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テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジー

2008年07月05日

「Georg Philipp Telemann : Twelve Fantasies for Solo Violin - 1735」(Rachel Podger, CHANNEL CLASSICS, CCS 18298)

演奏:レイチェル・ポッジャー
録音:St. Michaels's Church, West Compton, Dorset, UK、2001年11月
使用楽器:Pesarinius 1739


昨日は、テレマンの「無伴奏フルートのための12のファンタジー」を紹介したが、その続編ということで、今回は「無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジー」である。
ヴァイオリンの無伴奏曲というと、バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ」を引き合いに出さざるを得ない感もあるが、優劣をつけることに意味を感じないので、今回はバッハについてはあえて触れずにおく。

第1番:変ロ長調(ラルゴーアレグローグラーヴェーアレグロ)
第2番:ト長調(ラルゴーアレグローアレグロ)
第3番:ヘ短調(アダージョープレストーグラーヴェーヴィヴァーチェ)
第4番:ニ長調(ヴィヴァーチェーグラーヴェーアレグロ)
第5番:イ長調(アレグロープレストーアンダンテーアレグロ)
第6番:ホ短調(グラーヴェープレストーシチリアーナーアレグロ)
第7番:変ホ長調(ドルチェーアレグローラルゴープレスト)
第8番:ホ長調(ピアチェヴォルメンテースピリトゥオーソーアレグロ)
第9番:ロ短調(シチリアーナーヴィヴァーチェーアレグロ)
第10番:ニ長調(プレストーラルゴーアレグロ)
第11番:ヘ長調(ウン・ポーコ・ヴィヴァーチェーソアーヴェーウン・ポーコ・ヴィヴァーチェーアレグロ)
第12番:イ短調(モデラートーヴィヴァーチェープレスト)

二つの長調の後に一つの短調が続くという形式から成っている。とても快活で聴きやすい曲集である。急ー緩ー急もしくは緩ー急ー緩ー急という形が基本となっているが、楽章の配列が自由奔放で、聴き飽きない構成になっている。

ポッジャーのもつ天真爛漫な演奏が、この曲集に実に見事にはまっている。録音の残響音も感じがよく、愛聴している一枚である。かなり骨太な音作りをしている。特にG線の音が太く感じられる。ごりごりと弾いている感じもするが、その中にも繊細さを感じる好演である。バロック・ヴァイオリンの音とはこういう音だ、ということを感じさせてくれる演奏である。音が実に綺麗で、ずっと聴き続けられる演奏である。

さて、このブログでモダン楽器が苦手ということを何度も書いているが、特にモダン・ヴァイオリンの音が苦手で、どうしても聴く気分になれない。延々とかけ続けるヴィヴラート、金属弦のきんきんした音などに、拒絶反応を起こしてしまう。
父は幅広くクラシックを聴く人なので、子供の頃から実にたくさんのクラシック音楽を聴いてきた。その中でモダン楽器に対するアレルギー反応が培われていったのだが、実はモダン・ヴァイオリンでも心地いいと感じることがあった。それが、フランコ=ベルギー派のアルテュール・グリュミオーの演奏である。彼もこの曲集を録音しているので、紹介しておく。

「テレマン:12の幻想曲(ソロ・ヴァイオリンのための」(アルテュール・グリュミオー、PHILIPS、PHCP-9648)

グリュミオーらしい、気品に溢れ、優雅さを伴った演奏である。音の美しさはやはりさすがである。

アンドルー・マンゼもこの曲集を録音しているが未聴。他にも録音がいくつかあるらしいが、あまり店頭で見かけない。この曲集の録音については、「テレマン: 無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジア」で紹介されているので、興味のある方はご一読下さい

テレマン:無伴奏フルートのための12のファンタジー

2008年07月04日

「The twelve Fantasias for Transverse Flute without Bass」(Barthold Kuijken, ACCENT, ACC 57803)

ゲオルク・フィリップ・テレマン(1681-1767)は非常に「多作」な人であった。受難曲46曲、教会カンタータ1000曲以上、オペラ20曲以上、室内楽曲200曲以上、協奏曲100曲以上、管弦楽曲130曲以上、生涯で4000曲程作曲したと言われている。全集を作ったら100年はかかると言われている(と何かで読んだ記憶がある)。ということで、彼のすべての作品を紹介するにはとても困難であるし、経歴を説明するのもかなり困難なので、非常に簡単に説明すると、ライプツィヒの大学で法律を学んだが、元々の音楽好きから、大学にいる間にコレギウム・ムジクムを結成して、音楽活動をしていた。1721年にハンブルク市の音楽監督に就任し、そこで生涯を過ごした、とだけ書いておく(手抜きです)。

さてこれだけたくさんの作品を残しているテレマンの中から、今日は「無伴奏フルートのためのファンタジー」を紹介したいと思う。この曲がいつ書かれたかというのはよくわからないが、有田正広氏によれば、1727-28年ではないかということである。

タイトル通り12曲からなっているが、イタリア語で単純な指示が記載されているだけで、異なった形式が自由に用いられている。

第1番:イ長調(Vivace (adagio allegro, adagio, adigio allegro, adagio) - Allegro)
第2番:イ短調(Grave - Vivace - Adagio - Allegro)
第3番:ロ短調(Largo - Vivace - Adagio - Allegro)
第4番:変ロ長調(Vivace (adagio allegro, adagio, adigio allegro, adagio) - Allegro)
第5番:ハ長調(Presto - Allegro - Allegro)
第6番:ニ短調(Dolce - Allegro - Spirituoso)
第7番:ニ長調(Alla Francese - Presto)
第8番:ホ短調(Largo - Spirituoso - Allegro)
第9番:ホ長調(Affettuoso - Allegro - Grave - Vivace)
第10番:嬰へ短調(Presto - Moderato)
第11番:ト長調(Allegro - Adagio - Vivace - Allegro)
第12番:ト短調(Grave - Allegro - Grave - Dolce - Allegro - Presto)

フラウト・トラヴェルソ一本だけのための曲であるが、実に多用な様式を示していて、聴いていて飽きることがない。緩急の使い分け、リズムの多様さが複雑に絡み合って、様々な表現が味わえる。

今回はお気に入りのバルトルド・クイケンの一枚を選んだ。やはりこの人のトラヴェルソは格別である。この曲集の決定版と言っても過言ではないだろう。またACCENT独特のジャケットも拡張高く素敵である。このレーベルは、演奏者だけでなくジャケットも実に素晴らしい。本当にジャケットも芸術の一つという典型的な例である(ジャズにおけるブルーノートがそうであるように)。

その弟子(と同時に同い年)である有田正広氏による演奏も素晴らしい。ここではあのブリュッヘンから譲られた銘記ステインズビーを用いている。

「テレマン:無伴奏フルートのための12のファンタジー」(有田正広、DENON、COCO 70180)


また、最近廉価レーベルのBrilliantからJed Wentzも同曲集を出している。わたくしが店頭で見かけた価格は780円だった(1000円弱で買える!)。

Telemann12FluteWentz.jpg

また、オーボエ界のハイフェッツ、ハインツ・ホリガーもモダンのオーボエで録音しているので、それも紹介しておこう。

「テレマン:無伴奏オーボエのための12の幻想曲」(ハインツ・ホリガー、DENON、33CO-1062)

モダン楽器自体好きではないので、このブログで取り上げることはあまりないが、この人のオーボエは実に素晴らしい


テレマンはこの曲以外に、「ファンタジー」というタイトルを持つ無伴奏楽曲を、現在知れられているだけで4つ残している。

・オルガンのためのファンタジア ニ長調
・クラブサンのためのファンタジー、3ダース
・バス・ドゥ・ヴィオールのための12のファンタジー
・ヴァイオリンのための12のファンタジー

である。

最初の3つの録音は聴いたことがないが、最後の「無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジー」は、ポッジャー、マンゼ、グリュミオーの録音がある。こちらも素晴らしい曲集なのでいずれ紹介したいと思う。


演奏:バルトルド・クイケン(フラウト・トラヴェルソ)
使用楽器:G. A. Rottenburgh ca. 1740
録音:Sint Stefanuskerk - Melsen(1978年10月)