「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/22)
成立;遅くとも1710/14年頃
基本資料:J. T. クレープスによる筆写譜
イ短調、4/4
3部分構成。クラヴィーア曲の演奏技巧を連ねた導入部 (4/4) が、上行跳躍主題による模倣部部分を導く。しめくくりは、再び即興風となる。
バッハ事典(東京書籍)
比較的激しい即興演奏のような冒頭に続いて、引用にあるように同じような感じのフレーズが繰り返し演奏されます。最後に再び冒頭ほどではないですが、即興的なフレーズに戻ります。何かの練習曲の一部のような感じを受けます
演奏:Christiane Wuyts
使用楽器:Henri Hemsch, 1754
録音:1988, Digipro, Brussels, Belgium
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/22)
成立;不明
基本資料:1725年頃の筆写譜(14小節の断片)、18世紀後半の筆写譜
ロ短調、4/4
走句と分散和音を連ねた、もっぱら即興風の楽曲(4/4)。1826年にベルリンで出版された楽譜では、ヒエローニュムス・パッヘルベル(ヨーハン・パッヘルベルの息子)の作となっている。なお、「J. S. バッハによるチェンバロのためのトッカティーナ」と題する19世紀の手稿譜に、その第3部としてイ短調の異稿(BWV923a)が含まれているが、これは確実に偽作である。
バッハ事典(東京書籍)
ぼちぼちと聴いている「偽作、もしくはその疑いのある作品シリーズ」。
引用にあるように、「走句と分散和音を連ねた、もっぱら即興風の楽曲」という表現がぴったりですね。どこか「BWV903 半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 」に似た雰囲気を感じます
演奏:Christiane Wuyts
使用楽器:Henri Hemsch, 1754
録音:1988, Digipro, Brussels, Belgium
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/22)
基本資料:J. G. プレラーによる筆写譜
ハ短調、4/4
2声インヴェンションのスタイルによる小曲(4/4)。プレラーの筆写譜では「ベルンハルト・バッハ作」となっている。
バッハ事典(東京書籍)
簡素なスタイルですが、連続する同音が印象に残ります。短い小品です
演奏:Pieter-Jan Belder
使用楽器:Cornelis Bom, Schoonhoven 1999 after Ruckers
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/22)
成立:不明
基本資料:18世紀後半の筆写譜
ハ短調、3/4
ロンド風形式による楽曲。一貫して2声部書法で綴られている。
バッハ事典(東京書籍)
力強い曲調が印象的です
演奏:Pieter-Jan Belder
使用楽器:Cornelis Bom, Schoonhoven 1999 after Ruckers
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/22)
成立:遅くとも1704/07年頃
基本資料:メラー手稿譜集
ト短調、4/4
『メラー手稿譜集』所収の初期作。偽作説もある。32分音符の下行句に導かれる本体は、それぞれ特徴的な3つのモティーフ(全音階的な8分音符の連なり、2分音符の半音階下行、跳躍を含む4分音符音型)のからみ合いによって構成される。
バッハ事典(東京書籍)
印象的な旋律から曲が始まります。引用にあるように、『からみ合い』が特徴的ですね。偽作説もあるとのことですが、旋律を聴いている限りでは、『バッハらしい』感じを受けます
演奏:Christiane Wuyts
使用楽器:Henri Hemsch, 1754
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年
「J. S. バッハ イギリス組曲(全曲)」(グスタフ・レオンハルト、東芝EMI CC33-3631・32)
成立:遅くとも1725年
基本資料:同時代の写室譜(一部バッハの自筆譜)
楽章編成:
1.プレリュード 4/4
2. アルマンド 4/4
3. クーラント 3/2
4. サラバンド 3/4
5. メヌエットI 3/4
6. メヌエットII ニ短調 3/4
7. ジーグ 12/8
快活なプレリュードが印象的な1曲。「vitement(活発に)」の指定があるとのこと《バッハ事典(東京書籍)》で、実際に音の洪水のようです。レオンハルト氏の名演から
演奏:グスタフ・レオンハルト
録音:1984年5月2、3日、9月4日
場所:Doopsgezinde Gemeente Kerk, Haarlem, Holland
「J. S. バッハ ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための鍵盤練習帳」(クリストフ・ルセ、Ambroisie、AMB 9977)
成立:1720/21年、ケーテン
基本資料:ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集、アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集第1巻
先週、先々週と聴いてきた「3つのメヌエット」(「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集 」の第11〜13曲に記載されている3つのメヌエット)の最後の曲。
和音の響きが美しい1曲。チェンバロの響きが実に美しいですね。毎週1曲ずつ聴いてきましたが、独立した3つの曲というよりは、それぞれがつながっている感じを受けます
演奏:クリストフ・ルセ(チェンバロ)
使用楽器:ヨハネス・リュッカース1632年製(1787年フォン・ナーゲル改修)
録音:2004年11月25〜27日、ヌーシャテル(スイス)
「J. S. バッハ ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための鍵盤練習帳」(クリストフ・ルセ、Ambroisie、AMB 9977)
成立:1720/21年、ケーテン
基本資料:ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集、アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集第1巻
「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集 」の第11〜13曲に記載されている3つのメヌエットの一つで、今日聴くのはその2曲目、ト短調の曲。
早いテンポで演奏されます。憂いを帯びた曲調が魅力的です
演奏:クリストフ・ルセ(チェンバロ)
使用楽器:ヨハネス・リュッカース1632年製(1787年フォン・ナーゲル改修)
録音:2004年11月25〜27日、ヌーシャテル(スイス)
「J. S. バッハ ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための鍵盤練習帳」(クリストフ・ルセ、Ambroisie、AMB 9977)
成立:1720/21年、ケーテン
基本資料:ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集、アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集第1巻
「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集 」の第11〜13曲に記載されている3つのメヌエットの一つ。今日聴くト長調は、アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集第1巻にも見られます。
瑞々しく、明るさに満ちた1曲。可憐な演奏が魅力的です
演奏:クリストフ・ルセ(チェンバロ)
使用楽器:ヨハネス・リュッカース1632年製(1787年フォン・ナーゲル改修)
録音:2004年11月25〜27日、ヌーシャテル(スイス)
「Works for Lute-Harpsichord」(Robert Hill, Hänssler, CD 92.109)
偽作、偽作の疑いのある曲を聴くシリーズ。先週聴いた「BWV839 サラバンド ト短調 」と少し関連があるようです。
G. Ph. テーレマンのト長調組曲(TWV32:13)第2楽章。『C. F. ツォイメリンの楽譜調』(BWV839の項参照)には「バッハ作」とある。
バッハ事典(東京書籍)
ということです。
明るく動きが活発な小品。テレマン作とのことですが、たしかにバッハらしくない感じを受けます。
ロバート・ヒルのリュート・チェンバロによる演奏で・・・
演奏;ロバート・ヒル
使用楽器;Lute-Harpsichord (Keith Hill, Manchester, Michigan/USA, 1994)
録音;28-30. 9. 1998 Kirche St. Fides und Markus, Freiburg-Sölden
「Works for Lute-Harpsichord」(Robert Hill, Hänssler, CD 92.109)
細々と続けている偽作、偽作の疑いのある曲を聴くシリーズ。今日はクラヴィーア曲です。
この曲ですが、
1909年度の『ペータース音楽図書年鑑』で、H. クレッチュマルが公にした作品。「C. F. ツォイメリン」という所有者名のある、18世紀半ばの手書きの楽譜集(現在消失)に含まれており、そこに「ライプツィヒのバッハ氏によるサラバンド」とあるため、バッハの作とされた。しかし近年では偽作説が強い。曲想は、サラバンドというよりメヌエットに近い。
バッハ事典(東京書籍)
ということです。
引用にあるように、メヌエットのような感じを受けます。少し陰鬱な雰囲気があります。
ロバート・ヒルのリュート・チェンバロによる演奏で楽しみます
演奏;ロバート・ヒル
使用楽器;Lute-Harpsichord (Keith Hill, Manchester, Michigan/USA, 1994)
録音;28-30. 9. 1998 Kirche St. Fides und Markus, Freiburg-Sölden
「J. S. バッハ ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための鍵盤練習帳」(クリストフ・ルセ、Ambroisie、AMB 9977)
成立:1720/21年、ケーテン
基本資料:ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集
先週紹介した「BWV836 」とともに、「二つのアルマンド」として知られている小品。「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集 」の第6、7曲として記されています。4/4のこの曲は、7小節半の断片。恐らくは長男フリーデマンとの合作と見られています《バッハ事典(東京書籍)》。
「BWV836」よりもテンポはゆったりとしています。短いながらも、装飾は入り方や旋律の美しさが際立っています
演奏:クリストフ・ルセ(チェンバロ)
使用楽器:ヨハネス・リュッカース1632年製(1787年フォン・ナーゲル改修)
録音:2004年11月25〜27日、ヌーシャテル(スイス)
「J. S. バッハ ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための鍵盤練習帳」(クリストフ・ルセ、Ambroisie、AMB 9977)
成立:1720/21年、ケーテン
基本資料:ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集
「BWV837」(来週紹介予定)とともに、「二つのアルマンド」として知られている小品。「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集 」の第6、7曲として記されています。4/4。長男フリーデマンとの合作と見られています《バッハ事典(東京書籍)》。物哀しい旋律が印象的。比較的指の動きが活発です
演奏:クリストフ・ルセ(チェンバロ)
使用楽器:ヨハネス・リュッカース1632年製(1787年フォン・ナーゲル改修)
録音:2004年11月25〜27日、ヌーシャテル(スイス)
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/8)
成立;1707/08年以前
基本資料;『メラー手稿集』
楽章構成;
1. プレリュード、アンダンテ、3/2
2. アルマンド、4/4
3. クーラント、3/4
4. サラバンド、3/4
5. ドゥーブル、アレグロ、3/4
6. エール、アレグロ、3/4
『メラー手稿集』によってのみ伝承される初期作。偽作とする説もある。
バッハ事典(東京書籍)
アルマンド、クーラントでは、同じ音が繰り返して演奏され、それがちょっとしたアクセントになっています。6つの楽章から成っていますが、それぞれの楽章が短く、小品といった感じを受けます。
エールは、明るい雰囲気が特徴的。バッハ事典(東京書籍)によれば、「快活なエールはほとんど2声で書かれ、低音パートには数字が付記されている。」とのこと
演奏:Christiane Wuyts
使用楽器:Henri Hemsch, 1754
録音:1988, Digipro, Brussels, Belgium
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/8)
少し変わった構成の1曲。単一の協奏的楽章とフーガが組み合わされています。協奏的楽章では、4/4拍子でアンダンテ(トゥッティに相当)とアレグロ(ソロに相当)が交代しながら出てきて最後は「アダージョ」となり、フーガ(3声、4/4)へ続きます。Wuytsの演奏では、
アンダンテーアレグローアンダンテーアレグローアンダンテーアダージョーフーガ
となっています。
「協奏曲」の華麗な鍵盤技巧は注目されるが、おそらくは偽作。
バッハ事典(東京書籍)
とのこと。この引用の通り、「協奏曲」の「アンダンテ」の部分の手の動きはかなり活発です
演奏:Christiane Wuyts
使用楽器:Jacques Goermans, 1774
録音:1988, Digipro, Brussels, Belgium
「Works for Lute-Harpsichord」(Robert Hill, Hänssler, CD 92.109)
基本資料;J. P. ケルナーの所有していた筆写譜
先週聴いた「BWV907 ファンタジーとフゲッタ 変ロ長調 」と、ある意味「似ている」背景を持つ一曲。そこでも引用しましたが、
この作品とBWV908は、きわめて特異な楽譜で伝承されている。すなわち、「ファンタジー」、「フゲッタ」ともに1段(!)譜表で記され、同時に、かなり細かい数字づけがされているのである。ケルナーは、これらをバッハの作としているが、おそらくは他者のものと思われる(キルンベルガーによれば「キルヒホーフ作」)。両方とも、チェルニーによる「解決譜」(Peters)がある。
バッハ事典(東京書籍)
とのこと。
ファンタジー(4/4)は、きらびやかな印象があり、16分音符が動き回ります。フーガ(3声、12/8)は、可愛らしい印象があります。「ハ短調シンフォニアを思わせる、快いリズムの揺れをもつ《バッハ事典(東京書籍)》」の通りの印象です
ロバート・ヒルのリュート・チェンバロによる演奏から
演奏;ロバート・ヒル
使用楽器;Lute-Harpsichord (Keith Hill, Manchester, Michigan/USA, 1994)
録音;28-30. 9. 1998 Kirche St. Fides und Markus, Freiburg-Sölden
「Works for Lute-Harpsichord」(Robert Hill, Hänssler, CD 92.109)
基本資料;J. P. ケルナーの所有していた筆写譜
久しぶりの「偽作を聴く」シリーズ。
この作品とBWV908は、きわめて特異な楽譜で伝承されている。すなわち、「ファンタジー」、「フゲッタ」ともに1段(!)譜表で記され、同時に、かなり細かい数字づけがされているのである。ケルナーは、これらをバッハの作としているが、おそらくは他者のものと思われる(キルンベルガーによれば「キルヒホーフ作」)。両方とも、チェルニーによる「解決譜」(Peters)がある。
バッハ事典(東京書籍)
ファンタジーの部分は、前半が4/4、後半が3/4となっています。かなり動きが激しい曲です。フゲッタは3声、4/4で、ここでも細かい動きが頻繁に現れます。偽作とのことですが、フゲッタの部分はチェンバロの演奏で聴くと、かなり迫力がある感じがします
ロバート・ヒルのリュート・チェンバロによる演奏から
演奏;ロバート・ヒル
使用楽器;Lute-Harpsichord (Keith Hill, Manchester, Michigan/USA, 1994)
録音;28-30. 9. 1998 Kirche St. Fides und Markus, Freiburg-Sölden
「グスタフ・レオンハルト チェンバロ・リサイタル」(兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール)
成立;1708〜14年、ヴァイマル
基本資料;J. P. ケルナーの手による筆写譜
楽章構成;
1. プレリュード、3/8
2. サラバンド、3/4
3. ジーグ、3/8
今日はレオンハルト氏のコンサートの1曲から
プレリュードと2つの舞曲という、コンパクトな作り。資料は上記の筆写譜が唯一のものだが、これはもっと大きな組曲の一部かもしれない。真摯な趣のプレリュードはロンド風の構成。装飾的なサラバンドはダ・カーポ形式をとる。ジーグは2声部書法の軽やかなもので、対位的展開はまったく見られない。
バッハ事典(東京書籍)
どこか憂いに満ちた組曲。静寂の中の小さなホールでこうした小品を聴くのは、家でCDで聴くのとは異なった趣がありますね。コンサートでは短調の曲を好んで演奏するいうレオンハルトらしく、そうした彼の好みをよく表していると感じた曲です。
今日紹介した曲は、「グスタフ・レオンハルト・エディション(21CD)」 のCD8に収録されています。
久しぶりのレオンハルトのコンサートでした。昨年は逃してしまいましたので・・・。
演奏された曲は以下の通り;
ルイ・クープラン;
・パヴァーヌ
・組曲 ニ短調
パッヘルベル;
・ファンタジア ト短調
・3つのフーガ
J S. バッハ
・組曲 ヘ短調 BWV823
・コラール・パルティータ「おお神よ、汝まことなる神よ」BWV767
(休憩)
アルマン=ルイ・クープラン;
・ラントレピッド
・ラ・フランセーズ
・ラフリンジュ
デュフリ;
・アルマンドとクーラント ニ短調
・ラ・ドゥブロムブル
・ラ・フェリックス
・レ・グラース
アンコール
フィッシャー;シャコンヌ イ短調
ため息の出るような、達人の演奏でした。まったく聴き手とは別の世界で繰り広げられる「レオンハルトの世界」。彼が音楽と向き合っている様子を、われわれがたまたま聴衆という形で聴くことができた、そういう世界でした。プログラム後半のフランス・クラブサン音楽の世界は特にすごかったですね。チェンバロという楽器の素晴らしさ、レオンハルトという演奏家の凄さとはこういうものだ、ということを耳で感じさせてくれるものでした
演奏;グスタフ・レオンハルト
日時;兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール
使用楽器;ブルース・ケネディ製作のジャーマン2段チェンバロ(1996)/M.ミートケモデル(東京古典楽器センター所収)
「バッハ・イタリア協奏曲&フランス風序曲」(西山まりえ、Anthonello Mode、AMOE-10005)
以前から店頭で見かけていて、気になっていたCD。ジャケットが印象的だったもので・・・。
さてその感想ですが、実にいい演奏!ということです。
1曲目の「BWV831 フランス風序曲 ロ短調」は、かなり遅いテンポで始まります。さらりとBGM的に聴こうと思っていたのですが、この遅さに驚いて、じっくりと聴き入ってしまいました。全体がそういう感じというわけではなく、各楽章をじっくりと考えて弾いているという感じを受けました。この遅さに驚いたというところですが、「バッハの音楽」さんの「西山まりえさんのバッハ 」でも、同じことが書かれています。
線が細い演奏という感じでもなく、繊細な部分と大胆に弾いている部分があって、3曲収録されていますが、楽しんで聴くことができました。ジャケットには目をつぶってチェンバロを弾いているところが描かれていますが、その絵の通りの印象を与える弾き方だと思います。
レオンハルトの質実剛健な演奏が基準となっていて、中々他の演奏家のチェンバロを聴いてもぴんとこないことが多いのですが、久しぶりにいい演奏に出会えたと思います。ゴルトベルク変奏曲やフランス組曲も録音されているようなので、それも機会があれば聴いてみたいと思います。
なお、彼女の情報は、「Marie*rism チェンバロ&ヒストリカルハープ奏者西山まりえファンサイト 」でわかるようです
収録曲;
1)フランス風序曲 ロ短調 BWV831
2)ファンタジアとフーガ イ短調 BWV904
3)イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971
使用楽器;Bruce Kennedy, 1997 (model Taskin, in France 1769)
Pitch;A = 415
録音;2006年10月2-4日、神奈川県立相模湖交流センター
「バッハ:イタリア協奏曲/半音階的幻想曲とフーガ/組曲」(グスタフ・レオンハルト、SONY、SRCR 2423-4)
成立;遅くとも1703/13年頃
基本資料;メラー手稿譜集
導入部、アレグロ部、第1間奏部、第1フーガ、第2間奏部、第2フーガ
の6つの部分から成ります。4/4拍子の音階上行句は、「BWV532 前奏曲とフーガ ニ長調 」で用いられたもの。プレスト指示の筆写譜も存在します。
曲はここからままぐるしく変化します。協奏曲的なアレグロ、ついでレチタティーヴォ風のアダージョ。
短調を主体に転調を重ねるこうした部分はつぎはぎしてトッカータに欠かせないが、ここではそれがかなり拡大され、中間に嬰ヘ短調のフーガをはさみ込んでいるのが目新しい(このつぎはぎ部分には異稿BWV912aが存在する)。
バッハ事典(東京書籍)
最後はプレストとなります。
明るくきらびやかな冒頭が実に印象的ですが、中間部のテンポを落とした楽章も、聴かせる曲調が印象的。引用の通り、短調主体となりながら調がうつろいます。そして最後のプレスト楽章への移行する部分も印象的。バッハらしい旋律です。最後は6/16拍子のジーグとなり完結します
久しぶりのクラヴィーア曲は、やはりレオンハルトの名演から
演奏;グスタフ・レオンハルト
使用楽器;クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年(「ハンブルク歴史工芸博物館」所有)
「J. S. BACH (?) : Cembalowerke」(Christian Rieger, GLISSANDO, 779 011-2)
基本資料;J. P. ケルナーの所有していた筆写譜
ホ短調、4/4
オクターブの音域をリズミカルに上下行する主題による。同時代の筆写譜によって伝えられるが、偽作の疑いがある。
バッハ事典(東京書籍)
4分ちょっとの小品。ゆったりと曲が進行します。引用にあるように、音が上下行します。どこか練習曲のような雰囲気があります
演奏;Christian Rieger
録音;2000/01, Köln, Sendesaal 2 (WDR)
楽器;Matthias Griewisch (1998) after a Flemish instrument of 1624 by Joannes Ruckers
「J. S. BACH (?) : Cembalowerke」(Christian Rieger, GLISSANDO, 779 011-2)
基本資料;ファンタジーの冒頭15小節の筆写譜(18世紀中頃).ペータース版初版楽譜(1880年)
楽章構成;
1. ファンタジー、アンダンテ、4/4
2. フーガ、4/4
資料と様式、いずれの観点からも、偽作の疑いが強い。
バッハ事典(東京書籍)
ファンタジーはトリオ・ソナタに準じた構成。フーガは力強い曲調で、随所に出てくるトリルが印象的。5分足らずの小品
演奏;Christian Rieger
録音;2000/01, Köln, Sendesaal 2 (WDR)
楽器;Matthias Griewisch (1998) after a Flemish instrument of 1624 by Joannes Ruckers
「J. S. BACH (?) : Cembalowerke」(Christian Rieger, GLISSANDO, 779 011-2)
成立;不明(初期)
基本資料;『メラー手稿譜集』(ただしアルマンドと「トランペットのためのエール」のみ)。18世紀後半の筆写譜
楽章構成;
1. アルマンド、4/4
2. 「トランペットのためのエール」、4/4
3. サラバンド、3/4
4. ブーレー、2/2
5. ジーグ、6/8
クーラントを欠く作品ですが、そのかわりに「トランペットのためのエール」が配置されています。
明るく穏やかな雰囲気のアルマンドで始まります。艶のようなものを感じます。2曲目のエールは、「トランペットを思わせる音型(3連音符と2連音符の組み合わせ)が多用されます《バッハ事典(東京書籍)》。トランペットの力強さを感じます。テンポを落としたサラバンドでは、和音が連続して出てきます。続く、ブーレーは可愛らしい小品で、音が駆け巡ります。最後のジーグでは、力強くそして軽快に音が踊ります
演奏;Christian Rieger
録音;2000/01, Köln, Sendesaal 2 (WDR)
楽器;Matthias Griewisch (1998) after a Flemish instrument of 1624 by Joannes Ruckers
「J. S. バッハ ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための鍵盤練習帳」(クリストフ・ルセ、Ambroisie、AMB 9977)
成立:1720年、ケーテン
基本資料:ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集
楽章構成;
1. アルマンド、4/4
2. クーラント、3/4
3. ジーグ、6/8
ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集に収録されているG. Ph. テレマンの作品。
テレマンの作品とのことですが、瑞々しく美しい曲。こうした美しい曲で鍵盤楽器を練習させるバッハに恐れ入ります。単なる指使いだけの「練習曲」ではなく、その中に一つの音楽が存在しています。
演奏は、以前「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための鍵盤練習帳 」で紹介したクリストフ・ルセによるもの。1632年製リュッカースを用いた、気品に溢れた演奏です。録音も素晴らしいですね
演奏:クリストフ・ルセ(チェンバロ)
使用楽器:ヨハネス・リュッカース1632年製(1787年フォン・ナーゲル改修)
録音:2004年11月25〜27日、ヌーシャテル(スイス)
「バッハ:フランス組曲(全曲)」(グスタフ・レオンハルト、SEON、B18D-38018-19)
「ねむり猫のバッハ日記 」さんの「レオンハルト/フランス組曲 」を読んで、久しぶりにCD棚から引っ張りだして来ました。バッハを聴き始めた頃、クラヴィーア曲のCDをどんどんと集めていったのですが、当然チェンバロはレオンハルトのものばかりでした。以来、チェンバロといえば、グスタフ・レオンハルトという人以外は、あまり聴く機会がありません。
さて、フランス組曲は、イギリス組曲(BWV806〜811)、パルティータ(BWV825〜830)と並んで、バッハのクラヴィーア作品の中の組曲の大作の一つです。このフランス組曲(BWV812〜817)を、フォルケルは、
『六つの小組曲』
と、「バッハの生涯と芸術 」(フォルケル著、柴田治三郎訳、岩波書店)で述べています(イギリス組曲を「六つの大きな組曲」と書いています)。
イギリス組曲では大規模なプレリュードが始めにおかれていますが、この組曲ではプレリュードを持たず、たしかにフォルケルの言うように、イギリス組曲を「大きな」組曲とすれば、「小さい」とも言えるでしょう。しかし、それは曲自体が小さいのではなく、可憐にまとまっているものと感じます。この組曲の成り立ちが、「アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集 第1巻」を基本資料としている(BWV812〜816)ことを考えると、それなりに納得がいく感じがします。
この曲集についての詳細は、「私的CD評 」さんの「バッハのフランス組曲を2台のオリジナルチェンバロで 」を参考にしてください。格調高い文章で書かれています。
今年来日が決まっているレオンハルト。初めて古楽のコンサートに行ったのは、この「現代のバッハ」でした。生で聴いたチェンバロの美しさは、まさに感動の一言以外見つかりませんでした。もう、19年前になりますね。その時にサインを頂くことができたのですが、大切な宝物です。
それ以来、昨年の来日をのぞいてすべて足を運んでいます。運良く、今年のチケットも入手できたので、楽しみです。
「ねむり猫のバッハ日記 」さんの「レオンハルト/フランス組曲 」で紹介されているCDと同じものですが、ジャケットが違います(もちろん、再発(?)になった方も持っています)。あえて同じ音源で、違うジャケットを選んでみました
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器;デイヴィッド・ルビオ、オックスフォード、1973 / 1975(パスカル・タスカンによる)
録音;1975年2月、12月、オランダ、ハーレム、ドープスヅィンデ教会
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/8)
成立:不明(初期?)
基本資料:『メンペル・プレラー手稿譜集』
楽章構成:
1:序曲、2/2-3/8-2/2
2:アリア、4/4
3:ロンド風ガヴォット、2/2
4;ブーレー、2/4
5;メヌエットI、3/4
6;メヌエットII、3/4
7;メヌエットIII、ト長調、3/4
8;ジーグ、6/8
他者の作品の編曲とする説もあるとされる組曲。
BWV820 と同じく、フランス様式の管弦楽曲のチェンバロによる試み。全体に平明な筆致で綴られており、真作ならば修業時代の作品と考えられる。
バッハ事典(東京書籍)
比較的ゆったりとしたリズムで曲が進行します。一音一音を大切にした音作りが印象的
演奏:Christiane Wuyts
使用楽器:Henri Hemsch, 1754
録音:1988, Digipro, Brussels, Belgium
「J. S. BACH (?) : Cembalowerke」(Christian Rieger, GLISSANDO, 779 011-2)
成立;不明(初期)
基本資料;J. P. ケルナーの所有していた筆写譜
楽章構成;
1. (プレリュード)、4/4
2. アルマンド、4/4
3. クーラント、3/4
4. サラバンド、3/4
5. エコー、アレグロ、4/4
偽作との見方もある、小さな組曲。
ごく初期のものと思われる小さな組曲。上記の筆写譜でのみ伝えられ、他者の作とする見方もある。
バッハ事典(東京書籍)
華麗な音使いが印象的な曲。ゆったりとしたリズムの曲で構成されています。最後のエコーが快活に演奏されます
演奏;Christian Rieger
録音;2000/01, Köln, Sendesaal 2 (WDR)
楽器;Matthias Griewisch (1998) after a Flemish instrument of 1624 by Joannes Ruckers
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/9)
成立:不明
基本資料:アンドレーアス=バッハ本
楽章構成:
1:序曲、4/4 - 3/8
2:アントレー、4/4
3:メヌエット、3/4
4;トリオ、3/4
5;ブーレー、2/2
6;ジーグ、6/8
「BWV831 パルティータ ロ短調(フランス風序曲) 」へつながる曲と見なせる作品。
フランス様式の管弦楽組曲の、チェンバロによる試み。BWV831の素朴な前身のひとつで、リューネブルク時代のツェレでの体験に基づく可能性があるが、偽作とみる人も少なくない。序曲は、定型通り、付点リズムと急速なフガートで構成される。
バッハ事典(東京書籍)
全体を通して、明るい可憐なメロディーが印象的な曲
演奏:Christiane Wuyts
使用楽器:Jacques Goermans 1744
録音:Digipro, Brussels, Belgium, 1988
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/22)
成立:BWV819;遅くとも1725年頃、ライプツィヒ。BWV819a;1729年以前
基本資料:BWV819;H. N. ゲルバーによる筆写譜。BWV819a;J. C. フォーグラーによる筆写譜
楽章構成:
1:アルマンド、4/4
2:クーラント、3/2 (6/4)
3:サラバンド、3/4
4;ブーレー、2/2
5;メヌエットI、3/4
6;メヌエットII(トリオ)、変ホ長調、3/4
2つの稿が知られている組曲。アルマンドに大きな違いがあります。ジーグを欠いており、「BWV818 組曲 イ短調 」のところで述べたように、フランス組曲1〜4番、BWV818及びBWV819aとともに、6曲のグループを成すものと考えれています『バッハ事典(東京書籍)』。
可憐なメロディーが印象的な曲
演奏:Peter-Jan Belder
使用楽器:Cornelis Bom, Schoonhoven 1999, after Ruckers
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年11月
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/21)
成立:BWV818より少し後
基本資料:J. N. メンペルのコピストによる筆写譜
楽章構成:
1:「きわめて快活に fort gai」
2:アルマンド、4/4
3:クーラント、3/2
4;サラバンド、3/4
5;メヌエット、3/8
6;ジーグ、6/8
先週紹介した「BWV818 組曲 イ短調 」の改訂稿です。改訂された点は、
・「きわめて快活に fort gai」と記載された前奏曲が最初に挿入
・メヌエットの挿入
・サラバンドの改訂
・ドゥーブルの削除
です。
新たに挿入された第1楽章は、「きわめて快活に fort gai」の指定通り、快活でバッハらしい複雑な構成をしています
演奏:Peter-Jan Belder
使用楽器:Cornelis Bom, Schoonhoven 1999, after Ruckers
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年11月
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/22)
成立:1720年頃、ケーテン
基本資料:1720〜22年頃の筆写譜、H. N. ゲルバーによる筆写譜
楽章構成:
1:アルマンド、4/4
2:クーラント、3/2
3:サラバンド、3/4
3a;サラバンド・ドゥーブル、3/4
4;ジーグ、6/8
この作品は、上記の筆写譜で、《フランス組曲》第1〜4番および組曲BWV819aとともに、6曲のグループをなすものとして扱われている。おそらく《フランス組曲》と同じ時期に成立し、本来はその一部をなすべく予定されたものであったと考えられる。曲は、当世風舞曲(ギャラントリー)をまったく含まない4楽章構成。ただし、サラバンドは「ドゥーブル」を伴う。
バッハ事典(東京書籍)
この曲をもとにした新稿《BWV818a》も知られています。
引用にあるように、フランス組曲の一部と一つのグループをなすと考えられているとありますが、フランス組曲に組み込まれていても不思議ではない感じがする曲です。大規模な曲ではありませんが、可憐な花のような小さな美しい作品
演奏:Peter-Jan Belder
使用楽器:Cornelis Bom, Schoonhoven 1999, after Ruckers
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年11月
「J. S. Bach The Well-Tempered Clavier」(ボブ・ファン・アスペレン、VirginClassics、7243 5 611711 2 1)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
ロ短調、プレリュード(2/2)、フーガ(3/8)
毎週聴いてきた「平均律クラヴィーア曲集 第2巻」の最後の曲。
「アレグロ」と指示されているプレリュードは、2声インヴェンションのタイプ。ロンドン手稿の自筆譜では2分の2拍子だが、アルトニコルの筆写譜では音価が縮小されて、4分の4拍子となっている。パスピエのリズムによる軽快なフーガ(3声、3/8)が全曲をしめくくる。第1巻の雄渾な終曲と比べればあっさりとした終わり方であるが、こうした軽い舞曲リズムの好みも、バッハ後期の一側面であった。
バッハ事典(東京書籍)
バッハが得意としている(?)「ロ短調」の曲で、この曲集はしめくくられます。プレリュードは跳躍するようなリズムが特徴的。フーガは軽快なリズムで、動きのある曲。バッハらしいフーガであり、バッハらしいクラヴィーア曲
演奏:ボブ・ファン・アスペレン
使用楽器:クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年
録音:Museum für Kunst Gewerbe, 1987-1989
「J. S. Bach The Well-Tempered Clavier」(ボブ・ファン・アスペレン、VirginClassics、7243 5 611711 2 1)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
ロ長調、プレリュード(4/4)、フーガ(2/2)
4分の4拍子のプレリュードは、ロ長調の音階を、上へ下へと喜ばしげに駆けめぐる。トッカータ様式の名残が、そこに認められよう。フーガ(4声、2/2)はゆったりした声楽的主題に起こり、「美しさと快い響きに満ちている」(ケラー)
バッハ事典(東京書籍)
プレリュードは引用の通り華麗なメロディーが「上へ下へ喜ばしげに駆けめぐる」明るさに満ち溢れた曲。フーガでは一変して、ゆったりとしたテンポへ変ります。プレリュードのような駆け回るフレーズは出てきませんが、一音をいとおしむように、可憐な音作りが魅力的です
演奏:ボブ・ファン・アスペレン
使用楽器:クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年
録音:Museum für Kunst Gewerbe, 1987-1989
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV870-893」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36017〜18)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
変ロ短調、プレリュード(2/2)、フーガ(3/2)
平均律クラヴィーア曲集第2巻の22曲目。
プレリュードでは、3声部がトリオをなして、室内楽的に美しくからみあう。音階上行を主題化した4声フーガもまことに堂々としたもので、「すぐれた曲想と技巧において、曲集全体の頂点とみなされる」(A. デュル)。ここでは主題が、出現ごとに高度な対位法的扱いを受けてゆく。
バッハ事典(東京書籍)
ゆったりと一音一音を大切にするように曲は進みます。引用にあるように、音の絡み合い方が実に絶妙です。フーガは「バッハ」らしさに満ちており、こちらもゆったりと一音一音をいとおしむように曲が進みます
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:J.D. ドゥルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネク製、ブレーメン、1962年
録音:1967年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV870-893」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36017〜18)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
変ロ長調、プレリュード(12/16)、フーガ(3/4)
平均律クラヴィーア曲集第2巻の21曲目。
斬新な様式を示すもののひとつ。「優雅な輪舞」(ケラー)にたとえられるジーグ風のプレリュードは、ソナタ楽章を思わせる2部形式。《ゴルトベルク変奏曲》を思わせる両手の交差も用いられる。フーガは4分の3拍子をとり、前奏曲と同じ下降の動きを主題としている。その後半には、「ため息」のモティーフが聴こえる。
バッハ事典(東京書籍)
プレリュードは「華麗な舞い」を感じさせます。フーガも同じ主題をもとにしているので、「舞い」を感じます。細かいリズムで揺れるような感じの曲調。全体的に可憐な感じがします
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:J.D. ドゥルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネク製、ブレーメン、1962年
録音:1967年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. Bach Variazioni Goldberg」(オッターヴィオ・ダントーネ、DECCA、476 3016)
今日は体調不良で休みをとったので、のんびりと音楽を聴いて過ごしています。
今日紹介するのは、先日「ダントーネによるチェンバロ協奏曲を聴く 」で紹介したチェンバロ奏者、オッターヴィオ・ダントーネによるゴルトベルク変奏曲 BWV988です。
演奏ですが、かなりアグレッシブです。装飾もかなり大胆で、自由奔放。エネルギーに満ち溢れた演奏と言えます。少しラテンの乗りが出ているかなという気がします。
以前紹介した「眠れないゴルトベルク変奏曲 」でのFabio Bonizzoniほどではありませんが、この演奏でも眠ることは不可能でしょう。もちろん、この不眠症のため、という逸話を信じているわけではありませんが、この曲を聴く際の、個人的な一つの指標にしていますので、ついこの表現を使ってしまいます。普段レオンハルトの質実剛健な演奏に慣れていると、かなり異次元の世界で演奏されている感じがしますね。
それでもその「乗り」を別にすれば、演奏自体のうまさは流石です。録音も比較的よいと思います。
それにしても、この曲の録音は多いですね。チェンバロでの演奏も、他の曲に比べると多いので、聴き比べをする楽しみがある曲と言えます。
なお、演奏は繰り返しを行っています
演奏;オッターヴィオ・ダントーネ
使用楽器;クリシティアン.ツェル(Amburgo, 1728)の、Andrea Restelliによるコピー(1999)
「J. S. Bach The Well-Tempered Clavier」(ボブ・ファン・アスペレン、VirginClassics、7243 5 611711 2 1)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
イ短調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
プレリュードは、2部分形式による、2声のインヴェンション。しかしその作風はきわめて彫塑的で厳しく、身を切るような半音下降句を、いたるところに溢れさせている。フーガも、性格的な跳躍主題(十字架音型ともみられる)を用いて雄大。稲妻のような対旋律の対峙する発展は、迫力に満ちている。
バッハ事典(東京書籍)
引用のようにかなり激しい曲です。下降する音の連続です。低音が魅力的です。フーガはいかにもバッハ的な複雑な構成によるもの。連続する音があると思えば、急に休符が入ったりと、飽きることのない構成もさすがです
演奏:ボブ・ファン・アスペレン
使用楽器:クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年
録音:Museum für Kunst Gewerbe, 1987-1989
「J. S. Bach The Well-Tempered Clavier」(ボブ・ファン・アスペレン、VirginClassics、7243 5 611711 2 1)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
イ長調、プレリュード(12/8)、フーガ(4/4)
プレリュードは、8分の12拍子の穏やかなパストラーレ風(田園曲)。関連のある主題による4分の4拍子のフーガは、「前奏曲の舞踏の足取りの静かな歩みに代えている」(ケラー)
バッハ事典(東京書籍)
ゆったりとしたテンポで進むプレリュードは、引用にあるようにパストラーレ風。フーガにゆったりと移行しますが、そこから音が連続的に続いていきます。ケラーの例えは、的を得ていると思うような曲
演奏:ボブ・ファン・アスペレン
使用楽器:クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年
録音:Museum für Kunst Gewerbe, 1987-1989
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV870-893」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36017〜18)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
嬰ト短調、プレリュード(4/4)、フーガ(6/8)
平均律クラヴィーア曲集第2巻の18曲目。
プレリュードは、強弱の対照、表情豊かな前打音、明確な楽節構造によって、多感様式に接近している。2部分形式も、ほとんどソナタ形式の実質を備えたものである。フーガは3声、8分の6拍子であるが、主題が狭い音域をうえうねと進むために、ジーグ的な快活さは見当たらない。この主題への半音階的な対位句がやがて第2の主題を形成し、二重フーガとなる。
バッハ事典(東京書籍)
「音の洪水」ではない曲ですが、実に複雑さを感じさせる曲です。短調のバッハらしい曲
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:J.D. ドゥルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネク製、ブレーメン、1962年
録音:1967年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV870-893」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36017〜18)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
変イ長調、プレリュード(3/4)、フーガ(4/4)
平均律クラヴィーア曲集第2巻の17曲目。
プレリュードは協奏曲の1楽章を思わせる書法により、和音的な主楽節の間に、2声のソロ風の部分をはさみ込んでいる。フーガは、BWV901のヘ長調フーガの改稿。新たに後半部が加えられ、全体が24小節から50小節に拡大された。活発な主題に続いて現れる半音階の対位句が重要な役割を演じるため、二重フーガのように聴こえる。
バッハ事典(東京書籍)
どこか跳ねるような感じのテンポのプレリュード。テンポがゆったりしていますが、そのリズムが独特で印象に残ります。フーガは少しテンポがあがり、いかにもクラヴィーア曲らしい感じとなっています
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:J.D. ドゥルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネク製、ブレーメン、1962年
録音:1967年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. Bach The Well-Tempered Clavier」(ボブ・ファン・アスペレン、VirginClassics、7243 5 611711 2 1)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
ト短調、プレリュード(4/4)、フーガ(3/4)
プレリュードは「ラルゴ」と指定されており、付点リズムの動機が、ゆったりした和音を背景として諸声部を飛びかう。フーガの主題は、休符と同音反復をまじえた個性的なもの。後半では6度や3度のフーガらしからぬ平行もまじえられ、自由な発展をとげる。
バッハ事典(東京書籍)
引用にあるように、付点リズムが特徴的な曲。この付点が独特の雰囲気を醸し出しています。突然終わるプリュードから、バッハらしいフーガが展開されます。短調におけるバッハのフーガは、どの曲をとっても見事の一言に尽きますね。動きはかなり活発です
演奏:ボブ・ファン・アスペレン
使用楽器:クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年
録音:Museum für Kunst Gewerbe, 1987-1989
「J. S. Bach The Well-Tempered Clavier」(ボブ・ファン・アスペレン、VirginClassics、7243 5 611711 2 1)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
ト長調、プレリュード(3/4)、フーガ(3/8)
プレリュードは、ヴァイオリン風の音型を使った2部分形式の平明な音楽。BWV902aの改訂稿とみる説もある。フーガ(3声)も発想の似た主題を使っており、どちらも、初期の作品に基づくと思われる。ロンドン手稿では60小節のみだがのちに72小節に拡大され、多くの改訂が施された。
バッハ事典(東京書籍)
早いテンポで展開する、スピード感に溢れ、明るい曲。ドライブ感に満ちたバッハらしいクラヴィーア曲で、チェンバロの魅力を存分に堪能できます
演奏:ボブ・ファン・アスペレン
使用楽器:クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年
録音:Museum für Kunst Gewerbe, 1987-1989
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV870-893」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36017〜18)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
嬰へ短調、プレリュード(3/4)、フーガ(4/4)
平均律クラヴィーア曲集第2巻の14曲目。
プレリュードは、協奏曲の緩徐楽章を思わせるトリオ。おそらく後期の新作で、リズムに凝った、繊細な表現を見せている。フーガ(3声)は、3つの異なった主題を用いて結合する三重フーガ。三重フーガは、曲集中この1曲のみである。
バッハ事典(東京書籍)
引用に「リズムに凝った」とあるように、独特のリズムを持ったプレリュードです。フーガはいかにもバッハらしい複雑で凝った曲となっています
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:J.D. ドゥルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネク製、ブレーメン、1962年
録音:1967年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV870-893」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36017〜18)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
嬰へ長調、プレリュード(3/4)、フーガ(2/2)
平均律クラヴィーア曲集第2巻の13曲目。
多くの曲集と同じように、バッハはここでも、フランス風序曲の付点リズムをさりがなく響かせることによって、「後半の開始」を印象づけている(3/4拍子のプレリュード)。続いて、導音上のトリルに始まる大胆な主題が、3声フーガを始動させる。
バッハ事典(東京書籍)
実に美しいプレリュードで始まり、引用の通り印象的なトリルでフーガが始まります。しっとりと落ち着いた中に美しさが光る一曲
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:J.D. ドゥルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネク製、ブレーメン、1962年
録音:1967年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. Bach The Well-Tempered Clavier」(ボブ・ファン・アスペレン、VirginClassics、7243 5 611711 2 1)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
ヘ短調、プレリュード(2/4)、フーガ(2/4)
2部からなるプレリュードは、整った楽節構造と和声的書法、「ため息」モティーフの利用に、ベルリン/ポツダムを風靡した多感様式への接近を認めさせる。フーガ(3声、2/4)は前奏曲と密接に関連した主題をもとに、活発に展開する。
バッハ事典(東京書籍)
美しさに満ちた曲想。プレリュードはゆったりとじっくりと曲が進行し、一音一音が実に印象的。そこから一転して、フーガの動きは実に活発。「バッハらしさ」に満ちたフーガ
演奏:ボブ・ファン・アスペレン
使用楽器:クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年
録音:Museum für Kunst Gewerbe, 1987-1989
「J. S. Bach The Well-Tempered Clavier」(ボブ・ファン・アスペレン、VirginClassics、7243 5 611711 2 1)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
ヘ長調、プレリュード(3/2)、フーガ(6/16)
プレリュードでは、広やかな5声の和声を背景として、レガートの旋律が流れる。「すべてが、静けさと安らぎに満ちている」(ケラー)。同じ楽想を主調ー平行調ー主調で扱うプランは、《平均律》では他に例がない。フーガ(3声)は、対照的に、16分の6拍子の快活なもの。組曲のフィナーレを思わせる、ジーグのリズムによるフーガである。
バッハ事典(東京書籍)
引用に、「すべてが、静けさと安らぎに満ちている」とあるように、プレリュードはゆったりとしたテンポで曲が進行する中に、優しさと「静けさ、安らぎ」を感じます。ツェルの美しい響きがそれを一層盛り上げている感じです。
フーガになると一転して、テンポが上がりますが、やはり優しさを感じます。動きがかなり活発な曲です。ジーグのリズムが独特の雰囲気を醸し出しています
演奏:ボブ・ファン・アスペレン
使用楽器:クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年
録音:Museum für Kunst Gewerbe, 1987-1989
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/15)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:アレグロ
第2楽章:グラーヴェ
第3楽章:アレグロ
毎週聴いてきた一連の協奏曲集も今日で最後となりました。
最後に紹介するのは、以前紹介した「BWV592 協奏曲 ト長調 」と同じ曲で、チェンバロ用の協奏曲。ヨハン・エルンスト公子自作のヴァイオリン協奏曲の編曲
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV870-893」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36017〜18)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
ホ短調、プレリュード(3/8)、フーガ(2/2)
平均律クラヴィーア曲集第2巻の10曲目。
プレリュードは2部分の2声インヴェンション。ケラーはそのイメージとして、「春の風が葉の茂っていない並木道を吹き抜ける」というホーフマンスタールの詩を引用している。フーガは、複雑かつ多彩なリズムを集約した,協力な主題によるもの。これはアルトニコルとキルンベルガーの筆写譜では拡大され、70小節のあと、さらに16小節が付け加えられている。
バッハ事典(東京書籍)
優しい感じのプレリュードと一変して、引用のように、フーガは動きが活発で、実に複雑なものとなっています
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:J.D. ドゥルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネク製、ブレーメン、1962年
録音:1967年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV870-893」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36017〜18)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
ホ長調、プレリュード(3/4)、フーガ(2/2)
平均律クラヴィーア曲集第2巻の9曲目。
ゆったりとしたテンポで、のどやかな雰囲気のプレリュードは、2部形式となっており、イタリア風のトリオ《バッハ事典(東京書籍)》。4声フーガも、ゆったりとしたテンポで進みます。こちらものどかな感じです。主題が、フィッシャーの《アリアドネ・ムジカ》からとられています《バッハ事典(東京書籍)》。
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:J.D. ドゥルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネク製、ブレーメン、1962年
録音:1967年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/15)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:(テンポ指定なし)4/4ー(プレスト)2/4ーグラーヴェ 4/4ープレスト 2/4ーグラーヴェ 4/4
第2楽章:アレグロ、3/4
第3楽章:アダージョ、4/4
第4楽章:ヴィヴァーチェ 3/8
エルンスト公子のヴァイオリン協奏曲集第4番の編曲。
楽章構成はバッハ事典(東京書籍)を参考に書きましたが、CDでは第2、3楽章がまとめて一つのトラックに収められています。
ヴァイオリン協奏曲がもとですが、これだけを聴くと見事な単独のクラヴィーア用作品に聴こえます。かなり動きが活発な曲調となっています
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「J. S. Bach The Well-Tempered Clavier」(ボブ・ファン・アスペレン、VirginClassics、7243 5 611711 2 1)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
嬰ニ短調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
プレリュードは、2部形式の2声インヴェンション。フーガは4声となっています。動きのあるプレリュードに対して、フーガはゆったりと進行します。かなり荘重な感じを受けます
演奏:ボブ・ファン・アスペレン
使用楽器:クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年
録音:Museum für Kunst Gewerbe, 1987-1989
「J. S. Bach The Well-Tempered Clavier」(ボブ・ファン・アスペレン、VirginClassics、7243 5 611711 2 1)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
変ホ長調、プレリュード(9/8)、フーガ(2/2)
ケラーがリュート用に書かれたと推測したプレリュードと、ニ長調の初稿がある2声フーガから成っています(バッハ事典(東京書籍))。ゆったりと情感たっぷりのプレリュード。フーガもゆったりと進行します
演奏:ボブ・ファン・アスペレン
使用楽器:クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年
録音:Museum für Kunst Gewerbe, 1987-1989
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/15)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:(テンポ指定なし)、4/4
第2楽章:アダージョ、ホ短調、4/4
第3楽章:アレグロ、12/8
原曲不明。CDのブックレットには、「名前不明のドイツ人作曲家によるもの」としながらも、テレマン(?)と書いています。明るい雰囲気を持つクラヴィーア曲となっています
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV870-893」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36017〜18)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
ニ短調、プレリュード(3/4)、フーガ(4/4)
平均律クラヴィーア曲集第2巻の6曲目。
プレリュードは、2声のトッカータ風インヴェンション。現在の61小節に対して、43小節の初稿が存在する。フーガ(4声)はおそらく後期のもの。3連音符の激しい動きに半音下降句が続くというきわめて性格的な主題に基づき、力強い表現効果を達成している。
バッハ事典(東京書籍)
BWV874と同様に、実に力強い作品となっています。音の洪水のような曲
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:J.D. ドゥルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネク製、ブレーメン、1962年
録音:1967年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV870-893」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36017〜18)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
ニ長調、プレリュード(2/2、12/8)、フーガ(2/2)
平均律クラヴィーア曲集第2巻の5曲目。
目のさめるように輝かしいプレリュードは(拍子は2/2と12/8の間を揺れ動く)は、H. ケラーによれば、トランペットの響きわたるオーケストラの祝典。2部分による形式プランは、ソナタ形式にきわめて近い。フーガは対照的に、単純な主題を密接に提示しながら、すっきりと仕上げられている。
バッハ事典(東京書籍)
実に力強く、まさに「輝かしい」という言葉がぴったりな曲調。チェンバロの音色を知り尽くした上で作曲されたのだろうと、感心してしまいます
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:J.D. ドゥルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネク製、ブレーメン、1962年
録音:1967年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/15)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:(テンポ指定なし)、4/4
第2楽章:アダージョ、ハ短調、4/4
第3楽章:アレグロ、4/4
テレマンの未出版の協奏曲の編曲。クラヴィーア単独用の作品ですが、チェンバロ協奏曲のような感じを受けます。人懐っこい感じがするのは、原曲がテレマンの作品であるからかもしれません
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「J. S. Bach The Well-Tempered Clavier」(ボブ・ファン・アスペレン、VirginClassics、7243 5 611711 2 1)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
嬰ヘ短調、プレリュード(9/8)、フーガ(16/12)
前奏曲は、トリオ・ソナタの緩徐楽章を想起させる。シチリアーノのリズムによるが、そrを忘れさせるほどの悲愴美をもって掘り下げられており、装飾が、音楽の深みに届いている。おそらく編纂時であろう。12分の16拍子のフーガは一種のジーグ。これにはハ長調の異稿があるが、嬰ハ短調稿との前後関係は特定されていない。
バッハ事典(東京書籍)
ゆったりとした曲で、「悲愴美」と引用にあるように、暗い曲調ですが、一音一音に重みを感じます
演奏:ボブ・ファン・アスペレン
使用楽器:クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年
録音:Museum für Kunst Gewerbe, 1987-1989
「J. S. Bach The Well-Tempered Clavier」(ボブ・ファン・アスペレン、VirginClassics、7243 5 611711 2 1)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
嬰へ長調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
プレリュードにはハ長調の異稿(BWV872a)がありますが、異稿ではアルペッジョと指定された2分音符の和音を連打する部分が出てきます。再現法が演奏者にまかされた形でした。これを移調するに際して、綿密に書き起こして、輪郭のくっきりした楽曲としています。25小節以下がアレグロ、3/8のフゲッタとなっていて、プレリュード自体の中に「プレリュードとフーガ」が含まれる形となっています。4声フーガも、ハ長調のフゲッタから移調されて拡充されたもので、歯切れよい主題に起こり、しだいに豊かな流れを形成してゆきます。(参考:バッハ事典(東京書籍))
「輪郭のくっきりした」「歯切れのよい」とありますが、まさにその通りで、クラヴィーアの音の美しさを存分に楽しめる作品。
演奏はアスペレンによるもの。長くレオンハルトの陰に隠れる形になっていましたが、近年は積極的な録音を行っており、この曲集(第1巻と2巻の分売になっているものと、今回紹介した1、2巻がまとまっているものの2種類があります)でも、実に美しい演奏を堪能させてくれます
演奏:ボブ・ファン・アスペレン
使用楽器:クリスティアン・ツェル、ハンブルク、1728年
録音:Museum für Kunst Gewerbe, 1987-1989
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/15)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:(テンポ指定なし)、4/4
第2楽章:アダージョ・エ・アッフェットゥオーソ、ヘ短調、2/4
第3楽章:アレグロ・アッサイ、3/4
J. エルンスト公子の未出版の協奏曲の編曲。第1楽章はオルガン用の協奏曲 ハ長調(BWV595) に編曲されています。
明るい曲調で、後のバッハのイタリア協奏曲へと続くことを想起させます。原曲を聴いていないのでわかりませんが、原曲があるということを知らなければ、バッハがクラヴィーア用に作曲したと感じさせる曲です
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「J. S. Bach Goldberg Variations」(Fabio Bonizzoni, GLOSSA, GCD P31508)
不眠症であった伯爵の依頼を受けて、伯爵のおかかえのクラヴィーア奏者であったゴルトベルクのためにバッハがこの曲を作曲したという話しは、実際は眉唾ものであるとされていますね。この曲を演奏する技量が当時のゴルトベルクにはなかったであろう、というのがその理由の一つ。
さてそれはともかく、もしこれが不眠症であった伯爵の気持ちを落ち着かせる目的で書かれていたとしたら、今回紹介するCDはその方向からかなりかけ離れているのではないか?と思います。
かなりアグレッシヴな演奏なのです。しっとりした演奏とは逆で、装飾がかなり多く、演奏スピードもかなり早めです。実際のところ、これを子守唄代わりにきけるか?というと実際は逆でしょう。快活な演奏に聴き入ってしまい、逆に目が覚めてしまうのではないか?と思うのです。これは否定的な意見ではなく、こういう演奏スタイルも目新しく、斬新な感じがします。
もちろん冒頭で書いた通り、子守唄のために作曲したということ自体眉唾ものとされていますから、この演奏がその主旨から離れているという聴き方は間違っていると思います。ただ、ここで言いたいのは、かなり斬新なアプローチの演奏であるということです。演奏自体も思わず聴き入ってしまうほど、実にいい演奏だと思います。個人的に大好きなレオンハルトの演奏とはまったく逆のアプローチである分、新鮮な感じがしました。
なおこの演奏は、繰り返しをきちんと行っています。このCDについては、「バッハの音楽」さんの「ゴルドベルク変奏曲」 に記事が書かれています。
なお、このCDはGLOSSAから発売になっていますが、このところこのレーベルからたくさんの古楽のCDが発売になっており、どれも演奏水準が高く、バッハの作品に限らずお勧めのCDが多いです。「ラ・ヴェネクシーア」による「モンテヴェルディのマドリガーレ集全集」などは、近年のモンテヴェルディの録音の中でも、傑出したものだと思います
演奏:Fabio Bonizzoni
使用楽器:Willem Kroesbergen after J. Couchet
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV870-893」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36017〜18)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
ハ短調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
平均律クラヴィーア曲集第2巻の2曲目。
プレリュードは、2声インヴェンション風の活発な曲。2部形式をとり、前半と後半がそれぞれ反復演奏される。フーガ主題は、プレリュードから派生したもの。曲は後半で3声から4声へと厚みを増し、対位法的技巧も複雑になっている。
バッハ事典(東京書籍)
プレリュードはかなり動きのある曲です。引用の通り、2声のインヴェンションを想起させます。フーガはかなり複雑となり、バッハの短調に特徴的な印象を与える曲となっています。ゆったりとした曲ですが、「余裕」すら感じさせる堂々とした曲となっています
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:J.D. ドゥルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネク製、ブレーメン、1962年
録音:1967年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第2巻 BWV870-893」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36017〜18)
成立:1739/42年頃、ライプツィヒ
基本資料:ロンドン自筆譜
ハ長調、プレリュード(4/4)、フーガ(2/4)
平均律クラヴィーア曲集第2巻の1曲目。
プレリュードは、掛留音を多用したオルガン前奏曲のスタイルによる。4つの稿が残っているが、初稿(BWV870a)の17小節は、最終稿では34小節へと拡大されている。アルトニコルの筆写譜には、自筆譜にない32分音符の装飾も見られる。フーガ(3声)も、34小節の<フゲッタ>から83小節まで拡大され、3つの提示部を備えるに至っている。
バッハ事典(東京書籍)
第2巻の冒頭を飾るに相応しい豪華な曲。プレリュードは「掛留音を多用した」とありますが、これが実に効果的。明るく快活な曲調。後半のフーガは、いかにも「バッハらしい」フーガ。
今日から「平均律クラヴィーア曲集 第2巻」に入りますが、この曲集について、バッハ事典(東京書籍)やCDの解説を元に、簡単にまとめておきます。
「平均律クラヴィーア曲集 第2巻」と呼ばれるくらいですので、「平均律クラヴィーア曲集 第1巻」の続編ということになるわけですが、その基本資料として重要なものが、「ロンドン自筆譜」と呼ばれる自筆浄書譜(一部は妻アンナ・マクダレーナによる)です。その透かしと筆跡から、第1巻の約20年後にまとめられたとされています。
第1巻同様、この曲集は24のプレリュードとフーガで構成されているわけですが、このロンドン自筆譜には、第4、5、12番(BWV873、874、881)が欠落しています。つまり、第1巻のように「1冊の音楽帳」ではなく、「21の単独譜の集まり」に過ぎないとも言えるのです。なぜ欠落しているのかは不明です。
ロンドン自筆譜は、2つ折りページの体裁(各単独譜が、二つ折りにした1枚の紙に書かれていて,折られた内側の2ページにプレリュードが、外側の2ページにフーガが書き込まれています。つまり裏返すとすぐに演奏できるようになっている)をとっています。この自筆には表題がつけられていません。娘婿アルトニコルによる1744年頃の筆写譜に、
うまく調律されたクラヴィーア第2巻、すべての全音と半音を用いて作られたプレリュードとフーガよりなる。ポーランド国王兼ザクセン選帝候の宮廷作曲家にして楽長、ならびにライプツィヒの合唱音楽隊監督、ヨーハン・セバンスティアン・バッハ作曲
と書かれています。
第1巻同様、この曲集も一度に書かれたものではなく、第1巻以降折に触れて書かれたプレリュードとフーガの、新たな改訂・編纂と見なすべきものである、とバッハ事典には書かれています。作曲年代がまたがっていることから、様式的まとまりを見せていないとも言えますが、1730年代末の新作も含まれ,曲集の編纂にあたり、移調されて収録に至った曲も見られます。曲によっては、複数の稿を持つものもあり、ロンドン自筆譜作成後にも、かなりの改訂がなされています。
様式的まとまりを見せていないと書きましたが、その反面「多用さ」に富んでいます。特にプレリュードの多彩さは際立っており、またバッハの後期様式の反映(高度な音楽的内容)が見られることも特徴でしょう。またフーガでは、第1巻で見られた2声及び5声曲がなくなり、3声と4声に統一されています。
演奏はやはりグスタフ・レオンハルトの名演から。不思議なのですが、第1巻の録音が1972〜73年なのですが、第2巻が1967年と先に録音されています。この曲集をいくつか持っていますが、大抵は第1巻を録音した後に、第2巻を録音することが多いので、それが不思議です・・・
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:J.D. ドゥルケンのモデルによるマルティン・スコヴロネク製、ブレーメン、1962年
録音:1967年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/15)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:(テンポ指定なし)、4/4
第2楽章:アダージョ、ト短調、3/4
第3楽章:アレグロ、12/8
原曲は不明ですが、CDのブックレットには、名前不明のドイツ人作曲家による、とあります。ドライブ感に満ちた曲
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「BACH DAS WOLHLTEMPERIERTE CLAVIER VOL. 1」(リチャード・エガー、harmonia mundi、HMU 907431.32)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
ロ短調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
「アンダンテ」と記されたプレリュードは、コレッリ流のトリオ・ソナタ様式で書かれ美しい流れをもつ。8分音符の歩み(低音)と掛留音(上2声)を主体として進行し、末尾の半音階的な動きがフーガを予示する。「ラルゴ」の4声フーガの主題には12の半音がすべて含まれており、「ため息」主題と鋭い音程跳躍によって、強い表現力が与えられている。この主題がキリストの受難を思わせる崇高で壮大なポリフォニーを築きあげて、曲集をしめくくる。
バッハ事典(東京書籍)
毎週聴いてきた「平均律クラヴィーア曲集 第1巻」の最後をしめくくる曲。ゆったりとした曲ですが、最後の長大なフーガが実に素晴らしく、まさに曲集をしめくくるに相応しい曲となっています
演奏:リチャード・エガー
使用楽器:1638年リュッカースのJoel Katzmanによるコピー
「BACH DAS WOLHLTEMPERIERTE CLAVIER VOL. 1」(リチャード・エガー、harmonia mundi、HMU 907431.32)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
ロ長調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
3声インヴェンションのスタイルによるプレリュードは、「2つの深淵の間に咲いた一輪の花のよう」(ケラー)。その冒頭モティーフが、続く4声フーガの主題ともなっている。
バッハ事典(東京書籍)
静かに穏やかに曲が進んで行きます。その中に気品と美しさを感じます
演奏:リチャード・エガー
使用楽器:1638年リュッカースのJoel Katzmanによるコピー
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/15)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:(テンポ指定なし)、3/4
第2楽章:アダージョ、ト短調、3/4
第3楽章:(アレグロ)ト短調、2/4
第4楽章:アレグロ、6/8
J. エルンスト公子のヴァイオリン協奏曲集(テレマンの編集により、1718年フランクフルトで出版)第1番の編曲。
この協奏曲集に共通して感じている通り、原曲を知らなければ、クラヴィーア用に作曲されたと思ってしまう程、見事にクラヴィアー用に編曲されています
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36015〜16)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
変ロ短調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
真摯な祈りの雰囲気を感じさせる、異色の作品。プレリュードは進むにつれてテクスチュアの厚みを増すように書かれ、クライマックスでは9声部に達する。曲中中2つ目の5声フーガは、古風な荘重さが際立っている。
バッハ事典(東京書籍)
引用の通り、プレリュードを聴く限り、この曲集では他とは感じの違う曲調です。全体を通して、かなり重たい感じの曲。フーガの構成は素晴らしく見事
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:パスカル=タスカンのモデルによるデイヴィット・ルビオ製、オックスフォード、1972年)
録音:1972年&1973年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36015〜16)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
変ロ長調、プレリュード(4/4)、フーガ(3/4)
プレリュードは即興的な様式で書かれ、トッカータ様式による走句の切れ目に、いくつかの和音の柱が挿入される。3声のフーガは、二歩前進しては一歩後退する形の、発展型主題に基づく。
バッハ事典(東京書籍)
はやいパッセージが連続するプレリュード。クラヴィーアの持つ華やかな音と実に見事にマッチしています。続くフーガも明るい曲調を保ち、全体として華麗な曲調となっています
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:パスカル=タスカンのモデルによるデイヴィット・ルビオ製、オックスフォード、1972年)
録音:1972年&1973年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/14)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:アダージョ、3/4
第2楽章:ヴィヴァーチェ、4/4
第3楽章:(テンポ指定なし)、3/4
第4楽章:プレスティッシモ、3/8
B. マルチェッロのヴァイオリン協奏曲の編曲ですが、協奏曲というイメージがあまり湧いて来ないほど、見事にクラヴィーア曲へと編曲されています
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「BACH DAS WOLHLTEMPERIERTE CLAVIER VOL. 1」(リチャード・エガー、harmonia mundi、HMU 907431.32)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
イ短調、プレリュード(9/8)、フーガ(4/4)
プレリュードは、エネルギッシュな運動感に満ちている。続く4声フーガは、長大なもので、ヴァイマル時代に書かれたオルガン曲の転用とする説もある。フーガは種々の技法を駆使して進められ、次第に盛りあがって、オルゲルプンクト上のクライマックスへと達する。
バッハ事典(東京書籍)
引用に「フーガは種々の技巧を駆使して」と書かれていますが、その言葉通り、どこか「フーガの技法BWV1080」を想起させます。いかももバッハらしい構成、曲調のフーガ
演奏:リチャード・エガー
使用楽器:1638年リュッカースのJoel Katzmanによるコピー
「BACH DAS WOLHLTEMPERIERTE CLAVIER VOL. 1」(リチャード・エガー、harmonia mundi、HMU 907431.32)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
イ長調、プレリュード(4/4)、フーガ(9/8)
プレリュードは、事実上の3声インヴェンション。3声フーガは、休符が主役を演ずる、ユニークな主題に基づく。
バッハ事典(東京書籍)
跳躍するような感じのフーガが印象的な曲。クラヴィーアの醸し出すきらびやかな音にぴったりの曲調です
演奏:リチャード・エガー
使用楽器:1638年リュッカースのJoel Katzmanによるコピー
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/14)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:(テンポ指定なし)、2/2
第2楽章:ラルゴ、 ロ短調、3/4
第3楽章:アレグロ、12/8
ヴィヴァルディの「ラ・スタラヴァガンツァ」作品4、第1番の編曲。
ヴィヴァルディらしい明るい曲調を保ちつつも、単独のクラヴィーア曲として編曲されています
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「J. S. バッハ ゴールトベルク変奏曲 BWV988」(セリーヌ・フリッシュ、Alpha014)
今日紹介するのは、先日「ラテン系の人達によるバッハ演奏を聴く 」で紹介したカフェ・ツィンマーマンのチェンバリスト、セリーヌ・フリッシュによる「ゴルトベルク変奏曲」。この曲の説明はまたいずれ紹介するとして、詳細はすでに「私的CD評」さんの「グスタフ・レオンハルトによるゴルトベルク変奏曲 」に詳しく書かれていますので、そちらを参照してください(いつもながら、拡張高い記事で感服します)。
そこで指摘されていますが、この曲の録音は繰り返しを行っていないものが多いのですが、セリーヌ・フリッシュは繰り返しを行っています。
演奏はカフェ・ツィンマーマンの快活な演奏とは逆で、実に落ち着いた繊細な演奏です。それも力強い演奏で、やはりカフェ・ツィンマーマンらしさも兼ね備えています。この曲の名演の一つではないかと思います。
また、この曲以外に、以前に紹介した「BWV1087 14のカノン(「ゴルトベルク変奏曲」の主題に基づく) 」も収録されています。以前に紹介したリチャード・エガーの演奏はチェンバロ独奏でしたが、ここではカフェ・ツィンマーマン(ヴァイオリン2、ヴィオラ・チェロ、コントラバス)が演奏しています。これも実にいい感じの演奏です。彼ら特有のスピード感のある演奏とは、まったく逆の演奏で、テンポはかなりゆったりしています。
そして面白いのが、二枚目のCDの最後に収録されている「ドイツ民謡2編〜「ゴルトベルク変奏曲第30変奏のクォドリベットの原曲」で、あのドミニク・ヴィスが参加しています。
このCD(2枚組)もあまり店頭で見かけないですが、実に心和むいい演奏ですので、機会があれば聴いてみて下さい
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36015〜16)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
嬰へ短調、プレリュード(6/8)、フーガ(4/4)
プレリュードは冒頭の生き生きしたモティーフを基礎に、ポリフォニックな3声書法で書かれている。続く4声フーガでは、主題後半のモティーフの意味深い活用に工夫が見られる。
バッハ事典(東京書籍)
プレリュードは元々ト短調で作曲され、移調されたとされています(CDの解説より)。3声のインヴェンションを想起させます。かなり珍しい調の曲です。フーガはゆったりと進行し、情緒豊かな曲となっています
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:パスカル=タスカンのモデルによるデイヴィット・ルビオ製、オックスフォード、1972年)
録音:1972年&1973年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36015〜16)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
嬰へ短調、プレリュード(3/4)、フーガ(4/4)
プレリュードでは協奏曲の形式が応用され、合奏と独奏の交替を思わせる効果が作り出される。4声フーガは三和音の分散型を主題としており、16分音符の流れがこれにからむ。
バッハ事典(東京書籍)
プレリュードは引用にあるように、協奏曲に見られるリトルネッロ形式をとっています。
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:パスカル=タスカンのモデルによるデイヴィット・ルビオ製、オックスフォード、1972年)
録音:1972年&1973年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/15)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:(テンポ指定なし)ーアレグロ、3/4
第2楽章:アダージョ、4/4
第3楽章:アレグロ、3/8
第4楽章:アンダンテ、3/2
第5楽章:アダージョ、ホ短調、
第6楽章:アレグロ、2/2
トレッリのヴァイオリン協奏曲の編曲。
協奏曲の編曲ということですが、その知識がなく聴けば、バッハがクラヴィーア用の作品として作曲したと思ってしまう程に、実に見事にクラヴィーア用に編曲されています
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「BACH DAS WOLHLTEMPERIERTE CLAVIER VOL. 1」(リチャード・エガー、harmonia mundi、HMU 907431.32)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
ト短調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
トリルでの開始が印象的なプレリュードは、緻密な3声部書法による。4声フーガの主題は、減7度音程を核とする。このフーガを苦悩と希望の葛藤を描くものとみる、シェーリングの解釈が古くから知られている。
バッハ事典(東京書籍)
引用の通り、プレリュードはトリルの使い方が印象的、フーガはゆったりとした中に、何か寂しさを感じます
演奏:リチャード・エガー
使用楽器:1638年リュッカースのJoel Katzmanによるコピー
「BACH DAS WOLHLTEMPERIERTE CLAVIER VOL. 1」(リチャード・エガー、harmonia mundi、HMU 907431.32)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
ト長調、プレリュード(24/16)、フーガ(6/8)
プレリュードは、3連音符の分散和音を連ねた、軽やかな2声曲。《インヴェンション》のト長調曲と共通点が多い。遊び戯れるような3声フーガには、主題の反行形やストレッタも用いられている。
バッハ事典(東京書籍)
きらびやかで軽快なプレリュード、そしてフーガもその印象を受け継いでいます
演奏:リチャード・エガー
使用楽器:1638年リュッカースのJoel Katzmanによるコピー
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36015〜16)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
嬰へ短調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
おおむね2声で進むプレリュードは、インヴェンション様式による。4声フーガは対照的に息の長い主題によっており、ため息のモティーフが対位として現れる
バッハ事典(東京書籍)
リーマンが、「日のかげった秋の広野」に例えているプレリュードは哀愁感が漂い、続くフーガはその主題が一層深みを増します
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:パスカル=タスカンのモデルによるデイヴィット・ルビオ製、オックスフォード、1972年)
録音:1972年&1973年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36015〜16)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
嬰ヘ長調、プレリュード(12/16)、フーガ(4/4)
6つのシャープが調号として付される、新世界の探索。プレリュードでは、揺れるようなシンコペーション・リズムが、愛らしい魅力を発散する。その親密な軽やかさが、続く3声フーガの基調ともなっている
バッハ事典(東京書籍)
明るくのどやかな曲調
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:パスカル=タスカンのモデルによるデイヴィット・ルビオ製、オックスフォード、1972年)
録音:1972年&1973年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/14)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:アレグロ、4/4
第2楽章:ラルゴ、3/4
第3楽章:アレグロ、3/8
ヴィヴァルディの「調和の霊感」(作品3の第3番)の編曲。ヴィヴァルディらしさを保ちながらも、チェンバロ一台での見事に協奏曲へと編曲されています。明るく、きらびやかな印象を受けます
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「BACH DAS WOLHLTEMPERIERTE CLAVIER VOL. 1」(リチャード・エガー、harmonia mundi、HMU 907431.32)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
ヘ短調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
プレリュードは、4声ないし3声によって、手厚く書かれている。4声フーガ半音階主題による壮大なもので、ヘ短調らしい気分を持つ
バッハ事典(東京書籍)
バッハ事典(東京書籍)には、「沈んだ気分をもつプレリュード」と書かれていますが、そういう印象は受けませんでした。短調らしい曲の中にも、何か明るさを兼ね備えています。ゆったりとしたテンポで進行します。フーガは、「音楽の捧げもの」を想起させます。「バッハらしい」フーガ
演奏:リチャード・エガー
使用楽器:1638年リュッカースのJoel Katzmanによるコピー
「BACH DAS WOLHLTEMPERIERTE CLAVIER VOL. 1」(リチャード・エガー、harmonia mundi、HMU 907431.32)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
ヘ長調、プレリュード(12/8)、フーガ(3/8)
プレリュードは、2声のインヴェンション様式の音楽。フーガはパスピエのリズムによる3声音楽である。
バッハ事典(東京書籍)
きらびやかさを誇る楽曲。プレリュードは引用の通り、2声のインヴェンションを想起させます
演奏:リチャード・エガー
使用楽器:1638年リュッカースのJoel Katzmanによるコピー
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/15)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:テンポ指定なし、4/4
第2楽章:アダージョ、イ短調、4/4
第3楽章:ジーグ、12/8
原曲は不明です。明るく快活な協奏曲らしい曲。CDの解説には、「名前のわからないドイツ人作曲家の協奏曲」の編曲と書かれています
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36015〜16)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
ニ長調、プレリュード(4/4)、フーガ(3/4)
プレリュードの初稿は、フリーデマンのための小曲集に含まれており、16分音符で動き回る低音に右手の和音を加えただけのものでしたが、上声部旋律を追加して、プレストの後半部分を追加して、この曲にしています。フーガは、この曲集唯一の2声フーガ
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:パスカル=タスカンのモデルによるデイヴィット・ルビオ製、オックスフォード、1972年)
録音:1972年&1973年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36015〜16)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
ニ長調、プレリュード(12/8)、フーガ(4/4)
牧歌的な雰囲気を漂わせるプレリュードは、3部分構成による。3声フーガは一転して、運動の生気に満ちている。助走をつけてから走り出す趣の主題を他声部が追いかけ、絶え間ない16分音符の動きとともに進む
バッハ事典(東京書籍)
プレリュードは、第1−8−15−24小節の3部分に分かれており、第3部は下属調に始まる第1部の再現部となっています。「牧歌的」とされているように、ぼどかな雰囲気です。これに対してフーガは明るさを保ちながらも、快活に進んでいきます
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:パスカル=タスカンのモデルによるデイヴィット・ルビオ製、オックスフォード、1972年)
録音:1972年&1973年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/14)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:テンポ指定なし、4/4
第2楽章:ラルゴ、4/4
第3楽章:アレグロ、3/4
ヴィヴァルディの「調和の霊感」作品3、第12番の編曲。
快活なクラヴィーア曲へと見事に編曲されています
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「BACH DAS WOLHLTEMPERIERTE CLAVIER VOL. 1」(リチャード・エガー、harmonia mundi、HMU 907431.32)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
嬰ハ長調、プレリュード(3/2)、フーガ(4/4)
新しい調性世界開拓の一例。プレリュードはサラバンド風のリズムを持ち、深い情感をたたえている。そこからゆったりと歌い出されて高潮する3声フーガは、古風なリチェルカーレの趣を持つ。ここには、主題の転回と拡大を含む、高度な対位法が駆使されている。
バッハ事典(東京書籍)
自筆譜では、
プレリュード;変ホ短調
フーガ;嬰ニ短調
で書かれていますが、これは原曲が、それぞれホ短調、ニ短調であったためとされています。
プレリュードは哀しさと憂いに満ちています。そこからゆったりとフーガが展開されていきますが、引用の通り「リチェルカーレ」を想起される曲調です。「音楽の捧げもの」の「3声のリチェルカーレ」が始まるような感じを受けます
演奏:リチャード・エガー
使用楽器:1638年リュッカースのJoel Katzmanによるコピー
「BACH DAS WOLHLTEMPERIERTE CLAVIER VOL. 1」(リチャード・エガー、harmonia mundi、HMU 907431.32)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
嬰ハ長調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
プレリュードの開始は、オルガン前奏曲を思わせる荘重なもの。やがてシンコペーション主題が導入され、プレリュード自体の中で、長大な二重フーガが展開される。比較的早い時期に成立した独立曲と思われる。続く3声フーガは音型化された主題を用いて、比較的簡素に進行する。
バッハ事典(東京書籍)
ゆったりとしたテンポのプレリュード、フーガはきらびやかさをたたえています
演奏:リチャード・エガー
使用楽器:1638年リュッカースのJoel Katzmanによるコピー
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/14)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:テンポ指定なし、2/4
第2楽章:ラルゴ、3/4
第3楽章:ジーグ プレスト、12/8
ヴィヴァルディの「ラ・ストラヴァガンツァ」作品4、第6番の編曲。第1楽章を聴くと、ヴィヴァルディらしさを感じますが、楽章が進むにつれ、バッハらしさが目立ってくる気がします
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36015〜16)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
ニ長調、プレリュード(4/4)、フーガ(3/4)
プレリュードでは、右手に3連音符が連ねられる。しかしそれを支える和声のプランは、変化に富んでいる。フーガは3声で、主題のリズム割りが面白い。このフーガで初めて、主題の転回形が導入される。
バッハ事典(東京書籍)
プレリュードは14小節を境に大きく二つに分けられ、後半は後の補筆。フーガはかなり複雑な構成となっています。憂いに富んだ曲
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:パスカル=タスカンのモデルによるデイヴィット・ルビオ製、オックスフォード、1972年)
録音:1972年&1973年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36015〜16)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
ニ長調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
プレリュードでは、、スタッカートの低音の上で16分音符が走り続ける。結びには、典型的なトッカータ様式が現れる。4声フーガは、フランス風序曲の趣をもつもの。主題に付された装飾的な頭部が、付点リズムによる運びに個性的な味わいを添える。
バッハ事典(東京書籍)
プレリュードの18小節以後は、のちに補筆されたもの。フーガは付点リズムが独特のアクセントを醸し出しています。何かフーガとは感じさせないものがあります
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:パスカル=タスカンのモデルによるデイヴィット・ルビオ製、オックスフォード、1972年)
録音:1972年&1973年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/14)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:テンポ指定なし、4/4
第2楽章:アダージョ、ホ短調、3/4
第3楽章:プレスト、3/8
『ヴァイオリン、オーボエ、ヴィオラ、チェロ、通奏低音のための、G. ヴァレンティーニ、A. ヴィヴァルディ、T. アルビノーニ・・・・・A. マルッチェッロ氏・・・・による協奏曲集』(アムステルダム、1717年頃)所収の、A. マルチェッロのオーボエ協奏曲による
バッハ事典(東京書籍)
物哀しい感じがする曲調
演奏:Pieter Dirksen
使用楽器:Sebastian Nunez (after Johannes Ruckers, 1638)
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年7月4 - 8日
「BACH DAS WOLHLTEMPERIERTE CLAVIER VOL. 1」(リチャード・エガー、harmonia mundi、HMU 907431.32)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
嬰ハ短調、プレリュード(6/4)、フーガ(4/4)
プレリュード;クラヴィーアを豊かに歌わせたもので、高貴な哀しみをたたえている。
フーガ;十字架音型と見なされる主題によるフーガがこれに続く。まもなく第2、第3の主題が加わり、5声で荘重に発展する。
バッハ事典(東京書籍)より
この曲集を聴いていて楽しいのは、長調と短調の違いがよくわかるということが一つ挙げられるでしょう。BWV848の嬰ハ長調の明るさ、きらびやかさとは対照的に、哀しさに溢れています。調を知り尽くしているからこそできる作曲なのではないでしょうか。
またフーガは主題が順番に加わっていくことで、重厚さが増していきます
演奏:リチャード・エガー
使用楽器:1638年リュッカースのJoel Katzmanによるコピー
「BACH DAS WOLHLTEMPERIERTE CLAVIER VOL. 1」(リチャード・エガー、harmonia mundi、HMU 907431.32)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
嬰ハ長調、プレリュード(3/8)、フーガ(4/4)
プレリュード;16分音符が軽快にかけめぐります。
フーガ;3声フーガで、かなり規模が大きく、自由な間奏部分をはさんでいます
嬰ハ長調はこの時代としては、かなり珍しい調なのではないでしょうか?非常に明るく美しい曲です。
演奏はこのところよく聴いているエガーのもの
ちなみに、この曲をダブルネックのギターで演奏している動画があったので、興味がある方はどうぞ。かなりうまいです
演奏:リチャード・エガー
使用楽器:1638年リュッカースのJoel Katzmanによるコピー
「J. S. Bach : Per cembalo solo... 」(Richard Egarr、harmonia mundi France、HMU 907329)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:テンポ指定なし、2/4
第2楽章:ラルゴ、ホ短調、3/4
第3楽章:アレグロ、4/4
ヴィヴァルディの「3つのヴァイオリン、ヴィオラ、通奏低音のための5声の協奏曲集」(作品7)の第2集、第2番の編曲。
ヴィヴァルディの持つ特有の明るさをうまく生かした作品。5声の協奏曲集からの編曲ですが、1台のチェンバロ用に見事に編曲されています
演奏:リチャード・エガー;チェンバロ
使用楽器:Joel Katzman, Amsterdam, 1991 (after Ruckers, Antwerp, 1638)
ピッチ;a' = 415
調律:Haugsand, after 18th-century models
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36015〜16)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
ハ短調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
プレリュード;フリーデマンのための小曲集では、現在の25小節までで終わっています。途中でテンポが、プレストーアダージョーアレグロと大きく変化します。
フーガ;3声部から成っており、スケルツォ風の躍動的な主題が魅力的。第1曲のフーガとは対照的に、主題がたまにしか現れませんが、二つの一定の対位旋律が現れます。
力強い激しい曲調です。テンポが目まぐるしく変るため、一曲の時間は短いですが、聴いていて飽きることがありません
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:パスカル=タスカンのモデルによるデイヴィット・ルビオ製、オックスフォード、1972年)
録音:1972年&1973年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「J. S. バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 BWV846-869」(グスタフ・レオンハルト、DHM、B18D-36015〜16)
成立:1720〜22年、ケーテン
基本資料:自筆清浄譜
ハ長調、プレリュード(4/4)、フーガ(4/4)
プレリュード;分散和音のみで構成されており、長三和音が美しく響きます。フリーデマンのための小曲集にこの曲を記譜した際には、後半部分は和音で記譜していました。グノーが歌声部をつけて「アヴェ・マリア」を作曲したことで知られます。
フーガ;ヘクサコード(6音音階)主題による4声楽曲。後半のストレッタ(主題の密接提示)が、全巻中もっとも多く、一つの間奏部もありません。
一般的に「平均律クラヴィーア曲集」と呼ばれる作品を今日から紹介していこうと思います。この曲は、ケーテン時代の後期に、家庭での教育活動から生み出された曲集。「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集 」が一つの母体になっています。「インヴェンションとシンフォニア」の上級編に相当します。24曲のプレリュードとフーガからなり、すべて異なる調で書かれていて、ハ長調からハ短調→嬰ハ長調→・・・・→ロ短調へと、長調と短調を交互にして、音階を上昇していきます。つまり、理論上考えられるすべての調が、一つの曲集にまとめられています。
自筆清浄譜の冒頭には、
うまく調律されたクラヴィーア(,,Das Wohltemperirte Clavier")、あるいは、長3度つまりドレミ、短3度つまりレミファにかかわるすべての全音と半音を用いたプレリュードとフーガ。音楽を学ぶ意欲のある若者たちの役に立つように、また、この勉強にすでに熟達した人たちには、格別の時のすさびになるように。現アンハルト=ケーテン宮廷楽長兼室内楽団監督、ヨーハン・セバスティアン・バッハが起草し、完成。1722年
と書かれています。
この曲集で常に問題となるのは、上で「一般的に」と書いた「平均律」という言葉ですね。明らかに現在でいう平均律はバッハよりも後年のものですから、それをバッハが想定して作曲したとは思えません。英語で「well-temtered」が「平均律」という単語になっているので、余計に混乱を招くのですが、ピタゴラス音律、純性律、中全音律(ミーントーン)などを用いた調律方法では、他の調、特に遠い調へ移った時に綺麗に響かないので、それを解消するために、キルンベルガーやヴェルクマイスターといった人達が様々な調律方法を編み出しました。バッハがどの調律方法を想定してこの曲集を書いたのかは未だに議論となっています。
彼はまたフリューゲルもクラヴィコードも、自分で調律した。そしてその仕事によく慣れていたので、15分以上もかかることは決してなかった。更にまた、彼が楽譜なしに心の趣くままに弾く時には、二十四の調をすべて自分のものにしていて、それらを思うように扱った。どんなに遠い調でも、ごく近い調のように、いかにも自然に結びつけた。人々は、彼がただ一つの調の目に見えない圏内で転調しているだけなのだ、思った。転調に際しての固さなど、彼のまったく知らないことであった。彼の半音階でさえ、依然として全音階の領域に留まっていると思われるくらいに、その移行が柔らかで、よどみがなかった。
「バッハの生涯と芸術 」(フォルケル著、柴田治三郎訳、岩波書店)
と書かれているように、バッハ自身が何か独自の調律方法を持っていた可能性も否定できません。数年前にバッハの調律方法が発見さたというニュース が流れましたが、これに基づいた録音がなされていないので、わたくしにはこの調律方法についてはなんとも言えません。
ただはっきりしているのが、バッハが「平均律」を想定していなかったこと、そして「うまく調律されたクラヴィーア」というところが意味しているのは、
「24すべての調がよどみなく綺麗に響くように、ある一つの調律方法でうまく調律された」
ということではないか、ということです。この議論については、「詩的CD評」さんの「バッハの「巧みに調律された鍵盤楽器のための24の前奏曲とフーガ第1集」をオリジナルのチェンバロで聴く 」で詳しく書かれていますので、是非一読下さい。
演奏はやはりグスタフ・レオンハルト氏の見事な演奏から
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:パスカル=タスカンのモデルによるデイヴィット・ルビオ製、オックスフォード、1972年)
録音:1972年&1973年、キルヒハイム、フッガー城、糸杉の間(ドイツ)
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/23)
成立:1720〜26年、ケーテン/ライプツィヒ
基本資料:ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集
ハ長調、4/4
4分音符の低音上での、分散和音を基本とする。後半はその形が崩され、7小節にわたるオルゲル・プンクトが現れる。長男のためのクラヴィーア小曲集には、簡略な異稿BWV924a(フリーデマンの習作?)も見られる。
バッハ事典(東京書籍)
短い簡単な曲で、教育目的であることがうかがえます。この「異稿BWV924a」は「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための鍵盤練習帳 」で紹介したクリストフ・ルセのアルバムに収録されています。
BWV924〜932は「9つの小さなプレリュード」とまとめて呼ばれ、ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための鍵盤練習帳に記された小プレリュードです。
いずれもごく短い、平易な作品で、同曲集の他の曲と同じように、教育的な性格が強い。なお、BWVではハ長調から順に主音が上向するように配列されているが、これは曲集の順序とは一致しない
バッハ事典(東京書籍)
とされています
演奏:Pieter-Jan Belder
使用楽器:Cornelis Bom, Schoonhoven 1999 after Ruckers
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年11月16、17日
「J. S. Bach : Per cembalo solo... 」(Richard Egarr、harmonia mundi France、HMU 907329)
成立:1713〜14年、ヴァイマール
基本資料:同時代の筆写譜(J. P. ケルナー他の手による)
楽章構成:
第1楽章:テンポ指定なし、4/4
第2楽章:ラルゲット、3/4
第3楽章:アレグロ、4/4
ヴィヴァルディの「調和の霊感」(作品3)の第9番の編曲。
原曲を聴き直してみましたが、「協奏曲」を1台のクラヴィーアで表現してしまうところにバッハの凄さを感じました。
協奏曲BWV972〜987は、ヴァイマール時代後期に、ヨハン・エルンスト公子の注文によって行われた、イタリア(風)協奏曲のクラヴィーア用編曲群で、その内訳は、
・ヴィヴァルディ;6曲
・ヨハン・エルンスト公子;3曲
・A. マルチェッロ;1曲
・トレッリ;1曲
・B. マルチェッロ;1曲
・テレマン;1曲
・原曲不明;3曲
となっています。
編曲にあたり、バッハは、移調、旋律の装飾、鍵盤楽器にふさわしい語法への書き変えなど、細かな工夫をしている。
バッハ事典(東京書籍)
これらの編曲の経験が、名曲「BWV971 イタリア協奏曲」へとつながっていくと思われます。
なお、協奏曲BWV972〜987の成立した事情については、昨日聴いた「BWV592 協奏曲 ト長調 」のところに書いています。
演奏:リチャード・エガー;チェンバロ
使用楽器:Joel Katzman, Amsterdam, 1991 (after Ruckers, Antwerp, 1638)
ピッチ;a' = 415
調律:Haugsand, after 18th-century models
「J. S. Bach : Per cembalo solo... 」(Richard Egarr、harmonia mundi France、HMU 907329)
成立:遅くとも1714/17年頃
基本資料:J. G. ヴァルターによる筆写譜
楽章構成:
第1楽章:アダージョ、4/4
第2楽章:フーガ アレグロ、2/4
第3楽章:アダージョ、4/4
第4楽章:アルマンド、4/4
第5楽章:クーラント、3/4
第6楽章:サラバンド、3/4
第7楽章:ジーグ、12/8
J. A. ラインケンの出版曲集《音楽の園》の第1ソナタの編曲
バッハ事典(東京書籍)
「BWV954 フーガ 変ロ長調 」と同じくラインケンの《音楽の園》の編曲。
上の楽章構成はバッハ事典(東京書籍)から引用したものですが、エガーは
第1楽章:アダージョ
第2楽章:フーガーアダージョープレスト
第3楽章:アルマンド
第4楽章:クーラント
第5楽章:サラバンド
第6楽章:ジーグ
という形で弾いています。
演奏:リチャード・エガー;チェンバロ
使用楽器:Joel Katzman, Amsterdam, 1991 (after Ruckers, Antwerp, 1638)
ピッチ;a' = 415
調律:Haugsand, after 18th-century models
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ロ短調、9/16
3声のインヴェンションの15曲目。毎週聴いてきた「インヴェンションとシンフォニア」の最後の曲
2声曲の変奏とも聞こえる、軽妙な終曲。ジーグのリズムにより、技巧的なパッセージが随所にはさまれてゆく。
「バッハ事典(東京書籍)」
ここでははるかに和声的な様式でかかれ、ジーグ・リズムの中で、スケルツァンドな性格を示している。
(CDの解説より)
かなり複雑な動きをする曲で、シンフォニアの最後を飾るに相応しい曲。ジーグのリズムですが、独特のリズムと旋律が印象的
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ロ短調、4/4
2声のインヴェンションの15曲目。毎週一曲ずつ聴いてきた「インヴェンションとシンフォニア」のインヴェンションの最後の曲。
カプリッチョ風の曲想をもつ軽妙な小品。組曲のフィナーレを聴く思いがする。
「バッハ事典(東京書籍)」
活気あるカプリッチョである。
CDの解説より
物悲しさを感じさせながらも、「活気ある」雰囲気の曲調で、インヴェンションの最後に相応しい感じの曲
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/22)
成立:遅くとも1707/13年頃
基本資料:アンドレーアス=バッハ本
ファンタジー(4/4)は8声和声体で書かれ、「アルペッジョで」の指示がある。フーガ(3声、4/4)は16分音符を重ねた長大な主題による。
バッハ事典(東京書籍)
ゆったりしたファンタジーと、一転してドライブ感に満ちた壮大なフーガから成ります
演奏:Pieter-Jan Belder
使用楽器:Cornelis Bom, Schoonhoven 1999 after Ruckers
録音:Maria Minor, Utrecht, The Netherland, 1999年
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
変ロ長調、4/4
3声のインヴェンションの14曲目。
主題の含む下降音型が、全体を支配する。その落ち着いた流れは曲尾で短縮され、カデンツァの効果を生み出す。
「バッハ事典(東京書籍)」
第4番の如く掛留リズムが特徴で、しっとり這うような動きが支配している。思索的、独白的で、情緒の安定した表現、多声部演奏技術の洗練など、奏者には高い音楽的水準が求められる。
(CDの解説より)
ゆったりとした中に、哀愁感を感じます
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
変ロ長調、4/4
2声のインヴェンションの14曲目。
冒頭の山型音型とその転回形が絶えず響き、曲の性格を規定する。同じ調による《パルティータ 第1番》を想起させる。
「バッハ事典(東京書籍)」
この変ロ長調のインヴェンションで、バッハは、厳粛にしかも快適に運びつつ、テーマを一歩一歩近接させ、圧縮していく。
CDの解説より
引用の通り「冒頭の山型音型とその転回形が絶えず響き」ます。一聴して遊んでいるような感覚なのですが、ちゃんと美しい曲に仕上がっているところがさすがです
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:半音階的幻想曲とフーガ〜クラヴィーア幻想曲集」(アンドレアス・シュタイアー、DHM、BVCD-38107)
成立:1714年以前
基本資料:J. T. クレープスによる筆写譜
プレリュード:4/4、フーガ:12/16
成立時期は明らかではありませんが、ヴァイマール時代のイタリア体験の影響から書かれたとするのが通説となっています。前奏曲もフーガも、当時のイタリア風協奏曲の様式を念頭にしています。
プレリュードが「BWV1044 フルート、ヴァイオリン、チェンバロのための協奏曲 イ短調 『三重協奏曲』 」の第1楽章、フーガが第3楽章の原曲となっています。
それ自身協奏曲形式の則ったプレリュードでは、リトルネッロ主題の後半を形成する3連音符が、展開上の要となる。3連音符の疾駆はフーガ(3声)でも続き、フーガであることを忘れさせるほどの、華麗な展開を示す。
バッハ事典(東京書籍)
大好きな「BWV1044 フルート、ヴァイオリン、チェンバロのための協奏曲 イ短調 『三重協奏曲』 」の原曲となっているだけに、好きな感じの曲調です。複雑に音が絡み合って進行していき、華麗で壮大な曲です。前半の前奏曲はまだゆったりとしていますが、後半のフーガは怒濤の音の流れの連続となっています
演奏:アンドレアス・シュタイアー
使用楽器:チェンバロ:ミヒャエル・ミートケのモデル(1702〜1704年ベルリン)によるブルース・ケネディー製(1986年シャトー・デクス)
録音:1988年4月15日〜17日、ゼーウェン、カトリック教会(ドイツ)
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
イ短調、3/8
3声のインヴェンションの13曲目。
軽やかな舞曲風主題に基づくフーガ。主題の魅力は、提示のたびに新たな平行進行を伴うことによってクローズアップされる。
「バッハ事典(東京書籍)」
落ち着いた幅広い表現を体得させようと意図した作品であろう。カンタービレだが全体に歯切れがよく、たくましさと活発さが溢れる様なムードをもつ。
(CDの解説より)
リズム感に富んだ曲調が展開されるフーガ。「舞曲風」と書かれていますが、まさにその表現がぴったりの小品。かなり複雑さが目立ちます
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
イ短調、4/4
2声のインヴェンションの13曲目。
プレリュード風の小品。分散和音モティーフが一貫して戯れる。
「バッハ事典(東京書籍)」
3和音動機に基づいている。幾分和らげ鎮められたアフェクトの表現が聴かれる。
CDの解説より
「小品」と書かれてますが、短い曲ながらもクラヴィーアの魅力を引き出した優しい作品
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「JOHANN SEBASTIAN BACH KEYBOARD WORKS (COMPLETE)」(BRILLIANT、92217/7)
成立:不明(初期作品?)
基本資料:J. P. ケルナーの所有していた筆写譜
3声、アレグロ、変ロ長調、4/4
J. A. ラインケンの出版曲集《音楽の園 Hortus musicus》(ヴァイオリン2、ヴィオラ・ダ・ガンバ、通奏低音用:1687年)の第6ソナタ、アレグロ楽章に基づく。
バッハ事典(東京書籍)
同じリズムの旋律が高音、低音と交互に織り交ぜられながら進行していきます。ラインケンの曲が原曲ですが、バッハらしさを充分に感じる作品。元になっている曲がヴァイオリン2、ヴィオラ・ダ・ガンバ、通奏低音用なためか、かなり複雑な構成に感じます。
(追記)
J. A. ラインケンの《音楽の園 Hortus musicus》(ヴァイオリン2、ヴィオラ・ダ・ガンバ、通奏低音用:1687年)ですが、
「REINCKEN Hortus musicus & Works for Harpsichord」(The Purcell Quartet, CHANDOS, CHAN 0664)
で聴くことができます。「私的CD評 」さんの「もう一つのオルガニストによる室内楽、ラインケンの「ホルトゥス・ムジクス 」で詳しく紹介されていますので、是非読んで下さい
演奏:Christiane Wuyts
使用楽器:Henri Hemsch, 1754年
録音:Digipro Brussels, Belgium, 1988年
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
イ長調、4/4
3声のインヴェンションの12曲目。
リズミックで力強い主題によって牽引されるフーガ。
「バッハ事典(東京書籍)」
再び生気づけられ、熱気あるものを示している。
(CDの解説より)
印象的なメロディーで導入されるフーガ。明るくリズム感に富んだ曲調
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
イ長調、12/8
2声のインヴェンションの12曲目。
同じく二重フーガ・タイプに属する。装飾音が多用され、華麗な演奏効果をもつ。
「バッハ事典(東京書籍)」
更にブリリアントで、技巧的にも高度な要求を具えている。
CDの解説より
明るく、様々な形で導入されるトリルが印象的な曲
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ト短調、3/8
3声のインヴェンションの11曲目。
舞曲風の典雅なリズムによる。全曲中「協奏曲の書法にもっとも接近した曲」(W. フランク)
「バッハ事典(東京書籍)」
格別エスプレッシヴォで一句一句がカンタービレな処理を求める。陰影に富み、3拍子の優雅な「揺れ」の中でたゆとう如く進行する。主動機の上向跳躍音程が印象的である。
(CDの解説より)
ゆったりとした短調の曲。「陰影に富む」と書かれていますが、暗さだけではなく、その中に華麗なメロディーが「うつろい」ます。こういう感じの曲調は好きです
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ト短調、4/4
2声のインヴェンションの11曲目。
二重フーガ・タイプの曲。対位句には半音階進行が聴かれる。
「バッハ事典(東京書籍)」
さっそく低音に現れる対主題には、伝統的な《テトラコード》(四音音階)が半音で充填して作られる半音階的テーマが構成され、曲なデリケートな性格づけに大きな働きをしている。
CDの解説より
CD解説にあるように、クロマティックなテーマが印象的な曲
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「J. S. Bach Gamba Sonatas」(Jaap ter Linden, Richard Egarr, harmonia mundi France, HMU 907268)
成立:不明(初期作品)
基本資料:J. P. ケルナーによる筆写譜
ホ短調、4声、4/4
ヨハン・クリストフはオードルフ時代の保護者であった長兄で、その兄に敬意を表したとされる作品。
兄のスタイルの模倣と推測されるが、表題のルーツは明らかではない。いずれにせよ、「月明かりの下での筆写」のエピソードを考え合わせると、興味深いものがある。曲は活発な主題に基づく単一楽章のフーガで、トッカータ風のパッセージでしめくくられる。
バッハ事典(東京書籍)
明るい曲調で、チェンバロの音色、特徴が生き生きとしている作品。いかにもバッハのクラヴィーア曲という感じの曲です
「一日一バッハ」さんの同曲の記事 を読んで、聴きたくなった作品ですが、持っていなかったので、慌てて注文して昨日届きました。元々は、ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ集のCDですが、「BWV992 カプリッチョ 変ロ長調 「最愛の兄の旅立ちに寄せて」 」も同時に収録されています。
演奏:
リチャード・エガー(チェンバロ)
仕様楽器:Joel Katzman, Amsterdam 1991 (after Ruckers 1638)
ピッチ:a' = 415
Temperament:Haugsand, after irregular 18th-c models
「J. S. バッハ ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための鍵盤練習帳」(クリストフ・ルセ、Ambroisie、AMB 9977)
成立:1720年、ケーテン
基本資料:ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集
ハ長調、4/4
W. F. バッハのためのクラヴィーア小曲集の冒頭に記された楽曲で、数字により、運指法の細かな指示がなされている。バッハの鍵盤奏法の一端を示す資料として重要であり、とりわけ、限定された親指の使用法が注目される。
バッハ事典(東京書籍)
バッハは優れた作曲家、優れた演奏家であるとともに、優れた教師であったと言われています。その教え子の中でも、バッハが特にその才能に目をつけていたのが、長男であるヴィルヘルム・フリーデマン・バッハでした。その長男のために書いた作品が「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」で、9歳の誕生日のすぐ後にこの練習の編纂に取りかかっています。
ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集、1720年1月22日ケーテンにて記し始める
とその冒頭に書かれています。3年間に渡って編集されたと考えられています。この小曲集は「インヴェンションとシンフォニア」の基になっています。
短い曲ですが、明るさに満ち溢れています
演奏:クリストフ・ルセ(チェンバロ)
使用楽器:ヨハネス・リュッカース1632年製(1787年フォン・ナーゲル改修)
録音:2004年11月25〜27日、ヌーシャテル(スイス)
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ト長調、3/4
3声のインヴェンションの10曲目。
前曲(BWV796 シンフォニア 第9番)とは対照的に、平明快活な流れをもつ。半拍遅れで入る特徴ある主題が模倣されてゆく。
「バッハ事典(東京書籍)」
16分音符の音階主題による緊密な構成など、第1番ハ長調との類似点も多い。たくましい線の運動感が特徴、半拍おくれの附点4分音符をもつ主題冒頭の鋭いリズムが、「入り」の度毎に、流暢さをさえぎり効果的なアクセントをなしている。
(CDの解説より)
躍動感に満ちた曲調で、引用部分にあるように「半拍おくれの附点4分音符」が効果的に聴こえます
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ト長調、9/8
2声のインヴェンションの10曲目。
三和音の分散音型を主体とする、一種のジーグ。
「バッハ事典(東京書籍)」
生気に富み、ほとばしる気分と奏く楽しさを、陽気な第8曲へ長調とジーグ風のフゲッタ第10曲ト長調は見せている。
CDの解説より
「BWV779 インヴェンション(2声)第8番 」と同じく、陽気で踊り出したくなるような曲調
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「J・S・バッハ:フーガの技法&クラヴィーア練習曲集 第2巻」(グスタフ・レオンハルト、DHM、BVCD-7007〜08)
出版:1735年の復活節、ライプツィヒ
基本資料:オリジナル出版譜。アンナ・マグダレーナ・バッハによる筆写譜(ハ短調稿 BWV831a)
楽章構成:
第1楽章:序曲(2/2 - 6/8)
第2楽章:クーラント(3/2)
第3楽章:ガヴォットI(2/2)
第4楽章:ガヴォットII(ニ長調、4/4)
第5楽章:パスピエI(3/8)
第6楽章:パスピエII(ロ短調、3/8)
第7楽章:サラバンド(3/4)
第8楽章:ブーレーI(2/2)
第9楽章:ブーレーII(2/2)
第10楽章:ジーグ(6/8)
第11楽章:エコー(2/4)
1735年に出版された「クラヴィーア練習曲集 第2部」に含まれる一曲。「クラヴィーア練習曲集 第2部」のタイトル・ページには、
クラヴィーア練習曲集 第2巻、2段鍵盤を備えたクラヴィチンベルのための、イタリア趣味によるコンチェルト、そしてフランス様式によるウヴェルテュールから成る。愛好家の心の慰めのために、ザクセン=ヴァイセンフェルス公殿下の楽長にしてライプツィヒの音楽監督なるヨハン・セバスチャン・バッハによって作曲、クリストフ・ヴァイゲル・ジュニア出版
と書かれています。ここでの「イタリア趣味によるコンチェルト」はこの曲集に含まれる「イタリア協奏曲 ヘ長調 BWv971」を指し、「フランス様式によるウヴェルテュール」が今回紹介する「BWV831 パルティータ ロ短調(フランス風序曲)」を指します。
バッハの意図は、
1)後期バロックに愛好された2つのオーケストラのジャンル(イタリア出身の協奏曲と、フランスルーツの序曲付きオーケストラ組曲)を、1台のチェンバロ上で実現する
2)イタリアとフランスという音楽先進国(当時ドイツは音楽的には遅れをとっていた)で発展した2つの規範的ジャンルを対置して、イタリアとフランスの作曲技法の差異を際立たせるとともに、自らが消化した成果を披露する
ところにあります。
さてこの曲が「フランス風序曲」という名前で呼ばれるのは、曲の冒頭にフランスで起こった「序曲(ウヴェルテュール、Ouverture)」が配置されているため。「パルティータ」という名前で呼ばれていますが、この曲では通常のパルティータの構成楽章の一つである「アルマンド」が省略されています。これは、フランスの管弦楽様式によるため。また、フランス式の装飾が曲全体に見られ、フランス様式を強く感じさせます。
管弦楽組曲を2段チェンバロで実現した曲で、バッハがフランス様式をじっくりと研究した成果の一つとされています。
演奏:グスタフ・レオンハルト(J. D. ドゥルケンのモデル(1745年アントワープ)によるマルティン・スコヴロネック製)
録音:1967年10月3日
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
へ短調、4/4
3声のインヴェンションの9曲目。
半音下行のラメント・バス(嘆きの低音)と詠嘆の音型、物思わしげな小モチーフの3つが、三重フーガの効果で組み合わされる。受難のイメージとの関連がしばしば指摘される。
「バッハ事典(東京書籍)」
これはすでにバッハの息子達に、最強の表現力と最高の対位法技術をこめた宝物としてみなされていた。この曲では3つのテーマが三重対位法で処理される。この三重フーガでは、首尾一貫した声部書法に於てわせいてきな鋭さ、ねばり強さが示される。第5番と第9番、この二つの対照的な曲に於て、バッハの創造的な能力の多様性が明確に示されている。
(CDの解説より)
「BWV780 インヴェンション(2声)第9番 」では、「二重フーガ」を思わせる構成をとっていますが、シンフォニアでは三重フーガとなり、曲が更に複雑で技巧的に困難となっています。
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ヘ短調、3/4
2声のインヴェンションの9曲目。
二重フーガを思わせる構成をとり、増減音程を交えた彫りの深い筆致によって、一種宗教的な悲嘆が描き出される。
「バッハ事典(東京書籍)」
非常にエスプレッシヴォな半音階法によって、殆ど痛ましい程の表現にまで達している。
CDの解説より
引用の解説通り、哀しみを感じさせる曲調。
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ヘ長調、4/4
3声のインヴェンションの8曲目。
一種のトッカータ。明朗闊達なリズムが全体を貫く。
「バッハ事典(東京書籍)」
踊る様で、遊戯的軽快さが再びヘ長調で表されている。
(CDの解説より)
軽快なリズムでクラヴィーアらしさが出ている曲です
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ヘ長調、3/4
2声のインヴェンションの8曲目。
陽気な主題は分散和音でオクターヴを掛けあがり、音階を勢いよく下降する。両声部はカノン風に進行する。
「バッハ事典(東京書籍)」
陽気な感じの曲で、踊り出したくなるような曲調です
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ホ短調、3/4
3声のインヴェンションの7曲目。
「バッハ好み」とされる短6度上行の主題(「叫び」のフィグーラ)に基づき、変化に富む充実したテクスチュアを織りなして進む。
「バッハ事典(東京書籍)」
この悲哀感を含む平静な流れは、次第に強く対位法的展開によって集約的に高められていく。その展開は終わりに、外声がほど4オクターブにまで伸び拡がる。
(CDの解説より)
バッハらしい短調の曲で、悲哀感に満ちています。その中に細かい展開が散りばめられています
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ホ短調、4/4
2声のインヴェンションの7曲目。
ジグザグ音型と付点リズムの主題による。憂いを帯びた曲想が美しい。
「バッハ事典(東京書籍)」
ホ短調のこの曲は平静な動きでテクスチュアは緻密に組織され、流暢に流れる。
(CDの解説より)
「憂い」を感じさせる曲調ですが、その中に美しさが潜んでいます
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「J. S. バッハ イギリス組曲(全曲)」(グスタフ・レオンハルト、東芝EMI CC33-3631・32)
成立:遅くとも1725年
基本資料:同時代の写室譜(一部バッハの自筆譜)
楽章編成:
1.プレリュード 3/8
2. アルマンド 4/4
3. クーラント 3/2
4. サラバンド 3/4
4a. 「同じサラバンドの装飾」3/4
5. ガヴォットI 2/2
6. ガヴォットII (ミュゼット) ト長調 2/2
7. ジーグ 12/8
6. ブーレーII 2/2 イ長調
7. ジーグ 6/8
印象的なプレリュードは、協奏曲的の構成(トゥッティとソロの交替から成る)をとっています。全6曲から成るイギリス組曲には、いずれも印象的なプレリュードが配置されていますが、「冒頭に大規模なプレリュードが置かれ、イギリス組曲特有の雄大さと力強さを決定づける」(バッハ事典(東京書籍))、と書かれている通り、ぐっと惹き付けられるものがあります。
演奏:グスタフ・レオンハルト
録音:1984年5月2、3日、9月4日
場所:Doopsgezinde Gemeente Kerk, Haarlem, Holland
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ホ長調、9/8
毎週一曲ずつ聴いている3声のシンフォニアの6曲目。
音階上行の主題に基づき、穏やかな田園的気分をもつ
「バッハ事典(東京書籍)」
旋律的な可憐さ、charmをもつこのムーヴマンは、内部に静けさをたたえている。その愛らしい優雅な旋律は、バッハの歌曲BWV508 (*)を想起させる。
*BWV508;アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集第2巻中の第25曲「御身がともにあるならば」
(CDの解説より)
バッハの歌曲BWV508を想起させる、とありますが、たしかにあの曲集に含まれている感じの優しく愛らしい感じがする曲
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会
「バッハ:インヴェンションとシンフォニア」(レオンハルト、SEON、BVCC-5151)
成立:1720〜23年、ケーテン
基本資料:自筆譜、「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」
ホ長調、3/8
2声のインヴェンションの6曲目。
反復付きの2部分形式で書かれた、唯一の曲。すなわち舞曲の枠組みを採用しているが、上行する声部と下行する声部をシンコペーションによって組み合わせ、また交換する手法は手がこんでいる。。
「バッハ事典(東京書籍)」
優雅な装飾的な発明によって成立している。声部は反進行的で、互いに近づき、又遠ざかり、そして進行する。
(CDの解説より)
美しい小品。解説にあるように声部が近づいたり遠ざかっていったりして遊んでいるように思えるのですが、舞曲らしい感じがします。
演奏:グスタフ・レオンハルト
使用楽器:マルティン・スコヴロネク、ブレーメン、1962年(J. D. ドゥルケンのモデル、アントアープ、1745年)
録音:1974年11月、オランダ、アムステルダム、ドープスヘヅィンデ教会