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BWV1006a リュート組曲 ホ長調

2009年01月17日

「バッハ:リュート作品全集」(コンラート・ユングヘーネル、DHM 77097)

成立:1736/37年頃、ランプツィヒ
基本資料;自筆譜(武蔵野音楽大学所有)
楽章構成;
1. プレリュード、3/4
2. ルール、6/4
3. ロンド風ガヴォット、2/2
4. メヌエットI、3/4
5. メヌエットII、3/4
6. ブーレー、2/2
7. ジーグ、6/8

「BWV1006 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第3番 ホ長調」の編曲。

リュートで楽譜通りに演奏することはほとんど不可能だが、鍵盤にふさわしくない個所も散見されるため、使用楽器には疑義が残る。
バッハ事典(東京書籍)

「BWV1006 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第3番 ホ長調」も有名ですが、この曲を全曲編曲されたものが、今日聴く曲です。明るさに満ちた曲。日本に自筆譜があるとのこと、一度見てみたいですね

演奏:コンラート・ユングヘーネル
使用楽器:ヨハン・クリスティアン・ホフマンのモデルによるニコ・ヴァン・デル・ヴァール製の13弦バロック・リュート
録音:1988年9月25~27日(フォード修道院)

オリジナルの調弦で聴くリュート作品

2008年10月25日

「J. S. Bach The Works for lute in original keys & tunings」(Lutz Kirchhoh, VIVARTE, S2K 45858)

バッハが残したリュート作品は、

バッハのリュート作品として知られているのは、

・BWV995 リュート組曲ト短調
・BWV996 リュート組曲(第1番)ホ短調
・BWV997 リュート組曲(第2番)ハ短調
・BWV998 プレリュード、フーガとアレグロ 変ホ長調
・BWV999 プレリュード ハ短調
・BWV1000 フーガ ト短調
・BWV 1006a パルティータ ホ短調

の7曲とされています。このブログでも過去に2曲、リュートによる演奏を紹介しています。
BWV1000 フーガ ト短調」と「BWV997 リュート組曲(パルティータ) ハ短調」の2曲。

さて、バッハのリュート作品を演奏する際には、ある種の困難が伴うことがあるそうです。実際にリュートを演奏したことがないので、その困難さがわからないのですが、ある調で弾くと実に困難になるため、移調して演奏することがあるそうです。
その中でもよく知られている(?)のは、

・BWV996 リュート組曲(第1番)ホ短調
・BWV 1006a パルティータ ホ短調 

で、例えば、

「バッハ:リュート作品全集」(コンラート・ユングヘーネル、DHM 77097)

では、

・BWV996 リュート組曲(第1番)ホ短調  → ト短調
・BWV 1006a パルティータ ホ短調  → ヘ長調

と、それぞれ移調されています。

今回取り上げたキルヒホーフの演奏は、CDのタイトルが示しているように、移調をせず、調弦も変更しないで演奏しているのです。実際にユングへーネルの演奏と聴き比べてみると、響き方、明るさに顕著な違いで出ています。

移調や調弦の変更については、「バッハハウス バッハの音楽とドイツの旅」さんの「バッハとリュート(2) バッハのリュート独奏曲」に詳しく説明されているので、そちらを参照してください。

このCDに収録されているのは、下記の通りで、リュートよテオルボを弾き分けています。なおピッチは440Hzのようです。

Disc 1.
1. 組曲ト短調BWV995 (*)
2. フーガ ト短調BWV1000 (*)
3. 組曲ホ短調BWV996 (**)
4. プレリュード,フーガとアレグロ変ホ長調BWV998 (*)

Disc 2.
1. パルティータ ハ短調BWV997 (*)
2. プレリュード ハ短調BWV999 (*)
3. 組曲ホ長調BWV1006a (**)

* テオルボ
** バロック・リュート


なお、このCDは今では廃盤で、「ArkivMusic」から先日入手したのですが、中身をみて驚きました。解説もなにもなし。よく調べてみると、ArkivMusicがレーベルの許可をとって、複製販売をしているとのことでした。なんだか不思議なCDで、明らかにCD-Rに焼いたものといった概観をしています。


追記:
このCDですが、ネットで購入してから届くのに1月以上かかりました。水曜日に届いたのですが、ポストに入っていたパッケージを見て納得しました。

間違えてアメリカからジャマイカ経由で届いたようです

ラウテンヴェルクによるリュート組曲を聴く

2008年09月14日

「J. S. バッハ:リュート=ハープシコードのための音楽集」(エリザベス・ファー、NAXOS、8.570470-71)
録音:2007音8月、アメリカ、マンチェスター、プロガー・ハウス

バッハのリュート作品として知られているのは、

・BWV995 リュート組曲ト短調
・BWV996 リュート組曲(第1番)ホ短調
・BWV997 リュート組曲(第2番)ハ短調
・BWV998 プレリュード、フーガとアレグロ 変ホ長調
・BWV999 プレリュード ハ短調
・BWV1000 フーガ ト短調
・BWV 1006a パルティータ ホ短調

の7曲です。バッハ自身がリュートを演奏したのかはわかりませんが、ヴァイスといったリュートの名手との親交があったことも知られていますし、彼らの演奏技術を知って作曲した可能性もあります。バッハの遺産目録には、リュートを所有したいたこともわかっています。
それ以外に目録に記載されている興味深い楽器が、今回紹介するラウテンヴェルク(ラウテンクラヴィーア、リュート−ハープシコードなどとも言われる)です。

7曲のリュート作品の内、BWV995 リュート組曲ト短調 は、BWV1011 (無伴奏チェロ組曲 第5番)の編曲、BWV 1006a パルティータ ホ短調は、BWV1006 (無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ 第3番)の編曲です。
これ以外の曲については、リュートに使用されていた「タブラチュア譜」の代わりに、鍵盤用の2段譜表が用いられていて,楽譜によって楽器の指定がされています。特筆すべきは、BWV996に関してで、

「リュート・クラヴィアーで Aufs lauten Werk」

と、楽器指定されていることです。上で述べたバッハの遺産目録には、このラウテンクラヴィーアを2台所有していたと書かれています。残念ながら、この楽器が現存しておらず、どのような楽器であるのかは定かではありません。
しかし、近年この楽器を復元する試みがされており、実際に復元された楽器を使った録音を見かけるようになりました。この楽器ですが、チェンバロと基本的には同じですが、「リュート・クラヴィーア」から想像できるように、金属弦の代わりにガット弦が張られています。

この楽器については、「The baroque LUTE-HARPSICHORD: A Forgotten Instrument」に詳しく記載されています。

さて今回紹介するCDですが、このバッハのリュート作品をラウテンヴェルクで演奏したものです。キース・ヒルがその復元にあたっており、それを用いて演奏したもの。上に挙げた7曲以外の曲も含まれます(収録曲は下記の通り)。

CD1
・組曲 ト短調 BWV995
・組曲 ホ短調 BWV996
・組曲 ハ短調 BWV997
・前奏曲、フーガとアレグロ 変ホ長調 BWV998
・前奏曲 ハ短調 BWV999
・フーガ ト短調 BWV1000
CD2
・組曲 ホ長調 BWV1006a
・ソナタ ニ短調 BWV964
・変奏を伴うサラバンド BWV990

上でこの楽器を用いた録音が出てきたと書きましたが、まとまって全曲録音したのはこれが初めてのような気がします。

演奏を聴いてみたのですが、明らかにチェンバロとは違う響きがします。生で演奏を聴いたことがないのでなんとも言えませんが、恐らく大きなホールで演奏するには不向きであると思います。ガット弦を使っているので、音がかなりマイルドになっています。
この曲については、いくつものリュートでの演奏を聴いているのですが、違和感なく聴くことができました。鍵盤楽器で演奏されても何の違和感も感じさせないことから、バッハが2台所有していて、愛用していたともされているので、作曲に際して、この楽器を想定してのかもしれないです(もちろん何の根拠もありません。あくまで演奏を聴いた個人的な感想です)。

演奏は、NAXOSにあまり録音されることのない作曲家を取り上げているエリザベス・ファーによるもの。HMVのサイトでは酷評されていますが、そこまでひどいとも思いません。むしろ子守唄の代わりに聴くのもいいと思いますし、じっくりと聴き入るにも適した演奏だと思います。

またHänsslerにもこの楽器を用いた録音がされています。

「Works for Lute-Harpsichord」(Robert Hill, Hänssler, CD 92.109)

なお、こちらは全曲ではなく、

BWV999, 921/1121, 998, 996, 908, 907, 823, 997が収録されています。ここで演奏しているロバート・ヒルは、今回紹介したCDで使用されているラウテンヴェルクを復元したキース・ヒル氏の兄弟らしいです

BWV997 リュート組曲(パルティータ) ハ短調

2008年03月04日

「BACH・L'OEVRE DE LUTH」(Hopkinson Smith、ASTRÉE、E 7721-22)

成立:1739年頃?、ライプツィヒ
基本資料:J. F. アグリーコラによる筆写譜、J. Ch. ヴァイラウフによるリュート・タブラチュア(プレリュード、サラバンド、ジーグのみ)
楽章構成:
第1楽章:プレリュード 4/4
第2楽章:フーガ 6/8
第3楽章:サラバンド 3/4
第4楽章:ジーグ 6/8
第5楽章:ドゥーブル 6/8

第1、第2楽章の後に、組曲の後半を続けた変った構成。筆写譜の作成年代から、J. クロプフガンスとS. L. ヴァイスがバッハの元を訪れた際(1739年夏)に作曲されたという説があります(ただし、この楽譜ではリュートで演奏できない箇所が多々あります)。この筆写譜が、オリジナルのリュート用のクラヴィーア・ヴァージョンと言える(「バッハ事典」(東京書籍))と言われています。

じっくりと聴かせる第1楽章に始まり、印象的な第4楽章、そしてその第4楽章と基本的には同じメロディー(ただし、第4楽章に比べて極めて複雑に音符が散りばめられています)である第5楽章まで、リュートの響きの素晴らしさを教えてくれる作品。この最後の2つの楽章をなんとか弾けないかと、かなり前にやってみたことがあるのですが、あまりにも難しくて挫折しました。

わたくしがこの曲を始めて聴いたのは、ジュリアン・ブリームによるもの(レコードです、父所有。髪の毛がまだふさふさしているジャケットでした)。彼は第4楽章と第5楽章を同時に弾いています。今回は紹介しませんが、わたくしをバッハへ導いてくれた実にありがたいレコード(後にCDで購入)ですので、いずれ機会を見つけて紹介致します。

演奏は、ユングヘーネルと並んで、現在のリュート奏者の最高峰の一人、ホプキンソン・スミスによるもの。レーベル「ASTRÉE」が消滅(ナイーヴに吸収?)されたので、現在入手可能かはわかりませんが、二枚組でバッハのリュート作品がすべて録音されていますので、お勧めです。ユングヘーネルと聴き比べをするのも面白いと思います。
「ASTRÉE」の頃は、サヴァール、コープマンらとたくさんの作品を残してくれたのですが、最近はあまりCDを見かけませんね。彼はソロだけではなく、通奏低音でも実にすごい演奏をする人で、「ASTRÉE」で5巻出ていたマラン・マレの曲集はお勧めです。

演奏:ホプキンソン・スミス
使用楽器:Joël van Lennepによる13コースのリュート
録音:1981−82、87年

BWV1000 フーガ ト短調

2008年01月24日

「バッハ:リュート作品全集」(コンラート・ユングヘーネル、DHM 77097)

成立:1720年頃

無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト短調 BWV1001の「Fuga Allegro」が原曲となっています。ヴァイラウフによるリュート・タブラチュアが残されているそうです。
哀愁漂う素敵な曲ですね。オルガン、チェンバロ作品の中のフーガも素晴らしいですが、リュート(ギターでも)演奏されるフーガもまた格別。バッハの曲の拡張高さが出ている曲だと思います。実際に演奏できたらいいなと想いながら、しみじみ聴いてしまいます。

リュート奏者はたくさんいますが、このバッハのリュート作品の全集では、ユングヘーネルとホプキンソン・スミスのものが両巨頭でしょうか・・・。さすがにユングヘーネルの演奏は素晴らしいですね。派手さとは無縁な気がしますが、それがかえって、この作品の純粋な部分を伝えている気がします。

バッハは、リュート作品の一部をヴァイオリン・パルティータ、無伴奏チェロ・ソナタから転用していますね。
バッハ自身がリュートを演奏したかはわかりませんが同時代のリュート作品をたくさん残しているヴァイスと親交があったと言いますから、彼に触発された部分も多かったのではないかと勝手に思っています。

演奏:コンラート・ユングヘーネル
使用楽器:ヨハン・クリスティアン・ホフマンのモデルによるニコ・ヴァン・デル・ヴァール製の13弦バロック・リュート
録音:1988年9月25~27日(フォード修道院)