わせる内容となっている。やはり、オルガンはCDによるステレオでは音の再現が困難であり(お金を投資すればそれなりになんとかなるが、恐らくオルガンは一番再現が困難な楽器の一つと思われる)、オルガン自体が建物と一体になった一つの楽器であることを考えれば、その場で聴くことが一番素晴らしい音を耳にすることができると思われる。
なおこの記事は、『遥かなるオルガンの響き オランダ教会オルガンとバッハ街道の旅』(田中 強、牧歌舎)を参考に書いたものであるが、薄い本ながらオルガンの魅力を伝えてくれる一冊である。写真が豊富であり、オルガンが楽器としてだけでなく、一つの見事な美術品であることを教えてくれる

