BWV23 汝まことの神にしてダビデの子よ
「バッハ:カンタータ全集第2巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10907/12)
用途:トーマス・カントル採用試験:復活節前第7日曜日
初演:1723年2月7日、ライプツィヒ(再演:おそらく1724年2月20日、1728/31年)
書簡章句:コリントの信徒への手紙一 13、1〜13
福音書章句:ルカによる福音書18、31〜43
歌詞:作者不詳。第4曲;「Agnus Dei アニュス・デイ」ドイツ語訳(1528年)
編成:ソプラノ、アルト、テノール、合唱;オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:二重唱(ソプラノ・アルト、オーボエ2、通奏低音、モルト・アダージョ、ハ短調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール)と器楽コラール(オーボエ2、弦合奏、通奏低音。変イ長調ー変ホ長調、4/4)
第3曲:合唱(オーボエ2、弦合奏、通奏低音。変ホ長調、3/4)
第4曲:コラール(合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、アダージョーアンダンテ、ト短調ーハ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:コリントの信徒への手紙一 13、1〜13
◆愛
そこで、わたしはあなたがたに最高の道を教えます。 13:1 たとえ、人々の異言、天使たちの異言を語ろうとも、愛がなければ、わたしは騒がしいどら、やかましいシンバル。 13:2 たとえ、預言する賜物を持ち、あらゆる神秘とあらゆる知識に通じていようとも、たとえ、山を動かすほどの完全な信仰を持っていようとも、愛がなければ、無に等しい。 13:3 全財産を貧しい人々のために使い尽くそうとも、誇ろうとしてわが身を死に引き渡そうとも、愛がなければ、わたしに何の益もない。 13:4 愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。 13:5 礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。 13:6 不義を喜ばず、真実を喜ぶ。 13:7 すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。 13:8 愛は決して滅びない。預言は廃れ、異言はやみ、知識は廃れよう、 13:9 わたしたちの知識は一部分、預言も一部分だから。 13:10 完全なものが来たときには、部分的なものは廃れよう。 13:11 幼子だったとき、わたしは幼子のように話し、幼子のように思い、幼子のように考えていた。成人した今、幼子のことを棄てた。 13:12 わたしたちは、今は、鏡におぼろに映ったものを見ている。だがそのときには、顔と顔とを合わせて見ることになる。わたしは、今は一部しか知らなくとも、そのときには、はっきり知られているようにはっきり知ることになる。 13:13 それゆえ、信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも残る。その中で最も大いなるものは、愛である。
福音書章句:ルカによる福音書18、31〜43
◆イエス、三度死と復活を予告する
18:31 イエスは、十二人を呼び寄せて言われた。「今、わたしたちはエルサレムへ上って行く。人の子について預言者が書いたことはみな実現する。 18:32 人の子は異邦人に引き渡されて、侮辱され、乱暴な仕打ちを受け、唾をかけられる。 18:33 彼らは人の子を、鞭打ってから殺す。そして、人の子は三日目に復活する。」 18:34 十二人はこれらのことが何も分からなかった。彼らにはこの言葉の意味が隠されていて、イエスの言われたことが理解できなかったのである。
◆エリコの近くで盲人をいやす
18:35 イエスがエリコに近づかれたとき、ある盲人が道端に座って物乞いをしていた。 18:36 群衆が通って行くのを耳にして、「これは、いったい何事ですか」と尋ねた。 18:37 「ナザレのイエスのお通りだ」と知らせると、 18:38 彼は、「ダビデの子イエスよ、わたしを憐れんでください」と叫んだ。 18:39 先に行く人々が叱りつけて黙らせようとしたが、ますます、「ダビデの子よ、わたしを憐れんでください」と叫び続けた。 18:40 イエスは立ち止まって、盲人をそばに連れて来るように命じられた。彼が近づくと、イエスはお尋ねになった。 18:41 「何をしてほしいのか。」盲人は、「主よ、目が見えるようになりたいのです」と言った。 18:42 そこで、イエスは言われた。「見えるようになれ。あなたの信仰があなたを救った。」 18:43 盲人はたちまち見えるようになり、神をほめたたえながら、イエスに従った。これを見た民衆は、こぞって神を賛美した。
先週紹介したBWV22とともに、トーマス・カントル採用試験で演奏された作品。
Ch. ヴォルフによれば、説教の前にBWV22が、のちにこのBWV23が演奏されたと考えられる。当世風の様式をもつBWV22とは対照的に、この作品には、後続するカンタータ群を予告する、厳粛と崇高の気がみなぎっている。台本は福音書章句の後半に基づいており、信徒が「信仰ある盲人」の心で神に呼びかけ、憐れみと慰めを祈るべきことを説く。
バッハ事典(東京書籍)
BWV22同様に、全体的に小編成で成り立っています。楽器はオーボエが、BWVでは1本であったのが、2本になっている以外は、弦合奏、通奏低音のみです。2本のオーボエがうまく寄り添いながら、効果的に福音書章句を説いていきます。
バッハ事典(東京書籍)によれば、ケーテン時代にハ短調による初稿(全3曲)を準備し、ライプツィヒ到着後、終結コラールを追加したとされています。この終曲は、おそらくヴァイマール時代の消失した受難曲に由来しており、後にヨハネ受難曲の第2稿(1725年)に用いられています。実演の際は、金管楽器(ツィンクと3本のトロンボーン)を追加し、ロ短調へと変更。これが1724年に演奏され、1728〜31年に再び、金管楽器を削除したハ短調の新稿を作成し、これが今日の演奏の基礎となっているとのことです
演奏:
ソプラノ:ヴァルター・ガンベルト(テルツ少年合唱団員)
アルト:ポール・エスウッド
テノール:マリウス・ファン・アルテナ
合唱:テルツ少年合唱団、ケンブリッジ・キングス・カレッジ合唱団
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1971−1972年

