ヴィオロン・チェロ・スパッラによる無伴奏チェロ組曲を聴く
「J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲(全6曲)」(寺神戸亮、ヴィオロン・チェロ・スパッラ、DENON、COGQ-32-3)
「無伴奏チェロ組曲( BWV1007−1012)」は、チェロを演奏する人達の一つの到達点となっています。カザルスの歴史的な録音に始まり、古楽器の演奏ではアンアー・ビルスマの決定的な名盤があります。
さて、最近この曲を演奏するのに、新しい試みがなされています。それが今回紹介する「ヴィオロン・チェロ・スパッラ」です。フォルケルは、バッハの著書の中に、
「『チェロ独奏のための6つの組曲』(但し組曲第6はヴィオラ・ポンポーザのためのもの)」
と記載しています。
この楽器自体が残っていないため、実際どんな楽器であったのかは謎ですが、この数年でその再現が試みられてきました。この楽器の試作ですが、日本に在住しているドミトリー・パディアロフ氏がそれを行っています。この楽器は、ストラップをつけて肩からつって演奏します。小型のチェロですが、それでもかなり大きいですね。この楽器はすでに、シギスヴァルト・クイケンがACCENTで進めているカンタータ集でも使っていますし、同レーベルでリリースしたヴィヴァルディの「四季」でも演奏しています。この楽器の詳細については、寺神戸亮氏のブログの中で紹介されていますので、そちらを参照してください。
さて、ヴァイオリン奏者がバッハの無伴奏チェロ組曲を演奏するというのは、一見かわった印象を受けます。実際に聴いていると、はやりチェロとは響きが異なりますね。このCDを聴いた印象は、寺神戸亮氏のキレのあるヴァイオリンの演奏が、そのままヴィオロン・チェロ・スパッラに乗り移った感じです。実にキレがあって、アグレッシブな演奏と感じました。
なお第6番は、5弦チェロ用ですが、ここでは4弦にも5弦にも対応できように制作されたヴィオロン・チェロ・スパッラを用いていて、第6番のみ5弦で演奏されています。
演奏:寺神戸亮
使用楽器:ヴィオロン・チェロ・スパッラ(ドミトリー・パディアロフ、2005年、ブリュッセル)、弓;Mashiko, Isao (2003年、千葉)
ピッチ:a≒415
録音:2008年2月5〜7日、18〜19日、東京、Hakujuホール


ヴィオロン・チェロ・スパッラについて、寺神戸亮氏のブログも含めて、なかなか面白いですね。ただ、画はあっても、実物が残っているのかどうかが、はっきりと書かれていない点が気になりますね。肩から吊すストラップが無ければ、どのように構えて弾いたか分からないという意見もあるでしょうが、弦の張り方が膝で抱えて弾く場合とは逆のはずですから、弦が残っていれば分かるはずですし。存在を否定はしませんが、なるほどと納得も出来ないと言うことでしょうか。
コメント時刻: 2008年06月29日 10:54
コメントありがとうございます。
実物が残っていないというところが、この楽器の最大の問題点でしょうね。
ただ、シギスヴァルト・クイケンにしても、寺神戸亮氏にしても、最近の古楽の若い世代と違って、十分に検証、調査を進めていく姿勢を貫いている人達なので、わたくしが知らない資料などから、ある程度の確証を得ているのかな、とも思っています。
この楽器は、このところちょっとしたブーム(?)になっている感じで、使い始めている人が多いですね
コメント時刻: 2008年06月30日 07:06
バロック・ヴァイオリニスト寺神戸亮(てらかど りょう)が、
2006年から最近復元された珍しい楽器‘ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ(肩掛けチェロ)’を用いた演奏活動を精力的に行い、今年6月デンオン・アリアーレ・シリーズから《J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲全曲》を世界初リリースいたしました。これまでにもソロコンサートがありましたが、2008年は、バッハ・コレギム・ジャパンや福岡古楽音楽祭において、室内楽の中でもヴィオロンチェロ・ダ・スパッラを用いたアンサンブルを行い、皆様にご好評
いただいております。国内2008年最後のスパッラ公演、‘旬の音’をお聴き逃しなく!
【ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ~無伴奏チェロ組曲~】
・12/4(木)16:00 朝日カルチャーセンター レクチャーコンサート
・12/6(土)・7(日)15:00 松明堂音楽ホール(2days:全曲)
・12/12(金)・13(土) [大阪・服部]ノワ・アコルデ音楽アートサロン
(2days:全曲)
・12/14(日)14:00 浜松市楽器博物館レクチャーコンサート(第1・3・6番)
・12/16(火)19:00(プレ・トーク/18:00~18:30) 近江楽堂 (第2・3・6番)
詳しくは【寺神戸亮オフィシャルホームページ】http:
//www.lesboreades.info/RyoTerakado/
をご覧下さい。
コメント時刻: 2008年11月24日 10:44