BWV92 われは神の御胸の思いに
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:復活節前第9日曜日
初演:1725年1月28日、ライプツィヒ
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、9、24〜10、5
福音書章句:マタイによる福音書20、1〜16
歌詞;作者不詳。第1、2、7、9曲;P. ゲールハルトの同名コラール(1647)第1、2、5、10、12節(定旋律=「わが神の御心のままに、常に成らせたまえ」BWV65第7曲)。第2、3、5、6、7、8曲;同名コラール第4、6、8、9、11節の書き換え
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール(合唱、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ロ短調、6/8)
第2曲:コラールとレチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、弦合奏、通奏低音、ロ短調、4/4)
第4曲;コラール(アルト、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音、嬰ヘ短調、4/4)
第5曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第6曲;アリア(バス、通奏低音、ニ長調、3/4)
第7曲;コラール(合唱)とレチタティーヴォ(バス、テノール、アルト、ソプラノ)(通奏低音、ニ長調、4/4)
第8曲;アリア(ソプラノ、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、アンダンテ、ニ長調、3/8)
第9曲;コラール(合唱、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ロ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、9、24〜10、5
9:24 あなたがたは知らないのですか。競技場で走る者は皆走るけれども、賞を受けるのは一人だけです。あなたがたも賞を得るように走りなさい。
9:25 競技をする人は皆、すべてに節制します。彼らは朽ちる冠を得るためにそうするのですが、わたしたちは、朽ちない冠を得るために節制するのです。
9:26 だから、わたしとしては、やみくもに走ったりしないし、空を打つような拳闘もしません。
9:27 むしろ、自分の体を打ちたたいて服従させます。それは、他の人々に宣教しておきながら、自分の方が失格者になってしまわないためです。
[ 10 ]
◆偶像への礼拝に対する警告
10:1 兄弟たち、次のことはぜひ知っておいてほしい。わたしたちの先祖は皆、雲の下におり、皆、海を通り抜け、
10:2 皆、雲の中、海の中で、モーセに属するものとなる洗礼を授けられ、
10:3 皆、同じ霊的な食物を食べ、
10:4 皆が同じ霊的な飲み物を飲みました。彼らが飲んだのは、自分たちに離れずについて来た霊的な岩からでしたが、この岩こそキリストだったのです。
10:5 しかし、彼らの大部分は神の御心に適わず、荒れ野で滅ぼされてしまいました。
福音書章句:マタイによる福音書20、1〜16
◆「ぶどう園の労働者」のたとえ
20:1 「天の国は次のようにたとえられる。ある家の主人が、ぶどう園で働く労働者を雇うために、夜明けに出かけて行った。
20:2 主人は、一日につき一デナリオンの約束で、労働者をぶどう園に送った。
20:3 また、九時ごろ行ってみると、何もしないで広場に立っている人々がいたので、
20:4 『あなたたちもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう』と言った。
20:5 それで、その人たちは出かけて行った。主人は、十二時ごろと三時ごろにまた出て行き、同じようにした。
20:6 五時ごろにも行ってみると、ほかの人々が立っていたので、『なぜ、何もしないで一日中ここに立っているのか』と尋ねると、
20:7 彼らは、『だれも雇ってくれないのです』と言った。主人は彼らに、『あなたたちもぶどう園に行きなさい』と言った。
20:8 夕方になって、ぶどう園の主人は監督に、『労働者たちを呼んで、最後に来た者から始めて、最初に来た者まで順に賃金を払ってやりなさい』と言った。
20:9 そこで、五時ごろに雇われた人たちが来て、一デナリオンずつ受け取った。
20:10 最初に雇われた人たちが来て、もっと多くもらえるだろうと思っていた。しかし、彼らも一デナリオンずつであった。
20:11 それで、受け取ると、主人に不平を言った。
20:12 『最後に来たこの連中は、一時間しか働きませんでした。まる一日、暑い中を辛抱して働いたわたしたちと、この連中とを同じ扱いにするとは。』
20:13 主人はその一人に答えた。『友よ、あなたに不当なことはしていない。あなたはわたしと一デナリオンの約束をしたではないか。
20:14 自分の分を受け取って帰りなさい。わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。
20:15 自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか。それとも、わたしの気前のよさをねたむのか。』
20:16 このように、後にいる者が先になり、先にいる者が後になる。」
今週は日曜日にカンタータを聴けませんでしたので、今日聴くことにします。演奏時間が30分近くもある長大なP. ゲールハルトの同名コラールに基づくコラール・カンタータです。
全9曲のうち5曲にコラール姿を見せ、他の楽曲も、コラールとの密接な関係をもっている。しかし当日の福音書章句との関連は希薄で、洪水や嵐を克服し、牧者としてのイエスに従おうという内容は、むしろ顕現節後第4日曜日の、舟上のイエスの物語を思い起こさせる。そのため、この作品はもともと後者用に構想されたのだろうとみる研究者もいる。
バッハ事典(東京書籍)
かなり長いカンタータですが、器楽群は比較的簡素で、オーボエ・ダモーレと弦合奏、通奏低音のみ。第1曲目のコラールは、声楽が加わったオーボエ・ダモーレ協奏曲のような感じを受けます。
第2曲目のアリアですが、
コラール(第2節)の各行のあとに、注釈句がレチタティーヴォとして組み込まれてゆくトロープス手法による。
バッハ事典(東京書籍)
ということで、第7曲目でも同じ手法が用いられています。
5曲のコラールが大きな聴きどころですが、アリアも実に秀逸ですね。第8曲目のアリアは、弦楽器のピチカートとソプラノとオーボエ・ダモーレが美しく語り合います
ソプラノ;デートレフ・ブラチュケ
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヒ)
コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1977−1978年

