BWV109 われ信ず、尊き主よ、信仰なきわれを助けたまえ
「バッハ:カンタータ全集第6巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10931/6)
用途:三位一体節後第21日曜日
初演:1723年10月17日、ライプツィヒ
書簡章句:エフェソの信徒への手紙6、10〜17
福音書章句:ヨハネによる福音書4、47〜54
歌詞;作者不詳。第1曲;マルコによる福音書9,24。第6曲;L. シュペングラーのコラール「アダムの堕落によりて」(1524)第7節(定旋律=BWV18/5)。
編成:アルト、テノール、合唱、ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:合唱(ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ニ短調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、弦合奏、通奏低音、ホ短調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第5曲;アリア(アルト、オーボエ2、通奏低音、ヘ長調、3/4)
第6曲;コラール(合唱、ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、アレグロ、ニ短調ーイ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:エフェソの信徒への手紙6、10〜17
◆悪と戦え
6:10 最後に言う。主に依り頼み、その偉大な力によって強くなりなさい。
6:11 悪魔の策略に対抗して立つことができるように、神の武具を身に着けなさい。
6:12 わたしたちの戦いは、血肉を相手にするものではなく、支配と権威、暗闇の世界の支配者、天にいる悪の諸霊を相手にするものなのです。
6:13 だから、邪悪な日によく抵抗し、すべてを成し遂げて、しっかりと立つことができるように、神の武具を身に着けなさい。
6:14 立って、真理を帯として腰に締め、正義を胸当てとして着け、
6:15 平和の福音を告げる準備を履物としなさい。
6:16 なおその上に、信仰を盾として取りなさい。それによって、悪い者の放つ火の矢をことごとく消すことができるのです。
6:17 また、救いを兜としてかぶり、霊の剣、すなわち神の言葉を取りなさい。
福音書章句:ヨハネによる福音書4、47〜54
4:47 この人は、イエスがユダヤからガリラヤに来られたと聞き、イエスのもとに行き、カファルナウムまで下って来て息子をいやしてくださるように頼んだ。息子が死にかかっていたからである。
4:48 イエスは役人に、「あなたがたは、しるしや不思議な業を見なければ、決して信じない」と言われた。
4:49 役人は、「主よ、子供が死なないうちに、おいでください」と言った。
4:50 イエスは言われた。「帰りなさい。あなたの息子は生きる。」その人は、イエスの言われた言葉を信じて帰って行った。
4:51 ところが、下って行く途中、僕たちが迎えに来て、その子が生きていることを告げた。
4:52 そこで、息子の病気が良くなった時刻を尋ねると、僕たちは、「きのうの午後一時に熱が下がりました」と言った。
4:53 それは、イエスが「あなたの息子は生きる」と言われたのと同じ時刻であることを、この父親は知った。そして、彼もその家族もこぞって信じた。
4:54 これは、イエスがユダヤからガリラヤに来てなされた、二回目のしるしである。
今日はアルトとテノールによるカンタータを聴きます。
当日用福音書章句は、息子を死から救われた役人の物語を通じて、「しるしと奇跡を見ることなしにイエスの力を信じるものだけが奇跡にあずかり、それを通じて、真の信仰に到達しうる」という、逆説的な教理を語っている。これをふまえつつ、内的葛藤に苦しむ弱い魂が、神の助けにより平安を得るまでを描くのがこのカンタータである。ここではとくに、終曲コラールが、管弦楽を伴う長大なものに敷衍されていることが注目され、ゆるぎない信仰の重要性が、聴く者にいっそう深く印象づけられる。
バッハ事典(東京書籍)
声楽は、アルトとテノールだけですが、それぞれが「聴かせる」趣向が凝らされています。1曲目の合唱は、「不安」を表しているかのような曲調が実に印象的。『語句に盛られた苦悩に満ちた不安を、心ゆさぶるように表現』(シュヴァイツァー)《バッハ事典(東京書籍)》とのこと。悲痛な感じが全体を支配しますが、第5曲目のアリアは、明るい雰囲気に満ちており、2本のオーボエの奏でる旋律が印象的です。
引用にあるように、この曲の終結コラールは、非常に印象的です。かなり長く、合唱付きの管弦楽曲という感じです
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1980年

