Time Table
カテゴリー
最近のエントリー
最近のコメント
なんとか別リスト
Tag cloud

メイン

BWV823 組曲 ヘ短調

2009年05月08日

「グスタフ・レオンハルト チェンバロ・リサイタル」(兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール)

成立;1708〜14年、ヴァイマル
基本資料;J. P. ケルナーの手による筆写譜
楽章構成;
1. プレリュード、3/8
2. サラバンド、3/4
3. ジーグ、3/8

今日はレオンハルト氏のコンサートの1曲から

プレリュードと2つの舞曲という、コンパクトな作り。資料は上記の筆写譜が唯一のものだが、これはもっと大きな組曲の一部かもしれない。真摯な趣のプレリュードはロンド風の構成。装飾的なサラバンドはダ・カーポ形式をとる。ジーグは2声部書法の軽やかなもので、対位的展開はまったく見られない。
バッハ事典(東京書籍)

どこか憂いに満ちた組曲。静寂の中の小さなホールでこうした小品を聴くのは、家でCDで聴くのとは異なった趣がありますね。コンサートでは短調の曲を好んで演奏するいうレオンハルトらしく、そうした彼の好みをよく表していると感じた曲です。

今日紹介した曲は、「グスタフ・レオンハルト・エディション(21CD)」のCD8に収録されています。

GustavleonhardtEditionTELDEC.jpg

久しぶりのレオンハルトのコンサートでした。昨年は逃してしまいましたので・・・。

演奏された曲は以下の通り;

ルイ・クープラン;
・パヴァーヌ
・組曲 ニ短調

パッヘルベル;
・ファンタジア ト短調
・3つのフーガ

J S. バッハ
・組曲 ヘ短調 BWV823
・コラール・パルティータ「おお神よ、汝まことなる神よ」BWV767

(休憩)

アルマン=ルイ・クープラン;
・ラントレピッド
・ラ・フランセーズ
・ラフリンジュ

デュフリ;
・アルマンドとクーラント ニ短調
・ラ・ドゥブロムブル
・ラ・フェリックス
・レ・グラース

アンコール
フィッシャー;シャコンヌ イ短調

ため息の出るような、達人の演奏でした。まったく聴き手とは別の世界で繰り広げられる「レオンハルトの世界」。彼が音楽と向き合っている様子を、われわれがたまたま聴衆という形で聴くことができた、そういう世界でした。プログラム後半のフランス・クラブサン音楽の世界は特にすごかったですね。チェンバロという楽器の素晴らしさ、レオンハルトという演奏家の凄さとはこういうものだ、ということを耳で感じさせてくれるものでした

演奏;グスタフ・レオンハルト
日時;兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール
使用楽器;ブルース・ケネディ製作のジャーマン2段チェンバロ(1996)/M.ミートケモデル(東京古典楽器センター所収)

BWV1069 管弦楽組曲 第4番 ニ長調

2009年03月07日

「バッハ、管弦楽組曲全曲」(トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック管弦楽団;2009年3月7日、ザ・シンフォニー・ホール)

成立;1725年以前
基本資料;Ch. F. ペンツェルによる写筆パート譜(1755年頃)
編成;トランペット3、ティンパニ、オーボエ3、ファゴット、弦合奏、チェロ、ヴィオローネ(コントラバス)、通奏低音
楽章構成;
1;序曲(4/4 - 9/8 - 4/4)
2;ブーレーI、II(ロ短調、2/2)
3;ガヴォット(2/2)
4;メヌエットI, II(3/4)
5;レジェイサンス(3/4)

今日はトン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック管弦楽団のコンサートからの1曲。管弦楽組曲の全曲を演奏したコンサートです。

現存するバッハの4つの管弦楽組曲の中で最も大きな編成となっています。バッハの死後に作成された筆写譜のみが伝えられていますが、バッハ事典(東京書籍)によれば、

序曲がカンタータ第110番 BWV110の冒頭楽章に転用されているため、少なくとも序曲の原型は1725年以前、おそらくはケーテンかヴァイマル時代に書かれていたものと思われる。

とのこと。華やかな序曲は、

「この威風堂々たる華やかさを聴くと、美しく着飾った人々の行列が広い階段を降りてくる姿が目に浮かぶようだ」と、ゲーテによって評されたもの。
バッハ事典(東京書籍)

で、4/4拍子 - 9/8拍子 - 4/4拍子と大きく3つの部分から成っています。緩徐楽章がなく、全体を通して、華やかで壮麗なイメージがあります。


演奏のプログラムは以下の通り;

1;BWV1068 管弦楽組曲 第3番 ニ長調
2;BWV1066 管弦楽組曲 第1番 ハ長調

休憩

3;BWV1067 管弦楽組曲 第2番 ロ短調
4;BWV1069 管弦楽組曲 第4番 ニ長調

アンコール1;ヘンデル;組曲「王宮の花火の音楽」より第4曲「歓喜」
アンコール2;ラモー;叙情悲劇「ダルダヌス」より「タンバリン」

1曲終わるたびに、オケの主要なメンバーと握手をしていました。そして会場全体に丁寧に挨拶をしている姿が印象的でした。案外小柄な人でした。

今回のプログラムは、BWV1067 管弦楽組曲 第2番 ロ短調を除けば、どれも長調の曲、大編成で華やかな曲ばかりでしたので、コープマン特有の装飾過多の演奏も、その華やかさを盛り上げるのに一役買っていた感じがしました。演奏するのが楽しくて仕方がないという感じが目一杯表れていました。

バロック・トランペットの響きが美しく、華やかでした。3本のトランペットから成っていましたが、音量がそれほど大きくなく、全体に見事にはまっていました。バロック・トランペットを生で聴くのは初めてでしたので、感動しました。
多くて20人という編成でしたが、きっちりとまとまっていました。チェンバロの前に座ったコープマンが全体の真ん中に座り、左側(2列)にヴァイオリン、チェンバロの奥にヴィオラ、その奥にオーボエとファゴット、チェンバロの右側にチェロとコントラバス、一番右側にトランペットとティンパニという配置。BWV1067 管弦楽組曲 第2番 ロ短調のみ、編成を小さくして、トラヴェルソが出てきました(アンコールでも)。個人的にはヴァイオリンをしっかりと観察していました(大好きなもので・・・)。まったくのノン・ビブラートでした。やはりガット弦の響きは実に美しかったです。

座席が前から4列目のど真ん中で、全体を把握できてよかったです。

今回のコンサートですが、関東では中止になったところが何カ所かあったみたいです(主催元のトラブルだったみたいです)が、運良く関西では中止にならずよかったです。

余談ですが、コンサートが終わって皆が席を立って帰ろうとしているときに、トランペットとティンパニの人が部隊に表れて、並んでデジカメで写真を撮っていました。コンサートが終われば、普通のいいおじさま達なのですね

なお、コープマンは管弦楽組曲を2回録音しています。いずれも入手可能なようです。

「バッハ;管弦楽組曲(全曲)」(トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック管弦楽団、BMG、BVCC-37615、録音;1988年)

「バッハ;管弦楽組曲(全曲)」(トン・コープマン指揮、アムステルダム・バロック管弦楽団、Erato、WPCS-21207、録音;1997年)

このCDに限らず、コープマンがEratoに録音したものは、最近SACDで再発になっています(平均率クラヴィーアやチェンバロ協奏曲など)

BWV1015 オブリガート・チェンバロとヴァイオリンのための6つのソナタ 第2番 イ長調

2008年06月08日

演奏:
ヴァイオリン:アンドルー・マンゼ
チェンバロ:リチャード・エガー
演奏場所:2008年6月8日、兵庫県立芸術文化センター 小ホール

成立:1720年頃、ケーテン(?)、最終稿はライプツィヒ時代(1724〜27年)に改訂
基本資料:同時代の写筆パート譜(一部バッハの自筆)、J. Ch. アルトニコルによる写筆譜
楽章編成:
第1楽章:(テンポ指定なし)ドルチェ 6/8
第2楽章:アレグロ 6/8
第3楽章:アンダンテ・ウン・ポーコ 嬰へ短調 4/4
第4楽章:プレスト 2/2

「オブリガート・チェンバロとヴァイオリンのための6つのソナタ(BWV1014〜1019)」からの一曲。今日はアンドルー・マンゼとリチャード・エガーのコンサートから。

優しいヴァイオリンの旋律で始まる第1楽章。第2楽章は協奏曲風の快活なフーガで、ヴァイオリンとチェンバロがそれぞれ寄り添いながら、美しい旋律を奏でます。第3楽章は、哀愁を帯びた楽章で、ヴァイオリンとチェンバロの右手がカノンを織りなします。第4楽章は、再び快活で華やかな曲調に戻ります。トリオ書法で書かれています。

マンゼのヴァイオリンというと、「魔性」というイメージがあったのですが、この曲を聴く限りでは、実に繊細でした。長年一緒に録音してきたエガーとの相性は抜群で、何度もアイコンタクトを取りながら、演奏していました。コンサートで演奏しているという何か構えたところを微塵も感じさせず、「ちょっと演奏してみようか」という感じで、二人の演奏している姿を見ているだけでも、実に微笑ましく感じました。
マンゼの演奏ですが、意外にヴィヴラートをよく使っていました。ただモダンの奏者のように常に使っているのではなく、伸ばす音の一番最後に軽く入れるという感じです。緩急の使い分け方が絶妙で、また音も実に美しかったです。

なお、この曲(ソナタ集すべて)は、下のCDで聴くことができます。
「BACH VIOLIN SONATAS」(Andrew Manze, Richard Egarr, Jaap ter Linden, harmonia mundi, FRANCE, HMU 907250.51)

なおこのCDでは、通常ヴァイオリンとチェンバロのみで演奏されますが、ヴィオラ・ダ・ガンバもしくはチェロを加えて演奏しています。これは彼らの勝手な解釈ではなく、ヨハン・ハインリヒ・バッハの手によるパート譜に、

「協奏的チェンバロとヴァイオリン・ソロのための6つのソナタ、ヴィオラ・ダ・ガンバの低音部付き」

とあることに由来しています。

今回のコンサートのプログラムは以下の通りです。

・J.S.バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第2番 イ長調 BWV1015

・コレルリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第7番 ニ短調 op.5

・J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻より第8番 変ホ長調 BWV853 <チェンバロ・ソロ>

・パンドルフィ:ヴァイオリン・ソナタ集作品3より 第2番ラ・チェスタ&第6番ラ・サッバティーナ

休憩

・ビーバー:ロザリオのソナタ第1番「受胎告知」

・J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903<チェンバロ・ソロ>

・ビーバー:8つのヴァイオリン・ソナタより 第3番

アンコール:
1回目:ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ ヘ長調 第1楽章

2回目:J. S. バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第6番 ト長調 BWV1019よりアレグロ

昨日はエレーヌ・シュミットからヴァイオリン一挺の世界を堪能させてもらい、今日はヴァイオリンとチェンバロの二つの楽器の世界を堪能させてもらいました。ホールの大きさ的に調度いい曲の構成だったと思います。

例によって終わった後にサイン会があって、サインを頂いてきました。

余談ですが、少し前に発売になったリチャード・エガーの平均律クラヴィーア曲集第1巻(Harmonia Mundi、HMU907431)がすごくよくて、早く第2巻を聴きたいと思っていました。それでサインを頂いた時に、第2巻の録音はもうすみましたか?と聞いたところ、「去年にすんだよ。いつ発売になるかわからないけど、すぐにリリースされると思うので、楽しみにしていて」とのことでした。

コンサートについては、「アンドルー・マンゼ&リチャード・エガー デュオ・リサイタル」にレポートを書いていますので、興味のある方はどうぞ

BWV1004 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調

2008年06月07日

演奏:エレーヌ.シュミット
演奏場所:2008年6月7日、兵庫県立芸術文化センター 小ホール
使用楽器:カミッロ・カミッリ(18世紀初頭)

成立:1720年(最終稿)、ケーテン
基本資料:自筆譜、アンナ・マクダレーナによる筆写譜
楽章構成:
第1楽章:アッレマンダ(アルマンド)、4/4
第2楽章:コルレンテ(クーラント)、3/4
第3楽章:サラダンダ(サラバンド)、3/4
第4楽章:ジガ(ジーグ)、12/8
第5楽章:チャッコーナ(シャコンヌ)、3/4

ヴァイオリンを演奏する人達にとっての究極の到達点となるバッハの「通奏低音伴奏なしの6つのヴァイオリン独奏曲(無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ、BWV1001〜1006)」から、今日はエレーヌ・シュミットのコンサートで演奏された一曲を紹介します。

初めの4つの楽章は、重音奏法もほとんど用いずに、短く簡素に書かれている。それだけに、その全体と優に匹敵する規模をもつシャコンヌが。際立った印象を与える。バッハは、低音の主題に基づいて立体的な技法をヴァイオリンに取り込み(先例としてはビーバーの《パッサカリア》がある)、4小節の主題から、34の多彩な変奏を引き出した。全体は大きく3つの部分からなり、中間部はニ長調に転じる。
バッハ事典(東京書籍)

この曲のハイライトはもちろん最後の楽章の「シャコンヌ」でしょう。この「無伴奏ヴァイオリンのための3つのソナタと3つのパルティータ(BWV1001〜1006)」の自筆譜を見ながら、CDを聴いていると、「本当に一人の人間が創造したものなのだろうか?」という疑問が沸き起こってきます。

その自筆譜の表紙が上の画像です。そして有名なシャコンヌの冒頭部分が下になります。

一般に「シャコンヌ」とよく記載されますが、実際の楽譜にはいずれの楽章もイタリア語で書かれており、「チャッコーナ」となっています。

楽譜を見ながらCDを聴くだけでも大きな感動が得られますが、実際の演奏を体験すると、いかにこの曲が究極であるのかがよくわかります。この曲はコンサートの最後を飾ったのですが、その後のアンコールに出てきた彼女は、

「シャコンヌを演奏すると、体力をひどく消耗するのですが、今日は日本での最後のコンサートですので・・・」

と息を切らしながらアンコールの曲を始めました。肉体的にも精神的にも相当に奏者に負担をかける曲なのでしょう。

わずか一挺のヴァイオリンがここまですごい旋律を奏でるのか、と本当に感動しました。

今回の演奏曲目は、

無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV1003

無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006

無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004

でした。彼女の演奏は語るように演奏するという表現が一番いいかと思います。楽譜を通してバッハと対話をしながらじっくりと聴かせてくれる演奏です。彼女の「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」は、αーレーベルから発売されていて、

「バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番・パルティータ第1・2番」(Alpha082)

「バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番・第3番・パルティータ第3番」(Alpha090)

で聴くことができます。この二枚は本当に名演なので是非聴いて下さい。そしてできれば自筆譜を入手して、それを見ながら聴いて下さい。これ以外にも同レーベルに録音した彼女の演奏はいずれも実に優れたものなので、どれも必聴と言っても過言ではないでしょう

コンサート後にサイン会があって、サインを頂いてきましたが、とても気さくでキュートな方でした。サインを求めた一人一人とじっくりと話しをして下さりました。

サインを頂く機会がこのところ結構あるのですが、サインにハートマークを書いたクラシックの演奏家は彼女がはじめてです。

コンサートの詳しい内容は「素晴らしき古楽の世界」の「古楽の愉しみ−魅惑のヴァイオリン・ウィーク−バッハ無伴奏ヴァイオリン エレーヌ・シュミット」に記事を書いていますので、興味がある方はどうぞ

BWV245 ヨハネ受難曲

2008年02月22日

「オランダ・バッハ教会合唱団&管弦楽団、ヨス・ファン・フェルトホーヴェン指揮」

用途:聖金曜日の晩歌
初演:1724年4月7日、ライプツィヒ聖ニコライ教会(再演:1725年3月30日、恐らく1732年4月11日、1749年4月4日)
歌詞:
ヨハネによる福音書18及び19章
マタイによる福音書:26章75節
B. H. ブロッケス(第7、9,20、24,32、34曲)、Ch. H. ポステル(第30曲)、その他に基づく自由詩。種々のコラール
編成:
ソプラノ:召使いの女
アルト、テノール:福音書記者
テノール:下役
バス:イエス
バス:ペテロ、ピラト
合唱、フラウト・トラヴェルソ2、オーボエ2、オボーエ・ダモーレ2、オボーエ・ダ・カッチャ2、ヴィオラ・ダモーレ2、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、弦合奏、通奏低音
基本資料:一部自筆の総譜

バッハがライプツィヒに赴任して最初に迎えた聖金曜日のためにかいた受難曲。ヨハネによる福音書18及び19章の受難に関する記事の音楽化に自由詩楽曲とコラールを加え、

世に下った栄光の主、イエス・キリストが捕われて十字架につけられ、贖罪の使命を成就するまで

を描いたもの。バッハの生前に少なくとも4回は上演されていて、その度に改変されています。第1稿は一部のパート譜によって伝えられるもので、、今日知られている形と大筋で一致。

基本テキスト:

ヨハネによる福音書18及び19章
[ 18 ]

◆裏切られ、逮捕される
18:1 こう話し終えると、イエスは弟子たちと一緒に、キドロンの谷の向こうへ出て行かれた。そこには園があり、イエスは弟子たちとその中に入られた。
18:2 イエスを裏切ろうとしていたユダも、その場所を知っていた。イエスは、弟子たちと共に度々ここに集まっておられたからである。
18:3 それでユダは、一隊の兵士と、祭司長たちやファリサイ派の人々の遣わした下役たちを引き連れて、そこにやって来た。松明やともし火や武器を手にしていた。
18:4 イエスは御自分の身に起こることを何もかも知っておられ、進み出て、「だれを捜しているのか」と言われた。
18:5 彼らが「ナザレのイエスだ」と答えると、イエスは「わたしである」と言われた。イエスを裏切ろうとしていたユダも彼らと一緒にいた。
18:6 イエスが「わたしである」と言われたとき、彼らは後ずさりして、地に倒れた。
18:7 そこで、イエスが「だれを捜しているのか」と重ねてお尋ねになると、彼らは「ナザレのイエスだ」と言った。
18:8 すると、イエスは言われた。「『わたしである』と言ったではないか。わたしを捜しているのなら、この人々は去らせなさい。」
18:9 それは、「あなたが与えてくださった人を、わたしは一人も失いませんでした」と言われたイエスの言葉が実現するためであった。
18:10 シモン・ペトロは剣を持っていたので、それを抜いて大祭司の手下に打ってかかり、その右の耳を切り落とした。手下の名はマルコスであった。
18:11 イエスはペトロに言われた。「剣をさやに納めなさい。父がお与えになった杯は、飲むべきではないか。」
◆イエス、大祭司のもとに連行される
18:12 そこで一隊の兵士と千人隊長、およびユダヤ人の下役たちは、イエスを捕らえて縛り、
18:13 まず、アンナスのところへ連れて行った。彼が、その年の大祭司カイアファのしゅうとだったからである。
18:14 一人の人間が民の代わりに死ぬ方が好都合だと、ユダヤ人たちに助言したのは、このカイアファであった。
◆ペトロ、イエスを知らないと言う
18:15 シモン・ペトロともう一人の弟子は、イエスに従った。この弟子は大祭司の知り合いだったので、イエスと一緒に大祭司の屋敷の中庭に入ったが、
18:16 ペトロは門の外に立っていた。大祭司の知り合いである、そのもう一人の弟子は、出て来て門番の女に話し、ペトロを中に入れた。
18:17 門番の女中はペトロに言った。「あなたも、あの人の弟子の一人ではありませんか。」ペトロは、「違う」と言った。
18:18 僕や下役たちは、寒かったので炭火をおこし、そこに立って火にあたっていた。ペトロも彼らと一緒に立って、火にあたっていた。
◆大祭司、イエスを尋問する
18:19 大祭司はイエスに弟子のことや教えについて尋ねた。
18:20 イエスは答えられた。「わたしは、世に向かって公然と話した。わたしはいつも、ユダヤ人が皆集まる会堂や神殿の境内で教えた。ひそかに話したことは何もない。
18:21 なぜ、わたしを尋問するのか。わたしが何を話したかは、それを聞いた人々に尋ねるがよい。その人々がわたしの話したことを知っている。」
18:22 イエスがこう言われると、そばにいた下役の一人が、「大祭司に向かって、そんな返事のしかたがあるか」と言って、イエスを平手で打った。
18:23 イエスは答えられた。「何か悪いことをわたしが言ったのなら、その悪いところを証明しなさい。正しいことを言ったのなら、なぜわたしを打つのか。」
18:24 アンナスは、イエスを縛ったまま、大祭司カイアファのもとに送った。
◆ペトロ、重ねてイエスを知らないと言う
18:25 シモン・ペトロは立って火にあたっていた。人々が、「お前もあの男の弟子の一人ではないのか」と言うと、ペトロは打ち消して、「違う」と言った。
18:26 大祭司の僕の一人で、ペトロに片方の耳を切り落とされた人の身内の者が言った。「園であの男と一緒にいるのを、わたしに見られたではないか。」
18:27 ペトロは、再び打ち消した。するとすぐ、鶏が鳴いた。
◆ピラトから尋問される
18:28 人々は、イエスをカイアファのところから総督官邸に連れて行った。明け方であった。しかし、彼らは自分では官邸に入らなかった。汚れないで過越の食事をするためである。
18:29 そこで、ピラトが彼らのところへ出て来て、「どういう罪でこの男を訴えるのか」と言った。
18:30 彼らは答えて、「この男が悪いことをしていなかったら、あなたに引き渡しはしなかったでしょう」と言った。
18:31 ピラトが、「あなたたちが引き取って、自分たちの律法に従って裁け」と言うと、ユダヤ人たちは、「わたしたちには、人を死刑にする権限がありません」と言った。
18:32 それは、御自分がどのような死を遂げるかを示そうとして、イエスの言われた言葉が実現するためであった。
18:33 そこで、ピラトはもう一度官邸に入り、イエスを呼び出して、「お前がユダヤ人の王なのか」と言った。
18:34 イエスはお答えになった。「あなたは自分の考えで、そう言うのですか。それとも、ほかの者がわたしについて、あなたにそう言ったのですか。」
18:35 ピラトは言い返した。「わたしはユダヤ人なのか。お前の同胞や祭司長たちが、お前をわたしに引き渡したのだ。いったい何をしたのか。」
18:36 イエスはお答えになった。「わたしの国は、この世には属していない。もし、わたしの国がこの世に属していれば、わたしがユダヤ人に引き渡されないように、部下が戦ったことだろう。しかし、実際、わたしの国はこの世には属していない。」
18:37 そこでピラトが、「それでは、やはり王なのか」と言うと、イエスはお答えになった。「わたしが王だとは、あなたが言っていることです。わたしは真理について証しをするために生まれ、そのためにこの世に来た。真理に属する人は皆、わたしの声を聞く。」
18:38 ピラトは言った。「真理とは何か。」
◆死刑の判決を受ける
ピラトは、こう言ってからもう一度、ユダヤ人たちの前に出て来て言った。「わたしはあの男に何の罪も見いだせない。
18:39 ところで、過越祭にはだれか一人をあなたたちに釈放するのが慣例になっている。あのユダヤ人の王を釈放してほしいか。」
18:40 すると、彼らは、「その男ではない。バラバを」と大声で言い返した。バラバは強盗であった。

[ 19 ]

19:1 そこで、ピラトはイエスを捕らえ、鞭で打たせた。
19:2 兵士たちは茨で冠を編んでイエスの頭に載せ、紫の服をまとわせ、
19:3 そばにやって来ては、「ユダヤ人の王、万歳」と言って、平手で打った。
19:4 ピラトはまた出て来て、言った。「見よ、あの男をあなたたちのところへ引き出そう。そうすれば、わたしが彼に何の罪も見いだせないわけが分かるだろう。」
19:5 イエスは茨の冠をかぶり、紫の服を着けて出て来られた。ピラトは、「見よ、この男だ」と言った。
19:6 祭司長たちや下役たちは、イエスを見ると、「十字架につけろ。十字架につけろ」と叫んだ。ピラトは言った。「あなたたちが引き取って、十字架につけるがよい。わたしはこの男に罪を見いだせない。」
19:7 ユダヤ人たちは答えた。「わたしたちには律法があります。律法によれば、この男は死罪に当たります。神の子と自称したからです。」
19:8 ピラトは、この言葉を聞いてますます恐れ、
19:9 再び総督官邸の中に入って、「お前はどこから来たのか」とイエスに言った。しかし、イエスは答えようとされなかった。
19:10 そこで、ピラトは言った。「わたしに答えないのか。お前を釈放する権限も、十字架につける権限も、このわたしにあることを知らないのか。」
19:11 イエスは答えられた。「神から与えられていなければ、わたしに対して何の権限もないはずだ。だから、わたしをあなたに引き渡した者の罪はもっと重い。」
19:12 そこで、ピラトはイエスを釈放しようと努めた。しかし、ユダヤ人たちは叫んだ。「もし、この男を釈放するなら、あなたは皇帝の友ではない。王と自称する者は皆、皇帝に背いています。」
19:13 ピラトは、これらの言葉を聞くと、イエスを外に連れ出し、ヘブライ語でガバタ、すなわち「敷石」という場所で、裁判の席に着かせた。
19:14 それは過越祭の準備の日の、正午ごろであった。ピラトがユダヤ人たちに、「見よ、あなたたちの王だ」と言うと、
19:15 彼らは叫んだ。「殺せ。殺せ。十字架につけろ。」ピラトが、「あなたたちの王をわたしが十字架につけるのか」と言うと、祭司長たちは、「わたしたちには、皇帝のほかに王はありません」と答えた。
19:16 そこで、ピラトは、十字架につけるために、イエスを彼らに引き渡した。
◆十字架につけられる
こうして、彼らはイエスを引き取った。
19:17 イエスは、自ら十字架を背負い、いわゆる「されこうべの場所」、すなわちヘブライ語でゴルゴタという所へ向かわれた。
19:18 そこで、彼らはイエスを十字架につけた。また、イエスと一緒にほかの二人をも、イエスを真ん中にして両側に、十字架につけた。
19:19 ピラトは罪状書きを書いて、十字架の上に掛けた。それには、「ナザレのイエス、ユダヤ人の王」と書いてあった。
19:20 イエスが十字架につけられた場所は都に近かったので、多くのユダヤ人がその罪状書きを読んだ。それは、ヘブライ語、ラテン語、ギリシア語で書かれていた。
19:21 ユダヤ人の祭司長たちがピラトに、「『ユダヤ人の王』と書かず、『この男は「ユダヤ人の王」と自称した』と書いてください」と言った。
19:22 しかし、ピラトは、「わたしが書いたものは、書いたままにしておけ」と答えた。
19:23 兵士たちは、イエスを十字架につけてから、その服を取り、四つに分け、各自に一つずつ渡るようにした。下着も取ってみたが、それには縫い目がなく、上から下まで一枚織りであった。
19:24 そこで、「これは裂かないで、だれのものになるか、くじ引きで決めよう」と話し合った。それは、/「彼らはわたしの服を分け合い、/わたしの衣服のことでくじを引いた」という聖書の言葉が実現するためであった。兵士たちはこのとおりにしたのである。
19:25 イエスの十字架のそばには、その母と母の姉妹、クロパの妻マリアとマグダラのマリアとが立っていた。
19:26 イエスは、母とそのそばにいる愛する弟子とを見て、母に、「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です」と言われた。
19:27 それから弟子に言われた。「見なさい。あなたの母です。」そのときから、この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。
◆イエスの死
19:28 この後、イエスは、すべてのことが今や成し遂げられたのを知り、「渇く」と言われた。こうして、聖書の言葉が実現した。
19:29 そこには、酸いぶどう酒を満たした器が置いてあった。人々は、このぶどう酒をいっぱい含ませた海綿をヒソプに付け、イエスの口もとに差し出した。
19:30 イエスは、このぶどう酒を受けると、「成し遂げられた」と言い、頭を垂れて息を引き取られた。
◆イエスのわき腹を槍で突く
19:31 その日は準備の日で、翌日は特別の安息日であったので、ユダヤ人たちは、安息日に遺体を十字架の上に残しておかないために、足を折って取り降ろすように、ピラトに願い出た。
19:32 そこで、兵士たちが来て、イエスと一緒に十字架につけられた最初の男と、もう一人の男との足を折った。
19:33 イエスのところに来てみると、既に死んでおられたので、その足は折らなかった。
19:34 しかし、兵士の一人が槍でイエスのわき腹を刺した。すると、すぐ血と水とが流れ出た。
19:35 それを目撃した者が証ししており、その証しは真実である。その者は、あなたがたにも信じさせるために、自分が真実を語っていることを知っている。
19:36 これらのことが起こったのは、「その骨は一つも砕かれない」という聖書の言葉が実現するためであった。
19:37 また、聖書の別の所に、「彼らは、自分たちの突き刺した者を見る」とも書いてある。
◆墓に葬られる
19:38 その後、イエスの弟子でありながら、ユダヤ人たちを恐れて、そのことを隠していたアリマタヤ出身のヨセフが、イエスの遺体を取り降ろしたいと、ピラトに願い出た。ピラトが許したので、ヨセフは行って遺体を取り降ろした。
19:39 そこへ、かつてある夜、イエスのもとに来たことのあるニコデモも、没薬と沈香を混ぜた物を百リトラばかり持って来た。
19:40 彼らはイエスの遺体を受け取り、ユダヤ人の埋葬の習慣に従い、香料を添えて亜麻布で包んだ。
19:41 イエスが十字架につけられた所には園があり、そこには、だれもまだ葬られたことのない新しい墓があった。
19:42 その日はユダヤ人の準備の日であり、この墓が近かったので、そこにイエスを納めた。

と、かなり長いですが、ここがメインとなる部分で、一部だけマタイによる福音書からの引用があります。

マタイによる福音書:26章75節
26:75 ペトロは、「鶏が鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」と言われたイエスの言葉を思い出した。そして外に出て、激しく泣いた。

「ペテロの否認」と言われる有名なところですね。

曲の構成ですが、この曲は第4稿に至るまでに何度も改訂され、その度に様々に変っています。どの稿を用いるかで変りますので、今回は割愛(などと書いていますが、かなり長い曲(CD2枚分)ですので、今回は手を抜いて全体の概要だけ)。

第1部:
弟子ユダの裏切り/捕えられるイエス/ペテロの否認

第2部:
ピラトの審問/死刑宣告/十字架につけられる/イエスの死/埋葬

となっています。さて、このブログで初の受難曲ですが、いきなり生演奏です。これまでバッハの曲をコンサートでたくさん聴いていますが、受難曲は初めての体験でした。
今回は1724年の初演版を使っています。この楽譜自体は失われていますが、音楽学者のピーター・デュルクセンが再構成して、それが今回演奏されたもの。第4稿とは色々な点で異なっています。楽章構成は、第4稿と大筋で一致していますが、変っているのが合唱、楽器編成。冒頭で編成を

ソプラノ:召使いの女
アルト、テノール:福音書記者
テノール:下役
バス:イエス
バス:ペテロ、ピラト
合唱、フラウト・トラヴェルソ2、オーボエ2、オボーエ・ダモーレ2、オボーエ・ダ・カッチャ2、ヴィオラ・ダモーレ2、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、弦合奏、通奏低音

と書いていますが、今回はもっと少ないのです。実際に演奏された編成は、

声楽ソリスト:
テノール(福音書記者)
バス(イエス)
ソプラノ
アルト(カウンターテナー)
テノール
バス(ペテロ、ピラト)
リピエーノ(ソリストを補強する歌手):
ソプラノ、アルト(カウンターテナー)、テノール

オーケストラ:
ヴァイオリン/ヴィオラ・ダモーレ2、ヴィオラ、チェロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、コントラバス、オーボエ2、オルガン、テオルボ、チェンバロ

たったこれだけです。指揮者を除くと、声楽陣が9人、楽器が11人です。

声楽陣については、リフキン説に従って1パートの人数を極力減らしており、ソリスト(「コンチェリスト」とも呼ばれた)以外に「リピエーノ(ソリストを補強する歌手)」が3人参加しているだけです。リピエーノについては、恐らくバッハが1724年の初演で使ったと思われるリピエーノのパート譜が残っていた(コンサートパンフレットによる)ということです。
もはや合唱団という概念は存在しない感じです。4人のソリストが中央に配置されていて、アリアの時に、少しステージの前に出て歌います。

興味深いのが、フラウト・トラヴェルソが使われていないこと。これは、以下の部分から結論が出てきます。

1739年総譜の表題ページに非常に重要な指示が書かれている。ここでバッハはどうやら何も考えずに1724年verの次のような表題ページを写したものと思われる。「イエスの授けを得て!聖ヨハネによる4つの声、2つのオーボエ、2つのヴァイオリン、ヴィオラ、および通奏低音のための受難曲/J. S. バッハ作」。ヴィオラ・ダモーレとかヴィオラ・ダ・ガンバのように、臨時に加えられる曲のみに使われる楽器の名前はここには挙がっていない。その上、明らかにこれらはアンサンブルの奏者の一人によって「エキストラ」楽器として演奏されていた。トラヴェルソには当てはまらないであろう。トラヴェルソは1725年Ver.以来常に演奏に加わっており、それゆえバッハの新プランに含まれていたのである。1739年の表題ページに「2本のトラヴェルソ」の指定がないことは、必然的に、「オリジナル」Ver.が実はフルートなしで作曲されたという結論を導く。
公演プログラム中のデュルクセンの記事より

また、通奏低音の楽器編成。オルガン、チェンバロ、テオルボの3つの楽器が使われいたこと。これは、

私はドレフェスの言う、バッハは、声楽曲の演奏中に、しばしばチェンバロを弾きながら指揮したので、通奏低音は二重に、いや三重にさえなったという意見に同意する。ヨハネ受難曲のレコーディングにオルガン、チェンバロ、テオルボを選ぶことにより、表情豊かで色彩豊かな全く新しい可能性を開くことになる。エヴァンゲリストはバロック・オペラでするように、チェロとチェンバロの伴奏で物語を語り、一方キリストはオルガン、バス、テオルボの「黄金の」組み合わせを従える。アンサンブルの中の(即興演奏する)通奏低音楽器の組み合わせが常に変化することが、演奏に全く新しい生気を与える。
公演プログラムのフェルトホーヴェンの記事による

と述べているところによります。

わずかこれだけの編成でこの大曲が?と思ったのですが、実際に聴いてみると、声楽陣が非常によくまとまっていたこともあり、演奏の細部が非常によく聴こえるのです。コンサート前に、フェルトホーヴェンとデュルクセンによるこの曲の解説が20分ほどあったのですが、このことについても触れていました。大合唱団やオーケストラを率いていなくても、十分過ぎるくらいに迫力がありました。

演奏前の解説はとても興味深いもので、もっと聞いていたいものでした。そこでいくつか興味深いことを聞きました。この曲を教会で演奏する場合と、コンサート会場で演奏することの違いでした。教会では聴いているのはクリスチャンですから、物語の中で語られている聖書の記事について全員の理解があるということ。一方コンサート会場では、全員がクリスチャンとは限らないからどこまで歌詞が理解できるか?ということ。そういう意見があったので、今回の聖書の引用箇所が長いのですが、あえて全部載せたのです。実際の演奏中は、ステージの後ろにスクリーンがあって、そこに日本語で歌詞が出ていました。また、上で書いたように、全体の編成が小さい分、曲の細部をよく聴き分けることができました。どの楽器も埋没することなく、全体の一部分でありながら、それぞれのパートの必要性をしっかりと主張していたと思います。
逆にいえば、その分下手をすれば粗が目立ちことになりかねませんが、それをまったく感じないのは自信の表れでしょうか・・・
そして声楽陣についてもかなりの配慮をしていることが伺えました。ソリストと合唱の対比をどうするかについて細かな配慮がありました。実際の演奏でも、上で書いたようにアリアでは、ソリストがステージの前に出てきましたし、それ以外に声楽陣の配置もじっくりと考えられたものだと感じました。

演奏後、拍手が鳴り止まず、4回もステージに引き返して来るという盛況でした。終わった後サイン会があって、フェルトフォーゲン、デュルクセン、テュルクの3氏のサインを頂いてきました。

実によかった〜。次はマタイを聴いてみたいですね


演奏:
声楽ソリスト:
テノール(福音書記者):ゲルト・テュルク
バス(イエス):ステファン・マクラウド
ソプラノ:マリア・ケオハナ
アルト(カウンターテナー):マシュー・ホワイト
テノール:アンドルー・トータス
バス(ペテロ、ピラト):ヴァオルフ・マティアス・フリードリヒ
リピエーノ:
ソプラノ:アマリリス・ディールティンス
アルト(カウンターテナー):ダニエル・ラゲル
テノール:サイモン・ウォール

オーケストラ:
ヴァイオリン/ヴィオラ・ダモーレ:アントワネット・ローマン、ピーター・アフォールティト
ヴィオラ:ヤン=ウィルム・ヴィス
チェロ:ルシア・スワルツ
ヴィオラ・ダ・ガンバ:ミネケ・ヴァン・デル・ヴェルデン
コントラバス:ロベルト・フラネンベルク
オーボエ:マルティン・スタッドラー、ペーター・フランケンベルク
オルガン:ピーター・デュルクセン
テオルボ:マイク・フェントロース
チェンバロ:シーベ・ヘンストラ
ヨス・ファン・フェルトホーヴェン指揮
場所:2008年2月2日(金)兵庫県立芸術文化センター大ホール

BWV1013 無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調

2008年02月02日

成立:1724年、ライプツィヒ(?)
楽章編成:
第1楽章:アルマンド(4/4)
第2楽章:コレンテ(3/4)
第3楽章:サラバンド(3/4)
第4楽章:ブレー・アングレース(2/4)

現在知られている唯一のバッハの無伴奏フルート曲。写筆譜のタイトルには、

Solo pour la Flute traversiere(横型フルートのためのソロ)

と記載されています。4つの舞曲を組曲風に連ねたものですが、通常組曲の最後にあるばずのジーグがありません。
とにかくものすごい超絶技巧を要する曲。
第1楽章のアルマンドは休符がない16分音符音型の連続で、フルートの音域を目一杯使って縦横無尽という感じで駆け巡ります。最後の音はトラヴェルソで一番高い音で終わります。
第2楽章のコレンテ(クーラント)は、凝った多彩な音型がたくさん現れます。
第3楽章のサラバンドは打って変わって、しっとりと
第4楽章はスピードを上げて、躍動感のある軽快に
という感じの4つの組曲からなっています。

演奏:バルトルド・クイケン(フラウト・トラヴェルソ)
演奏場所:兵庫県立芸術文化センター 小ホール

最初の画像の通り、今日はCDではなく、コンサートで聴いてきた生演奏から。

上に書きましたが、超絶技巧を必要とする曲。CDで聴いていてわかりますが、実際に演奏しているバルトルド・クイケン氏を見ていると、それがとてもつもなく凄まじいことがわかります。
ところが、それを難なく演奏するところも、バルトルド氏のものすごいところ。第1楽章のアルマンドを楽々と吹いている姿を見て、唖然としました。そして深く暖かみのある音。CDも素晴らしいですが、実際の演奏を聴くと、そのすごさが倍増しますね。

超絶技巧と書きましたが、バッハは演奏するのが非常に困難な曲が多いのに(泣きそうになるくらい)、かつ音楽として非常に美しいのです。パガニーニのカプリースや、リストの超絶技巧練習曲などは、テクニカルな面ですごいと思いますが、メロディーが美しいとはわたくしは思いません。しかしバッハは困難であるだけでなく、曲自体が極限まで素晴らしいのです。

さて、今日のコンサートですが、

「バルトルド・クイケン〜フルートとチェンバロによるバッハの調べ〜」

フルートと通奏低音のためのソナタ ホ短調 BWV1034

フランス組曲 第5番 ト長調 BWV817

フルートと通奏低音のためのソナタ ホ長調 BWV1035

(休憩)

無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV1013

フルートとチェンバロのためのソナタ ロ短調 BWV1030

アンコール1回目:
オブリガートチェンバロとフルートのためのソナタ 変ホ長調 BWV1031 よりシチリアーノ

アンコール2回目:
フルートと通奏低音のためのソナタ ハ長調 BWV1033 よりメヌエット

フラウト・トラヴェルソ:バルトルド・クイケン
チェンバロ:エーヴァルト・デメイエル

というプログラム。アンコールの2曲は偽作(もしくはその疑いが強い)とされているもので、演奏はしないかな?と思っていたのですが、有名なシチリアーノなので、アンコールで出てきましたね。

今日は休憩後、最初に演奏された無伴奏フルート曲を紹介しましたが、ちょっとしたアクシデントが。観客席の照明が落ちて、ステージにトラヴェルソを持って一人で現れたバルトルド氏。しばらくステージの上を歩いた後、突然両手の親指と人差し指で丸い形を二つ作り、両目に。

メガネをお忘れに・・・。

笑いが起きました。しばらくして無事にメガネを持って再登場。また笑いが。そしていきなりの超絶技巧のフレーズでした。

以前にクイケン・アンサンブルのコンサートに行った時、アンコールの曲の時にもアクシデントがありました。チェロのヴィーラントが楽譜を見失ったらしく、メンバーが集まって全員で楽譜探しを始めたことがありました。クイケン家にはものを忘れる遺伝子があるのでしょうか?

コンサート終了後、サイン会があったので、お二人のサインを頂きました。

とても素直なわたくし。サインを頂く際に、素晴らしいステージを有り難うございました、と言った後に、「メガネをお忘れないように・・・」と言いました。

「Thank you.」

とにこやかにこたえて下さいました。

いい想い出がまた一つできましたね

080202_4.JPG

かなり手ぶれしてしまいました・・・

さて、今回のコンサートの二人の演奏は下の2枚のCDで聴けます。

「J. S. Bach Flute Sonatas」(Barthold Kuijken、Ewald Demeyere, ACCENT, ACC 22150)

BachFluteSonatasKuijkenAcc.jpg


「Solo pour la flute traversière」(Barthold Kuijken, ACCENT, ACC 20144)

SoloPourLaFluteTraversiereKuijken.jpg

どちらもベルギーの名門レーベル「ACCENT」から発売になっています。ここはクイケン氏のお膝元だけあって、優れた古楽の演奏ばかり集まっていて、どのCDもお勧めです。

古楽の愉しみ−魅惑のヴァイオリン・ウィーク−バッハ無伴奏ヴァイオリン エレーヌ・シュミット

2008年01月26日

大好きなバロック・ヴァイオリン奏者の一人であるエレーヌ・シュミットのコンサート・チケットを先程予約しました。

4203513305_20071226091830.jpg

2008年6月7日(土)に、兵庫県立芸術文化センターであります。2月にバルトルド・クイケンのコンサートに行くのですが、同じところです。

αーレーベルにバッハの一連の作品(それ以外の作曲家も)を録音しているのですが、しっとりとしていて語るように聴かせてくれる人です。バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータも実にすごい演奏。

今回のコンサートでは全曲ではありませんが、

無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV1003

無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006

無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004

が演奏予定です。楽しみがまた増えましたね。
昨年から来日するということを知っていたのですが、中々日時が決まらずちょっとどきどきしていたのです。先程電話で予約をしたのですが、チケットが残っていてホッとしました。

次の日に、「アンドルー・マンゼ&リチャード・エガー デュオ・リサイタル」もあり、これも予約しました。二日連続です。

4203613306_20071226092212.jpg

こちらはオール・バッハ・プログラムではないですが、

J.S.バッハ:平均律クラヴィア曲集第1巻より プレリュードとフーガ 変ホ短調 BWV853<チェンバロ・ソロ>

J.S.バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第2番 イ長調 BWV1015

コレルリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 op.5 no.7

パンドルフィ:ヴァイオリン・ソナタ集作品3より 第2番ラ・チェスタ&第6番ラ・サッバティーナ

ビーバー:ロザリオのソナタ第1番「受胎告知」

J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903<チェンバロ・ソロ>

ビーバー:8つのヴァイオリン・ソナタより 第3番

という演奏予定。すごい曲ばかりですね

楽しみ・・・・