「バッハ:カンタータ全集第6巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10931/6)
用途:三位一体節後第9日曜日
初演:1723年7月25日、ライプツィヒ
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、10、6〜13
福音書章句:ルカによる福音書16、1〜9
歌詞;作者不詳。第1曲;詩編143,2。第6曲;J. リストのコラール「イエスよ、汝はわが魂を」(1641)第11節(定旋律=BWV352)
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜
構成:
第1曲:合唱(ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、アダージョーアレグロ、ト短調、4/4-2/2)
第2曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第3曲:アリア(ソプラノ、オーボエ、通奏低音、変ホ長調、3/4)
第4曲;レチタティーヴォ(バス、弦合奏、通奏低音)
第5曲;アリア(テノール、ホルン、弦合奏、通奏低音、変ロ長調、4/4)
第6曲;コラール(合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ト短調、4/4-12/8)
基本テキスト;
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、10、6〜13
10:6 これらの出来事は、わたしたちを戒める前例として起こったのです。彼らが悪をむさぼったように、わたしたちが悪をむさぼることのないために。
10:7 彼らの中のある者がしたように、偶像を礼拝してはいけない。「民は座って飲み食いし、立って踊り狂った」と書いてあります。
10:8 彼らの中のある者がしたように、みだらなことをしないようにしよう。みだらなことをした者は、一日で二万三千人倒れて死にました。
10:9 また、彼らの中のある者がしたように、キリストを試みないようにしよう。試みた者は、蛇にかまれて滅びました。
10:10 彼らの中には不平を言う者がいたが、あなたがたはそのように不平を言ってはいけない。不平を言った者は、滅ぼす者に滅ぼされました。
10:11 これらのことは前例として彼らに起こったのです。それが書き伝えられているのは、時の終わりに直面しているわたしたちに警告するためなのです。
10:12 だから、立っていると思う者は、倒れないように気をつけるがよい。
10:13 あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。
福音書章句:ルカによる福音書16、1〜9
◆「不正な管理人」のたとえ
16:1 イエスは、弟子たちにも次のように言われた。「ある金持ちに一人の管理人がいた。この男が主人の財産を無駄遣いしていると、告げ口をする者があった。
16:2 そこで、主人は彼を呼びつけて言った。『お前について聞いていることがあるが、どうなのか。会計の報告を出しなさい。もう管理を任せておくわけにはいかない。』
16:3 管理人は考えた。『どうしようか。主人はわたしから管理の仕事を取り上げようとしている。土を掘る力もないし、物乞いをするのも恥ずかしい。
16:4 そうだ。こうしよう。管理の仕事をやめさせられても、自分を家に迎えてくれるような者たちを作ればいいのだ。』
16:5 そこで、管理人は主人に借りのある者を一人一人呼んで、まず最初の人に、『わたしの主人にいくら借りがあるのか』と言った。
16:6 『油百バトス』と言うと、管理人は言った。『これがあなたの証文だ。急いで、腰を掛けて、五十バトスと書き直しなさい。』
16:7 また別の人には、『あなたは、いくら借りがあるのか』と言った。『小麦百コロス』と言うと、管理人は言った。『これがあなたの証文だ。八十コロスと書き直しなさい。』
16:8 主人は、この不正な管理人の抜け目のないやり方をほめた。この世の子らは、自分の仲間に対して、光の子らよりも賢くふるまっている。
16:9 そこで、わたしは言っておくが、不正にまみれた富で友達を作りなさい。そうしておけば、金がなくなったとき、あなたがたは永遠の住まいに迎え入れてもらえる。
カンタータの中でもよく知られた作品を今日は聴くことにします。
ライプツィヒ第1年鑑のうち、もっとも広く知られた作品のひとつ。テキストは、福音書章句の伝える不正な家令の物語から主人の詮議に脅える家令の心を取り出し、それを、罪深い心の、最後の審判に対する恐れへと敷衍する。バッハは修辞学的作曲技法を駆使してこのテキストと取り組み、世に生きる者への恐れ・不安とそこからの解放を、絵のようなあざやかさで描き出す。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲の合唱は、実に印象的ですね。前半のアダージョの部分では、掛留和音とため息モティーフをうまく用いています。後半のアレグロの部分では一転してテンポが増しますが、このテンポの変化もスリリングですね。
第3曲のアリアは、「バッハのもっとも独創的、かつもっとも印象深いアリアのひとつ」(デュル、バッハ事典(東京書籍))とされており、弦合奏の揺れる音と、その上で演奏されるオーボエが印象的です。
第4曲目のレチタティーヴォは、弦のピッチカートとバスの歌が印象的。続くアリアは、ホルンが登場し、牧歌的な雰囲気に包まれます。比較的長いアリアですね。
終結コラールは、第3曲目のアリアと同じように、弦楽器が震えるように演奏されます
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;フィリップ・フッテンロッハー
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1980年
「バッハ:カンタータ全集第6巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10931/6)
用途:復活節後第2日曜日
初演:1724年4月23日、ライプツィヒ聖ニコライ教会
書簡章句:ペトロの手紙1、2、21〜25
福音書章句:ヨハネによる福音書10、12〜16
歌詞;作者不詳。第1曲;詩編80,2。第6曲;C. ベッカーのコラール「主はわが真実なる牧者にいませば」(1598)第1節(定旋律=ドイツ語グローリア「高きところでは神にのみ栄光あれ、BWV260)
編成:テノール、バス、合唱、オーボエ2、オーボエ・ダモーレ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:合唱(オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、ト長調、3/4)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(オーボエ・ダモーレ、通奏低音、ロ短調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第5曲;アリア(バス、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ニ長調、12/8)
第6曲;コラール(合唱、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、イ長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ペトロの手紙1、2、21〜25
2:21 あなたがたが召されたのはこのためです。というのは、キリストもあなたがたのために苦しみを受け、その足跡に続くようにと、模範を残されたからです。
2:22 「この方は、罪を犯したことがなく、/その口には偽りがなかった。」
2:23 ののしられてもののしり返さず、苦しめられても人を脅さず、正しくお裁きになる方にお任せになりました。
2:24 そして、十字架にかかって、自らその身にわたしたちの罪を担ってくださいました。わたしたちが、罪に対して死んで、義によって生きるようになるためです。そのお受けになった傷によって、あなたがたはいやされました。
2:25 あなたがたは羊のようにさまよっていましたが、今は、魂の牧者であり、監督者である方のところへ戻って来たのです。
福音書章句:ヨハネによる福音書10、12〜16
10:12 羊飼いでなく、自分の羊を持たない雇い人は、狼が来るのを見ると、羊を置き去りにして逃げる。——狼は羊を奪い、また追い散らす。——
10:13 彼は雇い人で、羊のことを心にかけていないからである。
10:14 わたしは良い羊飼いである。わたしは自分の羊を知っており、羊もわたしを知っている。
10:15 それは、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じである。わたしは羊のために命を捨てる。
10:16 わたしには、この囲いに入っていないほかの羊もいる。その羊をも導かなければならない。その羊もわたしの声を聞き分ける。こうして、羊は一人の羊飼いに導かれ、一つの群れになる。
今日聴くのは、穏やかな雰囲気に包まれたカンタータです。
復活節後第2日曜日の礼拝では、イエスが、キリスト者という羊を牧する「善き羊飼い」として表象された。このため、当日用のカンタータ(他にBWV85、112)も、多くがのどかなパストラーレ調を繰り広げる。なかでも、BWV104は、とりわけ田園的な魅力に溢れたもの。独唱はテノールとバスのみ。器楽も弦のほかオーボエ属のみの小ぶりな構成だが、それがまた、親密な気分を引き立てている。
バッハ事典(東京書籍)
引用にあるように、オーボエ属の楽器(オーボエ、オーボエ・ダモーレ、オーボエ・ダ・カッチャ)が全体の曲調を支配しています。実にのどかな「田園的」な雰囲気に満ちています。第1曲の合唱がそれを象徴している感じがします。ここで再三触れていますが、バッハはカンタータの中で実に巧みにオーボエ属の楽器を使いこなしますね
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;フィリップ・フッテンロッハー
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1980年
「バッハ:カンタータ全集第6巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10931/6)
用途:復活節後第3日曜日
初演:1725年4月22日、ライプツィヒ(再演;1731年4月15日)
書簡章句:ペトロの手紙1、2、11〜20
福音書章句:ヨハネによる福音書16、16〜23
歌詞;ツィーグラー1728。第1曲;ヨハネによる福音書16、20。第6曲;P. ゲールハルトのコラール「慈しみ深き父、至高の神よ」(1653)第9節(定旋律=「わが父の御心のままに、常に成らしたまえ」、BWV65/7)
編成:アルト、テノール、バス、合唱、トランペット、フラウト・ピッコロ、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:合唱(フラウト・ピッコロ、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ロ短調、3/4 - 4/4 - 3/4)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(フラウト・ピッコロ、通奏低音、嬰ヘ短調、6/8)
第4曲;レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第5曲;アリア(アルト、トランペット、弦合奏、通奏低音、ニ長調、4/4)
第6曲;コラール(合唱、トランペット、フラウト・ピッコロ、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ロ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ペトロの手紙1、2、11〜20
◆神の僕として生きよ
2:11 愛する人たち、あなたがたに勧めます。いわば旅人であり、仮住まいの身なのですから、魂に戦いを挑む肉の欲を避けなさい。
2:12 また、異教徒の間で立派に生活しなさい。そうすれば、彼らはあなたがたを悪人呼ばわりしてはいても、あなたがたの立派な行いをよく見て、訪れの日に神をあがめるようになります。
2:13 主のために、すべて人間の立てた制度に従いなさい。それが、統治者としての皇帝であろうと、
2:14 あるいは、悪を行う者を処罰し、善を行う者をほめるために、皇帝が派遣した総督であろうと、服従しなさい。
2:15 善を行って、愚かな者たちの無知な発言を封じることが、神の御心だからです。
2:16 自由な人として生活しなさい。しかし、その自由を、悪事を覆い隠す手だてとせず、神の僕として行動しなさい。
2:17 すべての人を敬い、兄弟を愛し、神を畏れ、皇帝を敬いなさい。
◆召し使いたちへの勧め
2:18 召し使いたち、心からおそれ敬って主人に従いなさい。善良で寛大な主人にだけでなく、無慈悲な主人にもそうしなさい。
2:19 不当な苦しみを受けることになっても、神がそうお望みだとわきまえて苦痛を耐えるなら、それは御心に適うことなのです。
2:20 罪を犯して打ちたたかれ、それを耐え忍んでも、何の誉れになるでしょう。しかし、善を行って苦しみを受け、それを耐え忍ぶなら、これこそ神の御心に適うことです。
福音書章句:ヨハネによる福音書16、16〜23
◆悲しみが喜びに変わる
16:16 「しばらくすると、あなたがたはもうわたしを見なくなるが、またしばらくすると、わたしを見るようになる。」
16:17 そこで、弟子たちのある者は互いに言った。「『しばらくすると、あなたがたはわたしを見なくなるが、またしばらくすると、わたしを見るようになる』とか、『父のもとに行く』とか言っておられるのは、何のことだろう。」
16:18 また、言った。「『しばらくすると』と言っておられるのは、何のことだろう。何を話しておられるのか分からない。」
16:19 イエスは、彼らが尋ねたがっているのを知って言われた。「『しばらくすると、あなたがたはわたしを見なくなるが、またしばらくすると、わたしを見るようになる』と、わたしが言ったことについて、論じ合っているのか。
16:20 はっきり言っておく。あなたがたは泣いて悲嘆に暮れるが、世は喜ぶ。あなたがたは悲しむが、その悲しみは喜びに変わる。
16:21 女は子供を産むとき、苦しむものだ。自分の時が来たからである。しかし、子供が生まれると、一人の人間が世に生まれ出た喜びのために、もはやその苦痛を思い出さない。
16:22 ところで、今はあなたがたも、悲しんでいる。しかし、わたしは再びあなたがたと会い、あなたがたは心から喜ぶことになる。その喜びをあなたがたから奪い去る者はいない。
16:23 その日には、あなたがたはもはや、わたしに何も尋ねない。はっきり言っておく。あなたがたがわたしの名によって何かを父に願うならば、父はお与えになる。
今日聴くのは、女流詩人ツィーグラーの台本によるカンタータです。
ツィーグラー台本を用いた他の作品と同じように、聖句引用に始まり、コラールで閉じられるが、第4曲レチタティーヴォの歌詞は、原詩とはかなり異なっている.バッハの音楽は、「汝らの憂いは喜びに変わる」という冒頭の聖句から主な着想を得ており、「悲しみ」「喜び」の情念のコントラストが、音楽表現上のかなめとなる。
バッハ事典(東京書籍)
フラウト・ピッコロの音色が印象的なカンタータです。特徴のある演奏なので、期待してブックレットを見てみると、やはりブリュッヘンの演奏でした。
第1曲目の福音書章句を引用した合唱は、3つに分けられ、アダージョのアリオーソが間に挟まれます。引用にあるように、「悲しみ」と「喜び」のコントラストがはっきりとしていて、第4曲目までが悲しみ、トランペットを従えた5曲目のアリアから喜びへと転じます(4曲目のレチタティーヴォの後半から少し「喜び」が出てきます)。この第5曲目のアリアですが、
「極端な喜びのモティーフ」(シュヴァイツァー)が全体を支配し、イエス復活の喜びを謳歌する。しかし、「悲しみ」への言及とともに音楽が短調に転ずるあたりに、なお情念のコントラストが生かされている。バッハ事典(東京書籍)
とあるように、1曲の中で悲しみと喜びがうまく表現されています
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヒ)
コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
録音:1977−1980年
「バッハ:カンタータ全集第6巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10931/6)
用途:三位一体節後第10日曜日
初演:1726年8月25日、ライプツィヒ(再演;おそらく1731年7月29日)
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、12、1〜11
福音書章句:ルカによる福音書19、41〜48
歌詞;ルードルシュタット1726。第1曲;エレミヤ書5、3。第4曲;ローマの信徒への手紙2、4-5。第7曲;J. ヘールマンのコラール「まことにわれは生くる、と汝の神はいい」(1630)第6、7節(定旋律=「天にましますわれらの父よ」、BWV416)。
編成:アルト、テノール、バス、合唱、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1部;
第1曲:合唱(オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ト短調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第3曲:アリア(アルト、オーボエ、通奏低音、アダージョ、ヘ短調、4/4)
第4曲;アリオーソ(バス、弦合奏、通奏低音、ヴィヴァーチェ、変ホ長調、3/8)
第2部;
第5曲;アリア(テノール、フラウト・トラヴェルソ、通奏低音、ト短調、3/4)
第6曲;レチタティーヴォ(アルト、オーボエ2、通奏低音)
第7曲;コラール(合唱、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ハ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、12、1〜11
◆霊的な賜物
12:1 兄弟たち、霊的な賜物については、次のことはぜひ知っておいてほしい。
12:2 あなたがたがまだ異教徒だったころ、誘われるままに、ものの言えない偶像のもとに連れて行かれたことを覚えているでしょう。
12:3 ここであなたがたに言っておきたい。神の霊によって語る人は、だれも「イエスは神から見捨てられよ」とは言わないし、また、聖霊によらなければ、だれも「イエスは主である」とは言えないのです。
12:4 賜物にはいろいろありますが、それをお与えになるのは同じ霊です。
12:5 務めにはいろいろありますが、それをお与えになるのは同じ主です。
12:6 働きにはいろいろありますが、すべての場合にすべてのことをなさるのは同じ神です。
12:7 一人一人にメ霊モの働きが現れるのは、全体の益となるためです。
12:8 ある人にはメ霊モによって知恵の言葉、ある人には同じメ霊モによって知識の言葉が与えられ、
12:9 ある人にはその同じメ霊モによって信仰、ある人にはこの唯一のメ霊モによって病気をいやす力、
12:10 ある人には奇跡を行う力、ある人には預言する力、ある人には霊を見分ける力、ある人には種々の異言を語る力、ある人には異言を解釈する力が与えられています。
12:11 これらすべてのことは、同じ唯一のメ霊モの働きであって、メ霊モは望むままに、それを一人一人に分け与えてくださるのです。
福音書章句:ルカによる福音書19、41〜48
19:41 エルサレムに近づき、都が見えたとき、イエスはその都のために泣いて、
19:42 言われた。「もしこの日に、お前も平和への道をわきまえていたなら……。しかし今は、それがお前には見えない。
19:43 やがて時が来て、敵が周りに堡塁を築き、お前を取り巻いて四方から攻め寄せ、
19:44 お前とそこにいるお前の子らを地にたたきつけ、お前の中の石を残らず崩してしまうだろう。それは、神の訪れてくださる時をわきまえなかったからである。」
◆神殿から商人を追い出す
19:45 それから、イエスは神殿の境内に入り、そこで商売をしていた人々を追い出し始めて、
19:46 彼らに言われた。「こう書いてある。『わたしの家は、祈りの家でなければならない。』/ところが、あなたたちはそれを強盗の巣にした。」
19:47 毎日、イエスは境内で教えておられた。祭司長、律法学者、民の指導者たちは、イエスを殺そうと謀ったが、
19:48 どうすることもできなかった。民衆が皆、夢中になってイエスの話に聞き入っていたからである。
今日聴くのは、ルードルシュタット詩華撰によるカンタータです。
『ルードルシュタット詩華撰』による第3年巻のカンタータのひとつ。定型通り、聖句の引用を柱とする2部分からなる。この日朗読される福音書章句は、受難を控えてエルサレムに近づいたイエスが町の未来を憂え、泣きながら語ったとされる言葉である。それをふまえたテキストには、迫り来る滅びをにらんで、厳しい戒めの調子が目立つ。その厳しさには、不協和音を鋭く使ったバッハの音楽を得て、いっそう痛切に聴き手に迫ってくる。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲目の合唱は、合唱、オーボエ2本、弦合奏、通奏低音という簡素な編成ですが、声楽パートが作り出す悲痛ともとれるイメージが印象的です。簡素な編成ながらも、かなりの規模となっています。
全体を通して重い雰囲気のカンタータです。
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;フィリップ・フッテンロッハー
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1980年
*
かなり久しぶりの投稿となってしまいました。一月ぶりですね。1月10日に母が亡くなりまして、色々とばたばたしていて、じっくりと音楽を聴ける状態ではありませんでした。昨日35日法要が無事すみました。まだまだ実家に戻って何かとやることがありますし、哀しみを引きずっていますが、元気に生活をすることが一番母が喜ぶだろうと思い、今日から再開します
「バッハ:カンタータ全集第6巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10931/6)
用途:三位一体節後第10日曜日
初演:1724年8月13日、ライプツィヒ(再演;おそらく1735年以降)
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、12、1〜11
福音書章句:ルカによる福音書19、41〜48
歌詞;作者不詳。第1、3、5、7曲;M. モラーの同名コラール(1584)第1、3、5、7節(定旋律=「天にましますわれらの父よ」、BWV416)。第2、4、6曲;同コラールの第2、4、6節の書き換え。
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、ツィンク、トロンボーン3、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール合唱(ツィンク、トロンボーン3、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、に短調、2/2)
第2曲:アリア(テノール、ヴァイオリン独奏(またはフラウト・トラヴェルソ)、通奏低音、ト短調、3/4)
第3曲:レチタティーヴォとコラール(ソプラノ、通奏低音)
第4曲;アリアとコラール(バス、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、ヴィヴァーチェ、イ短調、2/2)
第5曲;レチタティーヴォとコラール(テノール、通奏低音)
第6曲;二重唱(ソプラノ、アルト、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダ・カッチャ、ニ短調、12/8)
第7曲;コラール(合唱、ツィンク、トロンボーン3、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、ニ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、12、1〜11
◆霊的な賜物
12:1 兄弟たち、霊的な賜物については、次のことはぜひ知っておいてほしい。
12:2 あなたがたがまだ異教徒だったころ、誘われるままに、ものの言えない偶像のもとに連れて行かれたことを覚えているでしょう。
12:3 ここであなたがたに言っておきたい。神の霊によって語る人は、だれも「イエスは神から見捨てられよ」とは言わないし、また、聖霊によらなければ、だれも「イエスは主である」とは言えないのです。
12:4 賜物にはいろいろありますが、それをお与えになるのは同じ霊です。
12:5 務めにはいろいろありますが、それをお与えになるのは同じ主です。
12:6 働きにはいろいろありますが、すべての場合にすべてのことをなさるのは同じ神です。
12:7 一人一人にメ霊モの働きが現れるのは、全体の益となるためです。
12:8 ある人にはメ霊モによって知恵の言葉、ある人には同じメ霊モによって知識の言葉が与えられ、
12:9 ある人にはその同じメ霊モによって信仰、ある人にはこの唯一のメ霊モによって病気をいやす力、
12:10 ある人には奇跡を行う力、ある人には預言する力、ある人には霊を見分ける力、ある人には種々の異言を語る力、ある人には異言を解釈する力が与えられています。
12:11 これらすべてのことは、同じ唯一のメ霊モの働きであって、メ霊モは望むままに、それを一人一人に分け与えてくださるのです。
福音書章句:ルカによる福音書19、41〜48
19:41 エルサレムに近づき、都が見えたとき、イエスはその都のために泣いて、
19:42 言われた。「もしこの日に、お前も平和への道をわきまえていたなら……。しかし今は、それがお前には見えない。
19:43 やがて時が来て、敵が周りに堡塁を築き、お前を取り巻いて四方から攻め寄せ、
19:44 お前とそこにいるお前の子らを地にたたきつけ、お前の中の石を残らず崩してしまうだろう。それは、神の訪れてくださる時をわきまえなかったからである。」
◆神殿から商人を追い出す
19:45 それから、イエスは神殿の境内に入り、そこで商売をしていた人々を追い出し始めて、
19:46 彼らに言われた。「こう書いてある。『わたしの家は、祈りの家でなければならない。』/ところが、あなたたちはそれを強盗の巣にした。」
19:47 毎日、イエスは境内で教えておられた。祭司長、律法学者、民の指導者たちは、イエスを殺そうと謀ったが、
19:48 どうすることもできなかった。民衆が皆、夢中になってイエスの話に聞き入っていたからである。
今日聴くのは、M. モラーの同名コラールに基づくコラール・カンタータです。
原コラールは、1584年、ペストがドイツを襲ったさなかに悔い改めの祈りとして作られたもの。その内容はエルサレムの滅びを扱った当日用福音書章句と呼応している。その歌詞を、「天にましますわれらが父よ」の歌詞で一般に知られる、ドリア調の旋律が運ぶ。この旋律はほとんど全曲を通じて響き続け、身の引き締まるように厳粛な趣をもったカンタータを作り出している。バッハの「コラール引用法研究」とも呼びうる作品。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲の262小節にも及ぶ大規模な楽曲。この部分の荘厳なコラール合唱がこの曲の大きなアクセントとなっています。第2曲では、ヴァイオリン・ソロとテノールの掛け合いが見事です
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(テルツ少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;フィリップ・フッテンロッハー
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1980年
「バッハ:カンタータ全集第6巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10931/6)
用途:不明
初演:1734年?
歌詞;S. ローディカストの同名コラール(1674)第1〜6節(定旋律=BWV250)。
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、ホルン2、ティンパニ、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:合唱(ホルン2、ティンパニ、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、ヴィヴァーチェ、ト長調、2/2)
第2曲:二重唱(アルト、テノール、通奏低音、ニ長調、4/4)
第3曲:アリア(ソプラノ、フラウト・トラヴェルソ、通奏低音、ロ短調、6/8)
第4曲;アリア(バス、弦合奏、通奏低音、ト長調、2/4)
第5曲;アリア(アルト、オーボエ・ダモーレ、通奏低音、ウン・ポコ・アレグロ、ホ短調、12/8)
第6曲;合唱(ホルン2、ティンパニ、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
今日聴くのは、このところ続けて聴いているローディガストの同名コラールに基づくコラール・カンタータです(昨日聴いた「BWV98 神なしたもう御業こそ いと善けれ」「BWV99 神なしたもう御業こそ いと善けれ」を参照)。
S. ローディガストのコラールによる3曲のカンタータ(他にBWV98、99)中、最後の作品。コラール・カンタータ様式によること、冒頭楽章がBWV99第1曲の転用であることなど、BWV99と共通する特徴を備えているが、こちらはコラールをそまま歌詞にとった、いわゆる全詩節コラール・カンタータである。
バッハ事典(東京書籍)
このカンタータの中間楽章は二重唱もしくはアリアで構成されており、レチタティーヴォが掛けているという変わったカンタータです。第1曲は、昨日聴いた「BWV99 神なしたもう御業こそ いと善けれ」の第1曲のところで触れましたが、その転用です。ホルンとティンパニが加わっているために、かなり華やかな印象があります。
第2曲の二重唱は、実に美しい。通奏低音だけの簡素な作りですが、それに支えらてアルトとテノールの美声がこだまします。
終結コラールの音楽は、「BWV75 乏しき者は食らいて」からの転用となっています。第1曲と同じく、明るい雰囲気の楽曲です。ここでも「喜び」を感じます
ソプラノ;デートレフ・ブラチュケ(ハノーファー少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヒ)
コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
録音:1977−1980年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:三位一体節後第15日曜日
初演:1724年9月17日、ライプツィヒ(再演;1732/35年)
書簡章句:ガラテヤの信徒への手紙5、25〜6、10
福音書章句:マタイによる福音書6、24〜34
歌詞;作者不詳。第1、6曲;S. ローディカストの同名コラール(1674)第1、6節(定旋律=BWV250)。第2〜5曲;同コラール第2〜5節の書き換え。
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール合唱(ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、フラウト・トラヴェルソ、通奏低音、ホ短調、3/8)
第4曲;レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第5曲;二重唱(ソプラノ、アルト、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ、通奏低音、ロ短調、4/4)
第6曲;コラール(合唱、ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ガラテヤの信徒への手紙5、25〜6、10
5:25 わたしたちは、霊の導きに従って生きているなら、霊の導きに従ってまた前進しましょう。
5:26 うぬぼれて、互いに挑み合ったり、ねたみ合ったりするのはやめましょう。
[ 6 ]
◆信仰に基づいた助け合い
6:1 兄弟たち、万一だれかが不注意にも何かの罪に陥ったなら、メ霊モに導かれて生きているあなたがたは、そういう人を柔和な心で正しい道に立ち帰らせなさい。あなた自身も誘惑されないように、自分に気をつけなさい。
6:2 互いに重荷を担いなさい。そのようにしてこそ、キリストの律法を全うすることになるのです。
6:3 実際には何者でもないのに、自分をひとかどの者だと思う人がいるなら、その人は自分自身を欺いています。
6:4 各自で、自分の行いを吟味してみなさい。そうすれば、自分に対してだけは誇れるとしても、他人に対しては誇ることができないでしょう。
6:5 めいめいが、自分の重荷を担うべきです。
6:6 御言葉を教えてもらう人は、教えてくれる人と持ち物をすべて分かち合いなさい。
6:7 思い違いをしてはいけません。神は、人から侮られることはありません。人は、自分の蒔いたものを、また刈り取ることになるのです。
6:8 自分の肉に蒔く者は、肉から滅びを刈り取り、霊に蒔く者は、霊から永遠の命を刈り取ります。
6:9 たゆまず善を行いましょう。飽きずに励んでいれば、時が来て、実を刈り取ることになります。
6:10 ですから、今、時のある間に、すべての人に対して、特に信仰によって家族になった人々に対して、善を行いましょう。
福音書章句:マタイによる福音書6、24〜34
◆神と富
6:24 「だれも、二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか、一方に親しんで他方を軽んじるか、どちらかである。あなたがたは、神と富とに仕えることはできない。」
◆思い悩むな
6:25 「だから、言っておく。自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切ではないか。
6:26 空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりも価値あるものではないか。
6:27 あなたがたのうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。
6:28 なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。
6:29 しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。
6:30 今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことではないか、信仰の薄い者たちよ。
6:31 だから、『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を着ようか』と言って、思い悩むな。
6:32 それはみな、異邦人が切に求めているものだ。あなたがたの天の父は、これらのものがみなあなたがたに必要なことをご存じである。
6:33 何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。
6:34 だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。」
今日聴くのは、先日聴いた「BWV98 神なしたもう御業こそ いと善けれ」と同じく、ローディガストの同名コラールに基づくコラール・カンタータです。
S. ローディガストの同名コラールに基づく3つのカンタータの中、最初の作品。コラールを両端楽章に使った、第2年巻の典型的なコラール・カンタータである。原コラールをかなり忠実にパラフレーズとした台本は、福音書章句(日常の思い煩いが人間にとっていかに無益であるかを述べるもの)との密接な連携を図りつつ、神に信頼すべきことを勧める。音楽面では、冒頭合唱曲を彩る協奏曲風の器楽パートが注目されるが、この楽章は、実際にケーテン時代の協奏曲の転用とも考えられる。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲目のコラール合唱は、ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレの明るい合奏が魅力的です。《バッハ事典(東京書籍)》には「ブランデンブルク協奏曲の世界を思わせる、と書かれていますが、フラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリンの明るい響きが全体を牽引しています。それに寄り添う合唱が実に晴れやかです。この曲は次回紹介予定のBWV100に転用されています。
このカンタータではフラウト・トラヴェルソが効果的に用いられており、第3曲目のアリアでもその巧みな使われ方が楽しめます。
続けて聴いているレオンハルト・アーノンクールによる教会カンタータ全集(全10巻)ですが、ようやく5巻の最後の曲となりました。ようやく折り返し地点ですね
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(ハノーファー少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;フィリップ・フッテンロッハー
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:三位一体節後第21日曜日
初演:1726年11月10日、ライプツィヒ
書簡章句:エフェソの信徒への手紙6、10〜17
福音書章句:ヨハネによる福音書4、47〜54
歌詞;作者不詳。第1曲;S. ローディカストの同名コラール(1674)第1節(定旋律=BWV250)
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール合唱(オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、変ロ長調、3/4)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(ソプラノ、オーボエ、通奏低音、ハ短調、3/8)
第4曲;レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第5曲;アリア(バス、ヴァイオリン、通奏低音、変ロ長調、2/2)
基本テキスト;
書簡章句:エフェソの信徒への手紙6、10〜17
◆悪と戦え
6:10 最後に言う。主に依り頼み、その偉大な力によって強くなりなさい。
6:11 悪魔の策略に対抗して立つことができるように、神の武具を身に着けなさい。
6:12 わたしたちの戦いは、血肉を相手にするものではなく、支配と権威、暗闇の世界の支配者、天にいる悪の諸霊を相手にするものなのです。
6:13 だから、邪悪な日によく抵抗し、すべてを成し遂げて、しっかりと立つことができるように、神の武具を身に着けなさい。
6:14 立って、真理を帯として腰に締め、正義を胸当てとして着け、
6:15 平和の福音を告げる準備を履物としなさい。
6:16 なおその上に、信仰を盾として取りなさい。それによって、悪い者の放つ火の矢をことごとく消すことができるのです。
6:17 また、救いを兜としてかぶり、霊の剣、すなわち神の言葉を取りなさい。
福音書章句:ヨハネによる福音書4、47〜54
4:47 この人は、イエスがユダヤからガリラヤに来られたと聞き、イエスのもとに行き、カファルナウムまで下って来て息子をいやしてくださるように頼んだ。息子が死にかかっていたからである。
4:48 イエスは役人に、「あなたがたは、しるしや不思議な業を見なければ、決して信じない」と言われた。
4:49 役人は、「主よ、子供が死なないうちに、おいでください」と言った。
4:50 イエスは言われた。「帰りなさい。あなたの息子は生きる。」その人は、イエスの言われた言葉を信じて帰って行った。
4:51 ところが、下って行く途中、僕たちが迎えに来て、その子が生きていることを告げた。
4:52 そこで、息子の病気が良くなった時刻を尋ねると、僕たちは、「きのうの午後一時に熱が下がりました」と言った。
4:53 それは、イエスが「あなたの息子は生きる」と言われたのと同じ時刻であることを、この父親は知った。そして、彼もその家族もこぞって信じた。
4:54 これは、イエスがユダヤからガリラヤに来てなされた、二回目のしるしである。
日曜日ごとに聴いているカンタータですが、今日は時間があるので、曜日を無視して聴いてみたいと思います。
BWV98から100にかけては、バッハが好んだS. ローディガストのコラールに基づく3つのカンタータが並んでいる。BWV98は、その第2作。当日の福音書章句に述べられたカペナウムの役人感情(イエスの御言葉を信じたゆえに、病気の息子を救われた)を普遍化し、神の御旨に対する信頼を歌う。曲は原コラール第1節を冒頭にとって出発するが、第2曲以下はコラールから離れた自由詩楽曲となり、終結コラールも存在しない。同時期に多い室内楽的なカンタータのうちでも、とりわけ簡素な書法による作品である。
バッハ事典(東京書籍)
引用にあるように簡素なカンタータです。冒頭のコラール合唱は、『バッハの前任者J. クーナウの様式に近い』《バッハ事典(東京書籍)》とのことですが、ヴァイオリンの美しい響きと、流れるような旋律が印象的です。第3曲目のオーボエが導くアリアは、ハ短調ですが、時折出てくる長調の旋律が見事にからみ合っています。
曲は終結コラールを持たず、第5曲目のアリアが最後となっています。ヴァイオリンの流れるような旋律に乗せて、バスが朗々と歌います。「喜び」を感じる旋律です
ソプラノ;クラウス・レンゲルト(ハノーファー少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヒ)
コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:不明(三位一体節後第5日曜日、または結婚式?)
初演:1734年7月25日、ライプツィヒ(再演;1730年代後半、1740〜47年頃)
歌詞;P. フレーミングの同名コラール(1642)第1〜9(定旋律=「おお世よ、われ汝を去らん」、BWV392)。
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール合唱(オーボエ2、弦合奏、通奏低音、グラーヴェ−ヴィヴァーチェ、変ロ長調、2/2)
第2曲:アリア(バス、通奏低音、ト短調、6/8)
第3曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第4曲;アリア(テノール、独奏ヴァイオリン、通奏低音、ラルゴ、変ロ長調、4/4)
第5曲;レチタティーヴォ(アルト、弦合奏、通奏低音)
第6曲;アリア(アルト、弦合奏、通奏低音、ハ短調、4/4)
第7曲;二重唱(ソプラノ、バス、通奏低音、変ホ長調、3/4)
第8曲;アリア(ソプラノ、オーボエ2、通奏低音、ヘ長調、2/4)
第9曲;合唱(オーボエ2、弦合奏、通奏低音、変ロ長調、4/4)
今日聴くカンタータは、成立年がはっきりしているものの、用途が不明であるコラール・カンタータ。
後期を中心に10曲ある、全詩節コラール・カンタータのひとつ。P. フレーミングの同名コラール9節をそのまま歌詞とする。ただしコラール旋律(H. イザークの《インスブルックよさらば》に由来する)の現れるのは、両端楽章のみである。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲のコラール合唱は、編成が小さいものの、フランス風序曲といった趣きで、合唱がうまく散りばめられています。第2曲目のアリアも通奏低音のみという簡素な構成ですが、バスが通奏低音に乗せて朗々と歌う様は見事です。第4曲目のアリアは、ヴァイオリンのソロが実に見事で、テノールとの二重唱といった感じを受けます。また第6曲目のアルトによって歌われるアリアも実に美しく、このカンタータには4つのアリアが出てきますが、いずれも美しさを伴った見事なものです。この4つのアリアは、ソプラノ、アルト、テノール、バスの4つの全ての声部が出てきます
ソプラノ;ヴィルヘルム・フィードル
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;フィリップ・フッテンロッハー、リュート・ファン・デル・メール
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:三位一体節後第18日曜日
初演:1724年10月8日、ライプツィヒ(再演;1734年10月24日、1747年10月1日)
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、1、4〜9
福音書章句:マタイによる福音書22、34〜46
歌詞;作者不詳。第1、6曲;E. クロイツィガーのコラール「主キリスト、神の独り子」(1524)第1、5節。第2〜5曲;同コラール第2〜4節の書き換え。
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、ホルン、(トロンボーン)、フラウト・トラヴェルソ、フラウト・ピッコロ、オーボエ2、(ヴィオリーノ・ピッコロ)、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール合唱(ホルン、(トロンボーン)、フラウト・トラヴェルソ、フラウト・ピッコロ、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ヴィヴァーチェ、ヘ長調、9/8)
第2曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、フラウト・トラヴェルソ、通奏低音、ハ長調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(ソプラノ、通奏低音)
第5曲;アリア(バス、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ニ短調、4/4)
第6曲;コラール(合唱、ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ヘ長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、1、4〜9
1:4 わたしは、あなたがたがキリスト・イエスによって神の恵みを受けたことについて、いつもわたしの神に感謝しています。
1:5 あなたがたはキリストに結ばれ、あらゆる言葉、あらゆる知識において、すべての点で豊かにされています。
1:6 こうして、キリストについての証しがあなたがたの間で確かなものとなったので、
1:7 その結果、あなたがたは賜物に何一つ欠けるところがなく、わたしたちの主イエス・キリストの現れを待ち望んでいます。
1:8 主も最後まであなたがたをしっかり支えて、わたしたちの主イエス・キリストの日に、非のうちどころのない者にしてくださいます。
1:9 神は真実な方です。この神によって、あなたがたは神の子、わたしたちの主イエス・キリストとの交わりに招き入れられたのです。
福音書章句:マタイによる福音書22、34〜46
◆最も重要な掟
22:34 ファリサイ派の人々は、イエスがサドカイ派の人々を言い込められたと聞いて、一緒に集まった。
22:35 そのうちの一人、律法の専門家が、イエスを試そうとして尋ねた。
22:36 「先生、律法の中で、どの掟が最も重要でしょうか。」
22:37 イエスは言われた。「『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』
22:38 これが最も重要な第一の掟である。
22:39 第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』
22:40 律法全体と預言者は、この二つの掟に基づいている。」
◆ダビデの子についての問答
22:41 ファリサイ派の人々が集まっていたとき、イエスはお尋ねになった。
22:42 「あなたたちはメシアのことをどう思うか。だれの子だろうか。」彼らが、「ダビデの子です」と言うと、
22:43 イエスは言われた。「では、どうしてダビデは、霊を受けて、メシアを主と呼んでいるのだろうか。
22:44 『主は、わたしの主にお告げになった。「わたしの右の座に着きなさい、/わたしがあなたの敵を/あなたの足もとに屈服させるときまで」と。』
22:45 このようにダビデがメシアを主と呼んでいるのであれば、どうしてメシアがダビデの子なのか。」
22:46 これにはだれ一人、ひと言も言い返すことができず、その日からは、もはやあえて質問する者はなかった。
今日聴くのは、クロイツィガーの同名コラールに基づくコラール・カンタータです。
いちばん大切なの律法は何か、キリストは誰の子なのか、という福音書章句の問題をふまえた台本は、冒頭に原コラールを引用し、キリストを「神の独り子」と規定して出発する。しかし自由なパラフレーズによる中間4曲においては、「愛」の想念が原詩よりはるかにクローズアップされ、キリストの降誕が「神の愛」へと帰されることによって、聖句の2つの問答をつなぐ絆が、明らかにされる。
バッハ事典(東京書籍)
フラウト・ピッコロ(ソプラニーノ・リコーダー)の可憐な響きが印象的です。特に冒頭のコラール合唱で、その場面を盛り上げるのに一役買っています。この楽器のパートは、再演(1734年)時にヴィオリーノ・ピッコロに、ホルンは1747年の再演時にトロンボーンに置き換えられています《バッハ事典(東京書籍)》。
ダ・カーポ形式の第3曲目のアリアでは、フラウト・トラヴェルソの美しい旋律とテノールの名唱が堪能できます
ソプラノ;ヴィルヘルム・フィードル
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;フィリップ・フッテンロッハー
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:三位一体節後第16日曜日
初演:1723年9月12日、ライプツィヒ
書簡章句:エフェソの信徒への手紙3、13〜21
福音書章句:ルカによる福音書7、11〜17
歌詞;作者不詳。第1曲;S. グラフの同名コラール(1609以前)第1節(定旋律=BWV281)/M. ルターのコラール「平安と歓喜もてわれはいく」(1524)第1節(定旋律=BWV382)。第3曲;V. ヘルベルガーのコラール「われ汝に別れを告げん」(1613)第1節(定旋律=BWV415)。第7曲;N. ヘールマンのコラール「わがいまわのきわに臨みて」(1560)第4節(定旋律=BWV428)。
編成:ソプラノ、テノール、バス、合唱、ホルン、オーボエ2、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール合唱とレチタティーヴォ(テノール、オーボエ2、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ト長調、3/4 - ト短調、アレグロ、2/2)
第2曲:レチタティーヴォ(ソプラノ、通奏低音)
第3曲:コラール(ソプラノ、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音、ニ長調、3/4)
第4曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第5曲;アリア(テノール、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ニ長調、3/4)
第6曲;レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第7曲;コラール(合唱、ホルン、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:エフェソの信徒への手紙3、13〜21
3:13 だから、あなたがたのためにわたしが受けている苦難を見て、落胆しないでください。この苦難はあなたがたの栄光なのです。
◆キリストの愛を知る
3:14 こういうわけで、わたしは御父の前にひざまずいて祈ります。
3:15 御父から、天と地にあるすべての家族がその名を与えられています。
3:16 どうか、御父が、その豊かな栄光に従い、その霊により、力をもってあなたがたの内なる人を強めて、
3:17 信仰によってあなたがたの心の内にキリストを住まわせ、あなたがたを愛に根ざし、愛にしっかりと立つ者としてくださるように。
3:18 また、あなたがたがすべての聖なる者たちと共に、キリストの愛の広さ、長さ、高さ、深さがどれほどであるかを理解し、
3:19 人の知識をはるかに超えるこの愛を知るようになり、そしてついには、神の満ちあふれる豊かさのすべてにあずかり、それによって満たされるように。
3:20 わたしたちの内に働く御力によって、わたしたちが求めたり、思ったりすることすべてを、はるかに超えてかなえることのおできになる方に、
3:21 教会により、また、キリスト・イエスによって、栄光が世々限りなくありますように、アーメン。
福音書章句:ルカによる福音書7、11〜17
◆やもめの息子を生き返らせる
7:11 それから間もなく、イエスはナインという町に行かれた。弟子たちや大勢の群衆も一緒であった。
7:12 イエスが町の門に近づかれると、ちょうど、ある母親の一人息子が死んで、棺が担ぎ出されるところだった。その母親はやもめであって、町の人が大勢そばに付き添っていた。
7:13 主はこの母親を見て、憐れに思い、「もう泣かなくともよい」と言われた。
7:14 そして、近づいて棺に手を触れられると、担いでいる人たちは立ち止まった。イエスは、「若者よ、あなたに言う。起きなさい」と言われた。
7:15 すると、死人は起き上がってものを言い始めた。イエスは息子をその母親にお返しになった。
7:16 人々は皆恐れを抱き、神を賛美して、「大預言者が我々の間に現れた」と言い、また、「神はその民を心にかけてくださった」と言った。
7:17 イエスについてのこの話は、ユダヤの全土と周りの地方一帯に広まった。
日曜日恒例の教会カンタータ・シリーズです。
4つのコラールを当世風の諸形式と結合した実験的作品。台本はそれら4つを自由詩でつなぐ形をとる。コラールはいずれも「死を想う」内容をもち、当時、当該日曜日の礼拝用に推奨されていたものであるが、バッハはこれらを骨格とするテキストに、牧歌的ともいえるほど、落ち着いて、のびのびとした音楽を付した。
バッハ事典(東京書籍)
引用に「実験的」とありますが、たしかに一風変わったカンタータと感じます。第1曲目では2つのコラール合唱がレチタティーヴォによってつながれています。
ホルンは冒頭と終結コラールのみに出てきて、他はオーボエ、オーボエ・ダモーレが活躍します。これらの楽器が「牧歌的」な雰囲気を醸し出しています。
また、第5曲目のアリアでは、弦楽器のピッチカートが曲にアクセントを加えています
ソプラノ;ヴィルヘルム・フィードル
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;フィリップ・フッテンロッハー
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:三位一体節後第9日曜日
初演:1724年8月6日、ライプツィヒ(再演;1732/35年)
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、10、6〜13
福音書章句:ルカによる福音書16、1〜9
歌詞;作者不詳。第1、3、5、8曲;B. キンダーマンのコラール「われいかで世のことを問わん」(1664)第1、3、5、7、8節(定旋律=BWV398)。第2、4、6、7曲;同コラール第2、4、6節の書き換え。
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ2、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール合唱(フラウト・トラヴェルソ、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ニ長調、4/4)
第2曲:アリア(バス、通奏低音、ロ短調、4/4)
第3曲:コラールとレチタティーヴォ(テノール、オーボエ2、通奏低音、ト長調、3/8-4/4-3/8)
第4曲;アリア(アルト、フラウト・トラヴェルソ、通奏低音、ホ短調、4/4)
第5曲;コラールとレチタティーヴォ(バス、通奏低音、ニ長調、4/4)
第6曲;アリア(テノール、弦合奏、通奏低音、イ長調、12/8)
第7曲;アリア(ソプラノ、オーボエ・ダモーレ、通奏低音、嬰ヘ短調、4/4)
第8曲;コラール(合唱、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ニ長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、10、6〜13
10:6 これらの出来事は、わたしたちを戒める前例として起こったのです。彼らが悪をむさぼったように、わたしたちが悪をむさぼることのないために。
10:7 彼らの中のある者がしたように、偶像を礼拝してはいけない。「民は座って飲み食いし、立って踊り狂った」と書いてあります。
10:8 彼らの中のある者がしたように、みだらなことをしないようにしよう。みだらなことをした者は、一日で二万三千人倒れて死にました。
10:9 また、彼らの中のある者がしたように、キリストを試みないようにしよう。試みた者は、蛇にかまれて滅びました。
10:10 彼らの中には不平を言う者がいたが、あなたがたはそのように不平を言ってはいけない。不平を言った者は、滅ぼす者に滅ぼされました。
10:11 これらのことは前例として彼らに起こったのです。それが書き伝えられているのは、時の終わりに直面しているわたしたちに警告するためなのです。
10:12 だから、立っていると思う者は、倒れないように気をつけるがよい。
10:13 あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。
福音書章句:ルカによる福音書16、1〜9
◆「不正な管理人」のたとえ
16:1 イエスは、弟子たちにも次のように言われた。「ある金持ちに一人の管理人がいた。この男が主人の財産を無駄遣いしていると、告げ口をする者があった。
16:2 そこで、主人は彼を呼びつけて言った。『お前について聞いていることがあるが、どうなのか。会計の報告を出しなさい。もう管理を任せておくわけにはいかない。』
16:3 管理人は考えた。『どうしようか。主人はわたしから管理の仕事を取り上げようとしている。土を掘る力もないし、物乞いをするのも恥ずかしい。
16:4 そうだ。こうしよう。管理の仕事をやめさせられても、自分を家に迎えてくれるような者たちを作ればいいのだ。』
16:5 そこで、管理人は主人に借りのある者を一人一人呼んで、まず最初の人に、『わたしの主人にいくら借りがあるのか』と言った。
16:6 『油百バトス』と言うと、管理人は言った。『これがあなたの証文だ。急いで、腰を掛けて、五十バトスと書き直しなさい。』
16:7 また別の人には、『あなたは、いくら借りがあるのか』と言った。『小麦百コロス』と言うと、管理人は言った。『これがあなたの証文だ。八十コロスと書き直しなさい。』
16:8 主人は、この不正な管理人の抜け目のないやり方をほめた。この世の子らは、自分の仲間に対して、光の子らよりも賢くふるまっている。
16:9 そこで、わたしは言っておくが、不正にまみれた富で友達を作りなさい。そうしておけば、金がなくなったとき、あなたがたは永遠の住まいに迎え入れてもらえる。
今日聴くのは、B. キンダーマンの同名コラールに基づくコラール・カンタータです。
原コラールの各詩節を結ぶ「われいかで世のことを問わん」という言葉が、2つのアリアを除く各曲の歌詞の結びに使われ、当日の礼拝のテーマである「世の宝の拒絶」という想念が追求されてゆく。それは最後に、イエスという真の宝の認識へと達する。またこの曲は、以降数曲で見られる名人芸的なフルート・パートをもつ、最初のカンタータである。
バッハ事典(東京書籍)
引用の最後にありますが、フラウト・トラヴェルソの名演が堪能できます。1曲目は、まさにフラウト・トラヴェルソ協奏曲のような感じで、そこに合唱が加わります。
第3曲目では、トロープスの手法が用いられています。
第4曲目のアリアでのフラウト・トラヴェルソは聴きどころではないでしょうか。実に美しい旋律を奏でています。
終結のコラールは、しっとりと落ち着いた雰囲気で、まさに最後を締めくくるに相応しい内容となっています。心を込めて、一句一句歌っている感じがします
ソプラノ;ヴィルヘルム・フィードル
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;フィリップ・フッテンロッハー
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:三位一体節後第5日曜日
初演:1724年7月9日、ライプツィヒ(再演;おろらく1732年7月11日)
書簡章句:ペテロの手紙1、3、8〜15
福音書章句:ルカによる福音書5、1〜11
歌詞;作者不詳。第1、4、7曲;G. ノイマルクのコラール「尊き御神の統べしらすままにまつろい」(1657)第1、4、7節(定旋律=BWV434)。第2、3、5、6曲;同名コラール第2、3、5、6節の書き換え。
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール合唱(ソプラノ、アルト、テノール、バス、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ハ短調、12/8)
第2曲:コラールとレチタティーヴォ(バス、通奏低音、ト短調、4/4)
第3曲:アリア(テノール、弦合奏、通奏低音、変ホ長調、3/8)
第4曲;コラール付き二重唱(ソプラノ、アルト、弦合奏、通奏低音、ハ短調、4/4)
第5曲;コラールとレチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第6曲;アリア(ソプラノ、オーボエ、通奏低音、ト短調、4/4)
第7曲;コラール(合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ハ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ペテロの手紙1、3、8〜15
◆正しいことのために苦しむ
3:8 終わりに、皆心を一つに、同情し合い、兄弟を愛し、憐れみ深く、謙虚になりなさい。
3:9 悪をもって悪に、侮辱をもって侮辱に報いてはなりません。かえって祝福を祈りなさい。祝福を受け継ぐためにあなたがたは召されたのです。
3:10 「命を愛し、/幸せな日々を過ごしたい人は、/舌を制して、悪を言わず、/唇を閉じて、偽りを語らず、
3:11 悪から遠ざかり、善を行い、/平和を願って、これを追い求めよ。
3:12 主の目は正しい者に注がれ、/主の耳は彼らの祈りに傾けられる。主の顔は悪事を働く者に対して向けられる。」
3:13 もし、善いことに熱心であるなら、だれがあなたがたに害を加えるでしょう。
3:14 しかし、義のために苦しみを受けるのであれば、幸いです。人々を恐れたり、心を乱したりしてはいけません。
3:15 心の中でキリストを主とあがめなさい。あなたがたの抱いている希望について説明を要求する人には、いつでも弁明できるように備えていなさい。
[ 10 ]
◆偶像への礼拝に対する警告
10:1 兄弟たち、次のことはぜひ知っておいてほしい。わたしたちの先祖は皆、雲の下におり、皆、海を通り抜け、
10:2 皆、雲の中、海の中で、モーセに属するものとなる洗礼を授けられ、
10:3 皆、同じ霊的な食物を食べ、
10:4 皆が同じ霊的な飲み物を飲みました。彼らが飲んだのは、自分たちに離れずについて来た霊的な岩からでしたが、この岩こそキリストだったのです。
10:5 しかし、彼らの大部分は神の御心に適わず、荒れ野で滅ぼされてしまいました。
福音書章句:ルカによる福音書5、1〜11
◆漁師を弟子にする
5:1 イエスがゲネサレト湖畔に立っておられると、神の言葉を聞こうとして、群衆がその周りに押し寄せて来た。
5:2 イエスは、二そうの舟が岸にあるのを御覧になった。漁師たちは、舟から上がって網を洗っていた。
5:3 そこでイエスは、そのうちの一そうであるシモンの持ち舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして、腰を下ろして舟から群衆に教え始められた。
5:4 話し終わったとき、シモンに、「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた。
5:5 シモンは、「先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。
5:6 そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。
5:7 そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった。
5:8 これを見たシモン・ペトロは、イエスの足もとにひれ伏して、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです」と言った。
5:9 とれた魚にシモンも一緒にいた者も皆驚いたからである。
5:10 シモンの仲間、ゼベダイの子のヤコブもヨハネも同様だった。すると、イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる。」
5:11 そこで、彼らは舟を陸に引き上げ、すべてを捨ててイエスに従った。
今日聴くのは、G. ノイマルクの同名コラールに基づくコラール・カンタータです。
ペテロの大漁をめぐる福音書章句をふまえ、神の御旨への信頼を説く。各曲はテキストばかりでなく音楽的にもコラールに密着しており、コラールの根からすべての目が生え出て、美しく花開くかのような趣がある。
バッハ事典(東京書籍)
壮大なコラール合唱(第1曲目)が印象的です。器楽群はオーボエ2、弦合奏、通奏低音と簡素ですが、合唱も器楽群の一つのようにふるまい、実に重厚です。
第4曲目の旋律は、『シュープラー・コラール集』のBWV647に編曲されています。ソプラノとアルトの歌が印象的です。実に美しいですね。
第2、5曲目は、トロープスの手法を用いています。
なお、
伝承されるオリジナル・パート譜は1732/34年の再演の折りに作られたもので、初演時のものとは異なる可能性がある。
バッハ事典(東京書籍)
とのことです
ソプラノ;ヴィルヘルム・フィードル
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デル・メール
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:復活節前第9日曜日
初演:1725年1月28日、ライプツィヒ
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、9、24〜10、5
福音書章句:マタイによる福音書20、1〜16
歌詞;作者不詳。第1、2、7、9曲;P. ゲールハルトの同名コラール(1647)第1、2、5、10、12節(定旋律=「わが神の御心のままに、常に成らせたまえ」BWV65第7曲)。第2、3、5、6、7、8曲;同名コラール第4、6、8、9、11節の書き換え
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール(合唱、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ロ短調、6/8)
第2曲:コラールとレチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、弦合奏、通奏低音、ロ短調、4/4)
第4曲;コラール(アルト、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音、嬰ヘ短調、4/4)
第5曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第6曲;アリア(バス、通奏低音、ニ長調、3/4)
第7曲;コラール(合唱)とレチタティーヴォ(バス、テノール、アルト、ソプラノ)(通奏低音、ニ長調、4/4)
第8曲;アリア(ソプラノ、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、アンダンテ、ニ長調、3/8)
第9曲;コラール(合唱、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ロ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:コリントの信徒への手紙1、9、24〜10、5
9:24 あなたがたは知らないのですか。競技場で走る者は皆走るけれども、賞を受けるのは一人だけです。あなたがたも賞を得るように走りなさい。
9:25 競技をする人は皆、すべてに節制します。彼らは朽ちる冠を得るためにそうするのですが、わたしたちは、朽ちない冠を得るために節制するのです。
9:26 だから、わたしとしては、やみくもに走ったりしないし、空を打つような拳闘もしません。
9:27 むしろ、自分の体を打ちたたいて服従させます。それは、他の人々に宣教しておきながら、自分の方が失格者になってしまわないためです。
[ 10 ]
◆偶像への礼拝に対する警告
10:1 兄弟たち、次のことはぜひ知っておいてほしい。わたしたちの先祖は皆、雲の下におり、皆、海を通り抜け、
10:2 皆、雲の中、海の中で、モーセに属するものとなる洗礼を授けられ、
10:3 皆、同じ霊的な食物を食べ、
10:4 皆が同じ霊的な飲み物を飲みました。彼らが飲んだのは、自分たちに離れずについて来た霊的な岩からでしたが、この岩こそキリストだったのです。
10:5 しかし、彼らの大部分は神の御心に適わず、荒れ野で滅ぼされてしまいました。
福音書章句:マタイによる福音書20、1〜16
◆「ぶどう園の労働者」のたとえ
20:1 「天の国は次のようにたとえられる。ある家の主人が、ぶどう園で働く労働者を雇うために、夜明けに出かけて行った。
20:2 主人は、一日につき一デナリオンの約束で、労働者をぶどう園に送った。
20:3 また、九時ごろ行ってみると、何もしないで広場に立っている人々がいたので、
20:4 『あなたたちもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう』と言った。
20:5 それで、その人たちは出かけて行った。主人は、十二時ごろと三時ごろにまた出て行き、同じようにした。
20:6 五時ごろにも行ってみると、ほかの人々が立っていたので、『なぜ、何もしないで一日中ここに立っているのか』と尋ねると、
20:7 彼らは、『だれも雇ってくれないのです』と言った。主人は彼らに、『あなたたちもぶどう園に行きなさい』と言った。
20:8 夕方になって、ぶどう園の主人は監督に、『労働者たちを呼んで、最後に来た者から始めて、最初に来た者まで順に賃金を払ってやりなさい』と言った。
20:9 そこで、五時ごろに雇われた人たちが来て、一デナリオンずつ受け取った。
20:10 最初に雇われた人たちが来て、もっと多くもらえるだろうと思っていた。しかし、彼らも一デナリオンずつであった。
20:11 それで、受け取ると、主人に不平を言った。
20:12 『最後に来たこの連中は、一時間しか働きませんでした。まる一日、暑い中を辛抱して働いたわたしたちと、この連中とを同じ扱いにするとは。』
20:13 主人はその一人に答えた。『友よ、あなたに不当なことはしていない。あなたはわたしと一デナリオンの約束をしたではないか。
20:14 自分の分を受け取って帰りなさい。わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。
20:15 自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか。それとも、わたしの気前のよさをねたむのか。』
20:16 このように、後にいる者が先になり、先にいる者が後になる。」
今週は日曜日にカンタータを聴けませんでしたので、今日聴くことにします。演奏時間が30分近くもある長大なP. ゲールハルトの同名コラールに基づくコラール・カンタータです。
全9曲のうち5曲にコラール姿を見せ、他の楽曲も、コラールとの密接な関係をもっている。しかし当日の福音書章句との関連は希薄で、洪水や嵐を克服し、牧者としてのイエスに従おうという内容は、むしろ顕現節後第4日曜日の、舟上のイエスの物語を思い起こさせる。そのため、この作品はもともと後者用に構想されたのだろうとみる研究者もいる。
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かなり長いカンタータですが、器楽群は比較的簡素で、オーボエ・ダモーレと弦合奏、通奏低音のみ。第1曲目のコラールは、声楽が加わったオーボエ・ダモーレ協奏曲のような感じを受けます。
第2曲目のアリアですが、
コラール(第2節)の各行のあとに、注釈句がレチタティーヴォとして組み込まれてゆくトロープス手法による。
バッハ事典(東京書籍)
ということで、第7曲目でも同じ手法が用いられています。
5曲のコラールが大きな聴きどころですが、アリアも実に秀逸ですね。第8曲目のアリアは、弦楽器のピチカートとソプラノとオーボエ・ダモーレが美しく語り合います
ソプラノ;デートレフ・ブラチュケ
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヒ)
コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:降誕節第1日
初演:1724年12月25日、ライプツィヒ(再演;1731/32年12月25日、1746/47年頃)
書簡章句:テトスへの手紙2、11〜14またはイザヤ書9、2〜7
福音書章句:ルカによる福音書2、1〜14
歌詞;作者不詳。第1、2、6曲;M. ルターの同名コラール(1524)第1、2、7節(定旋律=BWV314)。第2〜5曲;同名コラール第3〜6節の書き換え
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、ホルン2、ティンパニ、オーボエ3、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜
構成:
第1曲:コラール合唱(ホルン2、ティンパニ、オーボエ3、弦合奏、通奏低音、ト長調、2/2)
第2曲:レチタティーヴォとコラール(ソプラノ、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、オーボエ3、通奏低音、イ短調、3/4)
第4曲;レチタティーヴォ(バス、弦合奏、通奏低音)
第5曲;二重唱(ソプラノ、アルト、ヴァイオリン2、通奏低音、ホ短調、4/4)
第6曲;コラール(合唱、ホルン2、ティンパニ、オーボエ3、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:テトスへの手紙2、11〜14
2:11 実に、すべての人々に救いをもたらす神の恵みが現れました。
2:12 その恵みは、わたしたちが不信心と現世的な欲望を捨てて、この世で、思慮深く、正しく、信心深く生活するように教え、
2:13 また、祝福に満ちた希望、すなわち偉大なる神であり、わたしたちの救い主であるイエス・キリストの栄光の現れを待ち望むように教えています。
2:14 キリストがわたしたちのために御自身を献げられたのは、わたしたちをあらゆる不法から贖い出し、良い行いに熱心な民を御自分のものとして清めるためだったのです。
または、
書簡章句:イザヤ書9、2〜7
9:2 あなたは深い喜びと/大きな楽しみをお与えになり/人々は御前に喜び祝った。刈り入れの時を祝うように/戦利品を分け合って楽しむように。
9:3 彼らの負う軛、肩を打つ杖、虐げる者の鞭を/あなたはミディアンの日のように/折ってくださった。
9:4 地を踏み鳴らした兵士の靴/血にまみれた軍服はことごとく/火に投げ込まれ、焼き尽くされた。
9:5 ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちに与えられた。権威が彼の肩にある。その名は、「驚くべき指導者、力ある神/永遠の父、平和の君」と唱えられる。
9:6 ダビデの王座とその王国に権威は増し/平和は絶えることがない。王国は正義と恵みの業によって/今もそしてとこしえに、立てられ支えられる。万軍の主の熱意がこれを成し遂げる。
◆北イスラエルの審判
9:7 主は御言葉をヤコブに対して送り/それはイスラエルにふりかかった。
福音書章句:ルカによる福音書2、1〜14
◆イエスの誕生
2:1 そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た。
2:2 これは、キリニウスがシリア州の総督であったときに行われた最初の住民登録である。
2:3 人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。
2:4 ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。
2:5 身ごもっていた、いいなずけのマリアと一緒に登録するためである。
2:6 ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、
2:7 初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。
◆羊飼いと天使
2:8 その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。
2:9 すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。
2:10 天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。
2:11 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。
2:12 あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」
2:13 すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。
2:14 「いと高きところには栄光、神にあれ、/地には平和、御心に適う人にあれ。」
今日聴くカンタータは、少し早いですが、降誕節第1日用のもので、ルターの同名コラールに基づくコラール・カンタータです。
第2曲にみられるトロープス技法(コラールをレチタティーヴォで敷衍するもの)は、第2年巻の初めに好まれた技法。楽器編成は3種3グループ(三位一体の象徴とみられる)のおおがかりなもので、クリスマスにふさわしい。しかし音調は華美に偏することなく、降誕の神秘に対する内的感動が、全曲を支配している。
バッハ事典(東京書籍)
1曲目のコラール合唱が壮麗で聴きごたえがあります。引用にあるように、全体的に華美になっている感じは受けません。第5曲目の二重唱は、実に美しく、ソプラノとアルトの見事な歌と、ヴァイオリンがユニゾンで加わります。付点リズムが特徴的です。
終結コラールは短いながらも、降誕の喜びを表すに相応しい、管楽器が冴える壮大なものです
ソプラノ;デートレフ・ブラチュケ
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヒ)
コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:三位一体節後第25日曜日
初演:1723年11月14日、ライプツィヒ
書簡章句:テサロニケの信徒への手紙一、4、13〜18
福音書章句:マタイによる福音書24、15〜28
歌詞;作者不詳。第5曲;M. ラモーのコラール「われらより取り去りたまえ、汝真実なる神よ」(1584)第7節(定旋律=「天にましますわれらの父よ」、BWV416)
編成:アルト、テノール、バス、合唱、トランペット、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜
構成:
第1曲:アリア(テノール、弦合奏、通奏低音、ニ短調、3/8)
第2曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第3曲:アリア(バス、トランペット、通奏低音、変ロ長調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第5曲;コラール(合唱、トランペット、弦合奏、通奏低音、ニ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:テサロニケの信徒への手紙一、4、13〜18
◆主は来られる
4:13 兄弟たち、既に眠りについた人たちについては、希望を持たないほかの人々のように嘆き悲しまないために、ぜひ次のことを知っておいてほしい。
4:14 イエスが死んで復活されたと、わたしたちは信じています。神は同じように、イエスを信じて眠りについた人たちをも、イエスと一緒に導き出してくださいます。
4:15 主の言葉に基づいて次のことを伝えます。主が来られる日まで生き残るわたしたちが、眠りについた人たちより先になることは、決してありません。
4:16 すなわち、合図の号令がかかり、大天使の声が聞こえて、神のラッパが鳴り響くと、主御自身が天から降って来られます。すると、キリストに結ばれて死んだ人たちが、まず最初に復活し、
4:17 それから、わたしたち生き残っている者が、空中で主と出会うために、彼らと一緒に雲に包まれて引き上げられます。このようにして、わたしたちはいつまでも主と共にいることになります。
4:18 ですから、今述べた言葉によって励まし合いなさい。
福音書章句:マタイによる福音書24、15〜28
◆大きな苦難を予告する
24:15 「預言者ダニエルの言った憎むべき破壊者が、聖なる場所に立つのを見たら——読者は悟れ——、
24:16 そのとき、ユダヤにいる人々は山に逃げなさい。
24:17 屋上にいる者は、家にある物を取り出そうとして下に降りてはならない。
24:18 畑にいる者は、上着を取りに帰ってはならない。
24:19 それらの日には、身重の女と乳飲み子を持つ女は不幸だ。
24:20 逃げるのが冬や安息日にならないように、祈りなさい。
24:21 そのときには、世界の初めから今までなく、今後も決してないほどの大きな苦難が来るからである。
24:22 神がその期間を縮めてくださらなければ、だれ一人救われない。しかし、神は選ばれた人たちのために、その期間を縮めてくださるであろう。
24:23 そのとき、『見よ、ここにメシアがいる』『いや、ここだ』と言う者がいても、信じてはならない。
24:24 偽メシアや偽預言者が現れて、大きなしるしや不思議な業を行い、できれば、選ばれた人たちをも惑わそうとするからである。
24:25 あなたがたには前もって言っておく。
24:26 だから、人が『見よ、メシアは荒れ野にいる』と言っても、行ってはならない。また、『見よ、奥の部屋にいる』と言っても、信じてはならない。
24:27 稲妻が東から西へひらめき渡るように、人の子も来るからである。
24:28 死体のある所には、はげ鷹が集まるものだ。」
先週同様に、規模の小さい、短いカンタータ。
1723年における一連の三位一体節後日曜日用カンタータの、最後の曲。前後の室内楽的カンタータのうちでも、もっとも規模が小さい。
バッハ事典(東京書籍)
器楽編成が小さく、トランペット、弦合奏、通奏低音のみとなっています。ダ・カーポ形式の1曲目のアリアは、トランペットが参加せずに、弦合奏と通奏低音のみです。簡素ですが、バ力強いテノールが全体を引っぱります。
第3曲目のアリアでは、トランペットが壮麗に響き渡ります。困難なフレーズですね。
自筆総譜には楽器指定が見当たらず、1761年のブライトコップフのカタログの記載を参考に、今日の演奏が行われるとのことです《バッハ事典(東京書籍)》
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヒ)
コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:三位一体節後第22日曜日
初演:1723年10月24日、ライプツィヒ
書簡章句:フィリピの信徒の手紙1、3〜11
福音書章句:マタイによる福音書18、23〜35
歌詞;作者不詳。第1曲;ホセア書11、8。第6曲;J. ヘールマンのコラール「われはいずこに逃れゆくべき」(1630)第7節(定旋律=BWV5)
編成:ソプラノ、アルト、バス、合唱、ホルン2、オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:アリア(バス、ホルン2、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ハ短調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第3曲:アリア(アルト、通奏低音、ニ短調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(ソプラノ、通奏低音)
第5曲;アリア(ソプラノ、オーボエ、通奏低音、変ロ長調、6/8)
第6曲;コラール(合唱、ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ト短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:フィリピの信徒の手紙1、3〜11
◆フィリピの信徒のための祈り
1:3 わたしは、あなたがたのことを思い起こす度に、わたしの神に感謝し、
1:4 あなたがた一同のために祈る度に、いつも喜びをもって祈っています。
1:5 それは、あなたがたが最初の日から今日まで、福音にあずかっているからです。
1:6 あなたがたの中で善い業を始められた方が、キリスト・イエスの日までに、その業を成し遂げてくださると、わたしは確信しています。
1:7 わたしがあなたがた一同についてこのように考えるのは、当然です。というのは、監禁されているときも、福音を弁明し立証するときも、あなたがた一同のことを、共に恵みにあずかる者と思って、心に留めているからです。
1:8 わたしが、キリスト・イエスの愛の心で、あなたがた一同のことをどれほど思っているかは、神が証ししてくださいます。
1:9 わたしは、こう祈ります。知る力と見抜く力とを身に着けて、あなたがたの愛がますます豊かになり、
1:10 本当に重要なことを見分けられるように。そして、キリストの日に備えて、清い者、とがめられるところのない者となり、
1:11 イエス・キリストによって与えられる義の実をあふれるほどに受けて、神の栄光と誉れとをたたえることができるように。
福音書章句:マタイによる福音書18、23〜35
18:23 そこで、天の国は次のようにたとえられる。ある王が、家来たちに貸した金の決済をしようとした。
18:24 決済し始めたところ、一万タラントン借金している家来が、王の前に連れて来られた。
18:25 しかし、返済できなかったので、主君はこの家来に、自分も妻も子も、また持ち物も全部売って返済するように命じた。
18:26 家来はひれ伏し、『どうか待ってください。きっと全部お返しします』としきりに願った。
18:27 その家来の主君は憐れに思って、彼を赦し、その借金を帳消しにしてやった。
18:28 ところが、この家来は外に出て、自分に百デナリオンの借金をしている仲間に出会うと、捕まえて首を絞め、『借金を返せ』と言った。
18:29 仲間はひれ伏して、『どうか待ってくれ。返すから』としきりに頼んだ。
18:30 しかし、承知せず、その仲間を引っぱって行き、借金を返すまでと牢に入れた。
18:31 仲間たちは、事の次第を見て非常に心を痛め、主君の前に出て事件を残らず告げた。
18:32 そこで、主君はその家来を呼びつけて言った。『不届きな家来だ。お前が頼んだから、借金を全部帳消しにしてやったのだ。
18:33 わたしがお前を憐れんでやったように、お前も自分の仲間を憐れんでやるべきではなかったか。』
18:34 そして、主君は怒って、借金をすっかり返済するまでと、家来を牢役人に引き渡した。
18:35 あなたがたの一人一人が、心から兄弟を赦さないなら、わたしの天の父もあなたがたに同じようになさるであろう。」
今日聴くのは比較的短いカンタータです。
1723年後半、集中的に書かれた小編成作品の最初の曲。
バッハ事典(東京書籍)
バスのアリアで曲が始まりますが、通奏低音の動きが印象的です。
ホルンは後年に追加されたとのこと《バッハ事典(東京書籍)》で、この演奏ではホルンを用いています
ソプラノ;マルクス・クライン(ハノーファー少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
バス;マックス・ファン・エグモント
ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヒ)
コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:三位一体節後第5日曜日
初演:1726年7月21日、ライプツィヒ
書簡章句:ペテロの手紙一、3、8〜15
福音書章句:ルカによる福音書5、1〜11
歌詞;ルードルシュタット1726。第1曲;エレミヤ書16、16。第4曲;ルカによる福音書5、10。第7曲;G. ノイマルクのコラール「尊き御神の統べしらすままにまつろい」(1657)第7節(定旋律=BWV434)
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、ホルン2、オーボエ・ダモーレ2、オーボエ・ダ・カチャ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1部;
第1曲:アリア(バス、ホルン2、オーボエ・ダモーレ2、オーボエ・ダ・カチャ、弦合奏、通奏低音、(緩)−アレグロ・エ・プレスト、ニ短調、6/8-2/2)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音、ホ短調、3/8)
第2部;
第4曲;アリオーソ(テノール、バス、弦合奏、通奏低音、ニ長調、4/4-3/4)
第5曲;二重唱(ソプラノ、アルト、オーボエ・ダモーレ2、ヴァイオリン、通奏低音、アレグロ、イ長調、4/4)
第6曲;レチタティーヴォ(ソプラノ、通奏低音)
第7曲;コラール(合唱、オーボエ・ダモーレ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、ロ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ペテロの手紙一、3、8〜15
◆正しいことのために苦しむ
3:8 終わりに、皆心を一つに、同情し合い、兄弟を愛し、憐れみ深く、謙虚になりなさい。
3:9 悪をもって悪に、侮辱をもって侮辱に報いてはなりません。かえって祝福を祈りなさい。祝福を受け継ぐためにあなたがたは召されたのです。
3:10 「命を愛し、/幸せな日々を過ごしたい人は、/舌を制して、悪を言わず、/唇を閉じて、偽りを語らず、
3:11 悪から遠ざかり、善を行い、/平和を願って、これを追い求めよ。
3:12 主の目は正しい者に注がれ、/主の耳は彼らの祈りに傾けられる。主の顔は悪事を働く者に対して向けられる。」
3:13 もし、善いことに熱心であるなら、だれがあなたがたに害を加えるでしょう。
3:14 しかし、義のために苦しみを受けるのであれば、幸いです。人々を恐れたり、心を乱したりしてはいけません。
3:15 心の中でキリストを主とあがめなさい。あなたがたの抱いている希望について説明を要求する人には、いつでも弁明できるように備えていなさい。
福音書章句:ルカによる福音書5、1〜11
◆漁師を弟子にする
5:1 イエスがゲネサレト湖畔に立っておられると、神の言葉を聞こうとして、群衆がその周りに押し寄せて来た。
5:2 イエスは、二そうの舟が岸にあるのを御覧になった。漁師たちは、舟から上がって網を洗っていた。
5:3 そこでイエスは、そのうちの一そうであるシモンの持ち舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして、腰を下ろして舟から群衆に教え始められた。
5:4 話し終わったとき、シモンに、「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた。
5:5 シモンは、「先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。
5:6 そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。
5:7 そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった。
5:8 これを見たシモン・ペトロは、イエスの足もとにひれ伏して、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者なのです」と言った。
5:9 とれた魚にシモンも一緒にいた者も皆驚いたからである。
5:10 シモンの仲間、ゼベダイの子のヤコブもヨハネも同様だった。すると、イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる。」
5:11 そこで、彼らは舟を陸に引き上げ、すべてを捨ててイエスに従った。
ルードルシュタット詩華撰による歌詞をもつカンタータの一つ。
『ルードルシュタット詩華撰』による作品のひとつ。やはりシンメトリカルな2部構成をとり、核となる新約の聖句(第4曲)を中心に、冒頭楽曲と終結コラールが対応する。そしてその間に、2つのレチタティーヴォとアリアが、対称をなす形で置かれている。この構成をもとにカンタータは、イエスが使徒ペテロを「召す」という福音書章句のテーマを、キリスト者個人の問題として掘り下げてゆく。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲が実に印象的ですね。バスが朗々と歌い、ホルン、オーボエ・ダモーレ、オボーエ・ダ・カッチャがそれを盛りたてます。
第4曲のアリオーソでは、テノールが福音史家を、バスがイエスを担当しています。
全体を通して、声楽陣が見事に全体を引っ張っていますね
ソプラノ;マルクス・クライン(ハノーファー少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヒ)
コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:復活節後第5日曜日
初演:1725年5月6日、ライプツィヒ
書簡章句:ヤコブの手紙1、22〜27
福音書章句:ヨハネによる福音書16、23〜30
歌詞;ツィーグラー1728。第1、5曲;ヨハネによる福音書16、24および33。第7曲;H. ミューラーのコラール「魂は幸いなり」(1659)第9節(定旋律=「イエスよ、わが喜び」、BWV358)
編成:アルト、テノール、バス、合唱、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:アリア(バス、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦合奏、通奏低音、ニ短調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第3曲:アリア(アルト、オーボエ・ダ・カッチャ2、通奏低音、ト短調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(テノール、弦合奏、通奏低音)
第5曲;アリア(バス、通奏低音、ハ短調、3/8)
第6曲;アリア(テノール、弦合奏、通奏低音、変ロ長調、12/8)
第7曲;コラール(合唱、オーボエ、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦合奏、通奏低音、ニ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ヤコブの手紙1、22〜27
1:22 御言葉を行う人になりなさい。自分を欺いて、聞くだけで終わる者になってはいけません。
1:23 御言葉を聞くだけで行わない者がいれば、その人は生まれつきの顔を鏡に映して眺める人に似ています。
1:24 鏡に映った自分の姿を眺めても、立ち去ると、それがどのようであったか、すぐに忘れてしまいます。
1:25 しかし、自由をもたらす完全な律法を一心に見つめ、これを守る人は、聞いて忘れてしまう人ではなく、行う人です。このような人は、その行いによって幸せになります。
1:26 自分は信心深い者だと思っても、舌を制することができず、自分の心を欺くならば、そのような人の信心は無意味です。
1:27 みなしごや、やもめが困っているときに世話をし、世の汚れに染まらないように自分を守ること、これこそ父である神の御前に清く汚れのない信心です。
福音書章句:ヨハネによる福音書16、23〜30
16:23 その日には、あなたがたはもはや、わたしに何も尋ねない。はっきり言っておく。あなたがたがわたしの名によって何かを父に願うならば、父はお与えになる。
16:24 今までは、あなたがたはわたしの名によっては何も願わなかった。願いなさい。そうすれば与えられ、あなたがたは喜びで満たされる。」
◆イエスは既に勝っている
16:25 「わたしはこれらのことを、たとえを用いて話してきた。もはやたとえによらず、はっきり父について知らせる時が来る。
16:26 その日には、あなたがたはわたしの名によって願うことになる。わたしがあなたがたのために父に願ってあげる、とは言わない。
16:27 父御自身が、あなたがたを愛しておられるのである。あなたがたが、わたしを愛し、わたしが神のもとから出て来たことを信じたからである。
16:28 わたしは父のもとから出て、世に来たが、今、世を去って、父のもとに行く。」
16:29 弟子たちは言った。「今は、はっきりとお話しになり、少しもたとえを用いられません。
16:30 あなたが何でもご存じで、だれもお尋ねする必要のないことが、今、分かりました。これによって、あなたが神のもとから来られたと、わたしたちは信じます。」
先週と同じく復活節後第5日曜日のためのカンタータ。
女流詩人ツィーグラーの台本による3作目。冒頭と中間に聖句の引用が行われるため、全体ははっきり2部に分かれる。
バッハ事典(東京書籍)
第1〜4曲が前半で、悔い改めがテーマとなっています。一方第5曲目以降の後半では、慰めを内包したテーマとなっています。オーボエとオーボエ・ダ・カッチャが実にうまく使われており、カンタータの内容を見事に表現していますね
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デア・メール
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:復活節後第5日曜日
初演:1724年5月14日、ライプツィヒ
書簡章句:ヤコブの手紙1、22〜27
福音書章句:ヨハネによる福音書16、23〜30
歌詞;作者不詳。第1曲;ヨハネによる福音書16、23。第3曲;G. グリューンヴァルトのコラール「わがもとに来たれと神の御子語りたもう」(1530)第16節(定旋律=BWV74/8)。第6曲;P. スペラートゥスのコラール「われらに救いの来たれるは」(1523)第11節(定旋律=BWV251)
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜
構成:
第1曲:アリオーソ(バス、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ホ長調、2/2)
第2曲:アリア(アルト、独奏ヴァイオリン、通奏低音、イ長調、3/4)
第3曲:コラール(ソプラノ、オーボエ・ダモーレ2、通奏低音、嬰ヘ短調、6/8)
第4曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第5曲;アリア(テノール、弦合奏、通奏低音、ホ長調、4/4)
第5曲;コラール(合唱、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ホ長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ヤコブの手紙1、22〜27
1:22 御言葉を行う人になりなさい。自分を欺いて、聞くだけで終わる者になってはいけません。
1:23 御言葉を聞くだけで行わない者がいれば、その人は生まれつきの顔を鏡に映して眺める人に似ています。
1:24 鏡に映った自分の姿を眺めても、立ち去ると、それがどのようであったか、すぐに忘れてしまいます。
1:25 しかし、自由をもたらす完全な律法を一心に見つめ、これを守る人は、聞いて忘れてしまう人ではなく、行う人です。このような人は、その行いによって幸せになります。
1:26 自分は信心深い者だと思っても、舌を制することができず、自分の心を欺くならば、そのような人の信心は無意味です。
1:27 みなしごや、やもめが困っているときに世話をし、世の汚れに染まらないように自分を守ること、これこそ父である神の御前に清く汚れのない信心です。
福音書章句:ヨハネによる福音書16、23〜30
16:23 その日には、あなたがたはもはや、わたしに何も尋ねない。はっきり言っておく。あなたがたがわたしの名によって何かを父に願うならば、父はお与えになる。
16:24 今までは、あなたがたはわたしの名によっては何も願わなかった。願いなさい。そうすれば与えられ、あなたがたは喜びで満たされる。」
◆イエスは既に勝っている
16:25 「わたしはこれらのことを、たとえを用いて話してきた。もはやたとえによらず、はっきり父について知らせる時が来る。
16:26 その日には、あなたがたはわたしの名によって願うことになる。わたしがあなたがたのために父に願ってあげる、とは言わない。
16:27 父御自身が、あなたがたを愛しておられるのである。あなたがたが、わたしを愛し、わたしが神のもとから出て来たことを信じたからである。
16:28 わたしは父のもとから出て、世に来たが、今、世を去って、父のもとに行く。」
16:29 弟子たちは言った。「今は、はっきりとお話しになり、少しもたとえを用いられません。
16:30 あなたが何でもご存じで、だれもお尋ねする必要のないことが、今、分かりました。これによって、あなたが神のもとから来られたと、わたしたちは信じます。」
今日聴くのは第1年巻中最後のカンタータの一つ
冒頭にイエスの恵みの約束(章句第23章)を掲げて出発するため、神の恵みが今豊かに降り注ぐかのような、喜ばしい印象を与える。しかし現世の生活は、それとは裏腹の苦難に満ちている。そこでカンタータは以後、御言葉を信じ、正しき時におけるその成就を待つべきことを説いてゆく。
バッハ事典(東京書籍)
器楽群が、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音という非常に簡素な作りをしていますが、「聴かせる」カンタータとなっています。1曲目のアリオーソは、バスと器楽パートが美しく調和しています。
第2曲目のアリアでは、独奏ヴァイオリンとアルトが実に美しく絡み合っています。
なお自筆総譜には編成が欠けていて、オリジナル・パート譜が現存せず、編成には不明点が多い《バッハ事典(東京書籍)》とのことです
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(テルツ少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デア・メール
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:復活節後第2日曜日
初演:1725年4月15日、ライプツィヒ
書簡章句:ペテロの手紙一、2、21〜25
福音書章句:ヨハネによる福音書10、12〜16
歌詞;作者不詳。第1曲;ヨハネによる福音書10、12。第3曲;C. ベッカーのコラール「主はわが真実なる牧者にいませば」(1598)第1節(定旋律=ドイツ語グローリア「いと高きところでは神にのみ栄光あれ」(BWV260)。第6曲;E. Ch. ホルムブルクのコラール「神はわが盾、護り手なり」(1658)第4節(定旋律=「100の宗教的アリア」(ドレースデン、1694)所収)
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、オーボエ2、ヴィオロンチェロ・ピッコロ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:アリア(バス、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ハ短調、4/4)
第2曲:アリア(アルト、ヴィオロンチェロ・ピッコロ、通奏低音、ト短調、4/4)
第3曲:コラール(ソプラノ、オーボエ2、通奏低音、変ロ長調、3/4)
第4曲;レチタティーヴォ(テノール、弦合奏、通奏低音)
第5曲;アリア(テノール、弦合奏、通奏低音、変ホ長調、9/8)
第5曲;コラール(合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ハ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ペテロの手紙一、2、21〜25
2:21 あなたがたが召されたのはこのためです。というのは、キリストもあなたがたのために苦しみを受け、その足跡に続くようにと、模範を残されたからです。
2:22 「この方は、罪を犯したことがなく、/その口には偽りがなかった。」
2:23 ののしられてもののしり返さず、苦しめられても人を脅さず、正しくお裁きになる方にお任せになりました。
2:24 そして、十字架にかかって、自らその身にわたしたちの罪を担ってくださいました。わたしたちが、罪に対して死んで、義によって生きるようになるためです。そのお受けになった傷によって、あなたがたはいやされました。
2:25 あなたがたは羊のようにさまよっていましたが、今は、魂の牧者であり、監督者である方のところへ戻って来たのです。
福音書章句:ヨハネによる福音書10、12〜16
10:12 羊飼いでなく、自分の羊を持たない雇い人は、狼が来るのを見ると、羊を置き去りにして逃げる。——狼は羊を奪い、また追い散らす。——
10:13 彼は雇い人で、羊のことを心にかけていないからである。
10:14 わたしは良い羊飼いである。わたしは自分の羊を知っており、羊もわたしを知っている。
10:15 それは、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じである。わたしは羊のために命を捨てる。
10:16 わたしには、この囲いに入っていないほかの羊もいる。その羊をも導かなければならない。その羊もわたしの声を聞き分ける。こうして、羊は一人の羊飼いに導かれ、一つの群れになる。
「牧者としてのイエス」を取り上げたカンタータ。
こうした「牧者」の譬えは田園的で穏やかなイメージを想起させるもので、実際BWV104と112ではそのイメージで詩と音楽が綴られた。しかし、このBWV85は牧者のイメージとしてのイエスの本質をその「犠牲死」に見、他の2作にはない教訓的な要素を盛り込みつつ展開されている。
バッハ事典(東京書籍)
器楽編成は簡素ですが、オーボエ、弦楽器を巧みに使って、引用にある牧者のイエスのイメージを表現しています。
2曲目のアリアでは、アーノンクールの弾くヴィオロンチェロ・ピッコロが、非常に印象的な旋律を奏で、アルトの美しい歌声に華を添えます
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(テルツ少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デア・メール
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:復活節前第9日曜日
初演:1727年2月9日、ライプツィヒ
書簡章句:コリントの信徒への手紙一、9、24〜10、5
福音書章句:マタイによる福音書20、1〜16
歌詞;ピガンダー1728に基づく。第5曲;エミーリエ・ユリアーネ・シュヴァルツブルク=ルードルシュタットのコラール「たれぞ知らん、わが終わりの近づけるを」(1686)第12節(定旋律=「尊き御神の統べしらすままにまつろい」、BWV434)
編成:ソプラノ、合唱、オーボエ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:アリア(オーボエ、弦合奏、通奏低音、ホ短調、3/4)
第2曲:レチタティーヴォ(通奏低音)
第3曲:アリア(オーボエ、弦合奏、通奏低音、ト長調、3/8)
第4曲;レチタティーヴォ(弦合奏、通奏低音)
第5曲;コラール(合唱、オーボエ、弦合奏、通奏低音、ロ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:コリントの信徒への手紙一、9、24〜10、5
9:24 あなたがたは知らないのですか。競技場で走る者は皆走るけれども、賞を受けるのは一人だけです。あなたがたも賞を得るように走りなさい。
9:25 競技をする人は皆、すべてに節制します。彼らは朽ちる冠を得るためにそうするのですが、わたしたちは、朽ちない冠を得るために節制するのです。
9:26 だから、わたしとしては、やみくもに走ったりしないし、空を打つような拳闘もしません。
9:27 むしろ、自分の体を打ちたたいて服従させます。それは、他の人々に宣教しておきながら、自分の方が失格者になってしまわないためです。
[ 10 ]
◆偶像への礼拝に対する警告
10:1 兄弟たち、次のことはぜひ知っておいてほしい。わたしたちの先祖は皆、雲の下におり、皆、海を通り抜け、
10:2 皆、雲の中、海の中で、モーセに属するものとなる洗礼を授けられ、
10:3 皆、同じ霊的な食物を食べ、
10:4 皆が同じ霊的な飲み物を飲みました。彼らが飲んだのは、自分たちに離れずについて来た霊的な岩からでしたが、この岩こそキリストだったのです。
10:5 しかし、彼らの大部分は神の御心に適わず、荒れ野で滅ぼされてしまいました。
福音書章句:マタイによる福音書20、1〜16
◆「ぶどう園の労働者」のたとえ
20:1 「天の国は次のようにたとえられる。ある家の主人が、ぶどう園で働く労働者を雇うために、夜明けに出かけて行った。
20:2 主人は、一日につき一デナリオンの約束で、労働者をぶどう園に送った。
20:3 また、九時ごろ行ってみると、何もしないで広場に立っている人々がいたので、
20:4 『あなたたちもぶどう園に行きなさい。ふさわしい賃金を払ってやろう』と言った。
20:5 それで、その人たちは出かけて行った。主人は、十二時ごろと三時ごろにまた出て行き、同じようにした。
20:6 五時ごろにも行ってみると、ほかの人々が立っていたので、『なぜ、何もしないで一日中ここに立っているのか』と尋ねると、
20:7 彼らは、『だれも雇ってくれないのです』と言った。主人は彼らに、『あなたたちもぶどう園に行きなさい』と言った。
20:8 夕方になって、ぶどう園の主人は監督に、『労働者たちを呼んで、最後に来た者から始めて、最初に来た者まで順に賃金を払ってやりなさい』と言った。
20:9 そこで、五時ごろに雇われた人たちが来て、一デナリオンずつ受け取った。
20:10 最初に雇われた人たちが来て、もっと多くもらえるだろうと思っていた。しかし、彼らも一デナリオンずつであった。
20:11 それで、受け取ると、主人に不平を言った。
20:12 『最後に来たこの連中は、一時間しか働きませんでした。まる一日、暑い中を辛抱して働いたわたしたちと、この連中とを同じ扱いにするとは。』
20:13 主人はその一人に答えた。『友よ、あなたに不当なことはしていない。あなたはわたしと一デナリオンの約束をしたではないか。
20:14 自分の分を受け取って帰りなさい。わたしはこの最後の者にも、あなたと同じように支払ってやりたいのだ。
20:15 自分のものを自分のしたいようにしては、いけないか。それとも、わたしの気前のよさをねたむのか。』
20:16 このように、後にいる者が先になり、先にいる者が後になる。」
ソプラノ独唱用のカンタータ。第3年巻に含まれます。
天国は人の業応じては開かれないと語る当日の福音書章句をもとに、おのがものに満足すべしとの教えを展開する。台本は1728年に出版されたピガンダーの詩集に基づくが、細部はかなり異なっている。器楽パートは簡素で、合唱は終結コラールのみで用いられている。
バッハ事典(東京書籍)
簡素な楽器編成ですが、オーボエが実にうまく使われています。第3曲目のアリアでは、オーボエに独奏ヴァイオリンが加わり、見事な美しさを醸し出しています。わずか二つの楽器ですが、極上の美しさがあります
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(テルツ少年合唱団員)
テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:マリアの潔めの祝日
初演:1727年2月2日、ライプツィヒ(再演;1727年2月2日)
書簡章句:マラキ書3、1〜4
福音書章句:ルカによる福音書2、22〜32
歌詞;作者不詳。第2曲;ルカによる福音書2、29-31。第5曲;M. ルターのコラール「平安と歓喜もてわれはいく」(1524)第4節(定旋律=BWV382)。
編成:アルト、テノール、バス、ホルン2、オーボエ2、ヴァイオリン コンチェルタート、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:アリア(アルト、ホルン2、オーボエ2、ヴァイオリン・コンチェルタート、弦合奏、通奏低音、ヘ短調、4/4)
第2曲:イントナツィオーネとレチタティーヴォ(バス、弦合奏、通奏低音、6/8 - 4/4 - 6/8)
第3曲:アリア(テノール、ヴァイオリン・コンチェルタート、弦合奏、通奏低音、ヘ長調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第5曲;コラール(合唱、ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ニ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:マラキ書3、1〜4
3:1 見よ、わたしは使者を送る。彼はわが前に道を備える。あなたたちが待望している主は/突如、その聖所に来られる。あなたたちが喜びとしている契約の使者/見よ、彼が来る、と万軍の主は言われる。
3:2 だが、彼の来る日に誰が身を支えうるか。彼の現れるとき、誰が耐えうるか。彼は精錬する者の火、洗う者の灰汁のようだ。
3:3 彼は精錬する者、銀を清める者として座し/レビの子らを清め/金や銀のように彼らの汚れを除く。彼らが主に献げ物を/正しくささげる者となるためである。
3:4 そのとき、ユダとエルサレムの献げ物は/遠い昔の日々に/過ぎ去った年月にそうであったように/主にとって好ましいものとなる。
福音書章句:ルカによる福音書2、22〜32
◆神殿で献げられる
2:22 さて、モーセの律法に定められた彼らの清めの期間が過ぎたとき、両親はその子を主に献げるため、エルサレムに連れて行った。
2:23 それは主の律法に、「初めて生まれる男子は皆、主のために聖別される」と書いてあるからである。
2:24 また、主の律法に言われているとおりに、山鳩一つがいか、家鳩の雛二羽をいけにえとして献げるためであった。
2:25 そのとき、エルサレムにシメオンという人がいた。この人は正しい人で信仰があつく、イスラエルの慰められるのを待ち望み、聖霊が彼にとどまっていた。
2:26 そして、主が遣わすメシアに会うまでは決して死なない、とのお告げを聖霊から受けていた。
2:27 シメオンがメ霊モに導かれて神殿の境内に入って来たとき、両親は、幼子のために律法の規定どおりにいけにえを献げようとして、イエスを連れて来た。
2:28 シメオンは幼子を腕に抱き、神をたたえて言った。
2:29 「主よ、今こそあなたは、お言葉どおり/この僕を安らかに去らせてくださいます。
2:30 わたしはこの目であなたの救いを見たからです。
2:31 これは万民のために整えてくださった救いで、
2:32 異邦人を照らす啓示の光、/あなたの民イスラエルの誉れです。」
今日聴くのは、先週聴いた「BWV82 われは足れり」と同じく、「マリアの潔めの祝日」のためのカンタータです。
ここでは、福音書章句の語るシメオン老人の感動を背景に、死の瞬間を、信仰がイエスを抱く喜びの時として捉える。音楽に現れた眩いばかりの明るさは、キリスト教信仰の本質を端的に示すものとして、われわれの驚きを誘う。
バッハ事典(東京書籍)
このブログの記事は、主に《バッハ事典(東京書籍)》を参考にして書いています。今日のカンタータのところを読んでいると、編成の部分に、「vn cinc.」と書かれていました。「conc.」は「コンチェルタート」で協奏的パートという意味だそうです。第1、3曲のアリアで出てきますが、「独奏ヴァイオリンを中心とする協奏曲風の器楽楽節」(バッハ事典(東京書籍))と書かれています。実際に、協奏曲的な曲に声楽パートが加わるという感じですね。引用した福音書章句の箇所にある「喜び」がうまく表現されていると思います。
第2曲目の「イントナツィオーネ」ですが、「蒼古な詩篇唱定式」と書かれています。弦楽器に乗せて、バスが朗々と歌う様は実に見事ですね。マックス・ファン・エグモントの素晴らしさが際立っています。
ホルンの持つ響きと、弦楽器の持つ柔らかな響きに、声楽陣の独唱が見事に組み合わされ、「喜び」を実に生き生きと描いているカンタータです
アルト;ウィーン少年合唱団員
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
ウィーン少年合唱団・ウィーン合唱隊
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:マリアの潔めの祝日
初演:1727年2月2日、ライプツィヒ(再演;おそらく1731年2月2日〔第2稿〕、1735年2月2日〔第1、2稿〕、1735年以降〔第3稿〕、1746/47年および1747/48年〔第4項〕)
書簡章句:マラキ書3、1〜4
福音書章句:ルカによる福音書2、22〜32
歌詞;作者不詳。
編成:バス、オーボエ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:アリア(オーボエ、弦合奏、通奏低音、ハ短調、3/8)
第2曲:レチタティーヴォ(通奏低音)
第3曲:アリア(弦合奏、通奏低音、変ホ長調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(通奏低音)
第5曲;アリア(オーボエ、弦合奏、通奏低音、ハ短調、3/8)
基本テキスト;
書簡章句:マラキ書3、1〜4
3:1 見よ、わたしは使者を送る。彼はわが前に道を備える。あなたたちが待望している主は/突如、その聖所に来られる。あなたたちが喜びとしている契約の使者/見よ、彼が来る、と万軍の主は言われる。
3:2 だが、彼の来る日に誰が身を支えうるか。彼の現れるとき、誰が耐えうるか。彼は精錬する者の火、洗う者の灰汁のようだ。
3:3 彼は精錬する者、銀を清める者として座し/レビの子らを清め/金や銀のように彼らの汚れを除く。彼らが主に献げ物を/正しくささげる者となるためである。
3:4 そのとき、ユダとエルサレムの献げ物は/遠い昔の日々に/過ぎ去った年月にそうであったように/主にとって好ましいものとなる。
福音書章句:ルカによる福音書2、22〜32
◆神殿で献げられる
2:22 さて、モーセの律法に定められた彼らの清めの期間が過ぎたとき、両親はその子を主に献げるため、エルサレムに連れて行った。
2:23 それは主の律法に、「初めて生まれる男子は皆、主のために聖別される」と書いてあるからである。
2:24 また、主の律法に言われているとおりに、山鳩一つがいか、家鳩の雛二羽をいけにえとして献げるためであった。
2:25 そのとき、エルサレムにシメオンという人がいた。この人は正しい人で信仰があつく、イスラエルの慰められるのを待ち望み、聖霊が彼にとどまっていた。
2:26 そして、主が遣わすメシアに会うまでは決して死なない、とのお告げを聖霊から受けていた。
2:27 シメオンがメ霊モに導かれて神殿の境内に入って来たとき、両親は、幼子のために律法の規定どおりにいけにえを献げようとして、イエスを連れて来た。
2:28 シメオンは幼子を腕に抱き、神をたたえて言った。
2:29 「主よ、今こそあなたは、お言葉どおり/この僕を安らかに去らせてくださいます。
2:30 わたしはこの目であなたの救いを見たからです。
2:31 これは万民のために整えてくださった救いで、
2:32 異邦人を照らす啓示の光、/あなたの民イスラエルの誉れです。」
バス独唱用のカンタータ。
1726年から着手された第3年巻には、独唱用カンタータが多数含まれている。なかでもこのBWV82は、BWV56と並ぶバス独唱用の名曲として、広く知られる逸品である。
バッハ事典(東京書籍)
合唱もなく、まったくのバスの独唱用となっています。器楽編成も簡素で、オーボエ、弦合奏、通奏低音というもの。しかし、ここで何度か触れていますが、バッハがカンタータの中でオーボエを見事に駆使している典型的な例ですね。一曲目のアリアは、その真骨頂ではないでしょうか。
当初はアルト用として構想されていたものの、第1曲完成後にバス用に改作。その後も何度も改訂しており、ソプラノ用〔第2稿〕、アルト用〔第3稿〕もあり、最終稿〔第4稿〕がバス用となっています。第2、3曲は、《アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集第2巻》にも記入されています《バッハ事典(東京書籍)》。
引用にある通り、まさに《逸品》と言える作品。簡素な作りの中にも、ありったけの美しさに満ちています
バス;フィリップ・ファッテロッハー
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:顕現節後第4日曜日
初演:1724年1月30日、ライプツィヒ
書簡章句:ローマの信徒への手紙13、8〜10
福音書章句:マタイによる福音書8、23〜27
歌詞;作者不詳。第4曲;マタイによる福音書8、26。第7曲;J. フランクのコラール「イエスよ、わが喜び」(1650)第2節(定旋律=BWV358)
編成:アルト、バス、合唱、リコーダー2、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:アリア(アルト、リコーダー2、弦合奏、通奏低音、ホ短調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、弦合奏、通奏低音、アレグロ、ト長調、3/8-4/4-3/8)
第4曲;アリオーソ(バス、通奏低音、ロ短調、4/4)
第5曲;アリア(バス、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ホ短調、4/4)
第6曲;レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第7曲;コラール(合唱、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ホ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ローマの信徒への手紙13、8〜10
◆隣人愛
13:8 互いに愛し合うことのほかは、だれに対しても借りがあってはなりません。人を愛する者は、律法を全うしているのです。
13:9 「姦淫するな、殺すな、盗むな、むさぼるな」、そのほかどんな掟があっても、「隣人を自分のように愛しなさい」という言葉に要約されます。
13:10 愛は隣人に悪を行いません。だから、愛は律法を全うするものです。
福音書章句:マタイによる福音書8、23〜27
◆嵐を静める
8:23 イエスが舟に乗り込まれると、弟子たちも従った。
8:24 そのとき、湖に激しい嵐が起こり、舟は波にのまれそうになった。イエスは眠っておられた。
8:25 弟子たちは近寄って起こし、「主よ、助けてください。おぼれそうです」と言った。
8:26 イエスは言われた。「なぜ怖がるのか。信仰の薄い者たちよ。」そして、起き上がって風と湖とをお叱りになると、すっかり凪になった。
8:27 人々は驚いて、「いったい、この方はどういう方なのだろう。風や湖さえも従うではないか」と言った
イエスが嵐を静めた光景を題材にしたカンタータ。
当日の福音書章句の伝えるこの出来事をふまえたBWV81は、一幅の絵画を見るような、鮮やかな印象を目覚めさす。写実の主役を演ずるのは独唱アリアおよび中央のアリオーソで、合唱は、終結コラールで用いられるのみである。カンタータは、眠るイエスの姿と苦難に瀕したキリスト者のおののきとを対置する形で始まり、逆巻く海にイエスが呼びかける劇的な場面を経て、目覚めた主に庇護される幸福への表現へとたどり着く。
バッハ事典(東京書籍)
アリアから曲が始まります。どこか憂いを感じます。『典型的な「まどろみのアリア」バッハ事典(東京書籍)』ということです。
第3曲目のアリアは、弦楽器が激しく動きます。歌詞の内容が、福音書章句の内容、イエスが信仰が薄い者へ恐れるなと指摘している部分をうまく表現しています。合奏協奏曲のような感じを受けますね。
曲全体を通して楽器編成が簡素で、引用にあるように基本は独唱ですが(合唱が終結コラールのみ)、それぞれのシーンで弦楽器と声楽パートがうまく福音書章句の光景をうまく表現しています
アルト;ポール・エスウッド
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:宗教改革記念日
初演:1724年10月31日?、ライプツィヒ
書簡章句:テサロニケの信徒への手紙二、2、3〜8
福音書章句:ヨハネの黙示録14、6〜8
歌詞;フランク1715に基づく。第1、2、5、8曲;M. ルターの同名コラール(1526/28)第1-4節(定旋律=BWV302)
編成:ソプラノ、アルト、バス、合唱、オーボエ2、オーボエ・ダモーレ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音(のちにフリーデマンがトランペット3、ティンパニを付加)
基本資料:自筆総譜(断片)、J. C. アルトニコルによる総譜の写し
構成:
第1曲:コラール(合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ニ長調、4/4)
第2曲:アリア(バス)とコラール(ソプラノ)(オーボエ、通奏低音、ニ長調、4/4)
第3曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第4曲;アリア(ソプラノ、通奏低音、ロ短調、12/8)
第5曲;コラール合唱(オーボエ・ダモーレ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、ニ長調、6/8)
第6曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第7曲;二重唱(アルト、テノール、オーボエ・ダ・カッチャ、ヴァイオリン、通奏低音、ト長調、3/4)
第8曲;コラール(合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ニ長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:テサロニケの信徒への手紙二、2、3〜88
2:3 だれがどのような手段を用いても、だまされてはいけません。なぜなら、まず、神に対する反逆が起こり、不法の者、つまり、滅びの子が出現しなければならないからです。
2:4 この者は、すべて神と呼ばれたり拝まれたりするものに反抗して、傲慢にふるまい、ついには、神殿に座り込み、自分こそは神であると宣言するのです。
2:5 まだわたしがあなたがたのもとにいたとき、これらのことを繰り返し語っていたのを思い出しませんか。
2:6 今、彼を抑えているものがあることは、あなたがたも知っているとおりです。それは、定められた時に彼が現れるためなのです。
2:7 不法の秘密の力は既に働いています。ただそれは、今のところ抑えている者が、取り除かれるまでのことです。
2:8 その時が来ると、不法の者が現れますが、主イエスは彼を御自分の口から吐く息で殺し、来られるときの御姿の輝かしい光で滅ぼしてしまわれます。
福音書章句:ヨハネの黙示録14、6〜8
◆三人の天使の言葉
14:6 わたしはまた、別の天使が空高く飛ぶのを見た。この天使は、地上に住む人々、あらゆる国民、種族、言葉の違う民、民族に告げ知らせるために、永遠の福音を携えて来て、
14:7 大声で言った。「神を畏れ、その栄光をたたえなさい。神の裁きの時が来たからである。天と地、海と水の源を創造した方を礼拝しなさい。」
14:8 また、別の第二の天使が続いて来て、こう言った。「倒れた。大バビロンが倒れた。怒りを招くみだらな行いのぶどう酒を、諸国の民に飲ませたこの都が。」
先週聴いた「BWV79 主なる神は日なり、盾なり-」と同じく、宗教改革記念日用のカンタータ。
《われらが神は堅き砦》《神はわが櫓》は、反福音主義勢力との戦いに臨んで神への熱烈な信頼を歌う、ルターの有名なコラール。このコラールを柱としたBWV80は、ルターとバッハの強い精神的絆を示す作品として知られている。ただしこれは、1715年の復活節前第4日曜日に演奏された《すべて神によりて生まれし者は》BWV80a(歌詞のみ現存)の、ライプツィヒにおける発展的改作である。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲目のコラールの大合唱が印象的です。バッハ事典(東京書籍)によれば、
精緻な対位法技巧を結集させた、雄渾な大合唱曲。いわゆるコラール・モテットの形をとり、コラールの各行が、フーガ風に展開される。この手法は、堅き砦としての神の掟を象徴するものである。各行の終わりでは、オーボエがコラール旋律をあらためて提示し、通奏低音によってカノン模倣される。
とされています。
第7曲のアルトとテノールによる二重唱が、実に美しい。オーボエ・ダ・カッチャとヴァイオリンがその二重唱を支えます。終結のルターのコラールも、実に力強いもので、見事な合唱が聴きどころです。
躍動感に溢れたカンタータです
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(テルツ少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第5巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10925/30)
用途:宗教改革記念日
初演:1725年10月31日、ライプツィヒ(再演;恐らく1730年10月31日)
書簡章句:テサロニケの信徒への手紙一、2、3〜8
福音書章句:ヨハネの黙示録14、6〜8
歌詞;作者不詳。第1曲;詩篇84、11。第3曲;リンカルトのコラール「いざやもろ人、神に感謝せよ」(1636)第1節(定旋律=BWV252)。第6曲;L. ヘルムボルトのコラール「いざ、われらを主なる神に委ねよ」(1573)第8節
編成:ソプラノ、アルト、バス、合唱、ホルン2、ティンパニ、フラウト・トラヴェルソ2(再演時の付加)、オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール(合唱、ホルン2、ティンパニ、フラウト・トラヴェルソ2、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ト長調、2/2)
第2曲:アリア(アルト、オーボエ(またはフラウト・トラヴェルソ)、通奏低音、ニ長調、6/8)
第3曲:コラール(合唱、ホルン2、ティンパニ、フラウト・トラヴェルソ2、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第5曲;二重唱(ソプラノ、バス、ヴァイオリン、通奏低音、ロ短調、4/4)
第6曲;コラール(合唱、ホルン2、ティンパニ、フラウト・トラヴェルソ2、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ト長調、3/4)
基本テキスト;
書簡章句:テサロニケの信徒への手紙一、2、3〜8
2:3 わたしたちの宣教は、迷いや不純な動機に基づくものでも、また、ごまかしによるものでもありません。
2:4 わたしたちは神に認められ、福音をゆだねられているからこそ、このように語っています。人に喜ばれるためではなく、わたしたちの心を吟味される神に喜んでいただくためです。
2:5 あなたがたが知っているとおり、わたしたちは、相手にへつらったり、口実を設けてかすめ取ったりはしませんでした。そのことについては、神が証ししてくださいます。
2:6 また、あなたがたからもほかの人たちからも、人間の誉れを求めませんでした。
2:7 わたしたちは、キリストの使徒として権威を主張することができたのです。しかし、あなたがたの間で幼子のようになりました。ちょうど母親がその子供を大事に育てるように、
2:8 わたしたちはあなたがたをいとおしく思っていたので、神の福音を伝えるばかりでなく、自分の命さえ喜んで与えたいと願ったほどです。あなたがたはわたしたちにとって愛する者となったからです。
福音書章句:ヨハネの黙示録14、6〜8
◆三人の天使の言葉
14:6 わたしはまた、別の天使が空高く飛ぶのを見た。この天使は、地上に住む人々、あらゆる国民、種族、言葉の違う民、民族に告げ知らせるために、永遠の福音を携えて来て、
14:7 大声で言った。「神を畏れ、その栄光をたたえなさい。神の裁きの時が来たからである。天と地、海と水の源を創造した方を礼拝しなさい。」
14:8 また、別の第二の天使が続いて来て、こう言った。「倒れた。大バビロンが倒れた。怒りを招くみだらな行いのぶどう酒を、諸国の民に飲ませたこの都が。」
レオンハルト、アーノンクールによる教会カンタータ全集をBWVの順番に聴いていますが、今日から第5巻に入ります(まだ半分にも達していないのですね。先は長い・・・)。
宗教改革記念日は、ルターの95箇条の論題提示から150年目の、1667年に制定された祝日である。しかしこの日のためにバッハが新作したカンタータは、現存するかぎりこのBWV79のみで、他は転用である(BWV80と76の第1部)。台本は、「主なる神は日なり、盾なり」という詩篇84の有名な句をモットーとして掲げ、教皇勢との対立を随所に織り込みながらも、神の強い護りに対する讃美と感謝を打ち出す。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲目の合唱ですが、管弦楽曲とも言える壮大なもの。45小節にも及びます。ホルンとオーボエが見事に活躍します。第2曲目のアルトによるアリアですが、オーボエを従え、のどかな雰囲気を醸しています。第6曲目のコラールは、3拍子によるコラール(珍しいそうです)。この曲の中でキーポイントとなるホルンとティンパニのコンビが再び登場します。簡素なコラールですが、締めくくりとして非常に美しい楽曲です。
全体を通して、ホルンの持つ「牧歌的」な雰囲気が出ていますね。なお、レオンハルトはフラウト・トラヴェルソをこの曲では使っていません
ソプラノ;デートレフ・ブラチュケ(ハノーファー少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
バス;マックス・ファン・エグムント
合唱;ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヘ)
コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1977−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:三位一体節後第14日曜日
初演:1724年9月10日、ライプツィヒ(再演;1730年代後半?)
書簡章句:ガラテヤの信徒への手紙5、16〜24
福音書章句:ルカによる福音書17、11〜19
歌詞;作者不詳。第1、3、5、7曲;J. リストの同名コラール(1641)第1、3a、4b、10b、12節(定旋律=BWV352)。第2〜6曲;同名コラール他説の書き換え。
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール(合唱、ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ト短調、3/4)
第2曲:二重唱(ソプラノ、アルト、ヴィオローネ、通奏低音、変ロ長調、4/4)
第3曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第4曲;アリア(テノール、フラウト・トラヴェルソ、通奏低音、ト短調、6/8)
第5曲;レチタティーヴォ(バス、オーボエ、弦合奏、通奏低音)
第6曲;アリア(バス、オーボエ、弦合奏、通奏低音、ハ短調、4/4)
第7曲;コラール(合唱、ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ト短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ガラテヤの信徒への手紙5、16〜24
◆霊の実と肉の業
5:16 わたしが言いたいのは、こういうことです。霊の導きに従って歩みなさい。そうすれば、決して肉の欲望を満足させるようなことはありません。
5:17 肉の望むところは、霊に反し、霊の望むところは、肉に反するからです。肉と霊とが対立し合っているので、あなたがたは、自分のしたいと思うことができないのです。
5:18 しかし、霊に導かれているなら、あなたがたは、律法の下にはいません。
5:19 肉の業は明らかです。それは、姦淫、わいせつ、好色、
5:20 偶像礼拝、魔術、敵意、争い、そねみ、怒り、利己心、不和、仲間争い、
5:21 ねたみ、泥酔、酒宴、その他このたぐいのものです。以前言っておいたように、ここでも前もって言いますが、このようなことを行う者は、神の国を受け継ぐことはできません。
5:22 これに対して、霊の結ぶ実は愛であり、喜び、平和、寛容、親切、善意、誠実、
5:23 柔和、節制です。これらを禁じる掟はありません。
5:24 キリスト・イエスのものとなった人たちは、肉を欲情や欲望もろとも十字架につけてしまったのです
福音書章句:ルカによる福音書17、11〜19
◆重い皮膚病を患っている十人の人をいやす
17:11 イエスはエルサレムへ上る途中、サマリアとガリラヤの間を通られた。
17:12 ある村に入ると、重い皮膚病を患っている十人の人が出迎え、遠くの方に立ち止まったまま、
17:13 声を張り上げて、「イエスさま、先生、どうか、わたしたちを憐れんでください」と言った。
17:14 イエスは重い皮膚病を患っている人たちを見て、「祭司たちのところに行って、体を見せなさい」と言われた。彼らは、そこへ行く途中で清くされた。
17:15 その中の一人は、自分がいやされたのを知って、大声で神を賛美しながら戻って来た。
17:16 そして、イエスの足もとにひれ伏して感謝した。この人はサマリア人だった。
17:17 そこで、イエスは言われた。「清くされたのは十人ではなかったか。ほかの九人はどこにいるのか。
17:18 この外国人のほかに、神を賛美するために戻って来た者はいないのか。」
17:19 それから、イエスはその人に言われた。「立ち上がって、行きなさい。あなたの信仰があなたを救った。」
日曜日ごとに聴いている教会カンタータ。レオンハルト、アーノンクールによる全集をBWVの順番に聴いていますが、今日聴くのは10巻ある全集の第4巻の最後の曲です。リストの同名コラールに基づくコラール・カンタータです。
福音書章句の語るらい病人(*)の治癒をふまえ、より本質的な癒し、すなわち「キリストの犠牲死による魂の救い」というテーマを取り上げる。音楽は完成度が高いとともに、全編、珠玉のような美しさに溢れており、バッハのカンタータの中でもとくに愛聴される作品の一つとなっている。
バッハ事典(東京書籍)
壮大なスケールの第1曲目のコラール(合唱)が冒頭を勤めます。《バッハ事典(東京書籍)》によれば、主題はラメント・バス(BWV12で使われ、のちに《ロ短調ミサ曲》の〈十字架につけられて〉で用いられたもの)の類型による半音下降句で、受難の悲劇性を、基調として表現する、とのこと。オルガンに導かれて始まる第2曲目の二重唱では、コントラバスがピッチカートで演奏されます。
第4曲目のアリアでは、フラウト・トラヴェルソが美しい旋律を奏でます。きびきびとした演奏が特徴的な第6曲目のアリアですが、オーボエ協奏曲のような感じを受けます。器楽協奏曲からの転用とする説もある《バッハ事典(東京書籍)》とのことです。バスの独唱も見事です
(*)以前、「BWV73 主よ、御心のままに、わが身の上になし給え」のところでも触れましたが、バッハ事典(東京書籍)やCDの解説には、「らい病人」と記載されていますが、今日の福音書章句の引用のところにあるように、現在の聖書では「重い皮膚病を患っている人」となっています。古い聖書では「らい病人」と書かれていましたが、すべてがそうではないだろうということで、重い皮膚病を患っている人というのが現在の考えです
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(テルツ少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:三位一体節後第13日曜日
初演:1723年8月23日、ライプツィヒ
書簡章句:ガラテヤの信徒への手紙3、15〜22
福音書章句:ルカによる福音書10、23〜37
歌詞;作者不詳。クナウアー1720に基づく。第1曲;ルカによる福音書10、27。第6曲;コラール、ただし自筆譜では歌詞の指定なし(定旋律=「ああ神よ、天より見そなわし」BWV2)
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、トランペット、オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜
構成:
第1曲:合唱(トランペット、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ハ長調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第3曲:アリア(ソプラノ、オーボエ2、通奏低音、イ短調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(テノール、弦合奏、通奏低音)
第5曲;アリア(アルト、トランペット、通奏低音、ニ短調、3/4)
第6曲;コラール(合唱、トランペット、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ニ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ガラテヤの信徒への手紙3、15〜22
◆律法と約束
3:15 兄弟たち、分かりやすく説明しましょう。人の作った遺言でさえ、法律的に有効となったら、だれも無効にしたり、それに追加したりはできません。
3:16 ところで、アブラハムとその子孫に対して約束が告げられましたが、その際、多くの人を指して「子孫たちとに」とは言われず、一人の人を指して「あなたの子孫とに」と言われています。この「子孫」とは、キリストのことです。
3:17 わたしが言いたいのは、こうです。神によってあらかじめ有効なものと定められた契約を、それから四百三十年後にできた律法が無効にして、その約束を反故にすることはないということです。
3:18 相続が律法に由来するものなら、もはや、それは約束に由来するものではありません。しかし神は、約束によってアブラハムにその恵みをお与えになったのです。
3:19 では、律法とはいったい何か。律法は、約束を与えられたあの子孫が来られるときまで、違犯を明らかにするために付け加えられたもので、天使たちを通し、仲介者の手を経て制定されたものです。
3:20 仲介者というものは、一人で事を行う場合には要りません。約束の場合、神はひとりで事を運ばれたのです。
◆奴隷ではなく神の子である
3:21 それでは、律法は神の約束に反するものなのでしょうか。決してそうではない。万一、人を生かすことができる律法が与えられたとするなら、確かに人は律法によって義とされたでしょう。
3:22 しかし、聖書はすべてのものを罪の支配下に閉じ込めたのです。それは、神の約束が、イエス・キリストへの信仰によって、信じる人々に与えられるようになるためでした。
福音書章句:ルカによる福音書10、23〜37
10:23 それから、イエスは弟子たちの方を振り向いて、彼らだけに言われた。「あなたがたの見ているものを見る目は幸いだ。
10:24 言っておくが、多くの預言者や王たちは、あなたがたが見ているものを見たかったが、見ることができず、あなたがたが聞いているものを聞きたかったが、聞けなかったのである。」
◆善いサマリア人
10:25 すると、ある律法の専門家が立ち上がり、イエスを試そうとして言った。「先生、何をしたら、永遠の命を受け継ぐことができるでしょうか。」
10:26 イエスが、「律法には何と書いてあるか。あなたはそれをどう読んでいるか」と言われると、
10:27 彼は答えた。「『心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい、また、隣人を自分のように愛しなさい』とあります。」
10:28 イエスは言われた。「正しい答えだ。それを実行しなさい。そうすれば命が得られる。」
10:29 しかし、彼は自分を正当化しようとして、「では、わたしの隣人とはだれですか」と言った。
10:30 イエスはお答えになった。「ある人がエルサレムからエリコへ下って行く途中、追いはぎに襲われた。追いはぎはその人の服をはぎ取り、殴りつけ、半殺しにしたまま立ち去った。
10:31 ある祭司がたまたまその道を下って来たが、その人を見ると、道の向こう側を通って行った。
10:32 同じように、レビ人もその場所にやって来たが、その人を見ると、道の向こう側を通って行った。
10:33 ところが、旅をしていたあるサマリア人は、そばに来ると、その人を見て憐れに思い、
10:34 近寄って傷に油とぶどう酒を注ぎ、包帯をして、自分のろばに乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。
10:35 そして、翌日になると、デナリオン銀貨二枚を取り出し、宿屋の主人に渡して言った。『この人を介抱してください。費用がもっとかかったら、帰りがけに払います。』
10:36 さて、あなたはこの三人の中で、だれが追いはぎに襲われた人の隣人になったと思うか。」
10:37 律法の専門家は言った。「その人を助けた人です。」そこで、イエスは言われた。「行って、あなたも同じようにしなさい。」
このところ続いていますが、今日聴くのもライプツィヒ第1年のカンタータです。
律法による束縛から人を解放しようと努めたイエスは、律法の普遍的な真理が、神を愛せ、隣人を愛せの2項に集約されると考えた。三位一体節後第13日曜日の礼拝主題はこの「愛」の考察であるが、これは、バッハにいたるルター正統派が、とりわけ関心を注いだ主題である。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲目の合唱が、実に美しい印象があります。トランペットが、ルターのコラール「これぞ聖なる十戒」を演奏します。器楽群も簡素ですが、トランペットとオーボエを効果的に用いて、「汝の主なる神を愛すべし」というタイトルを表現していますね
ソプラノ;デートレフ・ブラチュケ(ハノーファー少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;アーダルベルト・クラウス
バス;マックス・ファン・エグモント
合唱;ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニネ)、コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:三位一体節後第2日曜日
初演:1723年6月6日、ライプツィヒ(再演;1724年10月31日または1725年6月10日〔以上2部〕)
書簡章句:ヨハネの手紙一、3、13〜18
福音書章句:ルカによる福音書14、16〜24
歌詞;作者不詳。第1曲;詩篇19、2および4。第7、14曲;M. ルターのコラール「願がわくば神われらを恵みて」(1523)第1、3節(定旋律=BWV311)
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、トランペット、オーボエ2、オーボエ・ダモーレ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1部;
第1曲:合唱(トランペット、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ハ長調、3/4)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、弦合奏、通奏低音)
第3曲:アリア(ソプラノ、独奏ヴァイオリン、通奏低音、ト長調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第5曲;アリア(バス、トランペット、通奏低音、ハ長調、4/4)
第6曲;レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第7曲;コラール(合唱、トランペット、弦合奏、通奏低音、イ短調(フリギア調)、4/4)
第2部;
第8曲;シンフォニア(オーボエ・ダモーレ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、通奏低音、アダージョ−ヴィヴァーチェ、ホ短調、4/4-3/4)
第9曲;レチタティーヴォ(バス、弦合奏、通奏低音)
第10曲;アリア(テノール、通奏低音、イ短調、3/4)
第11曲;レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第12曲;アリア(アルト、オーボエ・ダモーレ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、通奏低音、ホ短調、9/8)
第13曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第14曲;コラール(合唱、トランペット、弦合奏、通奏低音、イ短調(フリギア調)、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ヨハネの手紙一、3、13〜18
3:13 だから兄弟たち、世があなたがたを憎んでも、驚くことはありません。
3:14 わたしたちは、自分が死から命へと移ったことを知っています。兄弟を愛しているからです。愛することのない者は、死にとどまったままです。
3:15 兄弟を憎む者は皆、人殺しです。あなたがたの知っているとおり、すべて人殺しには永遠の命がとどまっていません。
3:16 イエスは、わたしたちのために、命を捨ててくださいました。そのことによって、わたしたちは愛を知りました。だから、わたしたちも兄弟のために命を捨てるべきです。
3:17 世の富を持ちながら、兄弟が必要な物に事欠くのを見て同情しない者があれば、どうして神の愛がそのような者の内にとどまるでしょう。
3:18 子たちよ、言葉や口先だけではなく、行いをもって誠実に愛し合おう。
福音書章句:ルカによる福音書14、16〜24
14:16 そこで、イエスは言われた。「ある人が盛大な宴会を催そうとして、大勢の人を招き、
14:17 宴会の時刻になったので、僕を送り、招いておいた人々に、『もう用意ができましたから、おいでください』と言わせた。
14:18 すると皆、次々に断った。最初の人は、『畑を買ったので、見に行かねばなりません。どうか、失礼させてください』と言った。
14:19 ほかの人は、『牛を二頭ずつ五組買ったので、それを調べに行くところです。どうか、失礼させてください』と言った。
14:20 また別の人は、『妻を迎えたばかりなので、行くことができません』と言った。
14:21 僕は帰って、このことを主人に報告した。すると、家の主人は怒って、僕に言った。『急いで町の広場や路地へ出て行き、貧しい人、体の不自由な人、目の見えない人、足の不自由な人をここに連れて来なさい。』
14:22 やがて、僕が、『御主人様、仰せのとおりにいたしましたが、まだ席があります』と言うと、
14:23 主人は言った。『通りや小道に出て行き、無理にでも人々を連れて来て、この家をいっぱいにしてくれ。
14:24 言っておくが、あの招かれた人たちの中で、わたしの食事を味わう者は一人もいない。』
今日聴くのは、聖トーマス教会における初仕事にあたるカンタータで、先週聴いた大作カンタータ「BWV75 乏しき者は食らいて」の初演の翌週に演奏され、こちらも2部から成る大作です。
全体の構成(2部分、全14楽章)、詩篇句に基づく大合唱曲による第1部の導入と器楽シンフォニアによる第2部の導入、同一の器楽伴奏付きコラールによる両部分の締め、両部分2曲ずつのアリアなど種々の点で、BWV75と共通する特徴を示している。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲のトランペットを伴ったスケールの大きな合唱が印象的です。第1部ではトランペット、第2部ではオーボエ・ダモーレが活躍します。また第2部でのヴィオラ・ダ・ガンバはアーノンクールが演奏しています。
第2部の冒頭のシンフォニアは、「BWV528 トリオ・ソナタ 第4番 ホ短調」の第1楽章でお馴染みの旋律で、失われたトリオ楽曲からの転用と推定されています《バッハ事典(東京書籍)》。
それぞれ部の最終のコラールが、実に力強く生き生きとしています。ここでもトランペットが活躍しますが、トランペットの奏でるコラールの旋律を合唱が反復する形をとっています
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(ウィーン少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミットガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:三位一体節後第1日曜日
初演:1723年5月30日、ライプツィヒ
書簡章句:ヨハネの手紙一、4、16〜21
福音書章句:ルカによる福音書16、19〜31
歌詞;作者不詳。第1曲;詩篇22、27。第7、14曲;S. ローディガストのコラール「神なしたもう御業こそいと善けれ」(1674)第5、6節(定旋律=BWV250)
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、トランペット、オーボエ2、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1部;
第1曲:合唱(オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ホ短調、3/4 - 4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、オーボエ、弦合奏、通奏低音、ト長調、3/4)
第4曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第5曲;アリア(ソプラノ、オーボエ・ダモーレ、通奏低音、イ短調、3/8)
第6曲;レチタティーヴォ(ソプラノ、通奏低音)
第7曲;コラール(合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
第2部;
第8曲;シンフォニア(トランペット、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
第9曲;レチタティーヴォ(アルト、弦合奏、通奏低音)
第10曲;アリア(アルト、ヴァイオリン、通奏低音、ホ短調、3/8)
第11曲;レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第12曲;アリア(バス、トランペット、弦合奏、通奏低音、ハ長調、4/4)
第13曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第14曲;コラール(合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ヨハネの手紙一、4、16〜21
4:16 わたしたちは、わたしたちに対する神の愛を知り、また信じています。神は愛です。愛にとどまる人は、神の内にとどまり、神もその人の内にとどまってくださいます。
4:17 こうして、愛がわたしたちの内に全うされているので、裁きの日に確信を持つことができます。この世でわたしたちも、イエスのようであるからです。
4:18 愛には恐れがない。完全な愛は恐れを締め出します。なぜなら、恐れは罰を伴い、恐れる者には愛が全うされていないからです。
4:19 わたしたちが愛するのは、神がまずわたしたちを愛してくださったからです。
4:20 「神を愛している」と言いながら兄弟を憎む者がいれば、それは偽り者です。目に見える兄弟を愛さない者は、目に見えない神を愛することができません。
4:21 神を愛する人は、兄弟をも愛すべきです。これが、神から受けた掟です。
福音書章句:ルカによる福音書16、19〜31
◆金持ちとラザロ
16:19 「ある金持ちがいた。いつも紫の衣や柔らかい麻布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮らしていた。
16:20 この金持ちの門前に、ラザロというできものだらけの貧しい人が横たわり、
16:21 その食卓から落ちる物で腹を満たしたいものだと思っていた。犬もやって来ては、そのできものをなめた。
16:22 やがて、この貧しい人は死んで、天使たちによって宴席にいるアブラハムのすぐそばに連れて行かれた。金持ちも死んで葬られた。
16:23 そして、金持ちは陰府でさいなまれながら目を上げると、宴席でアブラハムとそのすぐそばにいるラザロとが、はるかかなたに見えた。
16:24 そこで、大声で言った。『父アブラハムよ、わたしを憐れんでください。ラザロをよこして、指先を水に浸し、わたしの舌を冷やさせてください。わたしはこの炎の中でもだえ苦しんでいます。』
16:25 しかし、アブラハムは言った。『子よ、思い出してみるがよい。お前は生きている間に良いものをもらっていたが、ラザロは反対に悪いものをもらっていた。今は、ここで彼は慰められ、お前はもだえ苦しむのだ。
16:26 そればかりか、わたしたちとお前たちの間には大きな淵があって、ここからお前たちの方へ渡ろうとしてもできないし、そこからわたしたちの方に越えて来ることもできない。』
16:27 金持ちは言った。『父よ、ではお願いです。わたしの父親の家にラザロを遣わしてください。
16:28 わたしには兄弟が五人います。あの者たちまで、こんな苦しい場所に来ることのないように、よく言い聞かせてください。』
16:29 しかし、アブラハムは言った。『お前の兄弟たちにはモーセと預言者がいる。彼らに耳を傾けるがよい。』
16:30 金持ちは言った。『いいえ、父アブラハムよ、もし、死んだ者の中からだれかが兄弟のところに行ってやれば、悔い改めるでしょう。』
16:31 アブラハムは言った。『もし、モーセと預言者に耳を傾けないのなら、たとえ死者の中から生き返る者があっても、その言うことを聞き入れはしないだろう。』」
今日聴くのは「大作」カンタータで、トーマス・カントール正式就任後の、カンタータ第1作です。
1723年の『ライプツィヒ年代記』には、「(5月)30日、すなわち三位一体節後第1日曜日に、ケーテン候宮廷からやってきた新任のカントル兼音楽監督、バッハ氏が彼の最初の音楽を演奏し、充分な喝采を博した」と書かれており、聖ニコライ教会におけるこの曲の演奏がライプツィヒにおいても「大きな出来事」(デュル)であったことをうかがわせる。作曲はケーテン時代に行われていたのだろう。内容は、地上での富の追求を戒め、貧しさを、神の御心として受け入れるべきことを説く。バッハはこれを、14の楽章(14はバッハの数であるため、これをバッハのサインとする説がある)を擁する、オラトリオ的規模の大作へと仕上げた。
バッハ事典(東京書籍)
2部から成る大作。いずれも、声楽パートが実にしっかりしており、聴き応えのあるカンタータです。第1部はオーボエの美しさ、第2部はそこにトランペットが加わって、豪華な雰囲気となります
ソプラノ;マルクス・クライン(ハノーファー少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;アーダルベルト・クラウス
バス;マックス・ファン・エグモント
合唱;ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニネ)、コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:聖霊降臨後第1日
初演:1725年5月20日、ライプツィヒ
書簡章句:使徒言行録2、1〜13
福音書章句:ヨハネによる福音書14、2〜31
歌詞;ツィーグラー1728。第1、4曲;ヨハネによる福音書14、23および28。第6曲;ローマの信徒への手紙8、1。第8曲;P. ゲールハルトのコラール「父なる神よ、汝の御霊を遣わし」(1653)第2節
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、トランペット3、ティンパニ、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:合唱(トランペット3、ティンパニ、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、ハ長調、4/4)
第2曲:アリア(ソプラノ、オーボエ・ダ・カッチャ、通奏低音、ヘ長調、4/4)
第3曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第4曲;アリア(バス、通奏低音、ホ短調、4/4)
第5曲;アリア(テノール、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
第6曲;レチタティーヴォ(バス、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、通奏低音)
第7曲;アリア(アルト、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、、独奏ヴァイオリン、弦合奏、通奏低音、ハ長調、3/8)
第8曲;コラール(合唱、トランペット、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、イ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:使徒言行録2、1〜13
◆聖霊が降る
2:1 五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、
2:2 突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。
2:3 そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。
2:4 すると、一同は聖霊に満たされ、メ霊モが語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。
2:5 さて、エルサレムには天下のあらゆる国から帰って来た、信心深いユダヤ人が住んでいたが、
2:6 この物音に大勢の人が集まって来た。そして、だれもかれも、自分の故郷の言葉が話されているのを聞いて、あっけにとられてしまった。
2:7 人々は驚き怪しんで言った。「話をしているこの人たちは、皆ガリラヤの人ではないか。
2:8 どうしてわたしたちは、めいめいが生まれた故郷の言葉を聞くのだろうか。
2:9 わたしたちの中には、パルティア、メディア、エラムからの者がおり、また、メソポタミア、ユダヤ、カパドキア、ポントス、アジア、
2:10 フリギア、パンフィリア、エジプト、キレネに接するリビア地方などに住む者もいる。また、ローマから来て滞在中の者、
2:11 ユダヤ人もいれば、ユダヤ教への改宗者もおり、クレタ、アラビアから来た者もいるのに、彼らがわたしたちの言葉で神の偉大な業を語っているのを聞こうとは。」
2:12 人々は皆驚き、とまどい、「いったい、これはどういうことなのか」と互いに言った。
2:13 しかし、「あの人たちは、新しいぶどう酒に酔っているのだ」と言って、あざける者もいた。
福音書章句:ヨハネによる福音書14、2〜31
14:2 わたしの父の家には住む所がたくさんある。もしなければ、あなたがたのために場所を用意しに行くと言ったであろうか。
14:3 行ってあなたがたのために場所を用意したら、戻って来て、あなたがたをわたしのもとに迎える。こうして、わたしのいる所に、あなたがたもいることになる。
14:4 わたしがどこへ行くのか、その道をあなたがたは知っている。」
14:5 トマスが言った。「主よ、どこへ行かれるのか、わたしたちには分かりません。どうして、その道を知ることができるでしょうか。」
14:6 イエスは言われた。「わたしは道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、だれも父のもとに行くことができない。
14:7 あなたがたがわたしを知っているなら、わたしの父をも知ることになる。今から、あなたがたは父を知る。いや、既に父を見ている。」
14:8 フィリポが「主よ、わたしたちに御父をお示しください。そうすれば満足できます」と言うと、
14:9 イエスは言われた。「フィリポ、こんなに長い間一緒にいるのに、わたしが分かっていないのか。わたしを見た者は、父を見たのだ。なぜ、『わたしたちに御父をお示しください』と言うのか。
14:10 わたしが父の内におり、父がわたしの内におられることを、信じないのか。わたしがあなたがたに言う言葉は、自分から話しているのではない。わたしの内におられる父が、その業を行っておられるのである。
14:11 わたしが父の内におり、父がわたしの内におられると、わたしが言うのを信じなさい。もしそれを信じないなら、業そのものによって信じなさい。
14:12 はっきり言っておく。わたしを信じる者は、わたしが行う業を行い、また、もっと大きな業を行うようになる。わたしが父のもとへ行くからである。
14:13 わたしの名によって願うことは、何でもかなえてあげよう。こうして、父は子によって栄光をお受けになる。
14:14 わたしの名によって何かを願うならば、わたしがかなえてあげよう。」
◆聖霊を与える約束
14:15 「あなたがたは、わたしを愛しているならば、わたしの掟を守る。
14:16 わたしは父にお願いしよう。父は別の弁護者を遣わして、永遠にあなたがたと一緒にいるようにしてくださる。
14:17 この方は、真理の霊である。世は、この霊を見ようとも知ろうともしないので、受け入れることができない。しかし、あなたがたはこの霊を知っている。この霊があなたがたと共におり、これからも、あなたがたの内にいるからである。
14:18 わたしは、あなたがたをみなしごにはしておかない。あなたがたのところに戻って来る。
14:19 しばらくすると、世はもうわたしを見なくなるが、あなたがたはわたしを見る。わたしが生きているので、あなたがたも生きることになる。
14:20 かの日には、わたしが父の内におり、あなたがたがわたしの内におり、わたしもあなたがたの内にいることが、あなたがたに分かる。
14:21 わたしの掟を受け入れ、それを守る人は、わたしを愛する者である。わたしを愛する人は、わたしの父に愛される。わたしもその人を愛して、その人にわたし自身を現す。」
14:22 イスカリオテでない方のユダが、「主よ、わたしたちには御自分を現そうとなさるのに、世にはそうなさらないのは、なぜでしょうか」と言った。
14:23 イエスはこう答えて言われた。「わたしを愛する人は、わたしの言葉を守る。わたしの父はその人を愛され、父とわたしとはその人のところに行き、一緒に住む。
14:24 わたしを愛さない者は、わたしの言葉を守らない。あなたがたが聞いている言葉はわたしのものではなく、わたしをお遣わしになった父のものである。
14:25 わたしは、あなたがたといたときに、これらのことを話した。
14:26 しかし、弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、あなたがたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる。
14:27 わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな。
14:28 『わたしは去って行くが、また、あなたがたのところへ戻って来る』と言ったのをあなたがたは聞いた。わたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くのを喜んでくれるはずだ。父はわたしよりも偉大な方だからである。
14:29 事が起こったときに、あなたがたが信じるようにと、今、その事の起こる前に話しておく。
14:30 もはや、あなたがたと多くを語るまい。世の支配者が来るからである。だが、彼はわたしをどうすることもできない。
14:31 わたしが父を愛し、父がお命じになったとおりに行っていることを、世は知るべきである。さあ、立て。ここから出かけよう。」
今日聴くカンタータは、以前聴いた「BWV59 人もしわれを愛せば、わが言を守らん」の第1、4曲から転用されています。それぞれ、第1、2曲目に転用されており、第3曲目以下が新たに作曲されたものとなっています。
異なる台本をこのように扱ったのは、ツィーグラーの新しい詩が、旧台本と同じヨハネ福音書の聖句をもって開始されていたためである。ツィーグラーは、当日の福音書章句から2節を引用し、さらに「ローマ人への手紙」からの引用を織り込みつつ、聖霊への心の宿りを願い、その降臨を祝するテキストを書いた。バッハはその冒頭合唱にBWV59の第1曲(二重唱)、第2曲に同第4曲(バス・アリア)の音楽をあてて、第3曲以下を新作している。後半に二つのアリアが付加されたことにより、カンタータには、大祝日にふさわしい風格が与えられた。
バッハ事典(東京書籍)
聖霊降臨節第1日の用途にぴったりの、大きな規模のカンタータとなっています。トランペット、ティンパニ、オーボエ、オーボエ・ダ・カッチャと、かなりたくさんの楽器が登場し、声楽パートも豊たかです。後半のアリアは、引用にあるように、このカンタータの中の一つのアクセントになっており、見事な声楽パートを美しい器楽パートが支えます。特に弦楽器の美しさが際立ちますね
ソプラノ;イェルク・エルラー(ハノーファー少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
合唱;ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニネ)、コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:顕現節後第3日曜日
初演:1724年1月23日、ライプツィヒ(再演;1732/35年)
書簡章句:ローマの手紙12、17〜21
福音書章句:マタイによる福音書8、1〜13
歌詞;作者不詳。第1曲;K. ピーネマンの同名コラール(1582)第1節(定旋律=「主なる神われらの側にいまさずして」、BWV258)。第5曲;L. ヘルムボルトのコラール「われは神より離れまじ」(1563)第9節(定旋律=BWV417)
編成:ソプラノ、テノール、バス、合唱、ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール(合唱)とレチタティーヴォ(ソプラノ、テノール、バス)(ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ト短調、4/4)
第2曲:アリア(テノール、オーボエ、通奏低音、変ホ長調、4/4)
第3曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第4曲;アリア(バス、弦合奏、通奏低音、ハ短調、3/4)
第5曲;コラール(合唱、ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ハ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ローマの手紙12、17〜21
12:17 だれに対しても悪に悪を返さず、すべての人の前で善を行うように心がけなさい。
12:18 できれば、せめてあなたがたは、すべての人と平和に暮らしなさい。
12:19 愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。「『復讐はわたしのすること、わたしが報復する』と主は言われる」と書いてあります。
12:20 「あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませよ。そうすれば、燃える炭火を彼の頭に積むことになる。」
12:21 悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい
福音書章句:マタイによる福音書8、1〜13
◆重い皮膚病を患っている人をいやす
8:1 イエスが山を下りられると、大勢の群衆が従った。
8:2 すると、一人の重い皮膚病を患っている人がイエスに近寄り、ひれ伏して、「主よ、御心ならば、わたしを清くすることがおできになります」と言った。
8:3 イエスが手を差し伸べてその人に触れ、「よろしい。清くなれ」と言われると、たちまち、重い皮膚病は清くなった。
8:4 イエスはその人に言われた。「だれにも話さないように気をつけなさい。ただ、行って祭司に体を見せ、モーセが定めた供え物を献げて、人々に証明しなさい。」
◆百人隊長の僕をいやす
8:5 さて、イエスがカファルナウムに入られると、一人の百人隊長が近づいて来て懇願し、
8:6 「主よ、わたしの僕が中風で家に寝込んで、ひどく苦しんでいます」と言った。
8:7 そこでイエスは、「わたしが行って、いやしてあげよう」と言われた。
8:8 すると、百人隊長は答えた。「主よ、わたしはあなたを自分の屋根の下にお迎えできるような者ではありません。ただ、ひと言おっしゃってください。そうすれば、わたしの僕はいやされます。
8:9 わたしも権威の下にある者ですが、わたしの下には兵隊がおり、一人に『行け』と言えば行きますし、他の一人に『来い』と言えば来ます。また、部下に『これをしろ』と言えば、そのとおりにします。」
8:10 イエスはこれを聞いて感心し、従っていた人々に言われた。「はっきり言っておく。イスラエルの中でさえ、わたしはこれほどの信仰を見たことがない。
8:11 言っておくが、いつか、東や西から大勢の人が来て、天の国でアブラハム、イサク、ヤコブと共に宴会の席に着く。
8:12 だが、御国の子らは、外の暗闇に追い出される。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。」
8:13 そして、百人隊長に言われた。「帰りなさい。あなたが信じたとおりになるように。」ちょうどそのとき、僕の病気はいやされた。
先週聴いた「BWV72 すべてはただ神の御心のままに」と同じ用途(用途:顕現節後第3日曜日)のカンタータ。
第1曲目のオブリガートのホルンのパートは、再演時にはオルガン用に書き換えられています。合唱が実に美しいです。
第2曲目のアリアは、オーボエの美しさとテノールの見事な歌い方が魅力的です。何度かここで触れていますが、バッハはカンタータにおいて、オーボエを実に見事に使いますね。
*バッハ事典(東京書籍)やCDの解説には、「らい病人」と記載されていますが、今日の福音書章句の引用のところにあるように、現在の聖書では「重い皮膚病を患っている人」となっています。古い聖書では「らい病人」と書かれていましたが、すべてがそうではないということで、重い皮膚病を患っている人というのが現在の考えです。この本が出た時にはすでに聖書の方は改定されていたのですが・・・
ソプラノ;イェルク・エルラー(ウィーン少年合唱団員)
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
合唱;ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニネ)、コレギウム・ヴォーカレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:顕現節後第3日曜日
初演:1726年1月27日、ライプツィヒ
書簡章句:ローマの手紙12、17〜21
福音書章句:マタイによる福音書8、1〜13
歌詞;フランク1715。第6曲;ブランデンブルク辺境伯アルブレヒトのコラール「わが神の御心のままに、常にならせたまえ」(1547)第1節(定旋律=BWV65/7)
編成:ソプラノ、アルト、バス、合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:合唱(オーボエ2、弦合奏、通奏低音、イ短調、3/4)
第2曲:レチタティーヴォとアリオーソ(アルト、通奏低音)
第3曲:アリア(アルト、ヴァイオリン2、通奏低音、ヴィヴァーチェ、ニ短調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第5曲;アリア(ソプラノ、オーボエ、弦合奏、通奏低音、ハ長調、3/4)
第6曲;コラール(合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、イ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ローマの手紙12、17〜21
12:17 だれに対しても悪に悪を返さず、すべての人の前で善を行うように心がけなさい。
12:18 できれば、せめてあなたがたは、すべての人と平和に暮らしなさい。
12:19 愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。「『復讐はわたしのすること、わたしが報復する』と主は言われる」と書いてあります。
12:20 「あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませよ。そうすれば、燃える炭火を彼の頭に積むことになる。」
12:21 悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい
福音書章句:マタイによる福音書8、1〜13
◆重い皮膚病を患っている人をいやす
8:1 イエスが山を下りられると、大勢の群衆が従った。
8:2 すると、一人の重い皮膚病を患っている人がイエスに近寄り、ひれ伏して、「主よ、御心ならば、わたしを清くすることがおできになります」と言った。
8:3 イエスが手を差し伸べてその人に触れ、「よろしい。清くなれ」と言われると、たちまち、重い皮膚病は清くなった。
8:4 イエスはその人に言われた。「だれにも話さないように気をつけなさい。ただ、行って祭司に体を見せ、モーセが定めた供え物を献げて、人々に証明しなさい。」
◆百人隊長の僕をいやす
8:5 さて、イエスがカファルナウムに入られると、一人の百人隊長が近づいて来て懇願し、
8:6 「主よ、わたしの僕が中風で家に寝込んで、ひどく苦しんでいます」と言った。
8:7 そこでイエスは、「わたしが行って、いやしてあげよう」と言われた。
8:8 すると、百人隊長は答えた。「主よ、わたしはあなたを自分の屋根の下にお迎えできるような者ではありません。ただ、ひと言おっしゃってください。そうすれば、わたしの僕はいやされます。
8:9 わたしも権威の下にある者ですが、わたしの下には兵隊がおり、一人に『行け』と言えば行きますし、他の一人に『来い』と言えば来ます。また、部下に『これをしろ』と言えば、そのとおりにします。」
8:10 イエスはこれを聞いて感心し、従っていた人々に言われた。「はっきり言っておく。イスラエルの中でさえ、わたしはこれほどの信仰を見たことがない。
8:11 言っておくが、いつか、東や西から大勢の人が来て、天の国でアブラハム、イサク、ヤコブと共に宴会の席に着く。
8:12 だが、御国の子らは、外の暗闇に追い出される。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。」
8:13 そして、百人隊長に言われた。「帰りなさい。あなたが信じたとおりになるように。」ちょうどそのとき、僕の病気はいやされた。
珍しく二日続けてカンタータを聴きます。
良き時にも悪しき時にも、おのれのすべてを神に委ねるー。これはキリスト教信仰においてもっとも重要、かつ甘美な想念のひとつといっていいだろう。BWV72は、全曲がこの想念をめぐる形で構成されている。
バッハ事典(東京書籍)
昨日聴いたカンタータ「BWV71 神はいにしえよりわが王なり」とは対照的に、楽器はオーボエ2、弦合奏、通奏低音のみとかなり小さくなります。引用にある通り、神に祈ることについて、深く掘り下げた感じが見られます。
3曲目の2本のヴァイオリンを従えたアリアは秀逸。また、ソプラノによって歌われる5曲目のアリアは、オーボエの美しさが際立った1曲
第6曲のコラールは、マタイ受難曲に用いられているブランデンブルク辺境伯アルブレヒトのコラール「わが神の御心のままに、常にならせたまえ」です
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(ウィーン少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミットガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:市参事会員交代式
初演:1708年2月4日、ミュールハウゼン
歌詞;作者不詳。第1曲;詩篇74、12。第2曲;サムエル記後19、35及び37/J. ヘールマンのコラール「おお神よ、汝義なる神よ」(1630)第6節(定旋律=BWV399)。第3曲;申命記33、25/創世記21、22。第4曲;詩篇74、16ー17。第6曲;詩篇74、19。
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、トランペット3、ティンパニ、リコーダー2、オーボエ2、ファゴット、オルガン、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜、オリジナル出版譜
構成:
第1部;
第1曲:合唱(トランペット3、ティンパニ、リコーダー2、オーボエ2、ファゴット、オルガン、弦合奏、通奏低音、〔アリオーソ、ハ長調、4/4〕−〔イ短調〕−〔ハ長調〕−〔ウン・ポコ・アレグロ、ハ長調〕−〔ハ長調〕)
第2曲:アリア(テノール)とコラール(ソプラノ)(オルガン、通奏低音、アンダンテ、ホ短調、4/4)
第3曲:四重唱(通奏低音、イ短調、4/4)
第4曲;アリオーソ(バス、リコーダー2、オーボエ2、ファゴット、チェロ、通奏低音、レント、ヘ長調、3/2 - 4/4 - 3/2)
第5曲;アリア(アルト、トランペット3、ティンパニ、通奏低音、ホ短調、4/4、〔ヴィヴァーチェ、ハ長調、3/8〕−〔アンダンテ、4/4〕−〔ヴィヴァーチェ、3/8〕)
第6曲;合唱(リコーダー2、オーボエ2、ファゴット、チェロ、オルガン、弦合奏、通奏低音、ハ短調、4/4)
第7曲;合唱(トランペット3、ティンパニ、リコーダー2、オーボエ2、ファゴット、オルガン、弦合奏、通奏低音、〔アリオーソ、ハ長調、4/4〕−〔アレグロ、ハ長調ーイ短調、3/2〕−〔アンダンテ、ニ短調ーハ長調、4/4〕−〔ヴィヴァーチェ、ハ長調、4/4〕−〔アレグロ、ハ長調、3/2〕−〔イ短調ーハ長調、4/4〕)
かなり大掛かりなカンタータ。ミュールハウゼン市参事会員交代式用です。
バッハの現存するカンタータのうちでは、生前に出版された唯一のもので、編成の大きさ、楽想の壮大さによっても、初期の作品中傑出している。ただし、ブクステフーデら北ドイツの先人の音楽を想起させるところが少なくない。短い部分を並列させてゆく書法も、そのひとつである。
バッハ事典(東京書籍)
トランペット、ティンパニ、リコーダー、オーボエ、ファゴット、オルガンとかなりたくさんの楽器を用いています。やはりトランペットとティンパニを用いると、かなり豪華な雰囲気となりますね。5曲目のアリアでは、この二つの楽器が極めて効果的に用いられています。
ひとつの楽章の中で、めまぐるしく曲調が変化するところも聴きどころです
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(ウィーン少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リョーヴェ・ヴィッサー
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミットガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:三位一体節後第26日曜日
初演:1723年11月21日、ライプツィヒ(再演;1731年11月18日)
書簡章句:ペテロの手紙二、3、3〜13
福音書章句:マタイによる福音書25、31〜46
歌詞;フランク1717に基づく(改作者不詳)。第7曲;作者不詳のコラール「大いに喜べ、おお、わが魂よ」(1620)第10節(定旋律=BWV19)。第11曲;Ch. カイマンのコラール「わがイエスをば、われは放さず」(1658)第5節(定旋律=BWV380)
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、トランペット、オーボエ、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1部;
第1曲:合唱(トランペット、弦合奏、通奏低音、ハ長調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(バス、トランペット、オーボエ、通奏低音)
第3曲:アリア(アルト、チェロ、通奏低音、イ短調、3/4)
第4曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第5曲;アリア(ソプラノ、弦合奏、通奏低音、ホ短調、4/4)
第6曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第7曲;コラール(合唱、トランペット、オーボエ、弦合奏、通奏低音、ト短調、3/4)
第2部;
第8曲;アリア(テノール、オーボエ、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
第9曲;レチタティーヴォ(バス)とコラール(トランペット、弦合奏、通奏低音)
第10曲;アリア(バス、トランペット、弦合奏、通奏低音、モルト・アダージョープレストーアダージョ、ハ長調、3/4)
第11曲;コラール(合唱、トランペット、オーボエ、弦合奏、通奏低音、ハ長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ペテロの手紙二、3、3〜13
3:3 まず、次のことを知っていなさい。終わりの時には、欲望の赴くままに生活してあざける者たちが現れ、あざけって、
3:4 こう言います。「主が来るという約束は、いったいどうなったのだ。父たちが死んでこのかた、世の中のことは、天地創造の初めから何一つ変わらないではないか。」
3:5 彼らがそのように言うのは、次のことを認めようとしないからです。すなわち、天は大昔から存在し、地は神の言葉によって水を元として、また水によってできたのですが、
3:6 当時の世界は、その水によって洪水に押し流されて滅んでしまいました。
3:7 しかし、現在の天と地とは、火で滅ぼされるために、同じ御言葉によって取っておかれ、不信心な者たちが裁かれて滅ぼされる日まで、そのままにしておかれるのです。
3:8 愛する人たち、このことだけは忘れないでほしい。主のもとでは、一日は千年のようで、千年は一日のようです。
3:9 ある人たちは、遅いと考えているようですが、主は約束の実現を遅らせておられるのではありません。そうではなく、一人も滅びないで皆が悔い改めるようにと、あなたがたのために忍耐しておられるのです。
3:10 主の日は盗人のようにやって来ます。その日、天は激しい音をたてながら消えうせ、自然界の諸要素は熱に熔け尽くし、地とそこで造り出されたものは暴かれてしまいます。
3:11 このように、すべてのものは滅び去るのですから、あなたがたは聖なる信心深い生活を送らなければなりません。
3:12 神の日の来るのを待ち望み、また、それが来るのを早めるようにすべきです。その日、天は焼け崩れ、自然界の諸要素は燃え尽き、熔け去ることでしょう。
3:13 しかしわたしたちは、義の宿る新しい天と新しい地とを、神の約束に従って待ち望んでいるのです。
福音書章句:マタイによる福音書25、31〜46
◆すべての民族を裁く
25:31 「人の子は、栄光に輝いて天使たちを皆従えて来るとき、その栄光の座に着く。
25:32 そして、すべての国の民がその前に集められると、羊飼いが羊と山羊を分けるように、彼らをより分け、
25:33 羊を右に、山羊を左に置く。
25:34 そこで、王は右側にいる人たちに言う。『さあ、わたしの父に祝福された人たち、天地創造の時からお前たちのために用意されている国を受け継ぎなさい。
25:35 お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせ、のどが渇いていたときに飲ませ、旅をしていたときに宿を貸し、
25:36 裸のときに着せ、病気のときに見舞い、牢にいたときに訪ねてくれたからだ。』
25:37 すると、正しい人たちが王に答える。『主よ、いつわたしたちは、飢えておられるのを見て食べ物を差し上げ、のどが渇いておられるのを見て飲み物を差し上げたでしょうか。
25:38 いつ、旅をしておられるのを見てお宿を貸し、裸でおられるのを見てお着せしたでしょうか。
25:39 いつ、病気をなさったり、牢におられたりするのを見て、お訪ねしたでしょうか。』
25:40 そこで、王は答える。『はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。』
25:41 それから、王は左側にいる人たちにも言う。『呪われた者ども、わたしから離れ去り、悪魔とその手下のために用意してある永遠の火に入れ。
25:42 お前たちは、わたしが飢えていたときに食べさせず、のどが渇いたときに飲ませず、
25:43 旅をしていたときに宿を貸さず、裸のときに着せず、病気のとき、牢にいたときに、訪ねてくれなかったからだ。』
25:44 すると、彼らも答える。『主よ、いつわたしたちは、あなたが飢えたり、渇いたり、旅をしたり、裸であったり、病気であったり、牢におられたりするのを見て、お世話をしなかったでしょうか。』
25:45 そこで、王は答える。『はっきり言っておく。この最も小さい者の一人にしなかったのは、わたしにしてくれなかったことなのである。』
25:46 こうして、この者どもは永遠の罰を受け、正しい人たちは永遠の命にあずかるのである。」
ライプツィヒ初年に旧作を再演した内の一つ。2部から成っています。
この作品はもともと、ヴァイマルにおける待降節第2日曜日(福音書章句が上記のイエスの言葉を含むため)のためにかかれた(BWV70a:全6曲、ただし歌詞のみ現存)。しかしライプツィヒではクリスマスを準備するこの期間に盛大な音楽の演奏が禁じられていたため、バッハはこれを、内容的に関連する三位一体節後第26日曜日の礼拝へと転用したのである。その際、4曲のレチタティーヴォとひとつのコラール(第7曲)が追加され、全体が2部分構成に拡大された。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲目の合唱は、《バッハ事典(東京書籍)》が指摘するように、まさに「目が覚める」ような大掛かりな曲です。決して楽器が多いわけではありませんが、トランペットが実に効果的に使われています。第1部最後のコラールは、実にすがすがしい4声コラール。
全体を通して、力強さが際立ったカンタータです
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(ウィーン少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミットガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:三位一体節後第12日曜日
初演:1723年8月15日、ライプツィヒ(再演;おそらく1727年8月31日)
書簡章句:コリントの信徒への手紙二、3、4〜11
福音書章句:マルコによる福音書7、31〜37
歌詞;作者不詳。クナウアー1720に基づく。第1曲;詩篇103、2。第6曲;S. ローディガストのコラール「神なしたもう御業こそいと善けれ」(1674)第6節(定旋律=BWV250)
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、トランペット3、ティンパニ、リコーダー、オーボエ3、オーボエ・ダモーレ、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:合唱(トランペット3、ティンパニ、オーボエ3、弦合奏、通奏低音、ニ長調、3/4)
第2曲:レチタティーヴォ(ソプラノ、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、リコーダー、オーボエ・ダ・カッチャ、通奏低音、ハ長調、9/8)
第4曲;レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第5曲;アリア(バス、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、ロ短調、3/4)
第6曲;コラール(合唱、トランペット、オーボエ3、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:コリントの信徒への手紙二、3、4〜11
3:4 わたしたちは、キリストによってこのような確信を神の前で抱いています。
3:5 もちろん、独りで何かできるなどと思う資格が、自分にあるということではありません。わたしたちの資格は神から与えられたものです。
3:6 神はわたしたちに、新しい契約に仕える資格、文字ではなく霊に仕える資格を与えてくださいました。文字は殺しますが、霊は生かします。
3:7 ところで、石に刻まれた文字に基づいて死に仕える務めさえ栄光を帯びて、モーセの顔に輝いていたつかのまの栄光のために、イスラエルの子らが彼の顔を見つめえないほどであったとすれば、
3:8 霊に仕える務めは、なおさら、栄光を帯びているはずではありませんか。
3:9 人を罪に定める務めが栄光をまとっていたとすれば、人を義とする務めは、なおさら、栄光に満ちあふれています。
3:10 そして、かつて栄光を与えられたものも、この場合、はるかに優れた栄光のために、栄光が失われています。
3:11 なぜなら、消え去るべきものが栄光を帯びていたのなら、永続するものは、なおさら、栄光に包まれているはずだからです。
福音書章句:マルコによる福音書7、31〜37
◆耳が聞こえず舌の回らない人をいやす
7:31 それからまた、イエスはティルスの地方を去り、シドンを経てデカポリス地方を通り抜け、ガリラヤ湖へやって来られた。
7:32 人々は耳が聞こえず舌の回らない人を連れて来て、その上に手を置いてくださるようにと願った。
7:33 そこで、イエスはこの人だけを群衆の中から連れ出し、指をその両耳に差し入れ、それから唾をつけてその舌に触れられた。
7:34 そして、天を仰いで深く息をつき、その人に向かって、「エッファタ」と言われた。これは、「開け」という意味である。
7:35 すると、たちまち耳が開き、舌のもつれが解け、はっきり話すことができるようになった。
7:36 イエスは人々に、だれにもこのことを話してはいけない、と口止めをされた。しかし、イエスが口止めをされればされるほど、人々はかえってますます言い広めた。
7:37 そして、すっかり驚いて言った。「この方のなさったことはすべて、すばらしい。耳の聞こえない人を聞こえるようにし、口の利けない人を話せるようにしてくださる。」
先週紹介した「BWV69 わが魂よ、主を頌めまつれ」の原曲。
厳しい訓戒と神学上の論点への集中が目立つ三位一体節後の日曜日のためのカンタータとしては、例外的に明るく華やかな内容を持っている。
バッハ事典(東京書籍)
「BWV69 わが魂よ、主を頌めまつれ」との違いは先週述べた通りです。第6曲のコラール合唱は、「BWV12 泣き、嘆き、憂い、怯え」の第12曲によるもの。
第1曲目の合唱は、管楽器をふんだんに用いた壮大な合唱フーガ。曲の冒頭を飾るに相応しい曲となっています。
「BWV69 わが魂よ、主を頌めまつれ」の第3曲目のアリアの美しさについて触れましたが(オーボエとヴァイオリンが実に美しいアリア)、ここではリコーダーとオーボエ・ダ・カッチャの組み合わせとなっています。ヴァイオリンからリコーダーの違いから、今回聴いた曲ではどこかほのぼのとした感じを受けます
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(ウィーン少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミットガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:市参事会員交代式
初演:1748年8月26日、ライプツィヒ
歌詞;作者不詳。BWV69aに基づく。第1曲;詩篇103、2。第6曲;M. ルターのコラール「願わくは神われらを恵みて」(1524)第3節(定旋律:→BWV311)
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、トランペット3、ティンパニ、オーボエ3、オーボエ・ダモーレ、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音
基本資料:BWV69aのオリジナル・パート譜
構成:
第1曲:合唱(トランペット3、ティンパニ、オーボエ3、弦合奏、通奏低音、ニ長調、3/4)
第2曲:レチタティーヴォ(ソプラノ、通奏低音)
第3曲:アリア(アルト、オーボエ、ヴァイオリン、通奏低音、ト長調、9/8)
第4曲;レチタティーヴォ(テノール、弦合奏、通奏低音)
第5曲;アリア(バス、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、ロ短調、3/4)
第6曲;コラール(合唱、トランペット3、ティンパニ、オーボエ3、弦合奏、通奏低音、ニ長調、4/4)
来週紹介予定の「BWV69a わが魂よ、主を頌めまつれ」の改作。
バッハの最晩年に、原曲の喜ばしい讃美の性格を生かしつつ、市参事会員交代式用に書き直された。パート譜へのバッハの記入は、最晩年のぎこちない筆跡によっている。主要な変更点は、旧作の福音書章句と関わる2つのレチタティーヴォが削除され、代わりに、行政に言及した新たなレチタティーヴォが加えられたことと、終曲のコラールが、ローディガストのものから「人の業」「国の栄え」に言い及ぶルターのものに変更されたことである。
バッハ事典(東京書籍)
オーボエ族の楽器が3種類出てきます。その響きが実にいい感じです。特に第3曲のアリアでは、オーボエとヴァイオリンが寄り添うように実に美しい旋律を奏でます。
なお、この演奏では、第1曲目の冒頭合唱と、第5曲目のアリアが省略されています。BWV69aと同一ということで省略されたのでしょう
ソプラノ;ヴィルヘルム・ヴィードル(ウィーン少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミットガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:聖霊降臨節第2日
初演:1725年5月21日、ライプツィヒ
書簡章句:使徒言行録10、42〜48
福音書章句:ヨハネによる福音書3、16〜21
歌詞;ツィーグラー1728。第1曲;S. リスコフの同名コラール(1675)第1節(ヨハネによる福音書3、16に基づく)。第5曲;ヨハネによる福音書3、18
編成:ソプラノ、バス、合唱、ツィンク、トロンボーン3、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、ヴィオロンチェロ・ピッコロ、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール合唱(ツィンク、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、ニ短調、12/8)
第2曲:アリア(ソプラノ、ヴァイオリン、ヴィオロンチェロ・ピッコロ、通奏低音、プレスト、ヘ長調、2/2)
第3曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第4曲;アリア(バス、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、通奏低音、ハ長調、4/4)
第5曲;合唱(ツィンク、トロンボーン3、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、イ短調−ニ短調、2/2)
基本テキスト;
書簡章句:使徒言行録10、42〜48
10:42 そしてイエスは、御自分が生きている者と死んだ者との審判者として神から定められた者であることを、民に宣べ伝え、力強く証しするようにと、わたしたちにお命じになりました。
10:43 また預言者も皆、イエスについて、この方を信じる者はだれでもその名によって罪の赦しが受けられる、と証ししています。」
◆異邦人も聖霊を受ける
10:44 ペトロがこれらのことをなおも話し続けていると、御言葉を聞いている一同の上に聖霊が降った。
10:45 割礼を受けている信者で、ペトロと一緒に来た人は皆、聖霊の賜物が異邦人の上にも注がれるのを見て、大いに驚いた。
10:46 異邦人が異言を話し、また神を賛美しているのを、聞いたからである。そこでペトロは、
10:47 「わたしたちと同様に聖霊を受けたこの人たちが、水で洗礼を受けるのを、いったいだれが妨げることができますか」と言った。
10:48 そして、イエス・キリストの名によって洗礼を受けるようにと、その人たちに命じた。それから、コルネリウスたちは、ペトロになお数日滞在するようにと願った。
福音書章句:ヨハネによる福音書3、16〜21
3:16 神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。
3:17 神が御子を世に遣わされたのは、世を裁くためではなく、御子によって世が救われるためである。
3:18 御子を信じる者は裁かれない。信じない者は既に裁かれている。神の独り子の名を信じていないからである。
3:19 光が世に来たのに、人々はその行いが悪いので、光よりも闇の方を好んだ。それが、もう裁きになっている。
3:20 悪を行う者は皆、光を憎み、その行いが明るみに出されるのを恐れて、光の方に来ないからである。
3:21 しかし、真理を行う者は光の方に来る。その行いが神に導かれてなされたということが、明らかになるために。
「BWV208 楽しき狩こそわが悦び(狩りのカンタータ)」に用いられた音楽が、第2、4曲目のアリアに出てきます。
女流詩人ツィーグラーの歌詞によるカンタータは9曲あるが、BWV68は、そのうちもっとも有名な作品。《狩りのカンタータ》BWV208でおなじみの曲が2曲再使用され、魅力のポイントになっている。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲のコラール合唱では、シチリアーノ。ゆったりとしたテンポに乗って、重厚な合唱が活躍します。第2曲目のアリアは、上述のように、狩りのカンタータから転用されており、その第13曲が該当個所。転用の折に、小型チェロ(ヴィオロンチェロ・ピッコロ)のソロ・パートが加わっています。演奏はアーノンクール自らが行っています。ヴァイオリン、オーボエが加わって、実に美しい旋律を奏でます。また第4曲目のアリアも、同じく狩りのカンタータからの転用で、第7曲目が原曲となっています。
第5曲目の合唱は、通常の短いコラールとは異なり、長い規模のもの。最初は二つのフーガで構成されており、それが最後に一つになり、曲が終わります
ソプラノ;ペーター・イェーロッジ(ウィーン少年合唱団員)
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミットガーデン)
ウィーン・コンチェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:復活節後第1日曜日
初演:1724年4月16日、ライプツィヒ(再演;年代不明)
書簡章句:ヨハネの手紙一、5、4〜10
福音書章句:ヨハネによる福音書20、19〜31
歌詞;作者不詳;第1曲;テモテへの手紙二、2、8。第4曲;N. ヘルマンのコラール「栄光の日は現れたり」(1560)第1節。第6曲;ヨハネによる福音書20、19。第7曲;J. エーベルトのコラール「汝平和の君、主イエス・キリスト」(1601)第1節。
編成:アルト、テノール、バス、合唱、スライド・ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:合唱(スライド・ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、イ長調、2/2)
第2曲:アリア(テノール、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、ホ長調、4/4)
第3曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第4曲;コラール(合唱、スライド・ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ロ短調、3/4)
第5曲;レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第6曲;アリア(バス)と合唱(フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、イ長調、4/4 - 3/4 - 4/4 - 3/4)
第7曲;コラール(合唱、スライド・ホルン、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、イ長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ヨハネの手紙一、5、4〜10
5:4 神から生まれた人は皆、世に打ち勝つからです。世に打ち勝つ勝利、それはわたしたちの信仰です。
5:5 だれが世に打ち勝つか。イエスが神の子であると信じる者ではありませんか。
◆イエス・キリストについての証し
5:6 この方は、水と血を通って来られた方、イエス・キリストです。水だけではなく、水と血とによって来られたのです。そして、メ霊モはこのことを証しする方です。メ霊モは真理だからです。
5:7 証しするのは三者で、
5:8 ”霊”と水と血です。この三者は一致しています。
5:9 わたしたちが人の証しを受け入れるのであれば、神の証しは更にまさっています。神が御子についてなさった証し、これが神の証しだからです。
5:10 神の子を信じる人は、自分の内にこの証しがあり、神を信じない人は、神が御子についてなさった証しを信じていないため、神を偽り者にしてしまっています。
福音書章句:ヨハネによる福音書20、19〜31
◆イエス、弟子たちに現れる
20:19 その日、すなわち週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家の戸に鍵をかけていた。そこへ、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。
20:20 そう言って、手とわき腹とをお見せになった。弟子たちは、主を見て喜んだ。
20:21 イエスは重ねて言われた。「あなたがたに平和があるように。父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす。」
20:22 そう言ってから、彼らに息を吹きかけて言われた。「聖霊を受けなさい。
20:23 だれの罪でも、あなたがたが赦せば、その罪は赦される。だれの罪でも、あなたがたが赦さなければ、赦されないまま残る。」
◆イエスとトマス
20:24 十二人の一人でディディモと呼ばれるトマスは、イエスが来られたとき、彼らと一緒にいなかった。
20:25 そこで、ほかの弟子たちが、「わたしたちは主を見た」と言うと、トマスは言った。「あの方の手に釘の跡を見、この指を釘跡に入れてみなければ、また、この手をそのわき腹に入れてみなければ、わたしは決して信じない。」
20:26 さて八日の後、弟子たちはまた家の中におり、トマスも一緒にいた。戸にはみな鍵がかけてあったのに、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。
20:27 それから、トマスに言われた。「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、わたしのわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい。」
20:28 トマスは答えて、「わたしの主、わたしの神よ」と言った。
20:29 イエスはトマスに言われた。「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである。」
◆本書の目的
20:30 このほかにも、イエスは弟子たちの前で、多くのしるしをなさったが、それはこの書物に書かれていない。
20:31 これらのことが書かれたのは、あなたがたが、イエスは神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により命を受けるためである。
第1曲目の合唱が印象的なカンタータ。
1724年の聖金曜日に《ヨハネ受難曲》を初演したバッハは、続く復活節の職務を旧作によってふさいだあと、翌週から新たな創作を始める。BWV67は、その最初の作品である。
バッハ事典(東京書籍)
この曲は器楽的にも面白い楽曲となっています。まず、《スライド・ホルン》という楽器が出てきます。自筆譜に「スライド・ホルン corno da tirarsi」と指定されているそうで、この楽器については解説に諸説があるものの、一般には半音の演奏できる高音ホルンとされています《バッハ事典(東京書籍)》。
また、フラウト・トラヴェルソが教会カンタータに用いられるのは、この作品が最初であったということです。
全体を通して、力強さに溢れる印象があります。特に第1曲、第6曲は実に印象的。第6曲はアリアと合唱から成り、テンポが繰り返し変化します。躍動的な弦楽器に乗せて歌われ、沸き上がってくるような合唱も見事です
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
合唱;ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヒ)、コレギウム・ヴォカーレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:復活節第2日
初演:1724年4月10日、ライプツィヒ(再演;1731年3月26日、おそらく1735年4月11日)
書簡章句:使徒言行録10、34〜43
福音書章句:ルカによる福音書24、13〜35
歌詞;作者不詳;世俗カンタータBWV66aのパロディ。第6曲;作者不明のコラール「キリストはよみがえりたまえり」(1090頃)第3節(定旋律=BWV276)
編成:アルト、テノール、バス、合唱、トランペット、オーボエ2、ファゴット、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜(1735年の再演時のもの)
構成:
第1曲:合唱(トランペット、オーボエ2、ファゴット、弦合奏、通奏低音、ニ長調、3/8)
第2曲:レチタティーヴォ(バス、弦合奏、通奏低音)
第3曲:アリア(バス、オーボエ2、ファゴット、弦合奏、通奏低音、ニ長調、3/8)
第4曲;レチタティーヴォ(アルト、テノール、通奏低音)
第5曲;二重唱(アルト、テノール、独奏ヴァイオリン、通奏低音、イ長調、12/8)
第6曲;コラール(合唱、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、嬰ヘ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:使徒言行録10、34〜43
◆ペトロ、コルネリウスの家で福音を告げる
10:34 そこで、ペトロは口を開きこう言った。「神は人を分け隔てなさらないことが、よく分かりました。
10:35 どんな国の人でも、神を畏れて正しいことを行う人は、神に受け入れられるのです。
10:36 神がイエス・キリストによって——この方こそ、すべての人の主です——平和を告げ知らせて、イスラエルの子らに送ってくださった御言葉を、
10:37 あなたがたはご存じでしょう。ヨハネが洗礼を宣べ伝えた後に、ガリラヤから始まってユダヤ全土に起きた出来事です。
10:38 つまり、ナザレのイエスのことです。神は、聖霊と力によってこの方を油注がれた者となさいました。イエスは、方々を巡り歩いて人々を助け、悪魔に苦しめられている人たちをすべていやされたのですが、それは、神が御一緒だったからです。
10:39 わたしたちは、イエスがユダヤ人の住む地方、特にエルサレムでなさったことすべての証人です。人々はイエスを木にかけて殺してしまいましたが、
10:40 神はこのイエスを三日目に復活させ、人々の前に現してくださいました。
10:41 しかし、それは民全体に対してではなく、前もって神に選ばれた証人、つまり、イエスが死者の中から復活した後、御一緒に食事をしたわたしたちに対してです。
10:42 そしてイエスは、御自分が生きている者と死んだ者との審判者として神から定められた者であることを、民に宣べ伝え、力強く証しするようにと、わたしたちにお命じになりました。
10:43 また預言者も皆、イエスについて、この方を信じる者はだれでもその名によって罪の赦しが受けられる、と証ししています。」
福音書章句:ルカによる福音書24、13〜35
◆エマオで現れる
24:13 ちょうどこの日、二人の弟子が、エルサレムから六十スタディオン離れたエマオという村へ向かって歩きながら、
24:14 この一切の出来事について話し合っていた。
24:15 話し合い論じ合っていると、イエス御自身が近づいて来て、一緒に歩き始められた。
24:16 しかし、二人の目は遮られていて、イエスだとは分からなかった。
24:17 イエスは、「歩きながら、やり取りしているその話は何のことですか」と言われた。二人は暗い顔をして立ち止まった。
24:18 その一人のクレオパという人が答えた。「エルサレムに滞在していながら、この数日そこで起こったことを、あなただけはご存じなかったのですか。」
24:19 イエスが、「どんなことですか」と言われると、二人は言った。「ナザレのイエスのことです。この方は、神と民全体の前で、行いにも言葉にも力のある預言者でした。
24:20 それなのに、わたしたちの祭司長たちや議員たちは、死刑にするため引き渡して、十字架につけてしまったのです。
24:21 わたしたちは、あの方こそイスラエルを解放してくださると望みをかけていました。しかも、そのことがあってから、もう今日で三日目になります。
24:22 ところが、仲間の婦人たちがわたしたちを驚かせました。婦人たちは朝早く墓へ行きましたが、
24:23 遺体を見つけずに戻って来ました。そして、天使たちが現れ、『イエスは生きておられる』と告げたと言うのです。
24:24 仲間の者が何人か墓へ行ってみたのですが、婦人たちが言ったとおりで、あの方は見当たりませんでした。」
24:25 そこで、イエスは言われた。「ああ、物分かりが悪く、心が鈍く預言者たちの言ったことすべてを信じられない者たち、
24:26 メシアはこういう苦しみを受けて、栄光に入るはずだったのではないか。」
24:27 そして、モーセとすべての預言者から始めて、聖書全体にわたり、御自分について書かれていることを説明された。
24:28 一行は目指す村に近づいたが、イエスはなおも先へ行こうとされる様子だった。
24:29 二人が、「一緒にお泊まりください。そろそろ夕方になりますし、もう日も傾いていますから」と言って、無理に引き止めたので、イエスは共に泊まるため家に入られた。
24:30 一緒に食事の席に着いたとき、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱え、パンを裂いてお渡しになった。
24:31 すると、二人の目が開け、イエスだと分かったが、その姿は見えなくなった。
24:32 二人は、「道で話しておられるとき、また聖書を説明してくださったとき、わたしたちの心は燃えていたではないか」と語り合った。
24:33 そして、時を移さず出発して、エルサレムに戻ってみると、十一人とその仲間が集まって、
24:34 本当に主は復活して、シモンに現れたと言っていた。
24:35 二人も、道で起こったことや、パンを裂いてくださったときにイエスだと分かった次第を話した。
今日聴くのは、世俗カンタータ「BWV66a 天はアンハルトの誉れと幸いを心にかけたまい」の改作。1718年12月10日に、ケーテン侯レオポルトの誕生日を祝って演奏されたもので、音楽は消失しています。
《ヨハネ受難曲》に力を注いだためだろうか、バッハはライプツィヒで迎えた最初の復活節三が日を、すべて旧作の再演と転用で凌いだ。BWV66ではオリジナルから3曲が削除され、終結コラールが追加されたうえ、本来のフィナーレ合唱が冒頭に移された。
バッハ事典(東京書籍)
原曲がケーテン候の誕生日祝賀用ということで、冒頭の合唱は、実に明るく、いかにも「祝賀的」な雰囲気を伴っています。その祝賀用の雰囲気が、そのままキリスト・イエスの復活に対する喜びに結びついているかのような、かなり長い合唱として生まれ変わっています。
第3曲のアリアは、協奏曲のような感じを受ける、実に明るく伸びやかな曲。「ケーテン時代のカンタータによく見られる、舞曲風のアリア」《バッハ事典(東京書籍)》。
第5曲の独奏ヴァイオリンを伴った二重唱は、実に美しい名曲。ガット弦の優しい音色と、アルト、テノールが繰り広げる二重唱が、見事な美しさを描いてゆきます
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;マックス・ファン・エグモント
合唱;ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヒ)、コレギウム・ヴォカーレ(合唱指揮;フィリップ・ヘレベッヘ)
レオンハルト合奏団
指揮:グスタフ・レオンハルト
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:顕現節
初演:1724年1月6日、ライプツィヒ
書簡章句:イザヤ書60、1〜6
福音書章句:マタイによる福音書2、1〜12
歌詞;作者不詳。第1曲;イザヤ書60、6。第2曲;J. シュペンゲンベルクのコラール「ベツレヘムにみどり児が生まれ」第4節。第7曲;P. ゲールハルトのコラール「われは神の心と思いに」(1547)第10節
編成:テノール、バス、合唱、ホルン2、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜
構成:
第1曲:合唱(ホルン2、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦合奏、通奏低音、ハ長調、12/8)
第2曲:コラール(合唱、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦合奏、通奏低音、イ短調、3/4)
第3曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第4曲;アリア(バス、オーボエ・ダ・カッチャ2、通奏低音、ホ短調、4/4)
第5曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第6曲;アリア(テノール、ホルン2、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦合奏、通奏低音、ハ長調、3/8)
第7曲;コラール(合唱、ホルン2、リコーダー2、オーボエ・ダ・カッチャ2、弦合奏、通奏低音、イ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:イザヤ書60、1〜6
◆栄光と救いの到来
60:1 起きよ、光を放て。あなたを照らす光は昇り/主の栄光はあなたの上に輝く。
60:2 見よ、闇は地を覆い/暗黒が国々を包んでいる。しかし、あなたの上には主が輝き出で/主の栄光があなたの上に現れる。
60:3 国々はあなたを照らす光に向かい/王たちは射し出でるその輝きに向かって歩む。
60:4 目を上げて、見渡すがよい。みな集い、あなたのもとに来る。息子たちは遠くから/娘たちは抱かれて、進んで来る。
60:5 そのとき、あなたは畏れつつも喜びに輝き/おののきつつも心は晴れやかになる。海からの宝があなたに送られ/国々の富はあなたのもとに集まる。
60:6 らくだの大群/ミディアンとエファの若いらくだが/あなたのもとに押し寄せる。シェバの人々は皆、黄金と乳香を携えて来る。こうして、主の栄誉が宣べ伝えらる。
福音書章句:マタイによる福音書2、1〜12
◆占星術の学者たちが訪れる
2:1 イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、
2:2 言った。「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」
2:3 これを聞いて、ヘロデ王は不安を抱いた。エルサレムの人々も皆、同様であった。
2:4 王は民の祭司長たちや律法学者たちを皆集めて、メシアはどこに生まれることになっているのかと問いただした。
2:5 彼らは言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者がこう書いています。
2:6 『ユダの地、ベツレヘムよ、/お前はユダの指導者たちの中で/決していちばん小さいものではない。お前から指導者が現れ、/わたしの民イスラエルの牧者となるからである。』」
2:7 そこで、ヘロデは占星術の学者たちをひそかに呼び寄せ、星の現れた時期を確かめた。
2:8 そして、「行って、その子のことを詳しく調べ、見つかったら知らせてくれ。わたしも行って拝もう」と言ってベツレヘムへ送り出した。
2:9 彼らが王の言葉を聞いて出かけると、東方で見た星が先立って進み、ついに幼子のいる場所の上に止まった。
2:10 学者たちはその星を見て喜びにあふれた。
2:11 家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。
2:12 ところが、「ヘロデのところへ帰るな」と夢でお告げがあったので、別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。
第1曲目の合唱が印象的なカンタータ。ホルン、リコーダーが醸し出す雰囲気と、それに合唱が次々と加わっていく様が魅力的です。
バッハがライプツィヒで迎える初めてのクリスマスには、《マニフィカト》の初稿を含む6つの新作が、踵を接して生まれた。BWV65はその最後に位置し、多産なクリスマス期を、輝かしくしめくくっている。その何よりの魅力は、ホルンを伴った、祝典的な冒頭合唱曲であろう。
バッハ事典(東京書籍)
管楽器が3種類、それぞれ2本ずつ表れます。ホルン、リコーダーが牧歌的な雰囲気を出しています
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:降誕節第3日
初演:1723年12月27日、ライプツィヒ(再演;恐らく1735年以降)
書簡章句:ヘブライ人への手紙1、1〜14
福音書章句:ヨハネによる福音書1、1〜14
歌詞;作者不詳。クナウアー1720を基にした自由な改作。第1曲;ヨハネの手紙1、3、1。第2曲;ルターのコラール「讃美を受けたまえ、汝、イエス・キリストよ」(1524)最終節(定旋律=BWV314)。第4曲;G. M. プフェッファーコルンのコラール「われいかでか世のことを問わん」(1667)第1節(定旋律=BWV398)。第8曲;J. フランクのコラール「イエスよ、わが喜び」(1650)第5節(定旋律=BWV358)
編成:ソプラノ、アルト、バス、合唱、ツィンク、トロンボーン3、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜。C. ニッヘェルマンによる総譜の写し
構成:
第1曲:合唱(ツィンク、トロンボーン3、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、ホ短調、4/4)
第2曲:コラール(合唱、ツィンク、トロンボーン3、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
第3曲:レチタティーヴォ(アルト、通奏低音)
第4曲;コラール(合唱、ツィンク、トロンボーン3、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、ニ長調、4/4)
第5曲;アリア(アルト、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、ロ短調、4/4)
第6曲;レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第7曲;アリア(アルト、オーボエ・ダモーレ、通奏低音、ト長調、6/8)
第8曲;コラール(合唱、ツィンク、トロンボーン3、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、ホ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ヘブライ人への手紙1、1〜14
◆神は御子によって語られた
1:1 神は、かつて預言者たちによって、多くのかたちで、また多くのしかたで先祖に語られたが、
1:2 この終わりの時代には、御子によってわたしたちに語られました。神は、この御子を万物の相続者と定め、また、御子によって世界を創造されました。
1:3 御子は、神の栄光の反映であり、神の本質の完全な現れであって、万物を御自分の力ある言葉によって支えておられますが、人々の罪を清められた後、天の高い所におられる大いなる方の右の座にお着きになりました。
1:4 御子は、天使たちより優れた者となられました。天使たちの名より優れた名を受け継がれたからです。
◆御子は天使にまさる
1:5 いったい神は、かつて天使のだれに、/「あなたはわたしの子、/わたしは今日、あなたを産んだ」と言われ、更にまた、/「わたしは彼の父となり、/彼はわたしの子となる」と言われたでしょうか。
1:6 更にまた、神はその長子をこの世界に送るとき、/「神の天使たちは皆、彼を礼拝せよ」と言われました。
1:7 また、天使たちに関しては、/「神は、その天使たちを風とし、/御自分に仕える者たちを燃える炎とする」と言われ、
1:8 一方、御子に向かっては、こう言われました。「神よ、あなたの玉座は永遠に続き、/また、公正の笏が御国の笏である。
1:9 あなたは義を愛し、不法を憎んだ。それゆえ、神よ、あなたの神は、喜びの油を、/あなたの仲間に注ぐよりも多く、あなたに注いだ。」
1:10 また、こうも言われています。「主よ、あなたは初めに大地の基を据えた。もろもろの天は、あなたの手の業である。
1:11 これらのものは、やがて滅びる。だが、あなたはいつまでも生きている。すべてのものは、衣のように古び廃れる。
1:12 あなたが外套のように巻くと、/これらのものは、衣のように変わってしまう。しかし、あなたは変わることなく、/あなたの年は尽きることがない。」
1:13 神は、かつて天使のだれに向かって、/「わたしがあなたの敵をあなたの足台とするまで、/わたしの右に座っていなさい」と言われたことがあるでしょうか。
1:14 天使たちは皆、奉仕する霊であって、救いを受け継ぐことになっている人々に仕えるために、遣わされたのではなかったですか。
福音書章句:ヨハネによる福音書1、1〜14
◆言が肉となった
1:1 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。
1:2 この言は、初めに神と共にあった。
1:3 万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。
1:4 言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。
1:5 光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった。
1:6 神から遣わされた一人の人がいた。その名はヨハネである。
1:7 彼は証しをするために来た。光について証しをするため、また、すべての人が彼によって信じるようになるためである。
1:8 彼は光ではなく、光について証しをするために来た。
1:9 その光は、まことの光で、世に来てすべての人を照らすのである。
1:10 言は世にあった。世は言によって成ったが、世は言を認めなかった。
1:11 言は、自分の民のところへ来たが、民は受け入れなかった。
1:12 しかし、言は、自分を受け入れた人、その名を信じる人々には神の子となる資格を与えた。
1:13 この人々は、血によってではなく、肉の欲によってではなく、人の欲によってでもなく、神によって生まれたのである。
1:14 言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。
先週聴いた「BWV63 イエスの徒よ、この日を彫り刻め」と同じくクリスマス用のカンタータですが、BWV63がいかにもクリスマス用といった感じの壮麗な感じであったのとは対照的な印象を受けるカンタータ。第1曲目の合唱(フーガ)は、非常に深刻な感じを受けます。第5、7曲目のアリアの美しさが光ります。7曲目のアリアは、オーボエ・ダモーレが奏でる美しい旋律に乗せてアルトが実に見事に「アリア」らしく歌います
最終のコラールは、モテット「BWV227 イエスよ、わが喜び」で有名なJ. フランクのコラール「イエスよ、わが喜び」となっています
演奏:
ソプラノ;ペーター・イェーロジッジ(ウィーン少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:降誕節第1日
初演:1714年12月25日、ワイマール(再演;1723年12月25日、1729年頃およびそれ以降)
書簡章句:テトスへの手紙2、11〜14またはイザヤ書9、2〜7
福音書章句:ルカによる福音書2、1〜14
歌詞;ヨーハン・ミヒャエル・ハイネクツィウス作?
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、トランペット4、ティンパニ、オーボエ3、弦合奏、通奏低音
基本資料:オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:合唱(トランペット4、ティンパニ、オーボエ3、弦合奏、通奏低音、ハ長調、3/8)
第2曲:レチタティーヴォ(アルト、弦合奏、通奏低音)
第3曲:二重唱(ソプラノ、バス、オーボエ、通奏低音、アダージョ、イ短調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第5曲;二重唱(アルト、テノール、弦合奏、通奏低音、ト長調、3/8)
第6曲;レチタティーヴォ(バス、オーボエ3、弦合奏、通奏低音
第7曲;合唱(トランペット4、ティンパニ、オーボエ3、弦合奏、通奏低音、ハ長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:テトスへの手紙2、11〜14またはイザヤ書9、2〜7
テトスへの手紙2、11〜14
2:11 実に、すべての人々に救いをもたらす神の恵みが現れました。
2:12 その恵みは、わたしたちが不信心と現世的な欲望を捨てて、この世で、思慮深く、正しく、信心深く生活するように教え、
2:13 また、祝福に満ちた希望、すなわち偉大なる神であり、わたしたちの救い主であるイエス・キリストの栄光の現れを待ち望むように教えています。
2:14 キリストがわたしたちのために御自身を献げられたのは、わたしたちをあらゆる不法から贖い出し、良い行いに熱心な民を御自分のものとして清めるためだったのです。
イザヤ書9、2〜7
9:2 あなたは深い喜びと/大きな楽しみをお与えになり/人々は御前に喜び祝った。刈り入れの時を祝うように/戦利品を分け合って楽しむように。
9:3 彼らの負う軛、肩を打つ杖、虐げる者の鞭を/あなたはミディアンの日のように/折ってくださった。
9:4 地を踏み鳴らした兵士の靴/血にまみれた軍服はことごとく/火に投げ込まれ、焼き尽くされた。
9:5 ひとりのみどりごがわたしたちのために生まれた。ひとりの男の子がわたしたちに与えられた。権威が彼の肩にある。その名は、「驚くべき指導者、力ある神/永遠の父、平和の君」と唱えられる。
9:6 ダビデの王座とその王国に権威は増し/平和は絶えることがない。王国は正義と恵みの業によって/今もそしてとこしえに、立てられ支えられる。万軍の主の熱意がこれを成し遂げる。
◆北イスラエルの審判
9:7 主は御言葉をヤコブに対して送り/それはイスラエルにふりかかった。
福音書章句:ルカによる福音書2、1〜14
◆イエスの誕生
2:1 そのころ、皇帝アウグストゥスから全領土の住民に、登録をせよとの勅令が出た。
2:2 これは、キリニウスがシリア州の総督であったときに行われた最初の住民登録である。
2:3 人々は皆、登録するためにおのおの自分の町へ旅立った。
2:4 ヨセフもダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。
2:5 身ごもっていた、いいなずけのマリアと一緒に登録するためである。
2:6 ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、
2:7 初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。
◆羊飼いと天使
2:8 その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。
2:9 すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。
2:10 天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。
2:11 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。
2:12 あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」
2:13 すると、突然、この天使に天の大軍が加わり、神を賛美して言った。
2:14 「いと高きところには栄光、神にあれ、/地には平和、御心に適う人にあれ。」
季節は全く異なりますが、今日聴くのはクリスマス・カンタータ。トランペット4本、ティンパニ、オーボエ3本を従えた、壮麗なカンタータ。ダ・カーポ形式の第1曲は、これらの楽器群と合唱が呼応するように、スケールの大きな世界を展開します。
第3曲の二重唱では、オーボエの物哀しく美しい旋律が際立っています。1730年代の再演時ではオーボエはオブリカート・オルガンとなっています《バッハ事典(東京書籍)》
演奏:
ソプラノ;ペーター・イェーロジッジ(ウィーン少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:待降節第1日曜日
初演:1724年12月3日、ライプツィヒ(再演;1732/35年)
書簡章句:ローマの信徒への手紙13、11〜14
福音書章句:マタイによる福音書21、1〜9
歌詞;作者不詳。第1、6曲;M. ルターの同名コラール(1524)第1、8節(定旋律=BWV36)。第2〜5曲;同名コラール第2〜7節の書き換え。
編成:ソプラノ、アルト、テノール、バス、合唱、ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール合唱(ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ロ短調、6/4)
第2曲:アリア(テノール、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ト長調、3/8)
第3曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第4曲;アリア(バス、弦合奏、通奏低音、ニ長調、4/4)
第5曲;レチタティーヴォ(ソプラノ、アルト、通奏低音)
第6曲;コラール(合唱、ホルン、オーボエ2、弦合奏、通奏低音、ロ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ローマの信徒への手紙13、11〜14
◆救いは近づいている
13:11 更に、あなたがたは今がどんな時であるかを知っています。あなたがたが眠りから覚めるべき時が既に来ています。今や、わたしたちが信仰に入ったころよりも、救いは近づいているからです。
13:12 夜は更け、日は近づいた。だから、闇の行いを脱ぎ捨てて光の武具を身に着けましょう。
13:13 日中を歩むように、品位をもって歩もうではありませんか。酒宴と酩酊、淫乱と好色、争いとねたみを捨て、
13:14 主イエス・キリストを身にまといなさい。欲望を満足させようとして、肉に心を用いてはなりません。
福音書章句:マタイによる福音書21、1〜9
◆エルサレムに迎えられる
21:1 一行がエルサレムに近づいて、オリーブ山沿いのベトファゲに来たとき、イエスは二人の弟子を使いに出そうとして、
21:2 言われた。「向こうの村へ行きなさい。するとすぐ、ろばがつないであり、一緒に子ろばのいるのが見つかる。それをほどいて、わたしのところに引いて来なさい。
21:3 もし、だれかが何か言ったら、『主がお入り用なのです』と言いなさい。すぐ渡してくれる。」
21:4 それは、預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
21:5 「シオンの娘に告げよ。『見よ、お前の王がお前のところにおいでになる、/柔和な方で、ろばに乗り、/荷を負うろばの子、子ろばに乗って。』」
21:6 弟子たちは行って、イエスが命じられたとおりにし、
21:7 ろばと子ろばを引いて来て、その上に服をかけると、イエスはそれにお乗りになった。
21:8 大勢の群衆が自分の服を道に敷き、また、ほかの人々は木の枝を切って道に敷いた。
21:9 そして群衆は、イエスの前を行く者も後に従う者も叫んだ。「ダビデの子にホサナ。主の名によって来られる方に、祝福があるように。いと高きところにホサナ。」
先週聴いた「BWV61 いざ来ませ、異邦人の救い主よ」と同タイトルのカンタータ。
ライプツィヒで迎えた最初の教会新年にBWV61を再演したバッハは、翌1724年の待降節第1日曜日のために、BWV62を新作した。これは当時進行中だったコラール・カンタータのシリーズに属するもので、BWV61と同じ、ルターの待降節コラールに基づいている。
バッハ事典(東京書籍)
「BWV61 いざ来ませ、異邦人の救い主よ」では、弦合奏と通奏低音のみという編成であったものが、このカンタータではホルンとオーボエを従えたものとなっています。第1曲目のコラール合唱は、ルターの同名コラールに基づくかなり規模の大きなもので、聴きごたえがあります。
第2曲目のテノールのアリアは、いきいきと伸びやかな歌い方が印象的。この1曲だけ独立して聴いても、十分に聴きごたえがある感じを受けます。全体を通して、声楽パートの力強さが際立っている曲です
演奏:
ソプラノ;ペーター・イェーロジッジ(ウィーン少年合唱団員)
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第4巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10919/24)
用途:待降節第1日曜日
初演:1714年12月2日、ワイマール(再演;おそらく1723年11月28日)
書簡章句:ローマの信徒への手紙13、11〜14
福音書章句:マタイによる福音書21、1〜9
歌詞;ノイマイスター1714。第1曲;M. ルターの同名コラール(1524)第1節(定旋律=BWV36)。第4曲;ヨハネの黙示録3、20。第6曲;Ph. ニコライのコラール「輝く暁の明星のいと美わしきかな」(1599)最終節後半(定旋律=BWV436)
編成:ソプラノ、テノール、バス、合唱、弦合奏(ヴィオラも2部に分割)、通奏低音
基本資料:一部自筆の総譜
構成:
第1曲:序曲(合唱、弦合奏、通奏低音、イ短調、2/2 - 3/4 - 2/2)
第2曲:レチタティーヴォ(テノール、通奏低音)
第3曲:アリア(テノール、弦合奏、通奏低音、ハ長調、9/8)
第4曲;レチタティーヴォ(バス、弦合奏、通奏低音)
第5曲;アリア(ソプラノ、通奏低音、ト長調、3/4 - 4/4 - 3/4)
第6曲;コラール(合唱、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:ローマの信徒への手紙13、11〜14
◆救いは近づいている
13:11 更に、あなたがたは今がどんな時であるかを知っています。あなたがたが眠りから覚めるべき時が既に来ています。今や、わたしたちが信仰に入ったころよりも、救いは近づいているからです。
13:12 夜は更け、日は近づいた。だから、闇の行いを脱ぎ捨てて光の武具を身に着けましょう。
13:13 日中を歩むように、品位をもって歩もうではありませんか。酒宴と酩酊、淫乱と好色、争いとねたみを捨て、
13:14 主イエス・キリストを身にまといなさい。欲望を満足させようとして、肉に心を用いてはなりません。
福音書章句:マタイによる福音書21、1〜9
◆エルサレムに迎えられる
21:1 一行がエルサレムに近づいて、オリーブ山沿いのベトファゲに来たとき、イエスは二人の弟子を使いに出そうとして、
21:2 言われた。「向こうの村へ行きなさい。するとすぐ、ろばがつないであり、一緒に子ろばのいるのが見つかる。それをほどいて、わたしのところに引いて来なさい。
21:3 もし、だれかが何か言ったら、『主がお入り用なのです』と言いなさい。すぐ渡してくれる。」
21:4 それは、預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
21:5 「シオンの娘に告げよ。『見よ、お前の王がお前のところにおいでになる、/柔和な方で、ろばに乗り、/荷を負うろばの子、子ろばに乗って。』」
21:6 弟子たちは行って、イエスが命じられたとおりにし、
21:7 ろばと子ろばを引いて来て、その上に服をかけると、イエスはそれにお乗りになった。
21:8 大勢の群衆が自分の服を道に敷き、また、ほかの人々は木の枝を切って道に敷いた。
21:9 そして群衆は、イエスの前を行く者も後に従う者も叫んだ。「ダビデの子にホサナ。主の名によって来られる方に、祝福があるように。いと高きところにホサナ。」
バッハ初期のカンタータの代表作
ワイマール宮廷の楽師長に昇進し、カンタータの創作の任を負ったバッハが、1714年の待降節第1日曜日に披露した作品。待降節の象徴ともいうべきルターのコラールを用いて主の来臨を待ち望む心を歌っており、バッハの初期の代表作のひとつとして、よく演奏される。
バッハ事典(東京書籍)
フランス風序曲にドイツのコラールを取り入れた、ずっしりとした第1曲が印象的。3部構成に成っています。
最終のコラールは、短いながらも待降節を迎える喜びが表れた非常に美しいものとなっています
管楽器が一切出てこないという、変わった編成も特徴的。そうした簡素な構成ながらも、弦楽器の美しい響きも聴きどころとなっています
毎週日曜日、順番に聴いているレオンハルト・アーノンクールらによるカンタータ全集ですが(教会歴をまったく無視していますが・・・)、ようやく第4巻(全10巻)に入りました。まだ道のりは長いですね・・・
演奏:
ソプラノ;ゼッピ・クローンヴィター
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1976−1978年
「バッハ:カンタータ全集第3巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10913/8)
用途:三位一体節後第24日曜日
初演:1723年11月7日、ライプツィヒ(再演;おそらく1735年以降)
書簡章句:コロサイの信徒への手紙1、9〜14
福音書章句:マタイによる福音書9、18〜26
歌詞;作者不詳。第1曲;J. リストの同名コラール(1642)第1節(定旋律=BWV397)および詩篇119、166。第4曲;ヨハネの黙示録14、13。第5曲;F. J. ブールマイスターのコラール「いまや足れり、主よ、わが霊をとりたまえ」(1662)第5節
編成:アルト、テノール、バス、合唱、ホルン、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜。オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:アリアとコラール(テノール、アルト、ホルン、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、ニ長調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(アルト、テノール、弦合奏、通奏低音)
第3曲:二重唱(アルト、テノール、オーボエ・ダモーレ、ヴァイオリン・ソロ、通奏低音、ロ短調、3/4)
第4曲;レチタティーヴォとアリオーソ(アルト、バス、通奏低音)
第5曲;コラール(合唱、ホルン、オーボエ・ダモーレ2、弦合奏、通奏低音、イ長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:コロサイの信徒への手紙1、9〜14
◆御子キリストによる創造と和解
1:9 こういうわけで、そのことを聞いたときから、わたしたちは、絶えずあなたがたのために祈り、願っています。どうか、メ霊モによるあらゆる知恵と理解によって、神の御心を十分悟り、
1:10 すべての点で主に喜ばれるように主に従って歩み、あらゆる善い業を行って実を結び、神をますます深く知るように。
1:11 そして、神の栄光の力に従い、あらゆる力によって強められ、どんなことも根気強く耐え忍ぶように。喜びをもって、
1:12 光の中にある聖なる者たちの相続分に、あなたがたがあずかれるようにしてくださった御父に感謝するように。
1:13 御父は、わたしたちを闇の力から救い出して、その愛する御子の支配下に移してくださいました。
1:14 わたしたちは、この御子によって、贖い、すなわち罪の赦しを得ているのです。
福音書章句:マタイによる福音書9、18〜26
◆指導者の娘とイエスの服に触れる女
9:18 イエスがこのようなことを話しておられると、ある指導者がそばに来て、ひれ伏して言った。「わたしの娘がたったいま死にました。でも、おいでになって手を置いてやってください。そうすれば、生き返るでしょう。」
9:19 そこで、イエスは立ち上がり、彼について行かれた。弟子たちも一緒だった。
9:20 すると、そこへ十二年間も患って出血が続いている女が近寄って来て、後ろからイエスの服の房に触れた。
9:21 「この方の服に触れさえすれば治してもらえる」と思ったからである。
9:22 イエスは振り向いて、彼女を見ながら言われた。「娘よ、元気になりなさい。あなたの信仰があなたを救った。」そのとき、彼女は治った。
9:23 イエスは指導者の家に行き、笛を吹く者たちや騒いでいる群衆を御覧になって、
9:24 言われた。「あちらへ行きなさい。少女は死んだのではない。眠っているのだ。」人々はイエスをあざ笑った。
9:25 群衆を外に出すと、イエスは家の中に入り、少女の手をお取りになった。すると、少女は起き上がった。
9:26 このうわさはその地方一帯に広まった。
最後のコラールの旋律をアルバン・ベルクがヴァイオリン協奏曲に引用したことでも有名なカンタータ。
ヴァイマル時代に好まれた対話形式を、ライプツィヒ第1年度に受け継ぐ作品。「恐怖と希望の対話」と題されている。
バッハ事典(東京書籍)
この対話において、「恐怖」がアルト、「希望」がテノールとなっています。また、第4曲目に出てくるバスが「キリスト・イエス」となっています。
第1曲のアリアとテノールは、この二つのソリストの美しい歌唱力が魅力的。演奏も「永遠」の長音符、「雷」のトレモロなど、さまざまな象徴技法を駆使した器楽リトルネッロに始まります(バッハ事典(東京書籍))。
対話曲らしく、じっくりとその会話を聴かせる内容となっています。
*バッハ事典(東京書籍)及びCDの解説で、今回のカンタータの福音書章句が「マタイ9、18−6」と記載されていますが、恐らく「18−26」の誤植だと思われます
演奏:
アルト;ポール・エスウッド
テノール;クルト・エクヴィルツ
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1974−1975年
「バッハ:カンタータ全集第3巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10913/8)
用途:聖霊降臨節第1日
初演:1724年5月28日、ライプツィヒ(再演;おそらく1731年5月13日)
書簡章句:使徒言行録2、1〜13
福音書章句:ヨハネによる福音書14、23〜31
歌詞;ノイマイスター1714。第1曲;ヨハネによる福音書14、23。第3曲;M. ルターのコラール「来れ、聖霊、主なる神よ」(1524)第1節
編成:ソプラノ、バス、合唱、トランペット2、ティンパニ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜。オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:二重唱(ソプラノ、バス、トランペット2、ティンパニ、弦合奏、通奏低音、ハ長調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(ソプラノ、弦合奏、通奏低音)
第3曲:コラール(合唱、弦合奏、通奏低音、ト長調、4/4)
第4曲;アリア(バス、ヴァイオリン・ソロ、通奏低音、ハ長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:使徒言行録2、1〜13
◆聖霊が降る
2:1 五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、
2:2 突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。
2:3 そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。
2:4 すると、一同は聖霊に満たされ、メ霊モが語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。
2:5 さて、エルサレムには天下のあらゆる国から帰って来た、信心深いユダヤ人が住んでいたが、
2:6 この物音に大勢の人が集まって来た。そして、だれもかれも、自分の故郷の言葉が話されているのを聞いて、あっけにとられてしまった。
2:7 人々は驚き怪しんで言った。「話をしているこの人たちは、皆ガリラヤの人ではないか。
2:8 どうしてわたしたちは、めいめいが生まれた故郷の言葉を聞くのだろうか。
2:9 わたしたちの中には、パルティア、メディア、エラムからの者がおり、また、メソポタミア、ユダヤ、カパドキア、ポントス、アジア、
2:10 フリギア、パンフィリア、エジプト、キレネに接するリビア地方などに住む者もいる。また、ローマから来て滞在中の者、
2:11 ユダヤ人もいれば、ユダヤ教への改宗者もおり、クレタ、アラビアから来た者もいるのに、彼らがわたしたちの言葉で神の偉大な業を語っているのを聞こうとは。」
2:12 人々は皆驚き、とまどい、「いったい、これはどういうことなのか」と互いに言った。
2:13 しかし、「あの人たちは、新しいぶどう酒に酔っているのだ」と言って、あざける者もいた。
福音書章句:ヨハネによる福音書14、23〜31
14:23 イエスはこう答えて言われた。「わたしを愛する人は、わたしの言葉を守る。わたしの父はその人を愛され、父とわたしとはその人のところに行き、一緒に住む。
14:24 わたしを愛さない者は、わたしの言葉を守らない。あなたがたが聞いている言葉はわたしのものではなく、わたしをお遣わしになった父のものである。
14:25 わたしは、あなたがたといたときに、これらのことを話した。
14:26 しかし、弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、あなたがたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる。
14:27 わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな。
14:28 『わたしは去って行くが、また、あなたがたのところへ戻って来る』と言ったのをあなたがたは聞いた。わたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くのを喜んでくれるはずだ。父はわたしよりも偉大な方だからである。
14:29 事が起こったときに、あなたがたが信じるようにと、今、その事の起こる前に話しておく。
14:30 もはや、あなたがたと多くを語るまい。世の支配者が来るからである。だが、彼はわたしをどうすることもできない。
14:31 わたしが父を愛し、父がお命じになったとおりに行っていることを、世は知るべきである。さあ、立て。ここから出かけよう。
簡素な編成で構成される二重唱のカンタータ。
このカンタータは、枢要な祝日用であるにもかかわらず編成がごく簡素であること、ノイマイスターの原詩7節のうち4節しか作曲されていないことなど、完成作としては腑に落ちぬ点がある。そこでBCは、1723年の当該祝日用としてライプツィヒ着任以前に構想されたものがその年不要になり、中断されてそのままになったのであろうと推測している。翌1724年の当該祝日には、そらく第1、2、4、3曲の順で、説教後に演奏された。第1曲と第4曲は、1年後、同名カンタータBWV74、第3曲のコラールは、BWV175に転用されている。この経緯は、バッハ自身が当作品を高い完成度をもつものとは見なしていなかったことを示しているのかもしれない。
バッハ事典(東京書籍)
引用のように、どこか未完成のような感じを受けます。第3曲目のコラールが最後に配置されそうな感じも受けます。
そうした印象とは別に、各楽章を独立して聴いてみると、実にどれも晴れやかで美しい印象を受けます。第4曲目のバスによるアリアは、独奏ヴァイオリンの美しい調べに乗せて、生き生きと歌われます。この楽章はどこか協奏曲的な感じを受けます
演奏:
ソプラノ;ペーター・イェーロッジ(ウィーン少年合唱団員)
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;テルツ少年合唱団(合唱指揮;ゲールハルト・シュミット=ガーデン)
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1974−1975年
「バッハ:カンタータ全集第3巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10913/8)
用途:新年後第1日曜日
初演:1727年1月5日、ライプツィヒ
書簡章句:ペテロの手紙一、4、12〜19
福音書章句:マタイによる福音書2、13〜23
歌詞;作者不詳。第1曲;M. モラーの同名コラール(1587)第1節(定旋律=BWV3)。第5曲;M. ベームのコラール「おおイエス・キリスト、わが命の光」(1610)第2節(定旋律=BWV3)
編成:ソプラノ、バス、合唱、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜。オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:コラール(ソプラノ)とアリア(バス)(オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、アダージョ、ハ長調、3/4)
第2曲:レチタティーヴォ(バス、通奏低音)
第3曲:アリア(ソプラノ、ヴァイオリン・ソロ、通奏低音、ニ短調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(ソプラノ、通奏低音)
第5曲;コラール(ソプラノ)とアリア(バス)(オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、ハ長調、2/4)
基本テキスト;
書簡章句:ペテロの手紙一、4、12〜19
◆キリスト者として苦しみを受ける
4:12 愛する人たち、あなたがたを試みるために身にふりかかる火のような試練を、何か思いがけないことが生じたかのように、驚き怪しんではなりません。
4:13 むしろ、キリストの苦しみにあずかればあずかるほど喜びなさい。それは、キリストの栄光が現れるときにも、喜びに満ちあふれるためです。
4:14 あなたがたはキリストの名のために非難されるなら、幸いです。栄光の霊、すなわち神の霊が、あなたがたの上にとどまってくださるからです。
4:15 あなたがたのうちだれも、人殺し、泥棒、悪者、あるいは、他人に干渉する者として、苦しみを受けることがないようにしなさい。
4:16 しかし、キリスト者として苦しみを受けるのなら、決して恥じてはなりません。むしろ、キリスト者の名で呼ばれることで、神をあがめなさい。
4:17 今こそ、神の家から裁きが始まる時です。わたしたちがまず裁きを受けるのだとすれば、神の福音に従わない者たちの行く末は、いったい、どんなものになるだろうか。
4:18 「正しい人がやっと救われるのなら、/不信心な人や罪深い人はどうなるのか」と言われているとおりです。
4:19 だから、神の御心によって苦しみを受ける人は、善い行いをし続けて、真実であられる創造主に自分の魂をゆだねなさい。
福音書章句:マタイによる福音書2、13〜23
◆エジプトに避難する
2:13 占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」
2:14 ヨセフは起きて、夜のうちに幼子とその母を連れてエジプトへ去り、
2:15 ヘロデが死ぬまでそこにいた。それは、「わたしは、エジプトからわたしの子を呼び出した」と、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
◆ヘロデ、子供を皆殺しにする
2:16 さて、ヘロデは占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた。
2:17 こうして、預言者エレミヤを通して言われていたことが実現した。
2:18 「ラマで声が聞こえた。激しく嘆き悲しむ声だ。ラケルは子供たちのことで泣き、/慰めてもらおうともしない、/子供たちがもういないから。」
◆エジプトから帰国する
2:19 ヘロデが死ぬと、主の天使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて、
2:20 言った。「起きて、子供とその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。この子の命をねらっていた者どもは、死んでしまった。」
2:21 そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来た。
2:22 しかし、アルケラオが父ヘロデの跡を継いでユダヤを支配していると聞き、そこに行くことを恐れた。ところが、夢でお告げがあったので、ガリラヤ地方に引きこもり、
2:23 ナザレという町に行って住んだ。「彼はナザレの人と呼ばれる」と、預言者たちを通して言われていたことが実現するためであった。
BWV244マタイ受難曲の初演間近、1727年新年の作品。対話曲となっています。
親密な二重唱カンタータのひとつで、自筆総譜には「対話曲 Dialogus」の表記があり、曲の印象は、魂とイエスの対話によるカンタータに近い。現在演奏に用いられるのは、オーボエ・グループを加え、ソプラノ・アリアを新しい曲に差し替えた改訂稿である(1733年または34年)。
バッハ事典(東京書籍)
編成は小さいものの、引用にあるように、対話形式となっており、じっくりと聴かせる内容となっています。
第3曲の独奏ヴァイオリンを伴うソプラノ・アリアが、改訂時に差し替えられたもの。ソプラノの独唱ですが、ヴァイオリンと対話をしているような印象を受けます。美しいアリア。
われはわれを囲める悩みの中にても満り足れり
と始まり、短調の調べがその悩みを示すとともに、美しい旋律が満たされているという、キリスト者の心の充足を述べている感じを受けます。ヴァイオリンの調べも実に美しいです。
最後のコラールとアリアでは、それまでのゆったりした雰囲気とは一転して、非常に晴れやかな曲調へと変化します。ソプラノとバスの喜び溢れる掛け合いで曲を閉じます
演奏:
ソプラノ;ペーター・イェーロッジ(ウィーン少年合唱団員)
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;ウィーン少年合唱団・ウィーン合唱隊(合唱指揮;ハンス・ギレスベルガー)
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1974−1975年
「バッハ:カンタータ全集第3巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10913/8)
用途:降誕節第2日(殉教者ステファノの記念日)
初演:1726年(BC)あるいは1725年12月26日(BWV)、ライプツィヒ
書簡章句:使徒言行録6、8〜7、2a&7、同51〜59
福音書章句:マタイによる福音書23、34〜39
歌詞;レームス1711。第1曲;ヤコブの手紙1、12。第8曲;A. フリッチュのコラール「イエスよ、汝は御顔を隠したもうか」(1668)第6節
編成:ソプラノ、バス、合唱、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜。オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:アリア(バス、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、ト短調、3/4)
第2曲:レチタティーヴォ(ソプラノ、通奏低音)
第3曲:アリア(ソプラノ、弦合奏、通奏低音、ハ短調、3/4)
第4曲;レチタティーヴォ(ソプラノ、バス、通奏低音)
第5曲;アリア(バス、弦合奏、通奏低音、ヴィヴァーチェ、変ロ長調、3/4)
第6曲;レチタティーヴォ(ソプラノ、バス、通奏低音)
第7曲;アリア(ソプラノ、ヴァイオリン・ソロ、通奏低音、アレグロ、ト短調、3/8)
第8曲;コラール(合唱、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、変ロ長調、3/4)
基本テキスト;
書簡章句:使徒言行録6、8〜7、2a
◆ステファノの逮捕
6:8 さて、ステファノは恵みと力に満ち、すばらしい不思議な業としるしを民衆の間で行っていた。
6:9 ところが、キレネとアレクサンドリアの出身者で、いわゆる「解放された奴隷の会堂」に属する人々、またキリキア州とアジア州出身の人々などのある者たちが立ち上がり、ステファノと議論した。
6:10 しかし、彼が知恵とメ霊モとによって語るので、歯が立たなかった。
6:11 そこで、彼らは人々を唆して、「わたしたちは、あの男がモーセと神を冒涜する言葉を吐くのを聞いた」と言わせた。
6:12 また、民衆、長老たち、律法学者たちを扇動して、ステファノを襲って捕らえ、最高法院に引いて行った。
6:13 そして、偽証人を立てて、次のように訴えさせた。「この男は、この聖なる場所と律法をけなして、一向にやめようとしません。
6:14 わたしたちは、彼がこう言っているのを聞いています。『あのナザレの人イエスは、この場所を破壊し、モーセが我々に伝えた慣習を変えるだろう。』」
6:15 最高法院の席に着いていた者は皆、ステファノに注目したが、その顔はさながら天使の顔のように見えた。
[ 7 ]
◆ステファノの説教
7:1 大祭司が、「訴えのとおりか」と尋ねた。
7:2 そこで、ステファノは言った。「兄弟であり父である皆さん、聞いてください。わたしたちの父アブラハムがメソポタミアにいて、まだハランに住んでいなかったとき、栄光の神が現れ、
使徒言行録7、51〜59
7:51 かたくなで、心と耳に割礼を受けていない人たち、あなたがたは、いつも聖霊に逆らっています。あなたがたの先祖が逆らったように、あなたがたもそうしているのです。
7:52 いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、一人でもいたでしょうか。彼らは、正しい方が来られることを預言した人々を殺しました。そして今や、あなたがたがその方を裏切る者、殺す者となった。
7:53 天使たちを通して律法を受けた者なのに、それを守りませんでした。」
◆ステファノの殉教
7:54 人々はこれを聞いて激しく怒り、ステファノに向かって歯ぎしりした。
7:55 ステファノは聖霊に満たされ、天を見つめ、神の栄光と神の右に立っておられるイエスとを見て、
7:56 「天が開いて、人の子が神の右に立っておられるのが見える」と言った。
7:57 人々は大声で叫びながら耳を手でふさぎ、ステファノ目がけて一斉に襲いかかり、
7:58 都の外に引きずり出して石を投げ始めた。証人たちは、自分の着ている物をサウロという若者の足もとに置いた。
7:59 人々が石を投げつけている間、ステファノは主に呼びかけて、「主イエスよ、わたしの霊をお受けください」と言った
福音書章句:マタイによる福音書23、34〜39
23:34 だから、わたしは預言者、知者、学者をあなたたちに遣わすが、あなたたちはその中のある者を殺し、十字架につけ、ある者を会堂で鞭打ち、町から町へと追い回して迫害する。
23:35 こうして、正しい人アベルの血から、あなたたちが聖所と祭壇の間で殺したバラキアの子ゼカルヤの血に至るまで、地上に流された正しい人の血はすべて、あなたたちにふりかかってくる。
23:36 はっきり言っておく。これらのことの結果はすべて、今の時代の者たちにふりかかってくる。」
◆エルサレムのために嘆く
23:37 「エルサレム、エルサレム、預言者たちを殺し、自分に遣わされた人々を石で打ち殺す者よ、めん鳥が雛を羽の下に集めるように、わたしはお前の子らを何度集めようとしたことか。だが、お前たちは応じようとしなかった。
23:38 見よ、お前たちの家は見捨てられて荒れ果てる。
23:39 言っておくが、お前たちは、『主の名によって来られる方に、祝福があるように』と言うときまで、今から後、決してわたしを見ることがない。」
キリスト教での初めての殉教者ステファノを手本にしたカンタータ。
魂(ソプラノ)とイエス(バス)との対話によるカンタータのひとつ。自筆総譜には「対話によるコンチェルト Concerto in Dialogo」という副題がある。レームスの台本は、試練にさらされて恐れる魂が、イエスの愛に支えられつつ立ち直り、来世に歩むまでを語る。その手本は、殉教者のステパノである。
バッハ事典(東京書籍)
第5曲目のバスによる力強い躍動感に溢れたアリアが印象的。ヴィヴァーチェの指定通り、「興奮様式」の音型が用いられています(バッハ事典(東京書籍))。カンタータ全体の歌詞を踏まえながら聴くことで、1曲目から終曲までの盛り上がりが心に染みます。
独奏ヴァイオリンの美しい調べに乗せて、生き生きと歌われる第7曲目のソプラノ・アリア。キリスト・イエスへの問いかけをしたところで、曲が第8曲目のコラールへと以降する展開も見事です。最後はA. フリッチュのコラール「イエスよ、汝は御顔を隠したもうか」で終わります
演奏:
ソプラノ;ペーター・イェーロッジ(ウィーン少年合唱団員)
バス;リュート・ファン・デル・メール
合唱;ウィーン少年合唱団・ウィーン合唱隊(合唱指揮;ハンス・ギレスベルガー)
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
指揮:ニコラウス・アーノンクール
録音:1974−1975年
「バッハ:カンタータ全集第3巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10913/8)
用途:三位一体節後第19日曜日
初演:1726年10月27日、ライプツィヒ
書簡章句:エフェソの信徒への手紙4、22〜28
福音書章句:マタイによる福音書9、1〜8
歌詞;作者不詳。第5曲;J. フランクのコラール「汝、おお美わしき世の偉容よ」(1653)第6節(定旋律=BWV301)
編成:バス、合唱、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜。オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:アリア(オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、ト短調、3/4)
第2曲:レチタティーヴォ(チェロ、通奏低音)
第3曲:アリア(オーボエ、通奏低音、変ロ長調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォとアリオーソ(弦合奏、通奏低音、アリオーソ;アダージョ、3/4)
第5曲;コラール(合唱、オーボエ2、オーボエ・ダ・カッチャ、弦合奏、通奏低音、ハ短調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:エフェソの信徒への手紙4、22〜28
4:22 だから、以前のような生き方をして情欲に迷わされ、滅びに向かっている古い人を脱ぎ捨て、
4:23 心の底から新たにされて、
4:24 神にかたどって造られた新しい人を身に着け、真理に基づいた正しく清い生活を送るようにしなければなりません。
◆新しい生き方
4:25 だから、偽りを捨て、それぞれ隣人に対して真実を語りなさい。わたしたちは、互いに体の一部なのです。
4:26 怒ることがあっても、罪を犯してはなりません。日が暮れるまで怒ったままでいてはいけません。
4:27 悪魔にすきを与えてはなりません。
4:28 盗みを働いていた者は、今からは盗んではいけません。むしろ、労苦して自分の手で正当な収入を得、困っている人々に分け与えるようにしなさい。
福音書章句:マタイによる福音書9、1〜8
◆中風の人をいやす
9:1 イエスは舟に乗って湖を渡り、自分の町に帰って来られた。
9:2 すると、人々が中風の人を床に寝かせたまま、イエスのところへ連れて来た。イエスはその人たちの信仰を見て、中風の人に、「子よ、元気を出しなさい。あなたの罪は赦される」と言われた。
9:3 ところが、律法学者の中に、「この男は神を冒涜している」と思う者がいた。
9:4 イエスは、彼らの考えを見抜いて言われた。「なぜ、心の中で悪いことを考えているのか。
9:5 『あなたの罪は赦される』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらが易しいか。
9:6 人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう。」そして、中風の人に、「起き上がって床を担ぎ、家に帰りなさい」と言われた。
9:7 その人は起き上がり、家に帰って行った。
9:8 群衆はこれを見て恐ろしくなり、人間にこれほどの権威をゆだねられた神を賛美した。
バス独唱用のカンタータ。
福音書章句をふまえた歌詞は、キリストの船路を、われわれの人生になぞらえる。すなわち、苦難に満ちた人生の道行は、死という安らかな港にたどり着くことによって初めて救済に導かれる、というのがその思想である。
バッハ事典(東京書籍)
重苦しい雰囲気のアリアから始まる印象的なカンタータ。全編をバスが朗々と歌い上げます(最後のコラールのみ合唱)。死による救済が歌詞の思想となっていますが、これがキリスト教の、悔い改めたものが死によって永遠の命を得ることができるという考え方と一致しています。
第3曲目の変ロ長調のアリアは、オーボエを従えたもので、苦難から解放された喜びを表しています。バッハはカンタータの中でオーボエを実にうまく使うのですが、この曲でもその素晴らしさが見事に表されています
演奏:
バス;ミヒャエル・ショッパー
ハノーファー少年合唱団(合唱指揮;ハインツ・ヘニヒ)
レオンハルト・コンソート
指揮:グスフタフ・レオンハルト
録音:1974−1975年
「バッハ:カンタータ全集第3巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10913/8)
用途:三位一体節後第22日曜日
初演:1726年11月17日、ライプツィヒ
書簡章句:フィリピの信徒への手紙1、3〜11
福音書章句:マタイによる福音書18、23〜35
歌詞;作者不詳。第5曲;J. リストのコラール「目覚めて確かなれ、わが心よ」(1642)
編成:テノール、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜。オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:アリア(フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ、ヴァイオリン2、通奏低音、ト短調、6/8)
第2曲:レチタティーヴォ(通奏低音)
第3曲:アリア(フラウト・トラヴェルソ、通奏低音、ニ短調、4/4)
第4曲;レチタティーヴォ(弦合奏、通奏低音)
第5曲;コラール(合唱、フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレ、弦合奏、通奏低音、変ロ長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:フィリピの信徒への手紙1、3〜11
◆フィリピの信徒のための祈り
1:3 わたしは、あなたがたのことを思い起こす度に、わたしの神に感謝し、
1:4 あなたがた一同のために祈る度に、いつも喜びをもって祈っています。
1:5 それは、あなたがたが最初の日から今日まで、福音にあずかっているからです。
1:6 あなたがたの中で善い業を始められた方が、キリスト・イエスの日までに、その業を成し遂げてくださると、わたしは確信しています。
1:7 わたしがあなたがた一同についてこのように考えるのは、当然です。というのは、監禁されているときも、福音を弁明し立証するときも、あなたがた一同のことを、共に恵みにあずかる者と思って、心に留めているからです。
1:8 わたしが、キリスト・イエスの愛の心で、あなたがた一同のことをどれほど思っているかは、神が証ししてくださいます。
1:9 わたしは、こう祈ります。知る力と見抜く力とを身に着けて、あなたがたの愛がますます豊かになり、
1:10 本当に重要なことを見分けられるように。そして、キリストの日に備えて、清い者、とがめられるところのない者となり、
1:11 イエス・キリストによって与えられる義の実をあふれるほどに受けて、神の栄光と誉れとをたたえることができるように。
福音書章句:マタイによる福音書18、23〜35
18:23 そこで、天の国は次のようにたとえられる。ある王が、家来たちに貸した金の決済をしようとした。
18:24 決済し始めたところ、一万タラントン借金している家来が、王の前に連れて来られた。
18:25 しかし、返済できなかったので、主君はこの家来に、自分も妻も子も、また持ち物も全部売って返済するように命じた。
18:26 家来はひれ伏し、『どうか待ってください。きっと全部お返しします』としきりに願った。
18:27 その家来の主君は憐れに思って、彼を赦し、その借金を帳消しにしてやった。
18:28 ところが、この家来は外に出て、自分に百デナリオンの借金をしている仲間に出会うと、捕まえて首を絞め、『借金を返せ』と言った。
18:29 仲間はひれ伏して、『どうか待ってくれ。返すから』としきりに頼んだ。
18:30 しかし、承知せず、その仲間を引っぱって行き、借金を返すまでと牢に入れた。
18:31 仲間たちは、事の次第を見て非常に心を痛め、主君の前に出て事件を残らず告げた。
18:32 そこで、主君はその家来を呼びつけて言った。『不届きな家来だ。お前が頼んだから、借金を全部帳消しにしてやったのだ。
18:33 わたしがお前を憐れんでやったように、お前も自分の仲間を憐れんでやるべきではなかったか。』
18:34 そして、主君は怒って、借金をすっかり返済するまでと、家来を牢役人に引き渡した。
18:35 あなたがたの一人一人が、心から兄弟を赦さないなら、わたしの天の父もあなたがたに同じようになさるであろう。」
現存する唯一のテノールのための真作カンタータ。
音楽的な密度が高く、テノールの張りつめた音色がみごとに用いられているために、エヴァンゲリスト歌手たちの絶好のレパートリーとなっている。
バッハ事典(東京書籍)
第4曲までは、テノールの独唱となっていて、最後のコラールで初めて合唱が出てきます。第5曲の定旋律は「BWV147 心と口と行いと生きざまもて」でお馴染みのもの。
歌詞は福音書章句(マタイによる福音書18、23〜35)に基づいており、罪を考えさせる内容となっています。それに伴い、テノールの独唱は悲痛なものを感じさせます。フラウト・トラヴェルソの響きもその悲痛さを醸し出すのに一役買っています。なお、クレジットにはフラウト・トラヴェルソを演奏しているのが、ブリュッヘン、バルトルド・クイケン、マーラーのいずれかですが(どの曲で誰が吹いているかまでの記載はありません)、吹き方がブリュッヘンのような気がしてなりません
演奏:
テノール;クルト・エクヴィルツ
レオンハルト・コンソート
指揮:グスフタフ・レオンハルト
録音:1974−1975年
「BACH・CANTATAS BWV198, BWV106, BWV196, BWV53」(CORO DELLA RADIO SVIZZERA, I BAROCCHISTI - DIEGO FASOLIS, ARTS, 47695-2)
用途;葬儀
基本資料;18世紀後半の総譜の写し
歌詞;S. フランク?
編成;アルト、ベル、弦合奏、通奏低音
ホ長調、3/2拍子
このところCD棚の中から探し出しては聴いている「偽作シリーズ」(勝手にシリーズ化しているだけです)。今日は、アルト独唱、単一楽章からなる教会カンタータの偽作を聴きます。
上記の筆写譜には「J. S. バッハのカンタータ」とあるが、真の作者はゲオルク・メルヒオル・ホフマンと考えられる。
バッハ事典(東京書籍)
楽器編成を調べると、「bell」と書かれていて、???だったのですが、聴いてみてわかりました。表記通り「ベル」が鳴っています。葬儀用とのことで、点鐘をイメージしているのでしょうか・・・。ゆったりとしたテンポで進むアリアだけの楽章です。葬儀用とのことですが、この曲の旋律を聴く限りではそうは感じません
演奏;
メゾソプラノ;ギルメット・ローレンス
演奏;ディエゴ・ファソリス
指揮;イ・バロッキスティ
録音;Auditorium RSI, Lagano (Swirzerland), 12 / 2000
「バッハ:カンタータ全集第3巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10913/8)
用途:復活節前第3日曜日
初演:1714年3月4日?、ヴァイマル
書簡章句:ローマの信徒への手紙6、19〜23
福音書章句:ルカによる福音書11、14〜28
歌詞;レームス1711
編成:アルト、弦合奏(ヴァイオリンも2部に分割)、通奏低音
基本資料:J. T. クレープスおよびJ. G. ヴァルターによる総譜の写し(1711以前?)
構成:
第1曲:アリア(弦合奏、通奏低音、変ホ長調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(通奏低音)
第3曲:アリア(弦合奏、通奏低音、変ホ長調、2/2)
基本テキスト;
書簡章句:ローマの信徒への手紙6、19〜23
6:19 あなたがたの肉の弱さを考慮して、分かりやすく説明しているのです。かつて自分の五体を汚れと不法の奴隷として、不法の中に生きていたように、今これを義の奴隷として献げて、聖なる生活を送りなさい。
6:20 あなたがたは、罪の奴隷であったときは、義に対しては自由の身でした。
6:21 では、そのころ、どんな実りがありましたか。あなたがたが今では恥ずかしいと思うものです。それらの行き着くところは、死にほかならない。
6:22 あなたがたは、今は罪から解放されて神の奴隷となり、聖なる生活の実を結んでいます。行き着くところは、永遠の命です。
6:23 罪が支払う報酬は死です。しかし、神の賜物は、わたしたちの主キリスト・イエスによる永遠の命なのです。
福音書章句:ルカによる福音書11、14〜28
◆ベルゼブル論争
11:14 イエスは悪霊を追い出しておられたが、それは口を利けなくする悪霊であった。悪霊が出て行くと、口の利けない人がものを言い始めたので、群衆は驚嘆した。
11:15 しかし、中には、「あの男は悪霊の頭ベルゼブルの力で悪霊を追い出している」と言う者や、
11:16 イエスを試そうとして、天からのしるしを求める者がいた。
11:17 しかし、イエスは彼らの心を見抜いて言われた。「内輪で争えば、どんな国でも荒れ果て、家は重なり合って倒れてしまう。
11:18 あなたたちは、わたしがベルゼブルの力で悪霊を追い出していると言うけれども、サタンが内輪もめすれば、どうしてその国は成り立って行くだろうか。
11:19 わたしがベルゼブルの力で悪霊を追い出すのなら、あなたたちの仲間は何の力で追い出すのか。だから、彼ら自身があなたたちを裁く者となる。
11:20 しかし、わたしが神の指で悪霊を追い出しているのであれば、神の国はあなたたちのところに来ているのだ。
11:21 強い人が武装して自分の屋敷を守っているときには、その持ち物は安全である。
11:22 しかし、もっと強い者が襲って来てこの人に勝つと、頼みの武具をすべて奪い取り、分捕り品を分配する。
11:23 わたしに味方しない者はわたしに敵対し、わたしと一緒に集めない者は散らしている。」
◆汚れた霊が戻って来る
11:24 「汚れた霊は、人から出て行くと、砂漠をうろつき、休む場所を探すが、見つからない。それで、『出て来たわが家に戻ろう』と言う。
11:25 そして、戻ってみると、家は掃除をして、整えられていた。
11:26 そこで、出かけて行き、自分よりも悪いほかの七つの霊を連れて来て、中に入り込んで、住み着く。そうなると、その人の後の状態は前よりも悪くなる。」
◆真の幸い
11:27 イエスがこれらのことを話しておられると、ある女が群衆の中から声高らかに言った。「なんと幸いなことでしょう、あなたを宿した胎、あなたが吸った乳房は。」
11:28 しかし、イエスは言われた。「むしろ、幸いなのは神の言葉を聞き、それを守る人である。」
ヴァイマール時代に書かれたアルト独奏用のカンタータ。3曲からなる小さな構成。
かつては大きな曲の断片と考えられていたが、比較的最近レームスの原詩集が発見され、簡潔した作品であることが判明した。
バッハ事典(東京書籍)
第1曲目のアリアは、実に力強く、いきいきと、そして極めて美しい。ダ・カーポ形式が書かれています。後にBWV247マルコ受難曲に転用されています。第2曲目のレチタティーヴォでは、通奏低音の動きが活発となっています。3曲目のアリアも、アルトの独唱が光る名作。
バッハがまだ若いヴァイマル時代の作品ですが、その若い情熱がくっきりと現れた作品です
演奏:
アルト;ポール・エスウッド
レオンハルト・コンソート
指揮:グスフタフ・レオンハルト
録音:1974−1975年
「バッハ:カンタータ全集第3巻」(ニコラウス・アーノンクール、グスタフ・レオンハルト、TELDEC、WPCS-10913/8)
用途:三位一体節後第23日曜日
初演:1726年11月24日、ライプツィヒ
書簡章句:フィリピの信徒への手紙3、17〜21
福音書章句:マタイによる福音書22、15〜22
歌詞作者不詳。第6曲;A. ロイスナーのコラール「われ汝に依り頼む、主よ」(1533)第1節
編成:ソプラノ、合唱、ホルン2、オーボエ3、ファゴット、弦合奏、通奏低音
基本資料:自筆総譜、オリジナル・パート譜
構成:
第1曲:シンフォニア(ホルン2、オーボエ3、ファゴット、弦合奏、通奏低音、ヘ長調、4/4)
第2曲:レチタティーヴォ(通奏低音)
第3曲:アリア(ヴァイオリン2、通奏低音、ニ短調、4/4)
第4曲:レチタティーヴォ(通奏低音)
第5曲:アリア(オーボエ3、弦合奏、通奏低音、変ロ長調、3/4)
第6曲;コラール(合唱、ホルン2、オーボエ3、ファゴット、弦合奏、通奏低音、ヘ長調、4/4)
基本テキスト;
書簡章句:フィリピの信徒への手紙3、17〜21
3:17 兄弟たち、皆一緒にわたしに倣う者となりなさい。また、あなたがたと同じように、わたしたちを模範として歩んでいる人々に目を向けなさい。
3:18 何度も言ってきたし、今また涙ながらに言いますが、キリストの十字架に敵対して歩んでいる者が多いのです。
3:19 彼らの行き着くところは滅びです。彼らは腹を神とし、恥ずべきものを誇りとし、この世のことしか考えていません。
3:20 しかし、わたしたちの本国は天にあります。そこから主イエス・キリストが救い主として来られるのを、わたしたちは待っています。
3:21 キリストは、万物を支配下に置くことさえできる力によって、わたしたちの卑しい体を、御自分の栄光ある体と同じ形に変えてくださるのです。
福音書章句:マタイによる福音書22、15〜22
◆皇帝への税金
22:15 それから、ファリサイ派の人々は出て行って、どのようにしてイエスの言葉じりをとらえて、罠にかけようかと相談した。
22:16 そして、その弟子たちをヘロデ派の人々と一緒にイエスのところに遣わして尋ねさせた。「先生、わたしたちは、あなたが真実な方で、真理に基づいて神の道を教え、だれをもはばからない方であることを知っています。人々を分け隔てなさらないからです。
22:17 ところで、どうお思いでしょうか、お教えください。皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているでしょうか、適っていないでしょうか。」
22:18 イエスは彼らの悪意に気づいて言われた。「偽善者たち、なぜ、わたしを試そうとするのか。
22:19 税金に納めるお金を見せなさい。」彼らがデナリオン銀貨を持って来ると、
22:20 イエスは、「これは、だれの肖像と銘か」と言われた。
22:21 彼らは、「皇帝のものです」と言った。すると、イエスは言われた。「では、皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」
22:22 彼らはこれを聞いて驚き、イエスをその場に残して立ち去った。
先週聴いた「BWV51 全地よ、神にむかいて歓呼せよ」同様、ソプラノ独奏用のカンタータ。
第1曲目のシンフォニアは、ブランデンブルク協奏曲第1番の第1楽章と同じです。
調をうまく使いこなし、曲を見事に仕上げています。素朴なソプラノの歌声が魅力的な一曲
演奏:
ソプラノ;ゼ