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エイヴィソン:協奏曲集 Op. 3 & 4を聴く

2008年11月14日

「エイヴィソン:協奏曲集 Op. 3 & 4」(エイヴィソン・アンサンブル、パウロ・ベズノシウク(指揮、ヴァイオリン))

以前「スカルラッティとエイヴィスン」で、チャールズ・エイヴィソンがスカルラッティのソナタを合奏協奏曲に編曲した作品を紹介した。エイヴィソンについては、その記事について詳しく書いたので、そちらを参照していただきたい。

そこでも触れたが、彼の時代、イギリスでは「合奏協奏曲」ブームであった。エイヴィソンもその立役者の1人で、今回紹介する曲も同じ合奏協奏曲である。

6つの協奏曲集作品3は、1751年に出版されたもので、8つの協奏曲集作品4はミルバンク女史へささげられたもので、1755年に登場したものである。いずれの曲も基本的には、「緩ー急ー緩ー急」という4楽章から成っているが、その枠をはずれて、さらに拡大されているものもある。

これらの作品は音楽愛好家が演奏できるように、エイヴィソンが楽譜に細かく様々な指定をほどこしているとされている。どの曲も美しい合奏協奏曲で、コレッリやヘンデルの合奏協奏曲と聴き比べてみるのも面白いだろう。

曲は以下の通り;

CD 1.
協奏曲 変ロ長調, Op. 3-4

協奏曲 ト短調, Op. 3-3

協奏曲 ニ長調, Op. 3-1

協奏曲 ホ短調, Op. 3-2

協奏曲 ニ長調, Op. 3-5

協奏曲 ト長調, Op. 3-6


Disc 2
協奏曲 ニ短調, Op. 4-1

協奏曲 イ長調, Op. 4-2

協奏曲 ニ長調, Op. 4-3

協奏曲 ト短調, Op. 4-4

協奏曲 変ロ長調, Op. 4-5

協奏曲 ト長調, Op. 4-6

協奏曲 ニ長調, Op. 4-7

協奏曲 ハ短調, Op. 4-8

なお、指揮、ヴァイオリンを担当しているパウロ・ベズノシウクは、バロック・ヴァイオリンだけでなくモダン・ヴァイオリンも演奏するそうだ。これまでに、Academy of Ancient Music, Amsterdam Baroque Orchestra, Orchestra os the Age of Enlightenment, the Hanover band, L'Arte dei Suonatori, Le Parkement de Musiqueなどに参加している。
さらに、バロック・ヴァイオリンをハーグハーグの王立音楽院、Royal Academy of Londonで教えている

演奏;
エイヴィソン・アンサンブル
パウロ・ベズノシウク(指揮、ヴァイオリン)

録音:
2004年10月 イギリス、ニューキャッスル・アポン・タイン、ジェズモンド、セント・ジョーンズ教区教会

スカルラッティとエイヴィスン

2008年08月24日

チャールズ・エイヴィスン:「7声部のための12の協奏曲」(1744)より(カフェ・ツィンマーマン、alpha031)

イギリスのニュー・キャッスルで生涯を過ごしたチャールズ・エイヴィスン(1709〜1770)と、イタリアの鍵盤楽器の名手であったドメニコ・スカルラッティ(1685〜1757)。後者のスカルラッティは555曲からなる「チェンバロ・ソナタ」でご存知の方も多いと思う。スコット・ロスの全曲録音もあり、最近では廉価レーベルBrilliantからベルダーが全集を録音している。

エイヴィスンは生涯の大半をニュー・キャッスルで過ごした人であるが、1736年に聖ニコラス教会のオルガニストとなり、1738年からニュー・キャッスル音楽協会の理事を勤めている。イタリアの作曲家ジェミニアーニの弟子でもある。イギリス最初の音楽論「音楽の表現論」を書いたことでも知られる。
その彼の作品は、協奏曲を中心として書かれたものが多い。その中で、特異な作品が今回紹介するものである。

当時のイギリスでは、スカルラッティの音楽がある意味「信奉」されていた。それはアマチュアに留まらず、プロの作曲家にとっても同様であった。ロージングレイヴが1739年に出版したスカルラッティの「ハープシコード練習曲」の予約購読者の大半がエイヴィスン、ジェミニアー二、アーンを始めとするプロの音楽家であった。
また、1715年にウォルシュが出版したコレッリの「合奏協奏曲集」が発端となり、イギリスでは多くの合奏協奏曲が書かれることになる。

こうした背景から、エイヴィスンは、スカルラッティのチェンバロ・ソナタを合奏協奏曲へと編曲したのである。それが「7声部のための12の協奏曲」(1744)である。
編曲にあたって、原曲に忠実な部分もあったが、音符の省略、繰り返しや連続する楽句の省略なども行っている。低音パートは、スカルラッティが「順次進行的」に書いた楽句を、エイヴィスンは「規則的にリズムを刻むような音型」に置き換えている。こうした大胆な試みを行っているが、スカルラッティの素晴らしい曲を損ねたという結果には終わっていない。まったく新しい「合奏協奏曲」へと生まれ変わっている。

このCDで収録されているのは、

1. 合奏協奏曲 第6番 ニ長調

2. 合奏協奏曲 第5番 ニ短調

3. 合奏協奏曲 第11番 ト長調

4. 合奏協奏曲 第3番 ニ短調

5. 合奏協奏曲 第9番 ハ長調

6. 合奏協奏曲 第12番 ニ長調

の6曲である。

演奏は、αーレーベルに名演を数々残しているカフェ・ツィンマーマン。彼らのきびきびとした演奏が、合奏協奏曲に実によくマッチする。

本文中の記述は、CDの解説と、「バロック・ソナタの音楽史(田中武夫、文芸社)」を参考、引用した。

演奏:カフェ・ツィンマーマン
録音:2002年9月、ノートルダム・ド・ボン・スクール病院礼拝堂