BWV1052 チェンバロ協奏曲 第1番 ニ短調
「j. s. & c. p. e. bach Harpsichord Concertos in D Minor」(Gustav Leonhardt、SEON、SBK 63188)
成立:1738年頃、ライプツィヒ
基本資料:自筆総譜
編成:チェンバロ、弦合奏、通奏低音
楽章編成:
第1楽章:アレグロ、2/2
第2楽章:アダージョ、ト短調、3/4
第3楽章:アレグロ、3/4
消失したヴァイオリン協奏曲の編曲。1728年頃のカンタータで全楽章がオルガン協奏曲の形に編曲され、1732年〜34年頃、エマーヌエルの手でチェンバロ協奏曲に直されたという経緯があります(1052a)。
これが1733年に再開されたコレギウム・ムジクムのコンサートで披露され、バッハがそれをさらに編曲.自筆総譜の冒頭に加えたのです。
第1楽章:重厚な演奏で始まります。入り組んだん起伏のユニゾン主題から始まり、すぐにチェンバロソロに移ります。
第2楽章:憂い感漂うアダージョ。カンタータに転用されています。
第3楽章:構成は第1楽章と似ていますが、ソロパートがさらに華麗に舞います。
バッハ復活を押し進めたロマン派の作曲家達も魅了されてたそうで、メンデルスゾーンがピアノ協奏曲として演奏した記録が残っていますし(1832年)、「最大傑作の一つ」とシューマンも讃えています。
「チェンバロ協奏曲」(BWV1052〜1065)は、独奏チェンバロと弦楽オーケストラのための協奏曲。大半はバッハ自身の旧作を編曲したもの(一部はヴィヴァルディなど他者の作品)です。
それまで通奏低音であったチェンバロを独奏楽器として用いた作品で、後のピアノ協奏曲へと続く大きな意味を持っています。
このアイデアはここで出てきたものではなく、ヴァイマール時代のイタリア協奏曲の鍵盤楽器への編曲や、ケーテン時代の「ブランデンブルク協奏曲第5番」にさかのぼります。
この協奏曲の誕生は、コレギウム・ムジクム活動と関わっていると考えられています。ここでの重要なレパートリーがチェンバロ協奏曲でした。
独奏チェンバロの数によって、4つに分類されます。
1台用:BWV1052〜1059 (8曲)
2台用:BWV1060〜1062 (3曲)
3台用:BWV1063〜1064 (2曲)
4台用:BWV1065(1曲)
一台用の総自筆譜については、1730年台の終わりにまとめて書かれています。複数代用のものが、時代的には先行しています。恐らくバッハのもとにいたフリーデマン、エマーヌエル、J.L. クレープス(1726年〜35年にバッハに師事)ら弟子の協力を得て演奏されたとされています。
これらの協奏曲群のうち、原曲が存在する作品は,すべてソロ・ヴァイリンのための協奏曲で、原曲が失われたものも、多くはヴァイオリンパートが、ソロパートであったと考えられています。
バッハが行った編曲は、
ソロ・パートをチェンバロの右手に移し、
左手用のバスを添加、
ある程度のチェンバロ的改変を加えた、
ことにあります。
これにしたがって、チェンバロの音域の問題から、全音低く移調されています。
*この逆の作業をすることで、失われた協奏曲を復元できるというわけですね。
演奏はやはりグスタフ・レオンハルト氏によるもの。この人の演奏は本当に何を聴いても素晴らしいという言葉の他に適切な言葉が見つからないのです。
このCDはタイトルの通り、C.P.E. バッハの「チェンバロ協奏曲 ニ短調 WQ. 23」とのカップリングになっています。
演奏:
ヴァイオリン:Marie Leonhardt, Lucy van Dael, Alda Stuurop, Ruth Hesseling, Janneke van der Meer, Antoinette Moonen
ヴィオラ:Linda Ashworth, Staas Swierstra
チェロ:Richte van der Meer, Lidewij Scheifes
コントラバス:Nicholas Pap
チェンバロ:グスタフ・レオンハルト(William Dowd, Paris, 1975)
録音:Lutherse Kerk, Haarlem,nHolland, 1981年11月

